日清工業、海外に両頭平面研削盤 切削工具向け拡販
日清工業は、切削工具向け両頭平面研削盤を海外市場に投入する。現在普及している汎用機に比べ、加工時間を半減した機種を欧州や米国、インドなどで販売する。同社は出荷台数ベースで4―6割を自動車産業向けが占めてきた。高剛性で加工能力が高い点を訴求し、切削工具向けを拡販。同製品を新たな柱に育て自動車業界への過度の依存を緩和する。2026年6月期に切削工具向け研削盤で全体の約10%にあたる3億―4億円の売り上げを目指す。
日清工業はスウェーデンの大手切削工具メーカーのサンドビックから要請を受け工具向けに参入した。サンドビックは高剛性な同社の研削盤であれば加工速度を短縮できることに注目したようだ。
自社開発した両頭平面研削盤「VP3―400RW」を、ほかの海外工具メーカーにも売り込む。
本社工場で生産し、欧米やインドなどに輸出する。既に日本市場には投入済みで、日本での実績をテコに海外を深耕する。
同機種は二つの砥石(といし)を向き合わせて回転し、砥石の間に工作物を通して両面を同時に研削する。主軸やベッドの剛性を向上することで加工時間を大幅に短縮。超鋼に加え、サーメットやセラミックスなど難削材料の加工能力も高い。
加工速度の高速化に合わせ、加工対象物(ワーク)の搬送システムを刷新した。同システムはパレットのワークをロボットが取り出して加工部にセットし、加工後のワークをパレットに戻すもの。従来は垂直多関節型ロボットを活用していたが、これを水平多関節(スカラ)型ロボットに変更。高速で精度良くワークをセットできるようにした。
日清工業の23年6月期の売上高は30億円。主力の自動車向けに次ぐ事業基盤の構築を急いでいる。切削工具向け研削盤は後発だが、高剛性や加工速度の速さなどで商機があると判断。海外市場への参入で事業安定化と売り上げ拡大を加速する。