スター精密、タイでスイス型自動旋盤を増産 精密歯車需要拡大で年3000台
スター精密は2023年をめどに、タイ工場のスイス型(主軸移動型)自動旋盤の生産能力を22年末見込みに比べて25%増の年間3000台に引き上げる。精密歯車などの小物精密部品加工向けに需要拡大が見込める中・下位機種の欧米、アジア、日本への供給拠点として機能を強化する。投資額は数億円規模で人員も増やす。タイの増強に伴い、日本国内、中国と合わせたグローバル生産能力として同7200台体制を目指す。
タイ工場は12年10月に稼働した。工場規模は建築面積約2万4000平方メートル。世界的な需要増に対応し、生産能力は22年内に年2400台を見込む。
生産増強に向け、23年にかけて数億円規模の設備投資を行い、平面研削盤、円筒研削盤など生産設備を増強。人員も1割程度増員し、23年に同3000台体制を構築する。
精密歯車やコネクターなどの小物精密部品加工のニーズ拡大とともに、生産現場の自動化対応としてスイス型自動旋盤の強みである無人運転が注目されている。中国以外の国にも生産拠点を置く「チャイナプラスワン」の動きが顧客の間で広がることも予想され、設備投資需要が見込まれることから、タイ工場を増強し供給体制を整える。
スイス型自動旋盤の販売で、スター精密は欧州市場でトップなのに対し、東南アジアやインドでは競合相手にやや先行されている。有望市場のインドではタイの販売会社がインドの販売代理店をバックアップするなど、タイを中核にアジア地域で製販両面で強化する。
日本国内の生産拠点で上位機種を手がける菊川工場の生産能力は、外注の活用を含め年間600台。タイ工場と同様に中・下位機種を生産する中国工場は同3600台で、中国国内への供給に絞る方針を示している。