シチズンマシナリー、見積り作成支援 類似図面AI検索
シチズンマシナリーは、顧客が依頼された部品加工の見積もり作成を支援するクラウド型のサービスを始めた。自動旋盤メーカーとして培ったノウハウやAI(人工知能)技術を活用し、見積もり作成に要する時間の大幅な短縮や精度の向上を実現する。工作機械の販売だけでなく、加工の前工程に関わる業務の改善も支援し、顧客の事業全体の生産性向上に貢献する。
新サービス「シチズン見積支援サービス」は、1年契約で月額利用料が10万円(消費税抜き)。初回のみ導入費用100万円(同)が別途かかる。2027年度までに150社への販売を目指す。
顧客はシチズンマシナリーの担当者と過去に受注した数百件の加工部品の図面と見積もり情報から専用のデータベースを作成する。専用画面で見積もりを依頼された図面データをドラッグ・アンド・ドロップすると、AIを活用してデータベースから類似の図面を検索。加工穴の数など依頼図面との違いも抽出して赤く表示する。
見積もり情報は段取りや加工、梱包など工程ごとに項目を細かく分けて算出する仕組みを導入。材料では価格や個数で入力項目を分け、「加工長」など棒状の素材(バー材)を使う旋盤加工固有の項目も設けた。加工ではサイクルタイムや素材の切削性のほか、「機種別加工賃」の項目で他社製の旋盤も含め機種ごとに異なる生産性も反映できるようにした。
顧客は検索した類似図面の見積もりを基に、形状や材料の在庫状況、加工機種など過去との違いを調整すれば見積もりを作成できる。中小規模の加工業者では社長を含む数人が見積もりの作成を担当。見積もり依頼を1日数十件受けることもあり、作業負担の軽減やノウハウの属人化・継承が課題だという。
シチズンマシナリーは旋盤加工のノウハウを生かした同サービスで、見積もり作成の大幅な効率化を実現。加工以外の業務にも支援の幅を広げ、競合との差別化につなげる。