OSG、日独で金型被膜事業 工具向けからシフト
OSGは日本とドイツで金型受託コーティング事業を始めた。同事業はこれまでインドなどアジア3カ国で展開してきたが、市場を広げて事業拡大を図る。同社は自社製の切削工具に対するコーティング技術を生かし、他社から請け負う「ジョブコーティング」を中長期の成長事業と位置付ける。もともとは切削工具向けがメーンだったが、今後は金型向けに注力する。2030年11月期にジョブコーティング事業の売上高を現状の2倍に拡大する計画のうち、7―8割を金型向けで伸ばす方針だ。
金型受託コーティング事業は金型表面に物理気相成長(PVD)被膜を施し、長寿命化を図る。日本では新城工場内に約720平方メートルの金型コーティング専用エリアを確保し、PVD炉を2台導入した。子会社のオーエスジーコーティングサービスが事業を担当し、受注を始めた。
プレスや鍛造、ダイカストといった各種金型を対象に、重量70キログラム以下をメーンのターゲットとして需要を取り込む。ドイツではフライブルク市に24年に設立したグループ会社で、新城工場と同程度の規模の体制を敷き、受注を始めた。
金型ジョブコーティング事業はインドで18年に立ち上げた。その後、インドで3カ所に拠点を広げるとともにインドネシア、ベトナムでも始めた。ジョブコーティング市場は切削工具向けが成熟し、成長が鈍化しているとして金型向けを強化する。自動車で超高張力鋼板(超ハイテン)材の採用が増えていることなどを背景に、金型のコーティング需要が伸長しているという。
切削工具メーカーのOSGは長年コーティングを内製してきた。蓄積してきた被膜開発力や海外拠点を生かし、金型ジョブコーティング事業を拡大する。