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- 2022年12月19日
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スター精密は2023年をめどに、タイ工場のスイス型(主軸移動型)自動旋盤の生産能力を22年末見込みに比べて25%増の年間3000台に引き上げる。精密歯車などの小物精密部品加工向けに需要拡大が見込める中・下位機種の欧米、アジア、日本への供給拠点として機能を強化する。投資額は数億円規模で人員も増やす。タイの増強に伴い、日本国内、中国と合わせたグローバル生産能力として同7200台体制を目指す。
タイ工場は12年10月に稼働した。工場規模は建築面積約2万4000平方メートル。世界的な需要増に対応し、生産能力は22年内に年2400台を見込む。
生産増強に向け、23年にかけて数億円規模の設備投資を行い、平面研削盤、円筒研削盤など生産設備を増強。人員も1割程度増員し、23年に同3000台体制を構築する。
精密歯車やコネクターなどの小物精密部品加工のニーズ拡大とともに、生産現場の自動化対応としてスイス型自動旋盤の強みである無人運転が注目されている。中国以外の国にも生産拠点を置く「チャイナプラスワン」の動きが顧客の間で広がることも予想され、設備投資需要が見込まれることから、タイ工場を増強し供給体制を整える。
スイス型自動旋盤の販売で、スター精密は欧州市場でトップなのに対し、東南アジアやインドでは競合相手にやや先行されている。有望市場のインドではタイの販売会社がインドの販売代理店をバックアップするなど、タイを中核にアジア地域で製販両面で強化する。
日本国内の生産拠点で上位機種を手がける菊川工場の生産能力は、外注の活用を含め年間600台。タイ工場と同様に中・下位機種を生産する中国工場は同3600台で、中国国内への供給に絞る方針を示している。
- 2022年12月19日
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- 2022年12月16日
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ジェイテクトは、新型の中型円筒研削盤「G3シリーズ」を発売開始した。変形、熱変位、振動を極限まで抑え込み、寸法変化を従来比で30%低減させた。5タイプを用意。価格は1200万円(消費税込み)からで、従来機より最大20%下げた。年間300台の販売を目指す。
従来機から約10年ぶりのリニューアルとなる。ベッドは変形と熱変位の複合解析で機械構造の最適解を反映した設計を実施。砥石(といし)軸回転精度が0・016マイクロメートル(マイクロは100万分の1)で低振動の軸受を搭載し、高剛性と低熱変位の最適構造を実現した。工作物の剛性や加工寸法などの入力で最適な研削加工条件を自動決定し、プログラム作成時間を4分の1に短縮した「らくらく自動決定」機能を装備する。
また、ステアリングメーカーとしての技術を応用した「ステアバイワイヤハンドル」をオプションで用意。電気信号で切り込みやテーブルの位置を調整するが、砥石と工作物の接触を手動機のように伝える手感覚を再現し、1マイクロメートル台の精度を確実に実現するという。
このほか、非加工時間の消費電力の削減やインバーター制御の改善で消費電力を減らし、二酸化炭素(CO2)排出量を従来機より年間3トン削減する。
- 2022年12月16日
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- 2022年12月13日
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シチズンマシナリーは、コンピューター数値制御(CNC)自動旋盤にロボットなどの周辺装置や独自加工技術を組み合わせたシステム製品を11月に発売する。金属加工の自動化や省力化の提案を通じて、顧客の生産性向上などの課題解決につなげる。
発売するのは2製品。一つは、主軸台移動型自動旋盤「L20ⅫB5」の自動化・省力化モデルで、価格は2760万円(消費税抜き)から。台車に取り付けた協働ロボットとの組み合わせにより、加工後の加工対象物(ワーク)の洗浄やエアブロー、外観検査などの工程の自動化を実現する。オプションとして自動工具交換装置(ATC)や、段取り時間を削減できる「チャック力自動調整機能」などもそろえる。
もう1製品は、独自の切りくず分断技術を採用した主軸台固定型自動旋盤「ANX42SYY」に産業用ロボットを組み合わせた高生産性システムで、価格は3107万円(同)から。オプションとして機内アンローダーを追加することで、ワークのエアブローや全長計測などを自動化できる。
- 2022年12月13日
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- 2022年12月9日
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神戸製鋼所は、切削工具などを対象に、生成する被膜を従来より長寿命化するアークイオンプレーティング装置「AIP―iX」シリーズを開発し、2023年春に発売すると発表した。
被膜の金属元素のアルミニウム含有率が高くても、硬質な窒化アルミクロム(AlCrN)被膜のコーティングが可能。ハイエンド工具の50%の寿命延長を確認したという。
アークイオンプレーティング装置は物理気相成長(PVD)の一種で、金属やセラミックス製の工具、金型などに成膜して機能性や生産効率などを向上できる。
AlCrNはアルミ含有が多くなり過ぎると硬度が落ちる課題があったが、開発した成膜プロセスなど新技術でそれを解決した。
- 2022年12月9日
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- 2022年12月8日
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西部電機は水仕様ワイヤ放電加工機のラインアップを刷新する。加工精度が最も高いクラスに新たな2機種を投入して最上位機種を拡充する。また一部機種で軸移動範囲を広げた新製品を発売する。半導体分野などで高まる高精度ニーズに応えるとともに加工対象物(ワーク)の大型化に対応する。
市場投入するのはピッチ加工精度がプラスマイナス1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)クラスの「MM50UP」と「MM35UP」。MM50UPは軸移動範囲が500ミリ×400ミリ×310ミリメートル。MM35UPは同じく350ミリ×300ミリ×230ミリメートル。
両機種ともピッチ加工精度プラスマイナス2マイクロメートルのシリーズ機種をベースに設計を見直して開発した。軸移動範囲の一部延長も実現する。剛性を高めるなどして高精度と軸移動延長を可能にし、部品の共通化などで価格を抑えた。
ピッチ加工精度がプラスマイナス3マイクロメートルのシリーズで発売するのは「M50HP」と「M35HP」。同シリーズの従来機種「M50B」「M35B」に比べ一部軸移動範囲を50ミリメートル延長した。
西部電機は1972年にコンピューター数値制御(CNC)ワイヤ放電加工機を開発し50年の実績がある。現在、半導体関連業界など向けワイヤ放電加工機の需要増に対応するため、新工場の建設計画を進めている。
- 2022年12月8日
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- 2022年12月6日
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日刊工業新聞がまとめた、工作機械主要7社の4―9月期の工作機械受注実績は、前年同期比17・7%増の2730億2500万円だった。コロナ禍から急回復した前年に比べて伸び率は下がったものの、中国と米国を中心に海外で旺盛な設備投資需要が継続。日本も半導体製造装置向けなどがけん引し、堅調に推移した。
5社が国内、輸出、総額の全項目で増加した。牧野フライス製作所は4―9月期の総額が18年度以来4年ぶりに過去最高を記録。輸出も中国、米国が好調を維持したことなどから2年連続で過去最高を更新した。
オークマも輸出が18年度以来となる4―9月期の過去最高を記録した。中国や米国で半導体製造装置向けが好調だったところに、電気自動車(EV)関連向け需要も伸びてきたことが寄与した。
今後の受注環境については、部品不足による機械の長納期化や中国経済の減速、インフレ高進などの設備投資への影響を懸念する声が強まっている。
中国市場に強いツガミは「中国の需要自体は悪くはないが、まだ底を打っている感じはしない」と慎重な姿勢を示す。牧野フライス製作所は「全地域的にインフレの影響が懸念され、10―12月期以降は徐々に受注水準は落ち込む可能性がある」とみる。オークマは半導体関連投資の持続やサプライチェーン(供給網)見直しの動きから「一本調子で上がることはないが、ガクッと落ちることもない」と予想する。
9月単月の7社の受注総額は前年同月比10・6%増の491億7900万円で22カ月連続の増加となった。総額で増加したのは6社。ニデックオーケーケーは同2・0倍と大幅に伸長し、「中国・東南アジアで、EV関連部品の引き合いが増加している」と背景を説明する。
- 2022年12月6日
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- 2022年12月1日
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京セラは自動車のギアやシャフトなどに使われる高硬度材の加工に適した長寿命の旋削加工用チップ「KBN020」を発売開始した。立方晶窒化ホウ素(CBN)を多く含んだ母材に、新開発のコーティングを成膜。他社製品に比べて耐摩耗性は2割、耐欠損性は5割、それぞれ向上させた。長期で安定加工できる旋削チップはコスト削減につながる点を顧客に提案し、拡販につなげる。
外径加工に適したネガチップを57型番、内径加工に適したポジチップは69型番を用意した。希望小売価格は消費税抜きで7150―1万560円。初年度に1億円の売上高を目指す。
京セラが発売するKBN020は、ベアリングなど多様な産業で使用される高硬度材の加工に対応する。
チップ母材として高含有CBNを高純度の窒化チタン(TiN)バインダーで焼結することで強度を向上。高い耐欠損性を実現した。ここに耐摩耗性に優れた窒化チタンアルミニウム(TiAlN)を主成分とする層と、チップ母材との密着性を向上させる層で構成するコーティングを成膜。耐欠損性と耐摩耗性を両立させた。
同社によると、条件をそろえてクラッチの加工で他社製品とチップ寿命を比較した結果、KBN020は他社製品より寿命が6割長かったという。
焼き入れ後の仕上げ加工などでは、高性能な旋削チップを利用することが多い。チップの寿命が短いと顧客にとってコスト増につながる。
- 2022年12月1日
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- 2022年11月30日
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ナガセインテグレックスは、面粗度が1ナノメートル(ナノは10億分の1)以下で設置面積と消費電力が従来機の10分の1の同時6軸制御微細形状加工機「NIC―74 S6―N6」を発売開始した。
超精密加工の旗艦モデルとして光学部品・レンズ・高機能フィルムの金型加工用などに売り込む。
超精密加工は設備や加工対象物(ワーク)の熱膨張を防ぐ温度管理が不可欠。従来は恒温室内で、さらに空調機能を持つ小部屋(サーマルチャンバー)で加工機を囲っていた。
NIC―74は機械を包むように温度調節カバーを設け、制御機能プラスマイナス0・01度Cの空調装置も搭載した。曲面主体の外観で無駄な空間を排除。チャンバーなしで空調効率を高め、設置面積も2・7×1・9メートルにした。工場の新設・改装なしに最高級の超高精度加工ができる。加工範囲は700ミリ×400ミリ×高さ200ミリメートル。
さらに3軸制御の旋回式工具軸も新開発した。従来の大型ロータリーテーブルなしでワーク曲面を常に理想の垂直方向から加工でき、機械自体も小型化した。本体を3点で支持する独自設計で機械全体の極微小なブレも排除。可動部の軽量化と重量バランスの最適化で動剛性を従来の2・25倍にした。
- 2022年11月30日
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- 2022年11月29日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した2022年4―9月期(上期)の新車販売台数は、前年同期比6・2%減の192万3489台となり、2年ぶりに減少に転じた。半導体不足が長期化しているほか、中国・上海でのロックダウンなどの影響もあり、各社で減産を余儀なくされたことが響いた。
登録車は前年同期比9・6%減の117万2896台で、東日本大震災があった11年を下回り直近20年で過去最低の水準だった。軽自動車は同0・2%減の75万593台となり3年連続のマイナスとなった。
登録車の車種別では、乗用車が同8・4%減の101万2206台、貨物車は同16・7%減の15万8594台だった。
軽の車種別では乗用車が同2・2%減の55万9208台、貨物車が同6・0%増の19万1385台だった。
9月単月の新車販売台数は、前年同月比24・1%増の39万5163台と15カ月ぶりにプラスに転じた。新型コロナウイルス感染拡大で工場の稼働停止などがあった前年同月に対しては回復基調だが、過去の9月の台数としては高い水準ではない。
登録車は同17・8%増の24万2042台で13カ月ぶりに前年同期を上回った。ただ、9月としては統計を開始した1968年以降、下から4番目の水準となった。
軽は同35・6%増の15万3121台だった。
半導体不足や東南アジアのコロナ禍の影響で部品調達が停滞し、低水準だった21年9月の反動でプラスとなった。
- 2022年11月29日
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- 2022年11月25日
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三共製作所は、がたつきをなくすゼロ・バックラッシ減速機構「ローラドライブ」を内蔵したコンピューター数値制御(CNC)1軸円テーブル「RSR」シリーズを開発し、発売開始した。バックラッシがなく高速・高精度な位置決め、高剛性でスムーズな回転などが特徴。RSR120と同160の2種類で価格は非公表。
正転・逆転の反転動作でも高い位置決め精度と応答性を維持。ローラドライブの接触部は全て転がり接触で摩耗せず長期間精度を維持できる。出力テーブルは入力軸に取り付けたサーボモーターの保持トルクで保持され、加工条件によってはクランプ機構が必要なく、作業時間の短縮・生産性向上につながる。
加工現場の自動化進展で「空圧」「油圧」の供給ポートを増やしてほしいとのニーズに応じ、最大12ポートのロータリージョイントを用意した。
テーブル径はRSR120が120ミリメートル、同160が160ミリメートル。許容積載質量は同120が282キログラム、同160が437キログラム。最高回転数は同120が毎分65回転、同160が毎分40回転。
- 2022年11月25日
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- 2022年11月24日
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日立金属は金属3次元(3D)プリンター向けの積層造形ソリューション事業を本格化する。試作支援サイト「アダーン」を立ち上げ、最適な材料検索、概算金額の見積もりシミュレーションなどで顧客の迅速な意思決定につなげる。将来的には積層造形向け設計(DFAM)の受託サービスも検討する。同サイトを先導役に高耐食性・高強度材料を求める顧客や造形機メーカーと連携を強め、3年後にも事業売上高年20億円を目指す。
日立金属の「アダーン」は顧客が積層造形に適した金属粉末の価格情報を入手でき、密度や硬さ、熱伝導率など材料特性のグラフ化、見積もりシミュレーションを気軽に行える。海外電機系で材料・装置メーカーを囲い込む動きがあるが、材料から加工まで顧客を支援する事例は珍しいという。
金属3Dプリンターは樹脂用に比べ歴史が浅く、導入や活用の検討に時間を要するのが実情だ。同サイトで効率的に概算を把握してもらい、その後は営業スタッフが対面で細かく打ち合わせする。
材料は機能的・物理的特性などで詳細な条件で検索でき、概算金額は3DのCAD(コンピューター利用設計)ファイルを送り、必要項目を入力すれば瞬時に表示される。
3Dプリンターは複雑形状を低コストに造形でき、材料のムダが少なく、脱炭素化にも寄与する。世界の3Dプリンター関連市場は年率で約20%の成長が見込まれている。
日立金属はステンレス(SUS316L)を大きく上回る高耐食性を持つニッケル基合金による金属粉末「アドマスターC21P」を市場投入した。サイト開設と併せて半導体製造装置や化学プラントなど関連顧客を狙い、3D市場の創出をリードする意向だ。
- 2022年11月24日