小林機械製作所 CNC複合工具研削盤
小林機械製作所は、直径が髪の毛よりも細い切削工具を製造するコンピューター数値制御(CNC)複合工具研削盤を手がける。主に半導体関連産業の工程で必要な超微細穴を加工するドリルの製造に使われ、台湾や韓国で実績を伸ばしている。
現在、台湾の企業が2種類の同社製CNC複合工具研削盤を使い、高精度かつ高効率に直径0・1ミリ―1ミリメートルのドリルを製造している。1台目は前工程。粗研削と仕上げ研削、二つの研削ヘッドで工具の長さに切断された超硬丸棒の各部を設定した直径まで同時研削する。2台目は後工程。四つの研削ヘッドで溝と逃げ、刃先の各部を研削しドリルにする。
加工長にもよるが、前工程2台と後工程1台を並列運用した場合、1本25秒で製造可能。どちらもロータリーインデックステーブルで加工対象物(ワーク)を保持・移動させながら周囲に配置した研削ヘッドで加工する。また1台目は砥石(といし)摩耗量と通過したワークの刃径について、加工液の影響を押さえつつ正確に測定。2台目の加工基準でもある同測定を基に自動で細かな補正とドレッシングを行うため、高精度かつ安定した研削加工を実現できる。
同社は35年以上にわたり工具研削盤を製造し実績・経験も豊富。一般的な切削加工用から超微細加工用まで、顧客の要望に対応した最適な機械を数多く提供してきた。
一方、顧客が多い台湾では競合となる中国企業が少しずつ台頭。スイスのロロマティックや小林機械製作所の模倣機を3分の1以下の価格で販売する。川瀬社長は「価格が安い分、精度はあまり高くない」とした上で「最終製品が安価で要求精度も低い場合、顧客は中国製機械を選ぶ傾向がある」と警戒する。
こうした状況を鑑み、同社は多種多様な工具研削盤を作り出してきた独自技術について積極的に情報を発信。技術を応用できる新分野の開拓を国内外で進める考えだ。