MOLDINO、ギガキャスト金型工具新製品
MOLDINOは、車体部品をアルミニウム鋳造で一体成形する「ギガキャスト」用の金型向けに、荒加工から仕上げ加工まで対応する切削工具を相次ぎ投入する。独自の刃形や加工方法を含めた提案で、高機能材を採用した同金型の高能率加工を支援。放電加工をしていた深い溝部分の安定切削加工も実現し、生産性向上にも寄与する。自動車の電動化などに伴う生産革新に対応する。
「部品点数削減を図るための金型の大型化や深掘りなどの加工ニーズに対応できる商品になっている」。MOLDINOの金子社長は製品開発の狙いをこう強調した。
ギガキャスト用の金型は従来と比べ大型化し、広さと深さを含めた縦横に幅広い加工が求められる。素材も熱間ダイス鋼に添加するシリコンの量を減らすなどして高機能化するため、従来と比べ粘りや硬さが増し、切削加工の難易度が高まる傾向にあるという。
MOLDINOはこうした高機能素材を採用したギガキャスト用金型を、複数の工具を使い分けることで効率的に加工する課題解決策を提案する。広く深い範囲の加工では、薄く滑らかに削ることで抵抗を抑えた刃形を採用した刃先交換式の切削工具を開発した。
併せて、同工具を先端に取り付けて深部を加工するためのフリーネックタイプの超硬シャンクも開発。先端に向け傾斜を付けることで金型との干渉を防ぎ、毎分100メートルの切削速度で深さ250ミリメートルまでの溝の高速で安定した荒加工を実現した。
狭く深い「リブ溝」などの加工向けには、先端にラジアス形状の刃を設けたフリーネックタイプの細長い切削工具を20日に発売する。たわみを抑えた設計を採用するなどし、深さ120ミリメートル程度の溝の加工に対応する。
仕上げ加工では、深さ120ミリメートルの加工にも対応する切削工具を開発し、同工具を回転させながら上下に動かして加工する工法「突き加工」での活用を含めた提案を一部で始めた。
従来こうした深い溝の加工では、長い工具を回転させながら左右に動かして加工するため、金型に「段差」のような削り跡が残ることがあり、形彫り放電加工機で仕上げ加工するケースが多かった。新たな工具と工法で切削による仕上げ加工を実現し、放電加工用の型を起こすことなどを含めた手間や時間の大幅な削減に貢献する。
また突き加工は工具の切削跡「筋」が縦方向にでき、同社担当者は「鋳造した後に金型からワークを剥がしやすくする効果が期待できる」という。
自動車産業ではバッテリーを搭載する電動化の潮流で、軽量化などを狙いとする生産革新が進む。ギガキャスト以外にも複数部品を一体成形する動きがあり、金型が大型化する傾向にあるという。MOLDINOはこうした変化に対応する工具やシャンク計4製品を投入し、生産性や品質の向上といった付加価値を提案して顧客の課題解決に貢献する。