ユーベック、クーラント液濾過システム開発 工具寿命2倍
ユーベック(名古屋市千種区)は、研削盤や旋盤での加工時の工具にクーラント液を確実に当てるシステムを開発した。工具の先が加工対象物(ワーク)に接して切粉が出る「すくい面」と、反対側の「逃げ面」の両方に当てることで摩擦熱が蓄積しにくくなり、工具寿命は従来の2倍以上に延びるという。クーラント液の回収タンク内に設置する精密濾過装置によって、クーラント液中に微細異物やスラッジを残らなくすることなどで実現した。
新開発の「クリーンジェットシステム」は、ワークの「すくい面」と反対側の「逃げ面」の両方にクーラント液を当てる
取り付け配管工事を除く回収タンクの標準価格は、集中クーラント方式で30―50台連結した場合、1台当たり100万―150万円(消費税抜き)。精密濾過装置の本体は5000万円(同)程度。自動車部品メーカーなどに年間10システムの販売を目指す。
特に研削盤加工では砥石(といし)の周速が速くなると、ワークの接点で空気層が厚くなり、クーラント液がワークに当たりにくくなる。
新開発の「クリーンジェットシステム」は、砥石回転に逆らう方向から空気層を破る流速でクーラント液を当て、回転する砥石にクーラント液を巻き込ませてワーク接点に向かわせると同時に砥石表面を洗浄し、砥石の寿命を延ばす。
クーラント液は精密濾過装置に加え、独自の精密フィルターも使用して、長期間にわたり新液同等の清浄さを維持する。フィルター交換やタンク清掃、液交換は5年以上不要という。
既存の高圧配管を利用できる。集中クーラント方式により、接続する複数の工作機械の機種が異なっても毎日の切粉回収や給液、濃度管理も不要で、点検や清掃作業を解消でき、電気代も30―40%減るなど大幅なコスト削減につなげられる。