OSG、ダイヤ工具のM&A加速 微細精密加工を開拓
OSGがM&A(合併・買収)によりダイヤモンド工具事業の展開を加速している。
7月に微細なダイヤモンド工具の製造販売を手がけるコントア・ファイン・ツーリングなどの持ち株会社を買収してグループ傘下に収めたのに続き、子会社の日新ダイヤモンドが10月1日付で、極小径の単結晶ボールエンドミルを得意とするマイクロ・ダイヤモンドの事業継承を決めた。中長期の課題としている微細精密加工分野の開拓に弾みを付ける構えだ。
OSGのベルギーの現地法人がコントアの持ち株会社であるオランダのプレシジョン・ツールズ・ホールディングの全株式を買い取り、完全子会社化した。コントアは眼鏡や眼内レンズを加工する旋盤向けのダイヤモンド工具を扱い、「世界トップクラスのシェアを持つ」。この分野の実績が乏しいOSGグループにとって、新たな顧客層とダイヤモンド工具の研削技術の獲得が期待できる。
また、日新ダイヤが事業継承するマイクロ・ダイヤモンドが扱う極小径のエンドミルやドリルなどのダイヤモンド工具は、大学などの研究施設のほか、半導体や医療関連などが利用している。特に極小径の単結晶ボールエンドミルを製造できるのは同社が世界で唯一とされる。
OSGは以前から、ノダプレシジョンやイタリアのフューディといったダイヤモンド工具メーカーをグループ傘下に置いている。今回のコントアの買収とマイクロ・ダイヤモンドの事業継承でグループ内のダイヤモンド工具の関連会社の売上高は50億円程度に上り、「OSGグループはダイヤモンド工具業界でトップクラスの地位になる」という。
OSGは関連会社の売上高を2030年までに100億円に伸ばす青写真を描く。かつて売上高の過半を自動車業界向けが占めていた同社は、電気自動車(EV)の普及によるエンジンやトランスミッション製造における工具需要の減少を見据え、微細精密加工分野の開拓で顧客の裾野を広げてきた。
現状で自動車向けの売上高は「5割を切っている」状態で、他業種への販売先の平準化は着実に進んでいる。今後も伸長させる微細精密加工で、ダイヤモンド工具は「一つの目玉になる」と大沢社長は期待をかけており、その行く末が顧客層拡大の成否を占う試金石になりそうだ。