自動化を支える ロボハンド「つかむ・寸法測定」同時に・・・北川鉄工所
北川鉄工所は旋盤用のパワーチャックで国内シェア約6割の首位メーカー。加工対象物(ワーク)を「つかむ」という共通点を旗印に、ロボットハンドの開発・販売に力を入れている。
特徴は独自技術へのこだわりにある。自社開発のハンドを市場投入したのは2017年の「NTS」シリーズから。旋盤用チャックと同様、爪を開閉させる機構に、斜めに切った溝の上をプランジャーが往復する「ウェッジ機構」を採用し、高い把持力を実現した。
19年には、測長用の磁気式スケールを内蔵した「NPGT_S」シリーズを発売。測定誤差はプラスマイナス2マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。ワークをつかみながら同時に寸法測定できるため工程集約につながり、タクトタイムを落とさず全数検査を可能にした。
用途も広がっている。寸法測定機能を利用してワークに切りくずが残っていないかを判別したり、つかむと同時に加工部分の寸法が公差に収まっているかを確認し、合否判定したりといった使用事例が出てきた。「22年秋の日本国際工作機械見本市(JIMTOF)では、この製品を名指しでブースに見に来たお客さまもおり、手応えを感じている」と、中本幸之介ロボットアクセサリー事業室長は話す。
人間とロボットの間に安全柵を設けず、ともに作業する協働ロボット向けにも引き合いが増えてきた。「クイックジョーチェンジグリッパ」は、ワークをつかむ爪(ジョー)の着脱が、バネ仕掛けのノブを引っ張るだけで工具なしで数秒で済む。「クイックプレートチェンジグリッパ」はジョーを取り付ける面盤の交換が数秒で終わり、三つ爪、二つ爪を切り替えられる。高価で重いハンドチェンジャーが不要になる。
ロボットハンドで先行するのはドイツのシュンク。北川鉄工所も1987年から12年まではシュンク製品の販売を手がけていた。中本室長は「独自技術を生かした製品のラインアップを拡充していきたい」と力を込める。