小径穴あけ高精度 京セラがソリッドドリル開発
京セラは独自の特殊形状により、高精度で安定した小径穴あけ加工が可能なソリッドドリルを開発した。加工時に穴曲がりを防ぐマージンと呼ばれる形状をドリル先端に3組、同中間部に2組設けた。ドリルとしては珍しい形状で、直進安定性と切りくず排出性を両立した。鉄や鋳鉄、半導体製造装置部品の素材として採用されるステンレス加工にも対応。幅広い加工現場での利用を見込む。
新開発の「KDA Mini」は、従来ラインアップにはなかった直径1ミリ―2・9ミリメートルの穴あけ加工に対応する。切れ刃の冷却と切りくず排出性を高めるクーラントホール付きで、特殊形状を採用した製品「タイプC」を60型番、同ホールなしの「タイプN」を40型番用意。加工深さは8D(径の8倍)まで対応する。
タイプCはドリルの部位によってマージンの数を最適に配置した。ドリル先端は3組にしたことにより、切削抵抗が大きく、工具の揺れが発生しやすい穴あけ序盤の加工でのドリルの直進安定性を高めた。
中間部はマージンの数を2組にしてチップポケットを大きくし、切りくず排出性を向上。これらにより一般品と比べ、加工時の穴曲がりや穴位置ずれを抑制しやすいという。
またタイプNも含めて、潤滑性や耐溶着性に優れた窒化アルミニウムクロム系層と耐摩耗性に優れた窒化チタンアルミ系層を多層積層化した特殊コーティングを施し、他社従来品と比べ約2倍の工具寿命を実現した。