ソディック、超精密放電機を刷新 長時間安定加工に磨き
ソディックはリニアモーター駆動の超精密ワイヤ放電加工機を刷新。
機械構造を見直し、機械の剛性を向上。数日に及ぶような精密金型などの安定加工に磨きをかけた。ワイヤを緩やかに回転させながら加工する独自機構を搭載。未消耗のワイヤ表面で加工し、高精度な加工寸法や高い品質の加工面を安定して得られる。電気自動車(EV)や半導体パッケージなどのプレス部品向け精密金型の加工需要を取り込む。
開発したのはリニアモーターで駆動する油加工液仕様のワイヤ放電加工機「AX350Liグルーブ・プラス・エディション」。
形状精度プラスマイナス1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)、面粗さ(Ra)0・02マイクロメートル程度の超精密な加工に対応する。最大加工寸法は幅540ミリ×奥行き500ミリ×高さ100ミリメートル。
機械構造解析技術や熱変位シミュレーションなどに基づき、機械変位を最小限に抑える構造を実現した。放電波形を従来と比べ細かく制御し、高いエネルギーでも断線を抑えた荒加工ができる。
ワイヤ回転機構により加工速度を向上できるほか、ワイヤ全周の活用で消費量を抑制。ランニングコストを低減し、仕上げ加工領域で最大30%のワイヤ削減効果も得られる。
加工液の動きを管理するポンプなどの制御を加工状態に応じて最適化し、消費電力を従来比10%削減した。
EVの駆動用モーターコアや半導体パッケージのリードフレームといった精密プレス金型は加工が数日に及ぶ場合がある。新商品ではこうした長時間の連続自動運転で安定した高精度な加工や消費電力削減に貢献し、電動車シフトや高まる半導体需要に対応する。