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- 2022年3月23日
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山善はHILLTOPが開発した部品加工プログラムの自動作成ソフトウエアサービス「COMlogiQ(コムロジック)」を開始した。基本料金15万円(消費税抜き)と、プログラミングする部品数に応じた従量課金制の使用料で構成。50種類の部品の加工プログラムを作成する場合は47万円(同)となる。
コムロジックに加工部品の3次元(3D)データを送信し、穴・交差情報を指示することで、数値制御(NC)データといった加工プログラムや加工手順書を自動作成する。山善では販売店を通じて、アルミニウム・樹脂部品の試作や多品種小ロット製造の加工メーカーに提案する。
山善の取り扱う5軸マシニングセンター(MC)のオプションとし、第1弾として松浦機械製作所(福井市)の5軸立型MC「MX―330」と組み合わせる。自動作成ソフトは理論上、全ての5軸MCに対応可能としており、実証が終了次第、他機種や他社製品へも順次拡大していく方針だ。初年度で10セットの成約を目標にする。
コムロジックはSaaS(サービスとしてのソフト)によって展開。ヒルトップが数十年蓄積した切削部品加工の加工データと、工程設計や形状認識などの人工知能(AI)を組み合わせ、生産現場において作業負担が大きい加工プログラムの作成と、加工機械の操作を自動化する。
加工部品によるが、同ソフトを使うことで作業時間を約4分の1に短縮できるという。加工結果をAIにフィードバックし、加工プログラムをより最適化する仕組みも構築する。
- 2022年3月23日
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- 2022年3月22日
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村田機械は中国・上海市で物流機器を手がけるL&A(ロジスティクス&オートメーション)事業の工場を新設する。世界的な物流機器の需要増加で国内工場はフル生産が続く。大きな市場成長が見込める中国で、同事業初の生産拠点を構えて現地ニーズに対応する。自動倉庫のスタッカークレーンを2022年度に年産30台から始め、26年度には同300台へ引き上げる計画だ。
延べ床面積4310平方メートルの賃貸工場で4月の生産開始に向けた準備に入った。賃貸で初期投資を約1億円に抑えた。物流業務を自動化・効率化する自動倉庫で、ラック間に設置するスタッカークレーンは基幹設備。
日本や欧米などの先進国と同様、中国でもeコマース(電子商取引)を含む流通業界向けや車載用電池、医薬・医療の工場向け、食品・飲料関連、病院の院内物流向けがターゲット。中国では新しいアイデアの採用や要求が多く、現地化で顧客ニーズに柔軟かつ素早く対応する。中国のL&A事業は現状、売上高20億―30億円規模。早期の100億円達成を目標にする。
同社L&A事業の21年3月期は売上高817億円。22年3月期は前期比21・5%増の同993億円を見込んでいるが、旺盛な需要を背景に上振れを想定しているという。
22年3月期は半導体工場向け搬送システム(クリーンFA)事業と繊維機械事業も好調に推移。クリーンFA事業の22年3月期は現段階で期初予想を大きく上回る前期比72%増の約1347億円を見込む。
村田機械の22年3月期連結売上高は期初予想3728億円に対し、前期比51・9%増の3900億円ほどに上振れ、過去最高を更新すると見込む。
- 2022年3月22日
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- 2022年3月16日
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プロトラブズは、金属切削加工品を対象に、納期を7、12営業日にすると価格を割引するオプションを始めた。同社の標準の納品は3営業日。7営業日にすると標準より最大18%、12営業日なら同27%割り引く。同社は割高で短納期にするオプションを2021年に始めており、利用者の状況に応じ幅広く納期を選択できる。
製造業の部品・材料不足を受け、製品組み立ての際に部品がそろうまで待つケースが出ている。そのため「時間がかかっても安く切削材がほしいというニーズがある」と判断した。
長納期オプションは米国で21年8月に先行して始めており、ノウハウを生かして新規ユーザーを獲得する。樋口リーダーによると、3次元CADデータを使い必要な数量をオンデマンド製造するなど納品までオンライン上で完結するため、コロナ禍で求められる非対面、非接触を実現している。
プロトラブズは米プロトラブズが06年に設立、09年に事業を開始した日本法人。樹脂や金属製のカスタムパーツの試作や切削加工などを手がけている。
- 2022年3月16日
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- 2022年3月15日
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ヤマハ発動機が水素エンジン開発を積極化している。トヨタ自動車やデンソーなどと4輪車用エンジンを開発しているのに加え、2輪車用エンジンでも川崎重工業など国内2輪車メーカーと共同研究の検討を始めた。2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現のための一つの手段と位置付ける。50年までにラインアップをそろえ、ガソリンエンジンなどと入れ替えるために、30年までに開発のめどを付ける方針だ。
ヤマハ発は5年ほど前から水素エンジンの開発に取り組んできた。ガソリンエンジンをベースに、インジェクターやシリンダーヘッド、サージタンクなどを改良し水素への適用を図ってきた。
21年には自動車レース「スーパー耐久シリーズ」に、水素エンジンを搭載したトヨタの「カローラ」が出場した。この水素エンジンは、トヨタやデンソー、ケン・マツウラレーシングサービスと共同開発した。
これを機に川崎重工業と2輪車用水素エンジンの共同研究の検討が始まった。スズキやホンダも参加する方針で会社の枠を超えて仲間を増やしている。「個性や得意領域が異なる各社と協力し合い、未来につなげたい」と意気込む。
開発現場では「ガソリンの代用という消極的な動機ではなく、水素エンジンならではの特性に可能性を感じる」と期待する。その一方で日高社長は「水素が一番難しく、開発を急ぐと間違える」と気を引き締める。水素をベースに添加物や常温液体を加えて燃焼する手法の実用化には、まだ時間がかかると見られる。
ただ、この技術を確立してノウハウを蓄積しておけば、二酸化炭素(CO2)を回収して水素と合成して製造する液体燃料「イーヒューエル」分野の取り組みに生かせる。ガソリン燃料やディーゼル燃料に混合して利用する手法を実用化できれば、カーボンニュートラル実現の選択肢を増やせる。
水素エンジンは集合排気管によるハーモニックな高周波サウンドも特徴。ヤマハ発は、動力性能だけでなく、こうした五感で感じる官能性能にも期待している。日高社長は「当社は社名に『発動機』とあり、内燃機関への強い思いとこだわりを持った会社だ」と力を込める。水素エンジンの開発を通じ、まだ見ぬ内燃機関の魅力を追求する方針だ。
- 2022年3月15日
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- 2022年3月11日
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ユアサ商事は水溶性クーラント装置向けマイクロファインバブル(MFB)発生器の低価格タイプを発売した。従来式と比べてMFBの発生機構をシンプルにし、価格を約半分の50万円程度に抑えた。液中のバクテリアを微細な泡で取り除き、クーラント液の長寿命化が見込めるほか、加工効率の向上なども期待できる。年間500台の販売を見込む。
発売したMFB発生器「バブパワー」は、MFB発生機構の内部を切削液が一定の水圧で通過する際に旋回流を起こし、液中に含まれる約2%の酸素を微細バブル化する「キャビテーション方式」を採用した。外気を使わずにMFBを生成し、液の酸化を防げる。
MFBが消滅する際に発生する活性酸素の消毒機能により、クーラント液の劣化を抑えられる。クーラント液1cc中に平均直径100ナノメートル(ナノは10億分の1)のMFBを約1億4000万個含む。部品の加工や洗浄の際、隙間に泡が入ることで接触面の抵抗が減るため、工具の長寿命化や切削速度の向上といった効果も期待できる。
クーラント装置向けMFB発生器は現在、多数枚のブレードに高圧水流をたたきつける「フリップフロップ方式」が採用されているが、ブレードの形状が複雑で高い製造技術が求められる。今回のキャビテーション方式は発生機構がシンプルなため、フリップフロップ方式に比べて装置価格を約半分に抑えられた。
工業分野でのMFBの応用は始まったばかりで、クーラント装置向けの発生器も普及途上にあるのが現状。価格を抑えて導入障壁を低くすることで、利用を促進する。
- 2022年3月11日
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- 2022年3月7日
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日本精工は、工作機械のスピンドル向けに「高信頼性単列円筒ころ軸受技術」を開発したと発表した。
グリース潤滑での慣らし運転時間を一般的な「外輪案内方式」の軸受に比べ、最大約7割短縮できる。スピンドルの組み立てや慣らし運転など作業負荷低減と信頼性確保を両立する。2021年度以降の早期量産を目指す。
マシニングセンター(MC)のスピンドルは円筒ころ軸受が使われている。同軸受は保持器が外輪側にある外輪案内方式と、ころ側にある「ころ案内方式」の2種類がある。外輪案内方式は耐久性が高い一方、組み立て時のグリース慣らし時間が長く、オイルが異常昇温しやすい。ころ案内方式は同慣らし時間が短いが、耐久性は低い。従来は保持器の破損を防ぐ観点から外輪案内方式が一般的だった。
同社はころ案内方式を改良。保持器の破損を防ぐため、保持器の形状や材料を最適化した。余剰なグリースの排出性を向上し、慣らし時間を短縮する。工作機械を使用しながらオイルを供給する「オイルエア潤滑」でも余剰な潤滑油を排出し、異常昇温を防ぐ。
- 2022年3月7日
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- 2022年3月4日
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三井精機工業は1月から2月にかけて、埼玉、名古屋、大阪の全国3カ所で新製品発表会を開催した。
水潤滑インバータオイルフリーコンプレッサや屋外設置型コンプレッサの新型機などを展示。
今年発売予定の水潤滑インバータオイルフリーコンプレッサ「i‐14000XⅡ」の出力15kWを初披露。
昨年には出力22kW、37kWを発売し、近年のクリーンエア需要の高まりに対応するために、製品ラインアップを強化している。
また、昨秋に発売した新製品の屋外設置型「ZgaiardSKY」の出力22kWも展示する。
屋外設置型はこれまで、出力55kW、75kWと大型機種のみのラインアップだったが、昨夏に出力37kWを発売し、シリーズを拡充。
より幅広いニーズへの対応が可能になった。その他、インバータ式コンプレッサなども展示。
- 2022年3月4日
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- 2022年3月2日
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日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要7社の2021年(暦年)の工作機械受注実績は、前年比71・7%増の4369億3700万円となり3年ぶりに増加した。コロナ禍からの経済活動再開に伴い、製造業の設備投資が拡大。中国が高水準を維持し、欧米や日本も回復の動きが広がった。22年は部品不足や米中対立などの懸念材料が残るものの、国内外で引き続き旺盛な需要が見込まれる。
全社が総額、国内、輸出の全項目で増加となった。総額ではツガミが過去最高を更新。「自動車をはじめ、幅広い業種で需要が高まった中国向けがけん引した」ほかインドも伸びた。牧野フライス製作所は「中国に続いて欧米や日本も回復してきた」ことで前年比2倍となった。
22年の市場予想は、日本工作機械工業会(日工会)が年間受注高を21年比約1100億円増の1兆6500億円に設定している。オークマは半導体製造装置のほか電気自動車(EV)を含めた自動車関連向けなどの需要増加を見込み、「22年も今くらいの水準がしばらく続く」と見通す。中国市場は景気減速などが懸念されるが、ツガミ幹部は「引き合いがまだ強く、底堅い」と分析する。
また日本電産マシンツールは「今後、補助金採択による国内の動きにも期待したい」としている。
21年12月単月の受注額は前年同月比60・5%増の436億6000万円で13カ月連続の増加となった。OKKと牧野フライス製作所は、ともに海外向けの受注拡大により総額が同2・1倍に伸びた。
牧野フライス製作所は米国で自動車のほか半導体製造装置や医療関連、中国も自動車や機械部品が好調で、両市場ともに「想定を上回る水準が続いた」。OKKは「米国で自動車や一般機械を中心に、航空宇宙も含め需要は堅調」で、輸出が大幅に増加。ジェイテクトも北米で自動車向け受注が増加し、輸出が同2・4倍となった。
- 2022年3月2日
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- 2022年3月1日
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トヨタ自動車が2021年の世界販売台数で、2年連続の世界首位となることが確実になった。20年に2位だった独フォルクスワーゲン(VW)が公表した21年の販売実績は前年比4・5%減の888万2000台で、トヨタの同年1―11月の販売実績がこれを上回った。半導体の調達力など、コロナ禍でのサプライチェーン維持力が差をつけた。
トヨタの21年1―11月の販売実績は前年同期比12%増の956万2000台(ダイハツ工業、日野自動車を含む)だった。部品や半導体不足はあったが、豊田通商、デンソーなどのグループ企業と連携した調達力の強さや、在庫の積み増しなどで最小限に抑えた。一方、VWは電気自動車の販売は倍増したが、半導体不足による減産影響が大きかった。
- 2022年3月1日
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- 2022年2月28日
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栄工舎は、金属3Dプリンターを使い母材にハイス鋼の刃先を金属結合させて切削工具を製造する新技術「エコカッター(仮称)」の試作に成功した。円筒状の炭素鋼表面にハイス鋼の層を造形し、切削刃を加工した。切削工具をハイス鋼から削り出す一般の方式に比べ、母材のコストを大幅に抑えられる上に、刃が摩耗した場合に再生できる。さらに性能を高め、工具にハイス鋼の刃先だけを融合する技術開発を目指す。
エコカッターは栄工舎の新潟工場とにいがた産業創造機構が共同研究の一環で試作した。直径50ミリメートルの炭素鋼の円筒状の母材に厚さ3ミリメートルのハイス鋼の層を造形。新潟県工業技術総合研究所が持つダイレクトエナジーデポジション(DED)方式の3Dプリンターを活用し、レーザーを照射しながらハイス鋼パウダーを供給して層を造形・結合させた。そこからNC加工機で14枚刃を切り出した。
試作したのは工作機械用のフライスカッター。刃先部分の検査では亀裂や気泡などの問題はなく、硬度も通常より高いHRC(ロックウェル硬さ)66を測定した。切削工具として使用可能なレベルという。ただ、現段階では使用時の寿命が明確ではないほか、金属組織をさらに向上させる必要がある。
性能検証を継続するとともに、金属組織を高める放熱処理方法の確立を研究する。今回はハイス鋼層を造形した後に、切削刃を切り出したが、DED機能を持つ5軸加工機を使えば切り出した工具にハイス鋼の刃先部を融合させられる。
切削工具用のハイス鋼は炭素鋼より数倍高価。エコカッターを実用化できれば原材料費を大幅に抑えられる。
- 2022年2月28日
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- 2022年2月25日
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米航空機大手ボーイングの2021年の受注数が欧州同業エアバスを上回り、首位を奪還したことが公表された統計で明らかになった。納入数ではエアバスがトップを維持した。
キャンセルや変更を考慮した21年の純受注は、ボーイングが535機。受注全体では909機だった。
これに対し、エアバスの純受注は507機で、受注全体では771機と20年のほぼ2倍だった。
航空機メーカーは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を主な理由として減産した。新たなコロナ変異株「オミクロン株」をめぐって世界的に懸念されているものの、今では中距離旅客機や貨物輸送機の需要が高まっている。
21年のボーイングの納入は340機と、アナリスト予測とおおむね一致。20年の157機から増えたが、380機を納めた19年の水準を下回った。18年は過去最高の806機だった。
エアバスの納入は611機。3年連続で首位だった。
ロックダウン(都市封鎖)に伴ってネット通販が拡大する中、ボーイングは需要が膨らむ貨物機の販売で圧倒的優位に立ち続けている。新規生産受注は84機と、過去最高だった18年の83機を上回った。
- 2022年2月25日