-
- 2024年7月5日
-
ユキワ精工は、工作機械内の工具マガジンに収納して使う加工対象物(ワーク)搬送ホルダー「ワークハンドリングホルダ」を製造・販売している。機械の動きを利用して内部のワーク搬送を手軽に自動化する。新たに付帯設備を導入する場合と比べ、省スペース化や低コスト化の面で有利だとして展示会などを通じて訴求中だ。
同社が開発したワークハンドリングホルダは、ピストンとバネを内蔵する。加工時に使うセンタースルークーラントの圧力でワークをアンクランプし、バネの力でクランプする仕組み。いずれも電源やエア源は不要だ。
外径把持用と内径把持用の2種類を用意した。ただし、ワークを2点で直接つかむ部分はユーザー側で調整する必要がある。小杉正営業推進部長は「ターゲットは中小企業。生産技術部門があるか、製品を組み込める技術力のある業者を抱えている工場に最適」という。何らかの理由で搬送ロボットなどの付帯設備の導入を見送った生産現場への普及を目指している。
ワークハンドリングホルダ本体の外寸は最大直径75ミリ×高さ148・4ミリメートル。現行品はシャンクツール形状BT30のみ対応し、ワーク質量は1キログラムまで。
同社でも比較的小さい生産品目であるドリルチャックの溝加工に活用中。製品を組み込んだ機械は1台だが、作業員がいない夜間や昼休憩に合わせて一度に数十個を加工。効率化に役立てている。
消費税抜きの価格は内径把持も外径把持も1個27万8500円から。酒巻社長は「仮にロボットだと何百万円とかかる投資が何十万円で済む可能性があるし、場所も取らない」と強調する。
元は先行きの販売も視野に、自社量産品の生産性向上を目的として2018年ごろから開発。順調な稼働を確認後、22年7月に発売した。酒巻社長は「似たような発想は欧州にあるが、製品化した例はあまりない」とし、新市場に挑んでいる。
- 2024年7月5日
-
- 2024年7月4日
-
スギノマシンは、ウオータージェット(高圧水噴射)技術を活用して金属部品を表面改質する受託加工サービスを始めた。同社は処理装置の製造販売を手がけるが、少量・少額のテストニーズが高まっており受託加工を実施することにした。サービス価格は加工内容や数量などで異なり、20万円から(消費税抜き)。
新サービスは2種類の加工法を提供する。一つ目はウオータージェットを用いて金属部品の疲労強度、寿命を向上するピーニング技術「キャビテーション・ウオータージェット・ピーニング(CWJP)」。鉄やガラス、樹脂といったメディア(投射剤)を一切使用せず水のみで加工できるため、廃棄物が発生しない。
もう一つが金属積層造形(AM)向けの表面処理技術「キャビテーション・アブレシブ・サーフェス・フィニシング」。水とアブレシブ(研磨剤)を混ぜた液体が入った水槽内で高圧水を噴射することで、AM部品の表面処理が行える。同工程の一部は煩雑さから手作業が一般的だが、同技術を用いれば自動化・省人化につながる。
- 2024年7月4日
-
- 2024年7月3日
-
かいわは、平面研削盤での加工時に、回転するホイール型砥石(といし)の振れを抑えるシステムを開発した。砥石をフランジに取り付けて加工前に砥石形状を整えるといったツルーイング(形直し)時間を短縮できる。自社で同システムを活用し、振れを抑える独自加工を行うサービスをこのほど提供開始した。価格は個別見積もり。新サービスで初年度に売上高1000万円を目指す。
新開発の「Brenner 超砥粒ホイール同心取り付けシステム」は、ホイール型砥石と固定するためのフランジに円周状の溝と突起を加工し、はめ合わせて研削盤にセットする。
かいわは同システムの開発に伴って、平面研削盤で振れ測定テストを実施した。その結果、Z軸方向の振れが標準仕様の5分の1程度に当たる5マイクロ―10マイクロメートル(マイクロは100万分の1)に収まったという。
システムに対応する砥石メーカーは、同社への問い合わせが必要。今後、金型加工を中心とした金属加工業者に同システムを使った加工サービスを訴求する。加えて、フランジメーカーなどへのライセンス供与も見据える。
- 2024年7月3日
-
- 2024年7月2日
-
DMG森精機は使いやすさを高めた工作機械の操作盤に多様なアプリケーションを実装できるヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)を開発した。複雑な加工プログラムを容易に出力できるアプリや、稼働停止時間の削減につながるアプリなどを使用できる。デジタル変革(DX)による加工工程の集約や自動化、省エネルギー化をしやすくし、生産性の向上に貢献する。
開発したHMI「ERGOline X with CELOS X」は、5軸加工機などのDMG森精機の最新機種に搭載し、今後全機種への展開を予定する。同社のクラウドシステムとつないで簡単にアプリを使えるほか、オフラインでも活用できる。
アプリでは工程集約で複雑化する加工プログラムでも的確に出力する機能を搭載。シミュレーションも可能で工具の干渉も未然に防げる。
稼働停止時にDMG森精機のサービス部門と同じ情報を共有し、課題を早期解決できるアプリも搭載。稼働停止時間を減らし、自動化した工程などで加工時間を確保しやすくする。予定の加工を終えると自動で待機モードに切り替わり、次の加工開始に合わせて待機運転する機能を備えたアプリでは、消費電力削減が見込める。
同社はDXで工程集約や自動化を進め、グリーン・トランスフォーメーション(GX)を実現する「マシニング・トランスフォーメーション(MX)」の提案に力を入れる。新型HMIでMXを実現しやすくし、顧客の競争力向上に貢献する。
- 2024年7月2日
-
- 2024年7月1日
-
エンシュウは溶接機器メーカーの米リンカーン・エレクトリックと協業し、電気自動車(EV)部品向けにアルミニウム製品の新たなレーザー溶接工法の提供を始めた。エンシュウのレーザー加工の知見と、リンカーンの技術を組み合わせた高速・高品位なシステムとして提案する。1件ごとの受注額は5000万円程度を想定。2029年3月期までに今回の協業に関する売上高で7億円以上を目指す。
提供するのは半導体レーザーと、加熱した溶接ワイヤを供給する「ホットワイヤ」を組み合わせたリンカーンの工法。日本ではエンシュウが初めて取り扱う。
同工法はワイヤを加熱してあるため、その溶融にはレーザーの出力が奪われず、アルミを高精度に溶接できる。隙間のある箇所の溶接にも対応する。
同工法を用いてユーザーに適した生産システム提案を行うため、エンシュウは本社工場(浜松市中央区)にレーザーとホットワイヤによる溶接実験機を導入し、ユーザーからのテスト加工などに応じる。
- 2024年7月1日
-
- 2024年6月28日
-
ミスミグループ本社は、機械部品の電子商取引(EC)サイトに納期調整や見積もりの待ち時間が不要となる新機能を追加した。国内外で400社を超えるサプライヤーの在庫状況や工場の生産能力情報をネットワーク化。これによりECサイト上で提供できる部品数量を大幅に増やした。利用者は購買の業務効率化に加え、手持ち在庫を削減できる。主に中小企業向けに訴求する。国内で先行運用し、今後の海外展開も見据える。
ミスミグループ本社は顧客の希望数量に対し、複数サプライヤーの在庫を瞬時に組み合わせて価格と納期を自動で表示するアルゴリズムを開発。これにより同社のECサイト上で顧客に提供できる部品数量を拡大した。
利用者がECサイト上で必要な数量を入力した際、即時に各社のデータを連携してサプライヤーに点在する在庫を瞬時に引き当て、価格・最短納期を自動で表示する。
大口の購買需要の高まりや、世界的なサプライチェーン(供給網)リスクに対応する。サプライヤーにとっても、既存商圏外の需要取り込みや在庫の効率運用といったメリットが見込める。
- 2024年6月28日
-
- 2024年6月27日
-
住友電気工業は電動車などの小径ネジ・リベット成形用超硬金型に、直径3ミリメートル、4ミリメートルの極細内径を穴加工できる「小径ボーリングバイトDABX型=写真」を発売開始した。
径数十ナノメートル(ナノは10億分の1)の微細なダイヤモンド粒子を結合材なしに強固に直接結合したナノ多結晶ダイヤを刃先に適用した。消費税抜きの価格は、標準品「DABX035R―02NPD10」が6万4200円。6型番そろえる。
ナノ多結晶ダイヤは単結晶ダイヤと異なり特定の方向への割れやすさがなく、超硬合金などの加工面の品質と精度を長時間維持できる。金型の加工能率・精度を向上するため、研削・放電加工から切削に切り替えるニーズを取り込む。
- 2024年6月27日
-
- 2024年6月26日
-
ソディックはリニアモーター駆動の形彫り放電加工機「ALプラス」シリーズの大型モデル2機種を発売開始した。加工液を送るポンプをインバーターで最適制御することで消費電力を低減。自動化システムを容易に組み込める機構も採用した。スマートフォンや自動車部品などの精密な金型や部品の加工需要を取り込む。
発売したのはX軸の移動距離が850ミリメートルの「AL80G+」と同1200ミリメートルの「同100G+」。
独自の高出力リニアモーターを搭載し、高速で高応答な加工性能を実現したほか、非接触駆動により経年変化を抑えられ長期で高精度を維持できる。
温度変化による変位などに対する精密熱変位補正機能を標準搭載し、加工精度を向上。蓄積した放電加工の基礎データなどをベースに最適な数値制御(NC)プログラムを人工知能(AI)で推論して出力する機能も備え、利便性を高めた。
またX軸の移動距離が400ミリメートルの「同40G+」と同600ミリメートルの「同60G+」も発売済み。
- 2024年6月26日
-
- 2024年6月25日
-
日進製作所は、加工径50ミリ―80ミリメートル、加工長100ミリメートルの中径加工ホーニング盤「G75型」を7月に発売する。
同社従来機では難しかった加工範囲に対応することで、バイクや建設機械、トラックの部品などをメーンターゲットに提案する。消費税抜きの価格は3000万円。年10台の販売を目指す。
同社は小径分野のホーニング盤で国内最大手。G75型の投入を機に中径分野にも本格参入する。
装置サイズは幅2800ミリ×奥行き1700ミリ×高さ3400ミリメートル。1本のツールで荒加工と仕上げ加工に対応する「ダブル拡張ツール」を採用。荒加工用と仕上げ加工用の設備を2台並べるよりも省スペースで導入コストも低く、搬送の移動時間が短縮できるため、生産性向上につなげられる。
デザイン面では、白と黒の無彩色の2色を使い、有彩色の“日進ブルー”を加えることで、洗練された配色でクリーンかつ先進的な色合いに仕上げた。また、滑らかな曲線にこだわった安全カバーを採用した。
- 2024年6月25日
-
- 2024年6月24日
-
住友電気工業は小型部品加工の自動旋盤用に、インサート(刃先交換チップ)交換を簡易化し時間も短縮する工具保持装置「ヘッド交換式クイックチェンジホルダAPM型」を5月1日に発売する。シャンク部(柄)が備えるネジ操作で、インサートを取り付けるヘッド部を脱着できる。多角形の接合部で高精度にヘッド部を保持する。消費税抜きの価格はシャンク部が5万1000―5万4000円、ヘッド部が5万6000―7万円。
インサートの個体差を除き、ヘッド交換の位置精度は5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以内。シャンク部はサイズ10ミリ×10ミリメートル、12ミリ×12ミリメートル、16ミリ×16ミリメートルをそろえ、ヘッドを変えれば多様な加工に適用する。
- 2024年6月24日
-
- 2024年6月21日
-
京セラインダストリアルツールズは、インサートの交換時間を大幅に短縮できる交換用ドライバー「DTD500」を開発した。
電動ドライバーとトルクレンチの二つの機能を搭載。インサートが16枚付いたカッターの場合、一般的な目安の交換時間が7分42秒なのに対し、DTD500は3分58秒と半減できる。メンテナンスの効率化につながる点を訴求する。
開発したのは電動工具事業を手がけるKITと親会社の京セラ。KITは、京セラがリョービから同事業を買収した2018年、同事業の承継会社として設立した。
DTD500はKITと京セラによる初の共同開発品で、KITにとって初めての工作機械向け電動工具。充電式を採用した。消費税抜きの価格は3万8600円で、初年度3万台の販売を目指す。
フライス加工で使うカッターはメンテナンスのため、定期的にインサートを交換する。交換作業は新しいインサートを取り付けた後にドライバーで固定ネジを締め付け、最後にトルクレンチを使い推奨トルク値による締め付けを確認する。
DTD500は電動ドライバーと、任意のトルク値で締め付けられるトルクレンチの二つの機能を搭載。ドライバーとトルクレンチを使い分ける従来手法と比べて作業時間を削減できる。またインサート交換の高精度化も見込める。
フライス加工用のカッターは、作業時間の短縮や加工対象物(ワーク)の大型化などに伴い、インサート数の多いカッターが主流になりつつあるという。一方、従来の交換手法は作業時間がかかる上、作業者によって作業時間や精度に差が生じることが課題となっていた。
- 2024年6月21日
-
- 2024年6月19日
-
ソディックはリニアモーター駆動の3軸立型マシニングセンター(MC)を約9年ぶりに刷新する。構造体の剛性を高めるなど主要機構の設計を見直した。従来機と比べ11%軽量化した主軸の採用などで応答性を向上し、高速高精度な加工に磨きをかけた。高機能化が進む部品の金型で高まる高硬度材の直彫り加工や、光学レンズの鏡面仕上げ加工といった需要に対応する。
開発したMC「UX650L」は、最大幅750ミリ×奥行550ミリ×高さ300ミリメートルの加工対象物(ワーク)の加工に対応する。消費税抜きの標準価格は3300万円から。6月1日に発売し、国内外で年30台の販売を目指す。
主軸では構造体に冷却液を流す仕組みを採用し、回転時の発熱による工具先端の変位や機械本体の姿勢変形を抑制。回転速度や温度情報などから熱変位を推定して高精度に補正する機能も設けた。自動工具交換装置(ATC)には着脱時に主軸と工具を固定するホルダーを常に同じ位相(向き)にする機能を搭載。振れ精度のバラつきを抑え、高精度な加工を実現する。
各軸の案内機構に剛性を高めた直動ガイドを採用し、振動を最小限に抑制する。加工中の動画や画像を記録する機能も搭載。加工の不具合やエラー発生時の原因調査に活用でき操作性も高めた。一定時間未使用と判断した場合、自動で電源を遮断する機能により、省エネルギー性能も高めた。
人工知能(AI)や自動運転といった技術革新により電子部品やセンサーの機能が高度化し、自動車では部品のモジュール化も進む。こうした部品の金型では職人の手磨きや専用機で対応していた高精度で緻密な加工需要が高まっており、ソディックは今回の新型MCの投入で生産性の向上に貢献。「機械性能はもちろん、環境負荷低減や人手不足への対応などソリューションを提案し付加価値を提供する」方針だ。
調査会社マーケッツアンドマーケッツの情報サービス「ナレッジストア」の調査によると、MCを含めたミーリング加工機の世界市場規模は2030年に約414億ドル(約6兆3000億円)で、23年からの年平均成長率(CAGR)は4・4%と予測している。
- 2024年6月19日
-
- 2024年6月18日
-
京浜ラムテックは、汎用のマシニングセンター(MC)やフライス盤を利用して金属を接合する同期撹拌接合(SSW)技術を開発した。機械に専用ツールホルダーと接合ツールを装着すると、マイクロ波を伴う駆動によって撹拌が最適化されて反力が軽減。金属の塑性流動も促進する。金属接合に現在用いられている摩擦撹拌接合(FSW)に比べて小径の接合ツールを使うことで、低入熱で高速・高強度接合を実現する。
京浜ラムテックはFSW専用の加工機による受託加工で20年の実績を持つ。今回、新規事業としてFSWで培ったノウハウや経験をもとにSSW技術の開発を進め、実用化にこぎ着けた。今後、自社製品としてSSW専用ホルダーの販売に乗り出す。
工業製品に多用されるアルミニウム合金A6061を、接合深さ4ミリメートルで加工する場合、「FSWの送り速度は毎分2000ミリメートル程度だが、SSWでは2倍以上の速度で接合できる」という。
また、FSWでは接合温度300度Cを下回ると、入熱不足による内部欠陥が生じ始めて200度C付近でツールが破損してしまう。一方、SSWでは150度Cでもツールは破損せず安定的に接合できる。
既に独自の技術として特許を取得済みで、海外の主要国でも特許を出願している。
- 2024年6月18日
-
- 2024年6月17日
-
DMG森精機は工作機械の使用済み鋳物部品を回収し、再び同社製工作機械の鋳物部品の原料に再資源化して循環させる仕組みを構築する。2024年に同鋳物部品と、同社の鋳物加工工程で発生した切り粉を回収して再資源化し、銑鉄から鋳造する場合と比べ約900トンの二酸化炭素(CO2)削減効果を見込む。原材料の調達から廃棄まで製品のライフサイクル全体で脱炭素の取り組みを加速し、高品質な鋳物の安定調達にもつなげる。
DMG森精機は子会社のDMG森精機CIRCULARや鋳物製造のDMG MORIキャステック(キャステック、島根県出雲市)と連携して取り組む。工作機械の使用済み鋳物部品を再資源化して循環させるのは業界初とみられる。
仕組みはDMG森精機が顧客から廃棄対象の同社製工作機械を引き取り、協力先の解体業者で鋳物部品を抽出して細断。鋳物の原料としてキャステックで溶解し、工作機械の土台となるベッドやコラムといった部品の鋳物を製造する。23年までに成分や剛性など工作機械の鋳物としての適性を科学的に検証して確認。解体業者とキャステックで回収した鋳物の成分をそれぞれ分析するなど品質確保の仕組みも構築した。
24年に約100台の工作機械を引き取るほか、DMG森精機の伊賀事業所で発生する切り粉を回収して約560トンの鋳物の原料を調達する。25年には切り粉の回収先を協力会社にも広げて計約1000トンの鋳物原料を調達し、銑鉄から鋳造する場合と比べて約1800トンのCO2削減を予定する。
鋳物部品をめぐっては人手不足や原材料費の上昇などから調達リスクの高まりが懸念されている。DMG森精機は調達先のキャステックが本社工場で生産能力拡大や設備の入れ替えを実施。23年にはコークス炉から電気炉に切り替え、CO2フリー電力なども活用して環境に配慮した鋳物の生産を増やしている。さらにCIRCULARと鋳物を循環させる仕組みも構築し、高品質な鋳物の安定確保とライフサイクル全体で環境負荷を抑えた工作機械の供給につなげる。
- 2024年6月17日
-
- 2024年6月13日
-
日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)がまとめた5月の新車販売台数は、前年同月比4・4%減の31万2406台で、5カ月連続の減少となった。減少率は4月の同11・2%減より縮小した。認証不正問題による出荷停止が続いていたダイハツ工業は国土交通省から4月に全ての現行生産車種の出荷停止指示が解除されたが、同省の型式指定申請に関する調査でトヨタ自動車などで新たに不正が見つかった。今後の販売台数への影響が懸念される。
登録車は前年同月比2・4%減の20万1643台だった。このうち乗用車は同1・7%減の17万6693台となり、ホンダ、スズキ、SUBARU(スバル)を除く6ブランドが前年同月を下回った。
今後の登録車の需要について自販連は「不正の影響が数字として出てくるまでにはタイムラグ(時間差)があるだろう」と見通す。
貨物車は同8・2%減少の2万4246台。UDトラックスが同22・0%減、三菱ふそうトラック・バスが同14・0%減だった。観光や人の往来がコロナ禍の状況から回復し、バスは同52・7%増と4月に引き続き大幅増となった。
軽自動車は同7・7%減の11万763台となった。メーカー別では8ブランド中、ダイハツ工業、スバル、マツダ、トヨタの4社が前年同月を割り込んだ。
2023年11月にフルモデルチェンジしたスズキの軽「スペーシア」や、同年にマイナーチェンジした日産自動車の軽「デイズ」が前年比で大きく伸長した。
今後について「ダイハツの出荷停止車種については基準適合性の確認が済んだが、5月も台数のマイナスが継続した。影響がいつまで続くのか少々判断しにくい状況」(全軽自協)としている。
- 2024年6月13日