-
- 2020年9月28日
-
ミツトヨは、マイクロメーターヘッドを生産する完全子会社の高知ミツトヨを高知県香南市に移転・拡張すると発表。総投資額は約41億円。2021年7月頃に着工し、22年10月に操業する計画。工場の移転・拡張により、生産能力は現在比約1・8倍に向上する。
新工場の建設決定にあたり、高知県と「川谷刈谷工場用地土地譲渡契約」を締結。高知県企業立地促進事業費補助金の7億3138万円を活用する。新工場の敷地面積は3万3833平方メートル、延べ床面積は現在比2・6倍の6800平方メートルとなる。高知龍馬空港に近く、利便性も高まる。
高知ミツトヨは、1977年に大野見精密として三豊製作所(現ミツトヨ)が設立した。従業員数は84人で、移転に伴って23人増員する。
- 2020年9月28日
-
- 2020年9月24日
-
丸一切削工具は、線幅0・5ミリメートルで小さな文字やロゴが加工できる彫刻工具を発売した。レーザーマーカーなど専用機に部品を移送せず、マシニングセンター(MC)上で部品の形状加工から型番加工まで完結できる。消費税抜きの価格はホルダーが1万7900円、チップは3000―3600円。年間1000本の販売を目指す。
線幅0・5ミリメートルは業界最細クラス。文字大きさの8%を線幅とするJIS規格機械彫刻用標準書体フォントに合わせた場合、6・25ミリメートル角の文字となる。
チップ刃先を円すい状に研磨し、加工向きが変わっても切削抵抗や線幅が均一になる設計にした。刃先強度を高め、高剛性ホルダーを採用することでバリを抑制。彫刻だけでなく、最大径7・5ミリメートルの面取りもできる。
金属部品への文字やロゴ表記は、レーザーマーカーや打刻などの手法があるが、専用設備への部品移送が伴う。このためボールエンドミルで彫刻してMC上で加工完結することもあるが、線幅が太く文字を小さくするのが難しかった。
- 2020年9月24日
-
- 2020年9月23日
-
ジェイテクトは最長320ミリメートルの小型シャフト部品の量産加工用にコンピューター数値制御(CNC)円筒研削盤を改良し、ストレート研削用「e300GPi」、アンギュラ(斜め)研削用「同GAi」として発売した。消費税抜きの価格はともに1590万円。合計で年間30台の販売を目指す。
設備状態の見える化や設備診断などの高機能を持ちディスプレーも大きい制御装置「TOYOPUC―Touch」や、高剛性・低振動・低熱変位のベッドを採用した。防熱カバーも追加し、熱によるベッドの寸法変化を30%改善した。
加工対象物(ワーク)の保持機構は、左右の主軸台でワーク両端をつかむ従来仕様に加え、主軸台と心押台、主軸台1台のみでの保持の2仕様も選択可能にした。
- 2020年9月23日
-
- 2020年9月18日
-
自動車部品メーカーが、新たな生き残りの岐路に立たされている。3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大により自動車メーカーが世界中で生産停止に踏み切った影響で、主要部品メーカーの2020年4―6月期の業績は軒並み営業赤字に陥った。市場回復を受け下期以降は上向く見込みだが、業績見通しからは回復度合いの濃淡が鮮明になっていることがうかがえる。新型コロナ禍が各社の体力をあぶり出した格好で、さらなる競争の激化が予想されそうだ。
“リーマン”より影響深刻
【従来では通ぜず】
「稼働が一気に止まるのは未体験のこと。リーマン・ショック時は最も大きな赤字が出たが、今回の方がある意味厳しい」。アイシン精機の川崎有恒執行役員は4―6月期を襲った環境について、こう振り返る。新型コロナによる各国・地域の外出規制や、需要減に伴う生産調整で世界的に生産が停止。このほど集計した上場している主要部品34社の20年4―6月期連結決算では、全ての企業が営業赤字に陥った。
感染拡大を抑えた中国では早期回復が見られ、例えばジーテクトは中国で増収増益を達成。トヨタ紡織も増収となり、テイ・エステックは増産も実施した。しかし他地域の販売は大きく減少。不振地域を好調な地域でカバーする従来のやり方は通用しなかった。生産性向上や経費削減などのコスト低減努力でも打ち返せないインパクトで「世界中で生産が止まる中でも雇用を守りつつ固定費もかかっている状況は厳しい」(アイシン精機の川崎執行役員)。
一方、期末に向け業績は回復傾向が鮮明になるとの見方が大勢だ。通期見通しを示した主要部品27社の売上高合計は、20年4―6月期が前年同期比40%減の3兆1583億円だったのに対し、21年3月期予想は前期比14・2%減の17兆7702億円と減少幅が縮まる見通し。営業損益の合計でも、4―6月期は前年同期の2240億円の黒字から3317億円の赤字に転落したが、通期は前期比61・1%減の2304億円と黒字を確保する予想だ。野村証券の山岡久紘リサーチアナリストは「日本の7―9月期の自動車生産は前年同期比10―15%減まで改善する」と予想し「同期にかけて自動車部品各社の業績は回復に向かう」とする。ただ、その回復度合いには差がある。
トヨタ系、強さ顕著
【“お家芸”発揮】
強さを見せるのが、トヨタ自動車系部品メーカーだ。主要顧客のトヨタは今後の販売について7―9月期で前年同期比85%、10―12月期は同95%、21年1―3月期は同105%を計画。中国や米国で増産計画を示すなど生産回復が顕著だ。連動してトヨタ系部品は通期予想を公表した12社のうち8社が営業黒字を見通す。デンソーの松井靖経営役員は「車両生産は上期が前年同期比30%程度、下期は同5―10%減る予想で通期では同20%減」と見る。「トヨタの生産計画の内示は他社よりも変動が小さい」(部品メーカー幹部)ことも各社の業績予想の下支えとなっている。
加えて“お家芸”の原価低減活動で、利益を積み上げる方針だ。営業赤字予想の東海理化も「社内では黒字化を目指しており、1銭1ミリにこだわる改善を積み上げる」(二之夕裕美社長)。トヨタ向け以外との取引も多いジェイテクトは、IT基盤投資や固定費が増えているほか「欧州系顧客の動向がなかなか見通せない」(牧野一久専務取締役)ことが響き、200億円の営業損失を見込む。
中国を中心に回復を色濃くしているホンダ系部品メーカーも、底力を見せている。ジーテクトは「4―6月期を底に回復基調にある」とし、エフ・シー・シーはアジアでの販売増に加えて前期に計上した減損や製品保証引当金の影響がなくなり、利益を押し上げる。各社は設備投資の最少化や各種の改善活動を強化する方針だ。
一方、日産自動車グループを主力顧客とするユニプレスや河西工業などの日産系部品メーカーは、17年頃から続く日産の業績不振で体力低下が顕著。下期で一定の回復を見込むが通期で落ち込みは取り戻せない。ヨロズは7月以降の市場回復で下期は損益をブレークイーブンにする計画だが「上期分の赤字がそのまま残る」(同社)。日産は24年3月期までに現状比20%減となる年産540万台体制にする構造改革を打ち出している。新型コロナ禍の影響も不透明な部分があり、各社は難しいかじ取りを迫られる。
新型コロナが業界再編を加速する可能性も(愛知県内の部品メーカー工場)
基盤固めの動き相次ぐ
【過去に戻らない】
足元ではCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)による業界の激変を見据え、各社は事業構造変革や再編に動きだしている。ケーヒン、ショーワ、日信工業のホンダ系3社は、日立オートモティブシステムズとの経営統合を控え、アイシンは21年4月に子会社の変速機大手、アイシン・エィ・ダブリュ(AW)と合併する計画。タチエスは250人の早期退職募集を実施し、テイ・エステックもインドで生産拠点を再編するなど、基盤固めの動きが相次ぐ。
加えて新型コロナ影響による景気悪化で「一定の回復後でも、自動車生産は過去水準には戻らないと予想される」(野村証券の山岡久紘リサーチアナリスト)。コロナ禍ではサンデンホールディングス(HD)が事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請するなど、一部で経営そのものへの影響が見られ始めた。社会のあり方を変える感染症により、今後は優勝劣敗が今以上に明確になるだろう。さらなる業界再編の機運が高まることは避けられなさそうだ。
- 2020年9月18日
-
- 2020年9月17日
-
日本工作機械工業会(日工会)が発表した7月の工作機械受注実績は、前年同月比31・1%減の697億8400万円で、22カ月連続の前年割れとなった。コロナ禍で需要低迷が続き、内外需ともに減少。ただ、受注総額は2カ月連続で600億円を上回り、内需と外需は前月比で増加した。6月以降、国内外での経済活動再開による需要回復傾向が続いている。
内需は前年同月比39・8%減の248億200万円で、20カ月連続の前年割れ。200億円を上回るのは2カ月連続で、前月比は6・2%増。外需は同25・2%減の449億8200万円で、22カ月連続の前年割れ。400億円を上回るのは2カ月連続で前月比は2・6%増だった。
市況は若干持ち直しの動きが見えるが、感染再拡大や米中関係の悪化など受注環境に影響を与える懸念材料は多く、日工会では「先行きの不透明感は根強く残っている」(調査企画部)としている。
- 2020年9月17日
-
- 2020年9月16日
-
〇市場縮小で競争激化 強み磨き差別化カギ
新型コロナウイルス感染拡大の影響は乗用車メーカー7社の2020年4―6月期の業績に深刻な打撃を与えた。世界の自動車需要は同期を底に徐々に回復する見込みだが「コロナ以前の市況に戻るには時間がかかる」との指摘もある。今後は市場縮小に伴う競争激化が予想され、強みを磨き違いを作り出せるかが問われそうだ。
20年4―6月期の7社合計の世界販売台数は前年同期比約4割減少した。合計の世界生産台数は同約6割減となり、需要の急減と共に各国での生産調整も収益を圧迫した。
こうした厳しい環境で1500億円を超える当期黒字(国際会計基準)を確保したのがトヨタ自動車だ。20年4―6月期の営業利益は同98・1%減の139億円。コロナ禍による販売減で8100億円の大幅減益となったが、諸経費の低減などで黒字を実現した。
中でも8000億円超のコロナ影響を吸収した要因を同社は「これまで積み重ねた地道な体質強化の成果」と分析する。例えば高岡工場(愛知県豊田市)では、塗装工程で使う溶剤の粘度を下げて容器のパックから出しやすくし、その容器を一晩つるして最後まで使い切ることで、車両1台当たり0・025円の改善を実現した。こうした細かい積み重ねにより、同ラインだけで昨年と比べ1台当たり6000円以上もの改善効果を上げた。
〇国内外で販売が堅調なトヨタのSUV「RAV4」
一方、設計変更といったサプライヤーなどと取り組む原価改善は、営業利益段階で前年同期比約3割減の100億円に留め、仕入れ先にも配慮する。豊田章男社長が5月の会見で「人はコストではなく、改善の源であり、モノづくりを成長発展させる原動力」とした人材へのこだわりがにじむ決算内容となった。車業界が専門のアナリストは「厳しい減産局面でも収益を確保し、安定的に将来投資を継続できる強みは大きい」と評価する。
スズキも20年4―6月期に当期黒字を確保。世界販売は前年同期比64・3%減と7社で最大の下げ幅となり、主要市場のインドでは同8割を超える減少となった。営業利益は同97・9%減の12億円。販売減の影響で1319億円の減益となる中、諸経費の削減で525億円の増益を確保して収益力を示した。
ホンダは20年4―6月期の当期損益(国際会計基準)が808億円の赤字(前年同期は1723億円の黒字)に転落した。しかし2輪事業はインド市場の低迷などで世界販売台数が同62・3%減と急減する中、営業利益は同84・0%減の112億円と黒字を確保した。4輪事業の1958億円の営業赤字は補えなかったが、竹内弘平専務は収益性の高い2輪事業で7月以降にコロナ影響が縮小してくれば「業績を引っ張っていく」とみる。
21年3月期連結業績予想は、インドでの新型コロナの感染動向が不透明なため「未定」としたスズキを除き5社が新たに公表した。5月に唯一見通しを示したトヨタは、販売の回復ペースを20年7―9月期が前年同期比約15%減、10―12月期が同約5%減、21年1―3月期が同約5%増と予想。20年4―6月期は同約40%減と想定したが、同31%減にとどまった。各社とも地域差はあるが、期末に向けた回復傾向との見方では一致する。
〇世界販売、回復に時間
英国調査会社のLMCオートモーティブは20年暦年の世界の新車販売台数を前年比21%減の7107万台と予想。21年は同15%増の8153万台、22年は同8%増の8809万台に回復するが、9000万台を超えていた19年の水準には届かないと予想する。
こうした見通しから、中期では需要の縮小に伴う競争の激化が見込まれ、電動化や自動運転など「CASE」と呼ばれる次世代車の開発負担も重くのしかかる。ただ各社はコロナ禍による厳しい事業局面でも設備や研究開発への投資を継続し、将来の成長を見すえながら、強みを伸ばして生き残りを図る。
〇日産は中核市場の米国向け新型SUV「ローグ」の生産を始めた
日産自動車は21年3月期に2年連続で6000億円を超える巨額の当期赤字を見込む。業績立て直しに向け工場閉鎖などで固定費削減に取り組み、販売では過度に台数を追わず質の向上を追求。固定費は21年3月期末までに3000億円削減する取り組みを着実に進める。また米国では企業向けなどの「フリート販売」の比率を減らし、1台当たりの売上高を前年と比べ約7万円改善した。
こうした構造改革に取り組む一方、日産のアシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は「新型車と新技術への投資を続け、持続的な成長を実現する」と強調。中核市場の米国向けでは最量販車種のスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」の新型車の生産を6月に開始し、日本では独自のハイブリッドシステム「eパワー」を搭載した小型SUV「キックス」を投入した。キックスは6月末の発売から約1カ月で1万台を超える受注を獲得し、強みを打ち出した戦略が成果を上げる。
SUBARU(スバル)は20年4―6月期の営業損益(国際会計基準)が赤字となったが、岡田稔明専務執行役員は「7―9月期には黒字に転換したい」との考えを示す。回復の根拠となるのが5、6月のシェアが過去最高を更新した米国事業だ。野村証券の桾本将隆リサーチアナリストは同社の北米事業を「高収入・高学歴の顧客が中心で、米国の労働市場が悪化する中でも、相対的に販売の落ち込みが小さい点が魅力」と評価する。
マツダは21年3月期に米国と中国で前期を上回る販売を計画。米国ではこれまで販売店舗を改革し、4月に販売金融をトヨタ系のサービスに変更した。投資の成果などで5、6月は全需を上回る販売を実現。丸本明社長は「こうした活動をグローバルに展開し、少しでも多くの販売を重ねてきたい」と述べる。中国ではホンダが7月に4輪車で過去最高の販売を記録するなど市場が回復。倉石誠司副社長は新車種投入も踏まえ「暦年で前年同等、年度では前年を超える販売を目指したい」と意気込む。
21年3月期に構造改革費用の計上などで3600億円の当期赤字を見込む三菱自動車は、強みの東南アジア市場に経営資源を集中する。東南アジア向け製品を南アジアや南米などにも展開し、「第2の柱を立ち上げる」と中長期での成長を見すえる。
- 2020年9月16日
-
- 2020年9月15日
-
日系自動車メーカー各社が電気自動車(EV)に本腰を入れている。日産自動車が新型EVを2021年に日本や欧州、中国などで販売するほか、トヨタ自動車は4月に高級車ブランド「レクサス」で初となるEVを中国で発売。ホンダやマツダは年内に欧州市場へ投入する。欧州や中国などでの環境規制の厳格化を受け、EVは今後も市場が拡大する見通し。同分野では米テスラを筆頭に欧州大手や中国メーカーも触手を伸ばしており、心臓部である車載電池の確保を含め、世界的な競争激化が見込まれる。
「環境規制」厳格化
日産自動車が新型EVとして約10年ぶりに発売するSUVタイプ「アリア」と内田社長
【10年ぶりに刷新】
日産のアリアはスポーツ多目的車(SUV)タイプのEVで、10年に発売した「リーフ」以来約10年ぶりの新型モデルとなる。フル充電からの航続距離は最大610キロメートルと、リーフの最上級モデルに比べて30%以上伸びる。補助金を含めた実質価格は500万円からと、テスラに引けを取らない価格競争力を実現した。
先進の運転支援技術も惜しみなく盛り込んだ。高速道路の同一車線内でハンドルから手を離した状態で運転できる「プロパイロット2・0」を搭載。準天頂衛星システムを活用して自車の位置を高精度に把握でき、運転支援の質を高めた。日産の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は「アリアには日産の魅力がすべて詰まっている。日産の歴史の新たな扉を開くモデルだ」と期待をかける。
トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」で初となるEV「UX300e」
トヨタは4月下旬に中国でレクサスのEVモデル「UX300e」を発売した。大容量電池の床下配置により、低重心化と航続距離400キロメートルを達成した。SUV「UX」をベースとし、最高出力は150キロワット、電池容量は54・3キロワット時。今夏にも欧州市場に投入し、日本では21年前半に販売を始める。レクサスと同時期に小型SUV「C―HR/イゾア」のEVモデルも中国で発売した。
トヨタは環境規制の高まりなどを受け、30年に550万台以上としていた電動車の販売目標を5年前倒しした。EVでは20年代前半には10車種以上を品ぞろえする構えだ。トヨタの寺師茂樹取締役は「世界各地で二酸化炭素(CO2)排出削減に向けて、電動車両への期待が高まっている。我々もこれに応えるべく準備を急ぐ必要がある」と強調する。
このほか、ホンダとマツダは自社初となる量産型EVを年内に欧州で発売し、日本にも投入する計画。ホンダは米ゼネラル・モーターズ(GM)とEV2車種の共同開発にも乗り出す。SUBARU(スバル)はトヨタと組んで中・小型EV向け専用車台の開発を推進。スズキはインドでEVのコンセプトモデルを世界初公開した。
米テスラが世界けん引
【“全方位”で展開】
富士経済によると、2035年のEVの世界販売台数は、19年比11・8倍の1969万台。ハイブリッド車(HV)の販売を2倍以上、上回ると予測する。20年から段階的にCO2排出規制が強化されている欧州、補助金や環境規制の厳格化が進む中国が需要をけん引するとみられる。
EV市場を主導するのは販売で世界首位を堅持するテスラだ。17年に投入した廉価車「モデル3」を中心に販売攻勢をかけ、19年は約37万台を販売。2位以下の中国・北京汽車集団や比亜迪(BYD)、ルノー・日産・三菱自動車連合を大きく引き離している。
生産能力の増強も加速。19年に中国・上海で新車両工場を稼働し、21年に欧州初となる車両工場をドイツに新設する計画。総生産能力は近く100万台に到達する見通しだ。
半面、トヨタ幹部が「電動車の本命がどうなるかまだ分からない」と指摘するように、当面はHVやプラグインハイブリッド車(PHV)などを含めた全方位の戦略が定石となりそう。コスト負担の軽減に向けた協業や提携も加速するとみられ、電動車市場の動向から目が離せない。
調達先多様化急ぐ
電池は電動車の競争力を大きく左右する(パナソニックのリチウムイオン電池)
【連携を活発化】
日系自動車メーカーはEVなど電動車の電池調達先を多様化している。電動車の心臓部である電池は電動車の品質など競争力を大きく左右する。安定的な調達は事業成長に欠かせないことから、トヨタやホンダ、日産は中国の電池メーカーなどと新たな協業に相次いで乗り出すなど連携を活発化している。
環境規制などの変化を受け、自動車各社は販売目標などを設けて電動車拡充を進める。電動車の拡大とともに電池市場も広がりを見せる。富士経済の調査では、35年に自動車向け駆動用二次電池の世界市場が19年比7・4倍の19兆7185億円に達すると予測する。
自動車メーカーは電動車需要の急拡大を見据え、電池が不足する事態に備えて調達先を増やしている。トヨタは長年組んできたパナソニックに加え、車載電池世界大手の中国の寧徳時代新能源科技(CATL)や東芝、GSユアサなどに調達先を広げた。
例えば、GSユアサのリチウムイオン電池は、トヨタが6月に発売した新型SUV「ハリアー」のHVに初めて搭載された。GSユアサとホンダが出資するブルーエナジー(京都市南区)で製造する電池を採用した。
一方のホンダも新たな調達先を開拓する。米GMなどと、地域や車種ごとに電池の安定確保へ向けた取り組みを進めてきたが、CATLに1%を出資して資本提携した。ホンダの倉石誠司副社長は「高い技術力を持ったトップサプライヤーで、ホンダの電動化戦略を実現するために強いパートナーシップが必要だ」と意図を説明する。
CATLとの資本関係に踏み込むことで一層の電池の安定確保につなげる。ホンダが中国で生産するEV向けに22年をめどに電池の供給を受ける予定だ。中国以外で展開予定のEVなどへの搭載も検討するほか、研究開発やリサイクルなどの面でも協力する。
リーフで日本勢を先行していた日産は、中国のリチウムイオン電池メーカーのサンウォダ・エレクトリック・ビークル・バッテリーと、独自HVシステム「eパワー」向け次世代型電池の共同開発について検討を始めた。電動車の拡販を見据え、新たな供給先を追加する考えだ。日産は、EV向けなどに電池を納入してきたエンビジョンAESCグループだけではなく、CATLからの採用も増やしている。
- 2020年9月15日
-
- 2020年9月14日
-
乗用車7社の2020年4―6月期連結決算が6日出そろい、トヨタ自動車とスズキを除く5社が当期赤字となった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う新車販売台数の急減が各社の利益を圧迫した。トヨタ以外未定としていた21年3月期連結業績予想は、5社が公表。期末に向けた需要回復と収益改善策の徹底などで、トヨタ、ホンダ、SUBARU(スバル)の3社が当期黒字の確保を見込む。(総合1参照)
20年4―6月期の7社合計の世界販売台数は、前年同期比約4割減と大幅に落ち込んだ。中国で回復傾向が見られたが、その他の市場は低迷した。こうした販売減が響き、営業損益は5社が赤字となった。黒字を確保したトヨタは営業利益段階での750億円の諸経費低減努力や「これまでの地道な体質強化策の結果」(同社)も寄与したと分析している。
21年3月期の業績予想は、インドでのコロナ感染動向が不透明なため「未定」としたスズキを除く5社が公表した。新車需要は20年4―6月期を底に期末に向け回復傾向が続くとの予想が多く、地域差はあるが販売回復を見込む。ホンダの倉石誠司副社長はコロナの第2波の影響予測は難しいが、「今のような状況が続けばそれほど大きく悪化しない」との見通しを示す。
日産自動車と三菱自動車は、構造改革関連費用の計上などで巨額の当期損失を予想。日産の内田誠社長は「固定費を20年度末までに18年度比3000億円削減する目標は計画通り」とし、事業規模の最適化を急ぐ。
- 2020年9月14日
-
- 2020年9月11日
-
三菱重工工作機械は、ロボット用精密減速機の歯車製造に対応したホブ盤とギアシェーパーを開発し、「FRシリーズ」として発売した。高精度小モジュール歯車の加工に最適な機械構造を採用したことで、高精度・高能率生産を実現する。2021年3月期中にシリーズ全体で5台の販売を目指す。
ホブ盤は、主軸とテーブル軸にダイレクト・ドライブ(DD)駆動方式のモーターなどを搭載し、単一ピッチ誤差を1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以内に抑えられる。毎分最大8000回転の高速加工により、加工時間を同社製の自動車向け従来機種と比べて3分の1に短縮できる。直径150ミリメートルまでの加工対象物(ワーク)に対応する。価格は4200万円から(消費税抜き)。
ギアシェーパーは、基幹部品のカッターヘッドとテーブルに高精度ウォームホイールを採用するなどして、歯車加工の精度クラスを自動車向け従来機種比で2段階高めた。価格は5000万円から(同)。
近年、産業用ロボットや生活支援ロボットの市場拡大に伴い、ロボットの関節部に使われる精密減速機内部の高精度小モジュール歯車の需要が急増している。同社は小モジュールに特化した歯車工作機械の投入で市場を深耕する。
- 2020年9月11日
-
- 2020年9月10日
-
日本ニューマチック工業は、粉体の種類ごとに使い分ける粉体関連機器向けの粉体用洗浄液2種類を発売した。同社の機器を導入した顧客が粉体原料を入れ替える際などに、機器を傷付けずに洗浄できる。装置メーカーのNPKにとって初の洗浄液投入となる。今後3年間で2種計15トンの販売を目指す。
洗浄液は、粉体製造プラントや粉体プロセス機器などを手がける名張工場を主要拠点とする化工機部で扱う。粉体用洗浄液「ニューマ・ゼロAL」はアルカリ性で、メタケイ酸ソーダなどが成分。容量は20リットルで価格は4万5000円(消費税抜き)。主に金属系の粉体用洗浄液「同AC」は酸性で、塩化水素水溶液などが成分。容量は19リットルで価格は8万7400円(同)。
各洗浄液は研磨剤が含まれていない。超音波洗浄機を併用し、簡単なブラッシングで汚れを除去できる。従来のような“こすり洗い”を抑えることで粉体関連機器の接粉面を傷つけにくい。
粉体機器の高機能化が進む中、取り扱う粒子も小粒径化が進み、数百ナノメートル(ナノは10億分の1)級の原料の取り扱いが増えている。NPKは粉体機器を自社製造しており、部品材料や金属、樹脂などの乾粉処理の洗浄時データを取得。洗浄液が粉体原料の試験などの後、効果的に機器洗浄できることを確認した。
NPKは1916年創業。建設機械に取り付けるアタッチメントなどを手がける建機事業やグラインダーなどのエアーツールを扱う空機事業などの事業部門も持つ。
20年3月期売上高は100億円程度で建機事業が約70%、残りの30%は空機と粉体で二分する。
- 2020年9月10日
-
- 2020年9月9日
-
オーエスジーは、Aブランドの非鉄用DLCエンドミルを発売した。
DLCコーティングを採用し、表面の平滑性により、耐溶着性や潤滑性が求められるアルミニウム合金などの非鉄金属の加工に抜群の威力を発揮する。加工ニーズにあわせた3タイプを用意した。
「非鉄用DLC超硬エンドミル スタンダードタイプ」ショート形“AE‐TS‐N”とロング形“AE‐TL‐N”の表面には、母材への密着性が高く、薄膜タイプで鋭い切れ味と高い耐溶着性を発揮する「DLC‐SUPER HARDコーティング」を採用。剛性と切りくず排出性を両立する新溝フォームを採用し、剛性と切れ味を両立する刃先仕様とした。
「非鉄用DLC超硬エンドミル 高機能タイプ」ショート形“AE‐VTS‐N”の表面には、厚膜タイプで刃先の摩耗を抑制し、工具の高い耐久性と長寿命化を実現するDLC‐IGUSS(アイグス)コーティングを採用した。不等リード、不等分割の採用でびびりを抑制し安定・高能率加工を、また、さらい刃仕様で高精度な加工面品位を実現している。
「スタンダードタイプ」「高機能タイプ」ともに芯厚を大きくすることで剛性を高め、びびりを抑制、底刃には中心刃が採用され、突込み切削ができる。「高機能タイプ」は中心をつなぐ3枚の切れ刃で、中心付近の切れ刃にかかる切削負荷が均等化され、安定かつ高速回転での加工が可能になる。
また、ヘッド交換式エンドミルPXMに非鉄金属対応ヘッド「PXAL」も追加した。さらい刃、大きな芯厚、中心刃付きで、非鉄金属に適した材種「XP4625」と「DLC‐IGUSSコーティング」を採用している。
ニュースソース:日本産機新聞(https://nihonsanki-shimbun.com/)
- 2020年9月9日
-
- 2020年9月8日
-
OSGは超硬リーマやハイスリーマを主力とする精密切削工具メーカー、エフ・ピー・ツールを買収した。出資比率を22・8%から全額出資として完全子会社化した。今後、両社の商品力や研究開発力を融合し相乗効果を追求する。OSGは切削工具や加工方法の総合的な提案を目指して積極的なM&A(合併・買収)を展開しており、今回もこの一環。
エフ・ピー・ツールは主に自動車向けのコネクターやノズル、センサー、半導体などを加工する高品質、高性能な小径リーマの専門メーカー。以前から後継者問題で株式譲渡を検討していた。OSGはこのほど全株式を取得し、従業員約80人も引き継いだ。買収額は非公表。
エフ・ピー・ツールの2019年9月期の売上高は約11億円。OSGが同社製リーマにコーティングを施すなど協業はすでに始まっており、19年春には新工場も建設した。今後、開発や営業面でも連携を深めていく。
OSGは欧米でも積極的なM&Aを展開し、次世代自動車関連など将来を見据えた工具の品ぞろえの強化と新規販路の開拓を加速させている。
- 2020年9月8日
-
- 2020年9月7日
-
日本機械工具工業会がまとめた5月の機械工具生産動態調査によると、切削工具の生産額は前年同月比35・9%減の246億1100万円で、13カ月連続の減少となった。販売額は同36・0%減の244億6800万円で、14カ月連続の減少。販売額に占める輸出額は同36・9%減の88億100万円だった。新型コロナウイルスの感染拡大による顧客の設備投資減退が響き、すべての材種で生産、販売ともに大きく落ち込んだ。
主な品目別販売額は、ドリルが同30・9%減の37億2800万円、エンドミルが同34・7%減の31億2600万円、ネジ加工工具が同37・1%減の24億200万円、インサート(刃先交換チップ)が同39・3%減の101億4800万円。
材種別販売額で見ると、特殊鋼工具が同33・3%減の53億1700万円、超硬工具が同34・2%減の187億8400万円、ダイヤモンド・立方晶窒化ホウ素(CBN)が同44・7%減の14億8600万円だった。
また、切削工具に耐摩耗工具と鉱山土木工具を加えた機械工具の総計は、生産が同34・7%減の278億5000万円、販売が同34・5%減の278億7200万円だった。
- 2020年9月7日
-
- 2020年9月4日
-
日本工作機械工業会が発表した2020年1―6月の工作機械受注実績は、前年同期比39・9%減の4100億2000万円だった。1―6月として5000億円を割り込むのは10年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大による経済の停滞や先行き不安の増大の影響などにより、国内外で需要が大きく落ち込んだ。
内需は前年同期比40・5%減の1585億3200万円で、1―6月ベースでは7年ぶりに2000億円を下回った。業種別では全11業種で減少したが、その中でも特に自動車と航空機・造船・輸送用機械の落ち込みが顕著だ。
外需は同39・5%減の2514億8800万円で、1―6月ベースでは11年ぶりの3000億円割れ。アジア、欧州、北米の主要3極すべてで減少し、それぞれリーマン・ショック後の09―10年の水準まで落ち込んだ。
6月単月の受注総額は前年同月比32・1%減の671億9000万円と、3カ月ぶりに600億円を上回った。ただ、6月としては11年ぶりに700億円を下回っており、日工会の飯村幸生会長(芝浦機械会長)は「全体的に厳しい状況は続いている」とした。
業種別では電気機械と官公需・学校を除く全業種で減少。電気機械は、パソコン用半導体需要の増加や前年同月が半導体メモリーの在庫調整期だったことの反動により、同83・2%増だった。
国・地域別では、中国が28カ月ぶりに増加に転じ、「製造業の正常化という点で、中国が一番早く戻った」(稲葉善治日工会副会長〈ファナック会長〉)形だ。欧州や米国も前年同月比はいまだ減少ながらも、前月比で見ると欧州が2カ月連続、米国が6カ月ぶりの増加となった。
前月比で見た場合の6月の受注総額は3カ月ぶりの増加に転じたものの、コロナ禍の行動制限で商談が止まっていた案件の成約が多い。そのため、飯村会長は「6月を反転のトリガーと判断するのは、まだ早い」と慎重な見方を示した。
- 2020年9月4日