NTN、摺動式等速ジョイント開発 静粛性高め低振動化
NTNは電気自動車(EV)用に、静粛性を高め動力を効率良く伝えられるボールタイプの摺動(しゅうどう)式等速ジョイント(CVJ)を開発した。CVJはモーターなどの動力をタイヤに伝えるドライブシャフトを構成する部品。小型・軽量で応答性に優れる従来品の摺動式CVJに、新開発したグリースの適用で摩擦抵抗を減らし、走行中の静粛性向上や低振動化を実現した。2029年度に量産を始める予定。新製品を使ったドライブシャフトの売上高で、30年度に90億円を目指す。
主にエンジン車などに使われている従来品の摺動式CVJを機構解析したところ、内部部品の各ボールと内輪や外輪との接触状態の微小なバラつきが走行中の振動要因となっていた。この接触状態を均一にするため、潤滑剤のグリースを新たに開発。添加剤の成分を見直し、接触状態を早期に平準化しつつ耐久性や耐摩耗性とのバランスを調整した。
新たなグリースによって部品間の摩擦抵抗が低減。トルク伝達時の発熱を抑え、トルク損失率は従来品比25%削減し、効率良く動力をタイヤに伝えることが可能となった。また、内部部品が接触して生まれる抵抗を数値化したスライド抵抗値は、従来品と比べて約20%低減した。抵抗値が小さくなったため静粛性・低振動性が高まった。
ドライブシャフトはモーター側の摺動式CVJと、タイヤ側の固定式CVJをシャフトで連結して用いる駆動部品。NTNは摺動式CVJのラインアップで効率・低振動性に優れる既存製品に今回の新製品を加え、高効率な固定式CVJと組み合わせて、省電力や静粛性といった顧客のニーズに合わせたドライブシャフトを提案していく。