TKE、切削工具を受託製造 金属3Dで自由設計
ティーケーエンジニアリングは、金属3次元(3D)プリンターで積層造形(AM)した切削工具の受託製造に乗り出す。今夏に受注開始の予定。複数の工具を1本に集約したコンビネーション化やクーラント液の内部給油穴を自由に設計でき、加工条件に応じた工具製作が可能。一般的な工具に比べて、当初の価格は1・2倍程度の想定だが、最適工具を使った加工の効率化によるトータルコスト低減効果を訴求する。
TKEは自動車部品の機械加工、高周波熱処理を行う高雄工業のグループ会社。AM切削工具は高雄工業で使用し、実用性を確認できたことから外販の受注活動を本格化する。
本格展開に向けて、10月に独SLMソリューションズ製の3Dプリンター1台を新規導入する。導入額は約2億2000万円。
工具の材料に硬度、耐摩耗性、耐熱性に優れたマルエージング鋼を使用。面取りカッターと座ぐりカッターを1本の工具に集約するなど、コンビネーション化することで加工時間の短縮を提案する。内部に空間を作る中空形状も可能で、工具の軽量化が図れる。
またクーラント液の吐出口をシャワー形状にしたところ、刃先に高圧で均等にクーラント液が当たり、刃先冷却を効率化できた。自動化のネックの一つになっている切りくずの巻き付きを抑え、排出性が向上したという。
TKEは金属3Dプリンター3台を駆使し、高周波熱処理用の加熱コイル「AMコイル」の受注活動を推進。AMコイルの造形を通じてAM技術を蓄積してきた。