昨年の工作機械受注、0.1%減 日欧米低迷も中国回復
日本工作機械工業会(日工会)が発表した2024年の工作機械の受注実績(確報値)は、前年比0・1%減の1兆4851億900万円と前年並みとなった。長く続いた受注の調整局面を終え、24年半ばから一進一退で推移した。日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「内需や欧米が電気自動車(EV)などのプロジェクトの遅れにより想定より伸び悩んだ一方、中国の回復が補った」と振り返った。
24年暦年の受注額は過去8番目で、全体に占める外需の比率が初めて7割を超えた。
地域別ではアジアが同21・0%増の5172億円と、2年ぶりに5000億円を超えた。うち中国は同23・0%増の3371億円。補助金効果に加え、EVやIT関連投資が押し上げ、過去4番目の高水準となった。
インドは同25・6%増の642億円と過去最高を更新。自動車や一般機械向けが伸び、外需ではドイツを抜き3番目の需要地となった。ベトナムも電気・精密向けなどが伸び、同2倍と躍進した。
24年12月単月の受注実績は前年同月比12・6%増の1430億9400万円だった。3カ月連続で増加し、21カ月ぶりに1400億円も上回った。
アジアは同32・0%増の513億円と9カ月連続で増加。自動車向けで中国やインド、電気・精密向けで中国やベトナムで大型受注があり、30カ月ぶりに500億円を超えた。うち中国は同50・2%増の362億円で、43カ月ぶりに350億円を上回った。
北米は同14・7%増の319億円。5カ月ぶりに増加し、15カ月ぶりに300億円を超えた。稲葉会長は米国の政権交代を受け大手ジョブショップなどで受注が増えたほか、「航空機関連での大型受注や商社代理店でストックを積み増す動きが感じられる」とした。日工会は25年の工作機械の年間受注額が前年比7・7%増の1兆6000億円になると見通し、3年ぶりの増加を予想する。