ユキワ精工 ワーク搬送、手軽に自動化
ユキワ精工は、工作機械内の工具マガジンに収納して使う加工対象物(ワーク)搬送ホルダー「ワークハンドリングホルダ」を製造・販売している。機械の動きを利用して内部のワーク搬送を手軽に自動化する。新たに付帯設備を導入する場合と比べ、省スペース化や低コスト化の面で有利だとして展示会などを通じて訴求中だ。
同社が開発したワークハンドリングホルダは、ピストンとバネを内蔵する。加工時に使うセンタースルークーラントの圧力でワークをアンクランプし、バネの力でクランプする仕組み。いずれも電源やエア源は不要だ。
外径把持用と内径把持用の2種類を用意した。ただし、ワークを2点で直接つかむ部分はユーザー側で調整する必要がある。小杉正営業推進部長は「ターゲットは中小企業。生産技術部門があるか、製品を組み込める技術力のある業者を抱えている工場に最適」という。何らかの理由で搬送ロボットなどの付帯設備の導入を見送った生産現場への普及を目指している。
ワークハンドリングホルダ本体の外寸は最大直径75ミリ×高さ148・4ミリメートル。現行品はシャンクツール形状BT30のみ対応し、ワーク質量は1キログラムまで。
同社でも比較的小さい生産品目であるドリルチャックの溝加工に活用中。製品を組み込んだ機械は1台だが、作業員がいない夜間や昼休憩に合わせて一度に数十個を加工。効率化に役立てている。
消費税抜きの価格は内径把持も外径把持も1個27万8500円から。酒巻社長は「仮にロボットだと何百万円とかかる投資が何十万円で済む可能性があるし、場所も取らない」と強調する。
元は先行きの販売も視野に、自社量産品の生産性向上を目的として2018年ごろから開発。順調な稼働を確認後、22年7月に発売した。酒巻社長は「似たような発想は欧州にあるが、製品化した例はあまりない」とし、新市場に挑んでいる。