ノリタケカンパニーリミテド、SiC研磨工具量産 福岡にライン
ノリタケカンパニーリミテドは、次世代パワー半導体とされる炭化ケイ素(SiC)の半導体基板やデバイスを研磨する工具「LHAパッド」を2024年度から量産する。数億円を投じて夜須工場(福岡県筑前町)に量産ラインを整備。パッド内の砥粒(とりゅう)の回転で研磨するため、加工時間を従来比6割減の約2時間に短縮でき、工具寿命も5倍以上の200時間に伸ばせる。生産時の廃棄物も大幅に減らせる。電気自動車(EV)向けの需要拡大に伴い、試作から量産へ段階が移る。
三好事業所(愛知県みよし市)と松阪工場(三重県松阪市)の試作ラインと人員を夜須工場に移管する。20年から本格販売してきたが、高まる需要に対応できないと判断して量産ラインの整備に踏み切る。需要の増加に応じて、夜須工場での増産も検討する。
LHAパッドは、SiC基板を研磨する砥粒をパッド内の気孔に閉じ込めたもの。砥粒が気孔内で自由に動ける半固定砥粒の構造で、砥粒の回転によって基板を研磨する。これにより加工時間の削減と工具寿命の延伸ができる。研磨液に使う水は再利用できる。
液状の研磨材スラリーを使わない点も特徴。従来の研磨工程では研磨液として、ダイヤモンドやセラミックスを混ぜた特殊な研磨剤スラリーを使うため多量の廃棄物が発生する。LHAパッドによる研磨ではこれがなくなる。足元では中国などの海外EVメーカーからの引き合いが強いという。