日立金属、試作支援サイト開設 3Dプリンターの最適材料・加工提案
日立金属は金属3次元(3D)プリンター向けの積層造形ソリューション事業を本格化する。試作支援サイト「アダーン」を立ち上げ、最適な材料検索、概算金額の見積もりシミュレーションなどで顧客の迅速な意思決定につなげる。将来的には積層造形向け設計(DFAM)の受託サービスも検討する。同サイトを先導役に高耐食性・高強度材料を求める顧客や造形機メーカーと連携を強め、3年後にも事業売上高年20億円を目指す。
日立金属の「アダーン」は顧客が積層造形に適した金属粉末の価格情報を入手でき、密度や硬さ、熱伝導率など材料特性のグラフ化、見積もりシミュレーションを気軽に行える。海外電機系で材料・装置メーカーを囲い込む動きがあるが、材料から加工まで顧客を支援する事例は珍しいという。
金属3Dプリンターは樹脂用に比べ歴史が浅く、導入や活用の検討に時間を要するのが実情だ。同サイトで効率的に概算を把握してもらい、その後は営業スタッフが対面で細かく打ち合わせする。
材料は機能的・物理的特性などで詳細な条件で検索でき、概算金額は3DのCAD(コンピューター利用設計)ファイルを送り、必要項目を入力すれば瞬時に表示される。
3Dプリンターは複雑形状を低コストに造形でき、材料のムダが少なく、脱炭素化にも寄与する。世界の3Dプリンター関連市場は年率で約20%の成長が見込まれている。
日立金属はステンレス(SUS316L)を大きく上回る高耐食性を持つニッケル基合金による金属粉末「アドマスターC21P」を市場投入した。サイト開設と併せて半導体製造装置や化学プラントなど関連顧客を狙い、3D市場の創出をリードする意向だ。