タイヤ4社の通期見通し、3社増益 車需要回復追い風
タイヤメーカー4社の2023年12月期連結業績予想は、トーヨータイヤを除く3社が当期増益を見込む。半導体不足の緩和に伴いタイヤ需要も回復基調。売上高は全社が増収を予想した。原材料やエネルギーコスト高騰は引き続きリスクとなるが、価格転嫁や高付加価値製品の拡販により収益力を高める。
自動車生産が回復に転じるなか、23年12月期は全社がタイヤ販売本数の増加を見込む。ブリヂストンは乗用車やライトトラック用で前年比1―5%、トラック・バス用で同6―10%増加すると予想。住友ゴム工業は同5%、横浜ゴムは同5%、トーヨータイヤは同8%伸長すると予測する。
23年12月期も天然ゴム、原油やエネルギーの高騰が利益の押し下げ要因となる中、価格転嫁が引き続き焦点だ。その中で住友ゴムやトーヨータイヤは、海上運賃の高騰が緩和するほか価格改定の効果を見込むとした。
住友ゴムは当期利益で同91・2%増の180億円と大幅な回復を予想。トーヨータイヤは投資有価証券売却益を計上し過去最高となった22年12月期に対して当期利益は減益を予想するが、営業利益で増益を見込む。
ブリヂストンは高付加価値製品への注力を強みに値上げを実施したことで22年12月期はコスト高をカバー。石橋秀一グローバル最高経営責任者(CEO)は「ブランドや(販売)チャネルを含め、価格を上げられる強い基盤ができつつある」とし、23年12月期も継続的な値上げを視野に入れる。横浜ゴムも消費財分野において高級車向け旗艦ブランドなど「高付加価値商品の比率を47%に高める」(山石昌孝社長)計画。