旭工業所、検査具・測定器の外販本格化 車部品・軸受メーカーに照準
旭工業所(愛知県刈谷市)は、自社の製造工程内で使用する検査具や測定器を外部向けに設計・販売するサービスを始めた。同社の品質保証部では数十年間にわたり自動車部品の評価を担う測定器を自作している。このノウハウを活用して内径や外径を検査する器具などを外販する。自動車部品メーカーや軸受メーカーの需要を想定。年間1000万円の売上高を目指す。
検査具や測定器の外販は2021年から一部で始めており、今後は23年2月に立ち上げた自社ブランド「kensatools(ケンサツールズ)」を通じて本格展開する。内径や外径、ピッチ、円周振れなどの測定器を設計・販売する。主に旭工業所が事前に組み立てた汎用品と、顧客のニーズを反映した専用品を提供。これまで汎用品で約20件、専用品では30―40件の販売実績がある。製造ラインにおける検査工程を全て任される案件も出てきた。
自動車部品などは3次元測定機で検査する場合もあるが、高額なためラインごとに1台ずつ設置することは現実的ではない。空調管理や測定技能も必要になる。同社ではインラインでの使用にこだわった測定器を手がけ、現場の作業員が定期的に検査し品質を担保することを支援する。
自動車部品メーカーには昨今、国際規格「IATF16949」などの品質マネジメントシステムに準拠したモノづくりが求められている。完成品だけでなく製造プロセスでも製品のバラつきを抑える必要があり、同社では工程内で製品や部品を評価する検査具・測定器の需要があるとみている。
同社は、自動車部品のうちトランスミッション(変速機)向け部品の切削加工や組み立てなどが主力。「ピストン」と呼ばれるアルミニウムダイカスト製の輪状の部品を月間数百万個加工している。