NTK、機械工具で攻勢 CBN同等性能の新セラ材質投入
日本特殊陶業が機械工具事業を拡充している。新しい超高性能セラミックス材質「HX5」を市場投入したほか、耐熱合金の仕上げ加工用工具「バイデミックス」で新商品「JP0」を追加し、幅広いニーズに対応する。日特陶は2030―40年に向けた長期経営目標で非内燃機関事業の強化を掲げている。機械工具事業でも新たな付加価値のある商品やサービスを提案していく構えだ。
新世代のセラミックス材質「NTK CeramiX」シリーズ第1弾のHX5は、立方晶窒化ホウ素(CBN)と同等の対摩耗性能を実現しつつ、価格を抑えた。新開発のコーティングを被膜したほか、素材の密着強度を高める工夫で高い耐摩耗性を実現している。自社のCBNシリーズ商品の価格と比べるとおよそ半額前後で提供する。ギアやシャフトといった自動車部品など、高硬度材の仕上げ連続加工に適しているという。
一方、バイデミックスは航空機エンジンなどの耐熱合金向け工具で、JP0は耐摩耗性能(耐倒れ性能)をさらに高めた。切削速度は毎分180―500メートルに対応する。JP0を加えることで加工条件などのニーズに幅広く対応する。バイデミックスはこれまで粗加工用の「JX1」と仕上げ加工用の「JP2」の2種類を用意している。超硬やCBNと比べて大幅な高速加工が可能な点などが特徴だった。
日特陶は自動車用エンジン点火プラグなど内燃機関事業を主力とするが、次世代の成長に向けて非内燃機関事業を強化する。機械工具事業でも新製品だけでなく、新たなサービスを展開している。
小型自動旋盤のユーザー向けに複数のツールホルダーを交換しながら利用できるサブスクリプション(定額制)サービス「SUISUI SWISS(すいすいスイス)」を提供するほか、対話アプリケーション(応用ソフト)「LINE」で公式アカウントを開設し、ユーザーが手軽に技術相談をできるようにしている。