OSG、超硬工具の切削条件選定を支援するソフト拡販
OSGが超硬工具の切削条件選定を支援するソフトウエアの拡販に乗り出している。過去20年にわたり蓄積した顧客の加工データを基に、顧客が切削条件を選定しやすいのが特徴だ。他社の加工支援ソフトとの併用を打ち出して、顧客獲得を目指す。
【加工データ蓄積】
OSGは子会社の金型コンサルを通じて、金型メーカーなどの加工データを蓄積してきた。それらを集約したソフト「KC―TOOL」は、工具の形状や長さ、加工対象物(ワーク)、加工内容などのデータを入力すると、切削条件を簡単に選定できる。
切削条件は通常、金型メーカーなど顧客が自前のノウハウで決めるが、それでは時間がかかる上、最適な条件にならない可能性がある。KC―TOOLはこうした問題点を解決できる。
【セミナー開催】
金型メーカーなどに販売しているが、今泉悦史OSG加工技術グループリーダーは「まだこれからといったところ」と現状を説く。ただ、「数年後には認知度が高まり、多くの顧客を獲得できているはず」と強気だ。
認知度向上の手段の一つが、セミナーだ。2017年末に愛知県豊川市の本社で開いたセミナーでは、KC―TOOLと他の加工支援ソフトとの組み合わせ効果を打ち出した。
セミナーはIT企業の伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、電通国際情報サービス(ISID)と共催した。両社は欧米の加工支援ソフトの販売代理店だ。
連携例として、KC―TOOLで切削条件を選定後、コンピューター利用解析(CAE)で実際の加工をシミュレーションし、より速く高精度な加工を実現できることを提案した。
安永文洋CTC科学システム本部長は「品質やコストなどの改善に役立つよう、OSGと協力したい」と販売面での連携に意欲を見せた。
【ノウハウ向上】
超硬工具の切削条件の選定にはベテラン作業者の知見が欠かせないが、今後、ベテランの退職が進む。金型メーカーなどが加工ノウハウを維持・向上するために、加工支援ソフトを活用するのは有効な手段となる。OSGの取り組みが広がるかに注目だ。