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- 2021年11月15日
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OSGはタップを生産する八名工場で植物由来の廃食用油を加工に使用する実証実験を始めた。前工程の荒ネジ転造加工でテストし、切削工程での検証を進める。
廃食用油を工作油に再利用するのは全国初という。良い結果が得られれば今後、他工場にも展開していく。
廃食用油から不純物を取り除き、複数の廃食用油などを混ぜ合わせることで、日本産業規格(JIS)に適合する工作油とする。鉱物油と比べコスト高だが、油の引火点が高いため燃えにくく、火災発生リスクは低くなる。斎藤塗工店(愛知県豊橋市)の依頼を受け、実証実験を始めた。
八名工場の乗松顕太朗製造技術担当は「これまでの結果は良好で、加工における工具品質にも問題はない」としている。植物由来であるため、作業者に優しく、日本政府が打ち出したカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の目標にも貢献する。
大沢二朗常務執行役員は「安価で大量に使用している鉱物油をすべて置き換えるのは難しいが、廃食用油の再生利用を進め、環境に優しい取り組みに挑戦したい」としている。
- 2021年11月15日
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- 2021年11月12日
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日本工作機械工業会(日工会)が発表した9月の工作機械受注実績(速報値)は、前年同月比71.9%増の1445億9400万円で、11カ月連続の増加となった。国内外での需要回復が継続したことで内需、外需ともに大幅に伸びた。1400億円を上回るのは2018年9月以来36カ月ぶりで、1000億円超えは8カ月連続となった。
内需は同90.2%増の575億6000万円で、7カ月連続の増加。18年12月以来33カ月ぶりに550億円を上回った。ユーザーの設備投資拡大に加え、補助金による押し上げ効果も加わったと見られる。
外需は同61.7%増の870億3400万円で、11カ月連続の増加。中国のほか、欧米でも需要が堅調に推移した模様で、2カ月ぶりの850億円超えとなった。
受注環境は今後も堅調さが見込まれる一方で、部品・部材の逼迫や原材料価格の高騰などによるユーザーへの設備投資減退の影響も懸念される。また、日工会では「中国での電力不足の問題が工作機械の受注に今後どう影響が出るかがまだ不透明」(調査企画部)としている。
- 2021年11月12日
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- 2021年11月4日
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タンガロイは、直角肩削りカッター「タング・レック11」シリーズに、非鉄金属加工用多結晶ダイヤモンド(PCD)インサートを追加し、発売した。従来の超硬インサートと合わせ、近年増加傾向にある非鉄金属加工のトータルツーリングが可能となる。
価格は代表型番の「ASGW11T302PDFR―D DX110」が1万2430円(消費税込み)。初年度300万円の販売を見込む。
切れ刃形状の最適化により従来のPCD工具に比べて切削抵抗を低減可能。直角肩加工時の壁面精度も大幅に高められる。非鉄金属の超高速加工にも対応し、アルミニウム材の加工でも高い工具寿命を実現する。
またPCDには超微粒系のDX110材種を採用。刃立ち性に優れ、高品位の安定した仕上げ面が得られる。
- 2021年11月4日
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- 2021年11月1日
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スター精密は小径部品加工を主要ターゲットにしたスイス型(主軸移動型)自動旋盤「SLシリーズ」に2モデルを追加し、発売開始した。小径部品の複雑形状化や多様化する加工ニーズに対応するため複合加工能力を強化した。消費税抜きの価格は820万円。情報通信機器、自動車、医療分野などで拡販し、2機種で年間240台の販売を目指す。
追加したのは棒材の材料径7ミリメートルまでに対応する「SL―7」、同10ミリメートルまでに対応する「SL―10」。正面加工用のくし歯刃物台にカートリッジ式クロスドリルユニット5軸型を搭載。4カ所のカートリッジポジションに各種工具ユニットを装着し、多様な加工に対応する。背面側での複合加工能力も充実し、効率的な工程分割によりサイクルタイム短縮を図る。
段取り替え時などで作業スペースを確保するため、切削室側に大開口の跳ね上げ式ドアを採用したほか、作業者側に角度を付けた数値制御(NC)画面を操作パネルに配置。操作性、作業性に配慮した。
- 2021年11月1日
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- 2021年10月29日
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タンガロイは、自動盤向けヘッド交換式工具シリーズ「モジュ・ミニ・ターン」でY軸加工用ヘッドを発売した。切りくずトラブルを解消し、生産性向上につなげられる。価格は主な型番の「QC12―JSDJ2CR11―Y」が2万2220円(消費税込み)。初年度5000万円の販売を見込む。
切れ刃が加工対象物(ワーク)側面に位置し、すくい面を下向きにすることで、切りくずをワークに絡ませずに下方に落とせる。また、切削抵抗の主分力方向が工具の長手方向と一致して工具剛性が高くなるため、びびりに強く、負荷の大きな加工でも高い安定性を発揮できる。
同シリーズは独自カップリングにより、ヘッド脱着時の繰り返し刃先位置精度5マイクロメートル以下(マイクロは100万分の1)を実現。高い繰り返し精度で工具交換時間を大幅に削減できる。
- 2021年10月29日
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- 2021年10月28日
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日本工作機械工業会が日発表した8月の工作機械受注額(確報値)は、前年同月比85・2%増の1259億300万円で、10カ月連続の増加となった。3カ月ぶりの1300億円割れとなったが、6カ月連続で1200億円以上の水準を維持しており、回復傾向が継続している。
内需は6カ月連続の増加で、3カ月連続の440億円超え。夏季休暇の影響があったものの、事業再構築補助金の採択案件などが需要を下支えし、前月比は微減にとどまった。主要4業種はすべて前年同月比増加。一般機械の中の金型が61カ月ぶりに30億円超えとなり、金属製品も23カ月ぶりに40億円を上回った。
外需は10カ月連続の増加で、800億円を上回るのは6カ月連続。北米は欧州とアジアを含めた主要3極では唯一、前月比、前年同月比ともに増加となった。欧州は2カ月ぶりの200億円割れとなったが、稲葉善治会長(ファナック会長)は「バカンスシーズンにあってむしろ健闘した」と捉える。
アジアは7カ月ぶりに400億円を割り込んだ。中国が3―5月の水準と比べて鈍化。東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)の影響も重なった。ただインドは、7カ月連続の増加で緩やかな回復を持続している。
また部品・部材は引き続き逼迫(ひっぱく)している状況で「工作機械の納期も延びつつある」(稲葉会長)という。
- 2021年10月28日
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- 2021年10月27日
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中村留精密工業は、同社複合加工機ラインアップのうち24機種に新機能「プログラム最適化機能」を順次標準搭載する。同機能を活用することで、数値制御(NC)プログラムを自動で編集し、加工中のアイドルタイム(待機時間)を極力縮め、最終的なサイクルタイム短縮に貢献する。
同機能は原点復帰、アプローチ指令、タレット旋回指令、主軸同期指令、主軸停止指令と最大五つの項目でプログラムの自動変換を行え、最適化したい項目だけを選んで編集もできる。加工条件は一切変えないため、精度に変化はない。「面倒な設定などは省き、項目を選び次第、すぐに実行できる点が特徴。実際に11%のサイクルタイム短縮につながったという例もある」(中村匠吾専務)と効果を確認している。
- 2021年10月27日
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- 2021年10月26日
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アマダは精密金型・部品などの加工に使われるプロファイル研削盤で12年ぶりに新機種を市場投入する。独自の撮像技術を活用したデジタルプロジェクターの搭載と、計測・補正作業の自動化により、非熟練者でも簡単に高精度加工が可能。加工時間も従来比20%以上の短縮が見込める。研削加工への要求精度の高度化や作業者の技術不足といった課題解決支援につながる点を訴求し、拡販する。
プロファイル研削盤は、計測用に光学式投影機を搭載し、加工対象物(ワーク)をスクリーンに投影し、仕上げ形状が描かれたチャート図に倣って精密に研削加工する。ただ精度計測や補正加工は、作業者が肉眼で判断して行うため、熟練の技能が必要とされる。
アマダマシナリーが開発し10月20日発売した新製品「DPG―150」は、従来の光学式投影機に代わり、32インチサイズで4K画面のデジタルプロジェクターを搭載。最大倍率を400倍(従来は110倍)と大幅に拡大した。ワークの微細な部分を鮮明に見ることができ、視野範囲も広げられる。デジタルプロジェクターの搭載は業界初という。
昇降ストロークはリニア仕様の場合で0ミリ―162ミリメートル、砥石(といし)サイズは直径65ミリ―180ミリメートル。装置単体の価格は3760万円(消費税抜き)。電気自動車(EV)や半導体、高速通信関連分野向けを中心に年24台の販売を目指す。
自動でワーク形状の計測や完成品との誤差の補正加工を行う機能も搭載する。計測にはルーペ操作による計測や指定区間の自動計測など3機能を設定。初期段取り後の全作業を自動化することで、作業者による品質のバラつきを抑えられ、チャート紙の作成用設備費用も削減できる。
また生産性をより重視するユーザー向けに、同機種と自動工具交換(ATC)/自動ワーク交換(AWC)ロボットを組み合わせた自動化仕様もそろえた。粗加工から仕上げ加工の自動化と複数製品の連続加工が可能で、作業員不在時の長時間連続運転を実現する。
プロファイル研削盤の現在の主要市場は日本と中国、韓国だが、新機種の自動化機能や高い操作性を訴求し、欧州、北米、東南アジアにも拡販する。
- 2021年10月26日
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- 2021年10月22日
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OSGは10月1日受注分から、ハイス(高速度鋼)エンドミル標準品を15%値上げした。
高速、高耐久ニーズの高まりに伴う超硬化へのシフトを背景に、ハイスエンドミルの生産量は長年にわたり減少している。一方で、安定加工など根強いニーズがあることから、価格改定により事業継続を図る。同製品の価格改定は2018年以来、約3年ぶり。
対象は自動車や機械部品など幅広い加工に使われるハイスエンドミル。標準品は15%、オーダーメードの特殊品も顧客に一定の値上げを求めていく方針。
ハイスエンドミル市場は80年代をピークに減少の一途をたどっている。高速、高耐久ニーズの高まりから今後も超硬化が加速し、ハイスエンドミルの需要はさらに減少するとみられている。同社はこれまでも生産性向上に取り組んできたが、生産の減少をコスト低減活動で吸収し切れない状況になっているという。
同社はハイスエンドミルで5割以上の国内シェアを持つ。前回の値上げは原材料の高騰によるものだった。今回は「タップからドリル、エンドミルまで扱う総合工具メーカーとして、事業継続のための判断」(OSGグローバル企画部)としている。
- 2021年10月22日
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- 2021年10月21日
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日刊工業新聞社がまとめた8月の工作機械主要7社の受注実績は、前年同月比99・5%増の358億4800万円で、9カ月連続の増加となった。中国や欧米を中心に輸出が引き続き好調で、国内も補助金効果が加わったことで回復傾向が強まっている。引き続き堅調な受注環境が見込まれるが、メーカーでは部品・部材が今後逼迫(ひっぱく)する可能性があり、生産への影響の懸念が強まっている。
輸出は6カ月連続の200億円超え。中国需要はピーク時からは落ち込んできたものの高水準を維持しており、北米や欧州では幅広い業種で需要が広がっている。
牧野フライス製作所は中国で商用車のディーゼルエンジン向けの受注があったほか、米国も半導体製造装置や商用車関連向けに受注。オークマは欧州向けがイタリアやトルコを中心に前年同月比約4倍に伸び、業種も「自動車部品のほか、食品機械や医療機器など多岐にわたる」(マーケティング室)という。
OKKは輸出が同9・6倍と大幅に増加。特に米国が好調で「自動車と航空機業界向けに5軸機、自動化の設備投資の引き合いが主になってきている」(担当者)という。
日本電産マシンツール(旧三菱重工工作機械)は、前年同月の中国向け大口受注の反動により輸出が減少となったが、台湾や米国で歯車機械を受注するなど堅調に推移。今後は「東南アジアやインドの回復が待たれる状況」(事業戦略推進室)と期待する。
一方、国内は7社の総額が2カ月連続で130億円を上回った。芝浦機械は産業機械や金属加工、エネルギー関連向けに受注し「7月に続いて複数の案件で事業再構築補助金の採択が見られた」(広報・IR部)という。幅広い業種で設備投資の動きが広がっており、メーカーでは「9月も補助金採択による受注計上がプラスに働く」(牧野フライス製作所)と期待する。
また部品・部材の逼迫について、各社は直近で影響は出ていないものの、「今後も続けば、顧客の短納期要請に応えられずに競争が厳しくなる可能性がある」(大手メーカー担当者)との声も上がる。
- 2021年10月21日