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- 2021年8月5日
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日本工作機械工業会(日工会)が発表した5月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比2・4倍の1239億3600万円だった。7カ月連続の増加で、1200億円を上回るのは3カ月連続。外需は2018年6月以来35カ月ぶりに900億円を上回り、内需も3カ月連続で増加していることから、日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「内需、外需ともに着実な回復が続いている」とした。
内需は、営業日数の少なさや補助金の公募待ちによる発注控えの影響により、3カ月ぶりに350億円を下回った。
ただ、前年同月比の業種別では一般機械や自動車を中心に全11業種で増加した。会員からのヒアリングで今後の商談・引き合いの動きもうかがえるため、稲葉会長は「外需の回復に比べて若干勢いに欠けるものの、緩やかな回復の動きに変わりはない」と強調した。
外需は7カ月連続の増加となった。中国は一般機械や電気・精密向けが好調で、前月を抜き過去2番目の受注額となった。欧州は26カ月ぶりの170億円超えで、北米も26カ月ぶりの220億円超え。いずれも自動車や一般機械の投資拡大などにより、4カ月連続の増加となった。
また、日工会が同日公表した21年7―9月期の工作機械受注予測DI(「増加」と答えた企業の割合から「減少」と答えた企業の割合を引いた値)は、21年4―6月期から横ばいのプラス17・6で、3四半期連続のプラスとなった。ただ、「増加」と「減少」が減って「保合」が増えたことから、稲葉会長は「増勢は弱まるものの増加傾向が続くとみられる」とした。
- 2021年8月5日
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- 2021年8月4日
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ファナックは小型切削加工機「ロボドリル」の最新機種「α―DiBプラスシリーズ」を発売した。最新のコンピューター数値制御(CNC)装置による動作処理技術や同期スピンドルモーターの搭載により、加工時間を従来比最大10%程度短縮できる。価格は非公表だが、従来機と同等程度。自動車部品などで採用が進むアルミニウムなどの軽切削加工分野をターゲットに拡販する。
加工プログラムをCNCが解析してから機械が動作するまでの各種処理の最適化や、高品位加工のための工具経路生成など、最新のCNC装置「ファナックシリーズ31i―Bプラス」が持つ機能を搭載する。タッピング主軸には同期スピンドルモーターを採用した。また多機能イーサネットを採用することで、各種ネットワーク機能に標準で対応する。2輪車・4輪車部品では、軽量化の加速に伴ってアルミ部材の採用が進んでおり、今後も軽切削市場の拡大が見込まれる。同社は今回、サイクルタイムの早さを訴求し、同市場でのシェア拡大を図る。
- 2021年8月4日
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- 2021年8月3日
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京セラは欧米の工具事業を強化する。欧米向けを中心に建設用空圧工具を手がける米国子会社、京セラセンコインダストリアルツールズ(オハイオ州シンシナティ市)の本社を移転拡張し、同市内に賃貸する管理、営業部門を既存工場に集約、グローバル本社を新設する。開発、生産、販売の一体運営で業務効率を追求。オープンイノベーション施設も整備し、製品拡販や新製品開発につなげる。2022年夏の完成を目指す。
京セラセンコインダストリアルツールズ米国工場の約4万6000平方メートルの敷地に、約3000平方メートルの建屋を増築する。加えて既存工場内の約750平方メートル部分を改装する。
オフィス拡張やカフェテリアの新設で福利厚生面を強化。新設のオープンイノベーション施設では、顧客や外部との交流などを通じて新製品の創出につなげる。社員研修施設も完備する計画だ。
完成後は役員のほか間接部門、営業社員の約50人が移る。同社は米国、欧州拠点を中心に約600人を抱えており、新グローバル本社では米国事業に携わる約300人が勤務予定。一連の投資額は明らかにしていない。
同社は1948年に米国で設立。建設用のクギ打ち機やステープラーなどの空圧工具と、その消耗品を手がける。17年に京セラが買収した。
20年度は一時的に新型コロナウイルス感染症の影響を受けたが、現在は業績が回復。注力する欧米向けの同工具需要は伸びているという。京セラは、22年3月期に空圧工具を含む機械工具事業全体の売上高で前期比8・3%増の2090億円を見込む
- 2021年8月3日
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- 2021年8月2日
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グリーンツールは、振れを最小限に抑え高精度加工できる超硬ソリッドエンドミル「ドリームフィニッシュ」を発売した。耐熱合金などの難削材やアルミニウムの加工を想定。月間5000本の販売を目指す。価格は発売日までに詰める。
刃先の振れ精度を1マイクロメートルに高めた。振れは工具の回転に伴って回転軸が傾き刃先がずれる現象。側面の刃当たりが均一でなくなり、加工面が粗く工具寿命は短くなる。
不均一な刃当たりを防ぐため1枚刃にする例が多いが、同製品では振れを抑えて2枚刃または4枚刃を実現。それにより加工効率が高まる。インコネルの場合で、一般的な切削条件に比べ切削速度を1・6倍に高められる。
標準品は直径6ミリ―16ミリメートルまで5種類をそろえた。刃部に鏡面加工を施し、切りくずの排出性と刃先形状のシャープさを高めた。再研磨も請け負い、再研磨2回までは振れ精度1マイクロメートルを保証する。
- 2021年8月2日
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- 2021年7月30日
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DMG森精機は、エネルギー産業用高圧鋼管の加工に適した大型精密ターニングセンター「NLX6000/1000」の旋削仕様を発売した。
機械設置面から主軸中心までの高さを従来機と同じにするなどの設計変更により、従来機から置き換えてもパイプ材供給装置などの現有資産を有効活用できる。価格は4120万円(消費税抜き)から。
同ターニングセンターは「SL―600シリーズ」の後継機種で、2019年のミーリング仕様とY軸仕様の発売以降、建設機械部品や原油掘削部品などの大型部品加工向けに販売してきた。今回、旋削仕様の投入により、エネルギー産業用高圧鋼管などミーリング加工を必要としない加工対象物(ワーク)の重切削加工に関する顧客のニーズに対応する。
有限要素法(FEM)解析によるねじり剛性のシミュレーションを行うことで、難削材の重切削加工に対応する強固な構造体を実現した。X軸とZ軸に滑り案内を採用し、振動減衰性と動剛性を高めたほか、Z軸の摺動(しゅうどう)面断面積をSL―600シリーズと比べて約5割拡大した。
ベルトレス駆動の大径主軸を搭載。モーターの力を直接ギアに伝達することで加工能力を高め、切削除去量を同約5割増加させた。また、エネルギー産業用高圧鋼管の加工に特化した加工オプションを選択できるほか、独自の省エネルギー機能なども搭載する。
- 2021年7月30日
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- 2021年7月29日
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ノアは、ドイツのディーターレ製の刃先交換式プラスチック加工用ターニングツール(旋盤用切削工具)を発売した。自動車の軽量化などでプラスチックの需要が増えるとみて専用切削工具を投入した。刃先だけを交換できるため、位置決め設定作業が容易になる。消費税抜きの価格はホルダーが2万1600円から、突切りインサート(刃先交換チップ)が8100円から。
これまで金属加工に比べプラスチック加工は需要が少なく、専用切削工具は特注対応が多かった。ディーターレのプラスチック用標準ツールは、鋭利な刃先で熱の発生を抑えたのが特徴。突切りインサートは外径加工用で切削タイプと切りくず不排出タイプの2種類があり、プラスチックの材質や加工サイズに応じてラインアップをそろえた。特注にも対応する。
プラスチックは金属に比べ軟らかく、旋盤による加工時に熱の影響を受けやすい。このため金属加工用工具を転用できず、手作りや特注品に頼る例が多かった。
- 2021年7月29日
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- 2021年7月28日
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牧野フライス精機は、加工対象物(ワーク)の交換時間を従来機比で半減するなど生産性を高めた工具研削盤「AGE30FX」を発売開始した。
旗艦機種「AGE30」の後継となる。高精度、安定加工を引き継ぎつつ、砥石(といし)やワークを交換する装置などの性能を大幅に高めた。価格は4200万円(消費税抜き)。工具メーカーなどに提案する。
2009年発売の「AGE30」はロングセラーとして評価されている一方、差別化には性能向上が必要となっていた。新製品では周辺装置を見直し「生産性を高めてユーザーに利点を与える」(清水社長)ことを狙った。
材料をセットするパレットを小型化しつつ、一度にセットするワークの数を従来機の123本から780本に増やして交換の手間を削減。ワーク交換時間は従来の45秒から20秒に短縮している。パレット1枚の重量が軽くなり、取り出しも引き出し式にして作業者の負担を軽減する。
砥石の交換装置は丸形から星形に変更して、同じ大きさでも収納できる砥石とノズルの数を6枚から8枚に増加。交換スピードも約15秒から約10秒に速めた。ワークを保持する主軸も回転数を上げ、砥石のドレス(研ぎ直し)や円筒研削の時間短縮につなげた。
研削液タンクを除いた大きさは高さ2320ミリメートル、幅2380ミリメートル、奥行き3070ミリメートル。外観の配色を改めて新味を出した。
清水社長は「当社の売上高の4割を担う製品に育てたい」としている。
- 2021年7月28日
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- 2021年7月27日
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ファナックは、工作機械向けコンピューター数値制御(CNC)装置にデジタルツイン技術を取り入れた新機能を発表した。CNCのシミュレーターを改良し、切削加工時のCNCの動きを正確に再現。実切削前に加工プログラムを機械で空運転させ、加工面を推定する機能も導入する。CNCを搭載する工作機械の設計や保守でもデジタルツインを活用。工作機械のメーカーやユーザーの生産性向上につなげる。
CNCのシミュレーター「CNCガイド」は10月に改良を予定する。加減速制御などのCNCの動作を忠実に再現。正確な加工時間の予測などにつなげる。加工面推定機能は8月に追加予定で、サーボ位置情報から加工面を推定できるようにする。
工作機械で加工不良が起きた場合、一般的には加工プログラムや加工条件を見直す「手戻り作業」が必要になる。修正した加工プログラムや条件が正常に機能するかを確認する試作を含め、完成までの工数が増える原因となっていた。ファナックの新しいCNCガイドや加工面推定機能を用いて事前に確認することで、こうした手戻り作業を極力なくし、工数削減につなげる。
一方、工作機械の設計向けでも新しいCNCガイドを活用。操作画面などのアプリケーション開発をデジタル環境上で進められるようにし、ファナック製CNCを使う工作機械メーカーの設計効率化を支援する。
工作機械の保守でもCNCガイドを利用し、稼働監視のほか、加工現場で発生した問題を把握。デジタル環境でリモート調査を実施し、機械の稼働停止時間(ダウンタイム)を短縮する。
- 2021年7月27日
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- 2021年7月26日
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日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要7社の5月の受注実績は、前年同月比2・2倍の355億4200万円で6カ月連続の増加となった。国内外での受注回復に加え、前年同月が新型コロナウイルス感染症の影響で低かった反動もあり、大幅な伸び率となった。特に海外需要の回復が鮮明で、中国以外の地域でも設備投資の動きが広がり始めている。
全社が合計、国内、輸出の各項目で増加した。特に輸出の増加が顕著で、牧野フライス製作所やツガミなど5社が2倍以上の伸びとなった。牧野フライスは合計が2019年3月以来の80億円超えとなり、輸出は過去最高を更新。中国で自動車向けに大口受注があったほか米国でも自動車や半導体製造装置関連向けに受注が増えた。
オークマは19年9月以来20カ月ぶりに合計が100億円を上回った。輸出では中国、欧州向けが前年同月比2倍以上の増加。欧州は自動車や農業機械向けに受注が増え「かなり盛り上がってきている」(オークママーケティング室)という。
ツガミは中国で労働節(メーデー)連休の影響があったものの、スマートフォンや自動車など幅広い業種で好調が継続している。
三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)はインドや韓国、インドネシアでも歯車工作機械を受注するなど「中国以外の地域でもようやく動きが出始めた」(事業戦略推進室)。
一方で国内も堅調に推移しているものの、補助金採択待ちで発注を控える動きもあり、輸出に比べ伸び率は低い。今後について「厳しい状況が続く」(ジェイテクト担当者)という声も聞かれる。
- 2021年7月26日
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- 2021年7月21日
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タンガロイは、4コーナー溝入れ工具「テトラ・フォース・カット」のインサート(刃先交換チップ)に、最大溝深さ10ミリメートルに対応する38サイズシリーズを追加し、発売開始した。耐チッピング性と耐塑性変形性に優れた材種も採用し、安定した溝入れ加工を実現する。価格は「TCL38―200―020AH7025」が4818円(消費税込み)。
溝幅は1・5ミリ―4・0ミリメートルを設定。チップブレーカーにはTCL形を採用し、幅広い被削材の溝入れ加工でのスムーズな切りくず排出を実現した。ホルダーには未使用コーナーを保護する形状のインサートポケットを設置し、すべてのコーナーを確実に使える。また、内部給油が可能なCHPタイプホルダーも設定。高圧クーラント供給との組み合わせで確実な切りくず処理と排出、寿命延長に優れた効果を発揮する。
- 2021年7月21日
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- 2021年7月20日
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三菱重工工作機械は、歯車工作機械のホブ盤「GEシリーズ」の新機種として、高精度・高能率を重視した2機種を発売した。高速・高トルク型の主軸の搭載などにより、自動車の電動化や静粛性向上に伴う量産歯車の高精度化、高能率化ニーズに対応する。価格は4500万円から(消費税抜き)。両機種合わせて2021年度に5台の販売を目指す。
発売したのは、加工対象物(ワーク)の最大径150ミリメートルの「GE15HS」と同250ミリメートルの「同25HS」。
同15HSは、主軸に高速・高トルク型ダイレクトドライブ(DD)モーターを採用。主軸の最高回転速度を従来比3倍の毎分6000回転に高めた。テーブル軸には、軸と同じ方向に荷重がかかるスラスト荷重に対する高剛性と高速回転を両立した専用テーブルを搭載し、高能率加工を実現した。
超硬工具を使った加工のRa(面粗さ)を、歯車研削並みの0・4マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下に抑えることで、熱処理前の仕上げ工程(シェービング加工)を不要にできる。
- 2021年7月20日
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- 2021年7月19日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)がまとめた5月の車名別新車販売は、トヨタ自動車の小型車「ヤリス」が9カ月連続で首位だった。2位はホンダの軽自動車「N―BOX」で、軽としては18カ月連続で首位を維持した。
上位10車種のうち9車種が2020年同月の販売台数を上回った。コロナ禍による生産調整や購入マインドの低下の影響で前年は販売不振が深刻だったため、その反動増が出たようだ。今後に関してはコロナ禍の収束の見通しが難しい点や緊急事態宣言延長、半導体供給不足の影響が懸念されるため、見通しは不透明だ。
3位のトヨタの小型車「ルーミー」は前年同月比3・1倍。20年9月にマイナーチェンジした。4位のスズキの軽「スペーシア」は同2・4倍、5位のダイハツ工業の軽「タント」は同3・2倍。軽自動車においては、スライドドア付きで全高が高い車種の人気が続いている。
- 2021年7月19日
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- 2021年7月16日
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工作機械業界ではコロナ禍により、顧客を自社に招く加工テストや出荷前の顧客による最終確認(立ち会い)でオンライン化が当たり前になった。オークマも当所の手探り状態から進化。技術打ち合わせの効率化などにつなげている。
コロナ禍当所、顧客との遠隔でのやりとりは基本的なことから苦戦した。「機械をどう見せるか、カメラのアングルさえ皆で検討した」と吉村知泰日本・アジア営業本部営業部長は苦笑する。リアルでの対応以上に準備が大変だった。
しかし現在、違和感は減ったという。「リアルとはやり方を変えるべきだと気付いた」と吉村部長。顧客の注目点を事前に聞き、詳しい資料を用意。加工テストや立ち会いでも重点的に見てもらう。
道具選びも工夫した。最初はスマートフォンを使ったが、付属の会話用アプリは顧客が確認したい切削音をノイズとして除去してしまう。カメラも切削面の撮影には不十分だった。
そこで、音と映像で機械と加工状況を正確に伝えるため高性能のマイクやミキサー、高解像度で接写できるカメラなどを購入。担当者用のマイクやイヤホンも別に用意し、ワイヤレスで扱えるよう組み合わせた。「2020年12月に米国で大型商談があり、本気で道具をそろえた。それが顧客に好評で、全社に広めた」と前川久好同営業本部マーケティング室長は振り返る。
前川室長はオンライン化により「目的が明確になった」と評価する。技術担当者と顧客の打ち合わせも今はオンライン化し出張が不要になった。「1日で、出張なら1件だった技術打ち合わせが3、4件可能」と吉村部長も効率化を強調する。
今後の課題は、コロナ禍でどう未知の顧客と出会うかだ。オンラインの自社展示会に手応えを感じつつ「不特定多数のユーザーと出会えるリアル展がない不利益は大きい」と前川室長。オンライン活用の試行錯誤は今後も続きそうだ。
- 2021年7月16日