キタムラ機械、新サービスでMCの使い勝手向上
キタムラ機械は、自社製のマシニングセンター(MC)に搭載する独自のコンピューター数値制御(CNC)装置「Arumatik―Mi」について、顧客が利用している旧型を最新型に有償で交換する事業に力を入れている。工作機械メーカーが自らCNC装置の交換をサポートすることは業界で珍しく、新たな形態のサービスとして注目されそうだ。
「かゆいところに手が届くような感じ」―。野中精機製作所(富山市)の機械加工課の高井衛さんは、生まれ変わったCNCの使い勝手の良さに感心する。高井さんが扱うキタムラ機械製のMC「マイセンター―3XG」は2012年3月に導入した製品で、搭載するCNCはArumatik―Miの第1世代だった。これを20年9月に最新の第3世代に換えたことで、新たに使える機能が増えた。
例えばIoT(モノのインターネット)対応の管理システム「エニウエアリモート」。加工の完了や非常停止などの最新稼働状況を電子メールで送信する機能が加わった。「事務所で作業している時に、非常停止が起こったとしても、メールでスマートフォンに知らせてくれる」と安心感の向上に一役買っている。
また、地味な進化ながら、CNCの画面上で電卓のソフトが使えるようになったことも便利な点に挙げる。プログラム修正などの計算用に実物の電卓を機械のそばに置いているが、事務所などに持っていってなくなっていることも多い。「そんな時に画面をピッと押すだけで電卓のソフトが出てくるので楽」と話す。
ほかにもタッチ画面が2本の指の動きに対応し、スマホ感覚の操作で画面の拡大・縮小などが可能になったり、操作に対する反応速度が良くなったりするなど、全般的に操作性が向上しているという。
Arumatik―Miは開発当初から、常に顧客に最新機能を提供する「ライフタイムアップデート」の思想の下、装置を容易に交換できるように設計している。基板をパネルの裏に設け、外装やキーボードはそのままにパネル部だけを新しいものに換装すれば、中身は最新型になる。交換作業はパネル部の取り換えだけのため2時間程度で完了する。
北村社長はCNCの交換事業について「工作機械は長く使える機械を丹念込めて作っても、電装品が陳腐化するのが問題だった。自社製のCNCでアップグレードが可能になり、陳腐化しない製品作りができるようになった」と話している。