SMC、茨城に新工場 半導体製造装置向け、生産能力2割増
SMCは半導体製造装置の需要拡大を見込み同装置向け製品の生産能力を増強する。電動アクチュエーターなどを製造する下妻工場に第2工場を新設。総投資額は約150億円を見込む。半導体装置などに使われる高真空バルブやスリットバルブといった各種製品の生産能力を従来比1―2割程度高める。2022年度末頃から順次稼働予定。今後の半導体需要次第では隣接区域を利活用する追加投資も視野に入れる。
第2工場は3階建てで、延べ床面積は約5万平方メートル。クラス100と1万のクリーンルームを備える。引き合いが旺盛な半導体装置メーカー向け高真空バルブのほか、各種シリンダーなどを生産する。筑波工場(同常総市)からの配置換えと新規採用によって従業員は500人を予定。年間出荷額は320億円を計画する。SMCの国内工場への投資として過去最大級になる。
第2工場の新設は生産能力の増強という目的に限らず、高度化を図っている事業継続計画(BCP)の観点から生産拠点の再編成を進める戦略に基づく。
エアシリンダーなど工場の省エネに繋がる空気圧機器は、二酸化炭素(CO2)排出量低減などで企業のニーズが多い。現状、エアシリンダーは中国工場が主力拠点だが、大規模自然災害などのリスクを想定した場合、複数拠点での生産が必要となっている。
仮に不測の事態が起きてもグローバルで代替生産できる体制を強固にすることで、世界に製品を安定供給する能力を高められる。SMCも半導体といった部品供給の制約が長期化する見通しを立てているが、今回の生産能力増強により、産業界の半導体不足の早期解消に寄与する構えだ。