スター精密が菊川工場ZEB化 刷新計画見直し、再生エネ100%利用へ
スター精密は全面刷新を計画している工作機械の国内生産拠点の菊川工場で、最新の省エネルギー、創エネルギー技術を取り入れたネット・ゼロ・エネルギービル(ZEB)を目指す。
ZEB実現に向けて、2022年度中に着工を予定していた当初の計画を見直す。着工時期は24年めどの見通し。太陽光発電を中心にした再生可能エネルギーを100%利用し、工場全体の省エネ性能を高める。二酸化炭素(CO2)排出量の削減効果が大きい工場ZEB化は珍しいという。
スター精密は菊川工場で主軸移動型(スイス型)自動旋盤に搭載するスピンドルの生産能力増強に合わせ、建屋・設備の老朽化対応、デジタル変革(DX)推進に向けて全面刷新工事を計画している。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)が待ったなしとなり、ESG(環境・社会・企業統治)経営を加速する一環で、同工場のZEB化を決めた。
ZEB化による初期投資の増加に材料費の高騰が加わり、総事業費は当初の100億円から増える見通し。着工時期も約2年後ろ倒しの24年めどに変更する。
同工場はDXを駆使し、最新鋭の自動倉庫、工程間を無人搬送車(AGV)で結ぶなど生産から物流、アフターサービスまで一貫した自動化を目指している。ZEB化は地中の埋設管に空気を循環させて空調に用いるほか、高効率の空調機器導入などで使用する電力量を極力削減。リニューアルに伴って設ける事務所、倉庫も含めて取り組み、ZEB認証取得を目指す。
同社は24年12月期までに中国、タイ、日本の3工場合わせた自動旋盤の生産能力を年7200台に増強する。菊川工場では国内で加工するスピンドルのうち、直径20ミリメートルの棒材料向けを中心に月800本に増やす予定。協力工場を含めた生産能力は年1万4400本に増強する計画だ。