日本特殊合金、微粒チタンで超硬合金 工具・金型を長寿命に
日本特殊合金は、従来の超硬合金に微粒の炭窒化チタンを均一に配置して硬度、摩耗性を大幅に高めた「SCPT合金」を開発し、サンプル出荷を始めた。チタン系材料を添加した超硬合金を窒素気流中で焼結することで均一配置を実現した。ドリル工具なら、寿命が通常の超硬合金の1・9倍に延長できるという。今後、金型素材用にも用途を拡大する。
タングステンの超硬合金の硬度を上げる場合には炭化バナジウムを添加するのが一般的だが、日本特殊合金は超微粒の炭窒化チタンと炭化クロムを複合して焼結。これにより、微粒チタンの均一配置に成功し、大幅な性能向上を達成した。
同社の社内評価によると、SCPT合金の抗折力は通常の超硬合金比25%増、耐摩耗性は同35%増となった。エンドミル、インサート(刃先交換チップ)、ドリルなど4種類の工具にして評価したところ、寿命はインサートで2-3倍、ドリルは1・9倍の結果が得られた。
現在、工具メーカーにサンプル出荷しており、評価実験を重ねている。併せて、社内では金型の素材として開発を進めており、摩耗量が大幅に低減したことも確認した。粉末成形用の需要を見込む。
既に本社工場で月間200キログラムの生産体制を確保した。工具、金型素材として早ければ2023年内にも販売にこぎ着け、生産能力の上乗せも検討する。価格は従来の超硬合金の1・5-2倍となる見込み。