NSKワーナー、中国でAT部品増産 上海に新棟、能力2倍
日本精工と米ボルグワーナーの折半出資会社であるNSKワーナーは、中国で自動変速機(AT)部品を生産する新棟を建設する。2019年に稼働し、生産能力を現状比約2倍に高める。手動変速機(MT)からATへの切り替えが進む中国では新車販売の伸び以上にAT需要が拡大する。一方、開発資源が限られる中堅完成車メーカーが、ATの外部調達を拡大する動きに伴う引き合いも高まっており、米中貿易摩擦の中でも中国向けの出荷を増やす。
中国・上海市の生産拠点に三つ目となる新棟を建設する。生産面積は現状比約2倍を想定し、1万平方メートルを越える見込み。投資額は非公表だが、数十億円とみられる。AT内部の動力伝達部に使うワンウェイクラッチ、摩擦材、金属プレートや摩擦材などを組み合わせたクラッチパックの3製品を生産する。
調査会社によると操作性や燃費性能を向上できるATは、世界で23年まで年平均9・5%の成長が続くと予想。完成車メーカーはATを内製するほかATメーカーから調達している。ただ年間新車販売台数が数百万台規模の中堅車メーカーでは外部調達を増やしており、ATメーカーの需要が拡大している。
アイシン・エィ・ダブリュ(AW)は日本や中国を中心に約2000億円を投じ、20年度に世界でAT生産台数を17年度比約3割拡大。ジヤトコは中国で無段変速機(CVT)工場を新設し、19年の稼働を予定する。
NSKワーナーはCVTを含むAT部品を完成車とATメーカー双方に納めており、供給体制の整備を急ぐ。
同社の17年度の売上高は前年度比2割増の730億円だった。