ダイセル・エボニック、PEEKでギア部品 車の静粛性・軽量化に貢献
ダイセル・エボニック(東京都)の高機能樹脂のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が、自動車用ギア部品向けに採用される見通しになった。量産を前提に開発を進めている。物体が滑りやすい摺動(しゅうどう)性や耐熱性に優れるPEEKを用いて、より小さい歯車で金属部品と同じトルクを伝達でき、車の静粛性や軽量化に貢献する。
PEEKは耐摩耗性に優れ、一方の部品の素材を傷つけずに摺動する。かみ合う歯車の一部をPEEKに置き換えるだけで2―3デシベル下げることができ、置き換え前と比べて音が半減した体感を得られるという。
詳細は明らかにしていないが、現在、複数の国内自動車関連メーカーと試験を進めている。これまではトランスミッション部品のシールリングやステアリング位置調整スピンドルナットなどに採用されてきた。重要なギア部品に採用されることで、用途が広がる可能性が高まった。
ダイセル・エボニックは今後、電動シート部品やカーエアコン内部のギアなどにも提案していく。動力を伝達する回転軸であるエンジンカウンターシャフト、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)向けモーターの電気絶縁被覆用途も想定しており、金属や他素材からPEEKへの置き換えを狙っていく。
同社は独エボニックインダストリーズの中国工場で製造したPEEKを輸入し、開発陣とコンパウンド設備を持つ網干工場(兵庫県姫路市)で混練したのち、自動車部品メーカーに納入している。国内ユーザーの要望に迅速に対応できることを強みとしている。