トヨタグループ各社の通期見通し、4社営業・事業増益 成長投資継続
トヨタ自動車グループ各社がトランプ米政権の関税政策の影響を慎重に見定めている。主要部品メーカー7社の2026年3月期連結業績予想が出そろい、営業・事業利益は4社が増益、3社が減益となった。関税影響を業績に織り込まない社がある一方、アイシンなどは一定の金額を減益要因として見積もった。ただ、事業環境の不確実性が高まる中でも設備投資や研究開発投資を力強く推進し、変化に強い体質を構築する。(総合1参照)
関税の影響を見極められず、各社からは困惑の声が相次いだ。輸入車への25%の追加関税のほか5月からはエンジンなど主要部品にも関税が課される。
豊田自動織機の伊藤浩一社長は「直接・間接の影響が見通せず、今回は(予想に)織り込めていない」とした。愛知製鋼の後藤尚英社長も「基本は地産地消のため直接的影響はほとんどないが、間接的にはどうなるか、広範にわたるので難しい」とし、予想の前提に入れなかった。
一方、アイシンは各顧客への価格転嫁のタイミングなどを総合的に勘案し、営業利益段階で200億円程度を減益要因として織り込んだ。豊田合成も営業利益段階で関税の間接影響が50億円と見積もった。
アイシンの伊藤慎太郎副社長は関税の影響について「我々の自助努力や顧客にお願いする分など丁寧に確認しながら、4―6月期ぐらいに大体分かってくると思う。いったん仮置きをしたが、市場の動向を注視しながら見直しをする」と話す。同社は26年3月期を最終年度とする中期経営計画で営業利益の目標を3000億円以上としていたが、主要顧客の台数減や関税影響を背景に2050億円に見直した。
「変化の大きい時だからこそ、将来のために付加価値向上に取り組む」と語るのはデンソーの林新之助社長。同社は26年3月期、電動化や自動運転の領域を中心に3700億円の設備投資を予定する。研究開発費も6600億円を計上し、ソフトウエアや車載集積回路(SoC)などの開発に充てる。アイシンは電動化や知能化対応で、過去最高となる2500億円の研究開発費を投じる計画だ。