ソディック、3軸MCを刷新 軽量化・高速高精度に磨き
ソディックはリニアモーター駆動の3軸立型マシニングセンター(MC)を約9年ぶりに刷新する。構造体の剛性を高めるなど主要機構の設計を見直した。従来機と比べ11%軽量化した主軸の採用などで応答性を向上し、高速高精度な加工に磨きをかけた。高機能化が進む部品の金型で高まる高硬度材の直彫り加工や、光学レンズの鏡面仕上げ加工といった需要に対応する。
開発したMC「UX650L」は、最大幅750ミリ×奥行550ミリ×高さ300ミリメートルの加工対象物(ワーク)の加工に対応する。消費税抜きの標準価格は3300万円から。6月1日に発売し、国内外で年30台の販売を目指す。
主軸では構造体に冷却液を流す仕組みを採用し、回転時の発熱による工具先端の変位や機械本体の姿勢変形を抑制。回転速度や温度情報などから熱変位を推定して高精度に補正する機能も設けた。自動工具交換装置(ATC)には着脱時に主軸と工具を固定するホルダーを常に同じ位相(向き)にする機能を搭載。振れ精度のバラつきを抑え、高精度な加工を実現する。
各軸の案内機構に剛性を高めた直動ガイドを採用し、振動を最小限に抑制する。加工中の動画や画像を記録する機能も搭載。加工の不具合やエラー発生時の原因調査に活用でき操作性も高めた。一定時間未使用と判断した場合、自動で電源を遮断する機能により、省エネルギー性能も高めた。
人工知能(AI)や自動運転といった技術革新により電子部品やセンサーの機能が高度化し、自動車では部品のモジュール化も進む。こうした部品の金型では職人の手磨きや専用機で対応していた高精度で緻密な加工需要が高まっており、ソディックは今回の新型MCの投入で生産性の向上に貢献。「機械性能はもちろん、環境負荷低減や人手不足への対応などソリューションを提案し付加価値を提供する」方針だ。
調査会社マーケッツアンドマーケッツの情報サービス「ナレッジストア」の調査によると、MCを含めたミーリング加工機の世界市場規模は2030年に約414億ドル(約6兆3000億円)で、23年からの年平均成長率(CAGR)は4・4%と予測している。