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- 2020年9月4日
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日本工作機械工業会が発表した2020年1―6月の工作機械受注実績は、前年同期比39・9%減の4100億2000万円だった。1―6月として5000億円を割り込むのは10年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大による経済の停滞や先行き不安の増大の影響などにより、国内外で需要が大きく落ち込んだ。
内需は前年同期比40・5%減の1585億3200万円で、1―6月ベースでは7年ぶりに2000億円を下回った。業種別では全11業種で減少したが、その中でも特に自動車と航空機・造船・輸送用機械の落ち込みが顕著だ。
外需は同39・5%減の2514億8800万円で、1―6月ベースでは11年ぶりの3000億円割れ。アジア、欧州、北米の主要3極すべてで減少し、それぞれリーマン・ショック後の09―10年の水準まで落ち込んだ。
6月単月の受注総額は前年同月比32・1%減の671億9000万円と、3カ月ぶりに600億円を上回った。ただ、6月としては11年ぶりに700億円を下回っており、日工会の飯村幸生会長(芝浦機械会長)は「全体的に厳しい状況は続いている」とした。
業種別では電気機械と官公需・学校を除く全業種で減少。電気機械は、パソコン用半導体需要の増加や前年同月が半導体メモリーの在庫調整期だったことの反動により、同83・2%増だった。
国・地域別では、中国が28カ月ぶりに増加に転じ、「製造業の正常化という点で、中国が一番早く戻った」(稲葉善治日工会副会長〈ファナック会長〉)形だ。欧州や米国も前年同月比はいまだ減少ながらも、前月比で見ると欧州が2カ月連続、米国が6カ月ぶりの増加となった。
前月比で見た場合の6月の受注総額は3カ月ぶりの増加に転じたものの、コロナ禍の行動制限で商談が止まっていた案件の成約が多い。そのため、飯村会長は「6月を反転のトリガーと判断するのは、まだ早い」と慎重な見方を示した。
- 2020年9月4日
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- 2020年9月2日
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日本精密機械工業会がまとめた2020年4―6月期の小型工作機械受注実績は、前年同期比38・5%減の177億6691万円で、7四半期連続で前年同期実績を下回った。新型コロナウイルスの感染拡大により、自動車産業を中心に顧客の設備投資が冷え込み、営業活動も制約を受けた。
200億円を割り込むのは2四半期連続。4―6月期ベースで比較すると、リーマン・ショック後の09年4―6月期(57億2600万円)に次ぐ低水準となった。中国は回復の兆しが見えるものの、他国の経済活動や米中貿易摩擦の懸念から、今後も先行き不透明な状況が続きそうだ。
機種別では、合計金額の約5割を占める数値制御(NC)小型旋盤が同33・6%減の92億17万円。うち輸出は同22・0%減の76億7216万円だった。輸出比率は同12・4ポイント上昇し、83・4%だった。
NC小型研削盤が同67・4%減の8億3501万円、小型マシニングセンター(MC)が同64・3%減の8億134万円と、それぞれ大幅に落ち込んだ。一方、NC小型フライス盤は同35・6%増の9億4926万円。NC小型工作機械全体では、同39・2%減の144億5667万円となった。
また非NC機を含む輸出総額は、同24・7%減の116億8040万円。輸出比率は同12・0ポイント上昇の65・7%だった。
- 2020年9月2日
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- 2020年9月1日
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財務省が発表した2020年上期(1―6月期)の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆2395億円の赤字(前年同期は8963億円の赤字)だった。
新型コロナウイルス感染症の影響により、米国向けの自動車・自動車部品の輸出が減少したことなどが響いた。中国向け輸出は前年同期比3・6%減の6兆7765億円となり、3期連続のマイナスとなった。
1―6月期は輸出額が3期連続で減少し、同15・4%減の32兆3642億円と、上期としてはリーマン・ショック後の09年(42・7%減)以来の減少幅となった。米国向けは自動車のほか、航空機用エンジン部品も落ち込んだ。輸入額も3期連続の減少となり、同11・6%減の34兆6038億円だった。資源価格の下落を受け、原粗油や液化天然ガス(LNG)などの輸入金額が減った。
地域別では、対中貿易収支が1兆7030億円の赤字(前年同期は2兆556億円の赤字)となり、赤字幅は縮小した。対米貿易収支は同49・3%減となる1兆7510億円の黒字で、2期連続の減少。米国からの輸入は航空機エンジンや原粗油、飼料用トウモロコシなどの穀物類がマイナスとなった。対欧州連合(EU)の貿易収支は7299億円の赤字だった。
同日発表した6月の貿易収支は2688億円の赤字で、3カ月連続の赤字となった。輸出は前年同月比26・2%減の4兆8620億円と19カ月連続の減少となった。輸入は同14・4%減の5兆1309億円で14カ月連続の減少。国別では中国向けの輸出が同0・2%減の1兆2430億円と、単月でほぼ前年並みまで回復した。
- 2020年9月1日
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- 2020年8月27日
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ジェイテクトは、研削盤とギアスカイビング加工機の加工テストをコンピューター上で完結できる「自動設計システム」を開発し、商談に活用し始めた。加工対象物(ワーク)の仕様を入力するだけで、加工時間や精度を数分で確認できる。工具の特注などに2カ月以上かかる実加工のテストが不要となり、同等の信頼性も確認済み。商談や納期を短縮できる。同様のシステムによる商談は業界でも珍しい。
パソコンでワークの基本形を選びエクセルで仕様を入力する。例えば歯車を加工するギアスカイビング加工機では内歯、平歯などを選び、歯数や径、厚さなどを入力。これを刈谷工場(愛知県刈谷市)のサーバーに送ると、システムが最適なチャックや工具を自動で設計し加工テストをする。データ量を落とした結果をパソコンで確認し、動画ソフトで動作を閲覧する。
開発に1年を費やした。コンピューター利用解析(CAE)のシミュレーションモデルに、実加工データを加えて補正し信頼性を高めた。今後、国内外で商談や打ち合わせに活用する。新型コロナウイルス感染防止などの観点で遠隔のやりとりにも使用。顧客の了解を得ながら「実加工テストゼロ」の実現を図る。
一般的に加工テストは、工作機械の商談の際、品質や生産性を確認するために行う。ジェイテクトが得意な円筒研削盤やカム研削盤、ギアスカイビング加工機は、マシニングセンター(MC)や旋盤に比べて要求精度が高く、チャックや工具も特注のため加工テストは必須だった。
一方、加工テストは時間やコストがかかる上、顧客が現場に立ち会うのが一般的なため、コロナ禍によりデジタル化を模索する工作機械メーカーが増えている。ジェイテクトの自動設計システムは条件を変えたテストもその場で対応できる。メーカー、顧客双方に利点がある営業ツールとして注目されそうだ。
- 2020年8月27日
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- 2020年8月26日
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日刊工業新聞社がまとめた1―6月の工作機械主要7社の受注実績は、前年同期比42・8%減の1193億8500万円だった。米中貿易摩擦や自動車産業の低迷で需要が減退していたところに、1月以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響が重なり、全社が国内、海外ともに前年割れとなった。ただ、中国市場の回復や国内外での営業活動再開を理由に、6月単月では前月比で増加に転じた企業も多く、今後の受注環境の好転が期待される。
オークマの6月は前月比10・4%増。特に国内が半導体製造装置向けなど中・大型加工機の大型案件を受注したことで同36・4%増となった。牧野フライス製作所も、中国での自動車関連や金型向けに受注が増え、全体で同5・3%増となった。ジェイテクト(前月比4・3%増)やツガミ(同10・1%増)なども増加となった。
1―6月で見ると、海外需要の落ち込みが国内と比べて大きかった。特に欧米は、自動車や航空機産業の低迷などから厳しい状況が続いている。ジェイテクトの広報担当者は、北米市場について「自動車が戻りつつあるが、州間の移動規制などはしばらく続くとみられ、回復に時間を要する」と見る。
一方、中国市場は回復傾向が続く。三菱重工工作機械は6月に中国向け受注が増えたほか、足元でも大型案件の商談が出てきているという。牧野フライス製作所は「6月の受注が、前年度の4―6月期の平均並みに戻ってきている」と話す。
7社の6月単月の受注実績は前年同月比44・5%減の173億4000万円となり、19カ月連続で前年実績を下回った。今後も中国を中心に市況回復が期待されるが、大手メーカー幹部は「欧米の長期休暇が終わる9月ころから、どう動くかがポイントでは」と見る。
- 2020年8月26日
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- 2020年8月24日
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日本工作機械工業会が発表した1―6月の工作機械受注額(速報値)は、前年同期比39・9%減の4100億6400万円だった。1―6月では2年連続の減少で、リーマン・ショック後の2009年に次ぐ低水準。米中貿易摩擦などの影響に新型コロナウイルスの感染拡大が重なり、需要減退に拍車がかかった。内需は同40・5%減の1585億3900万円、外需は同39・5%減の2515億2500万円で、ともに1―6月では2年連続の減少。
6月単月の受注実績は前年同月比32・0%減の672億3400万円。21カ月連続の前年割れとなったが、3カ月ぶりに600億円を超えた。内需は同38・0%減の233億6900万円、外需は同28・4%減の438億6500万円だった。
- 2020年8月24日
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- 2020年8月19日
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第一工業は、樹脂製品に埋め込んで使用するボルト「高トルク対応型圧入式インサートボルト(SSOOボルト)」を発売した。締め付け強度は一般的なインサートボルトの1・5―2倍。高いトルクで締め付けても、埋め込む部分にある八角形の特殊形状が空回りを防ぎ、樹脂を破損から守るため、樹脂製品のボルト締めが可能。部品の樹脂化で軽量化を進める自動車メーカーなどに売り込む。
第一工業は樹脂に埋め込んで使用するナットをすでに販売しており、ボルトでも需要があるとみて開発した。同社の実験によると、八角形の特殊形状を持つナットでは、一般的なローレットタイプと比べて回りトルクが86%、抜けにくさを示す抜け荷重は18%向上。ナットの実験データと実績があるため同ボルトの性能は実証済み。
高トルク対応は、ネジ類の小型化や本数削減につながり、部品点数削減や軽量化にも貢献できる。同ボルトは成形前に金型に入れておき樹脂を流し込むインサート方式と、成形後に圧入で埋め込むアウトサート方式のどちらにも使用できる。
同社は09年にナットを樹脂などに埋め込む「SSOIナット」を、17年に量産に適した生産性の高いアウトサート方式の「SSOOナット」を発売した。今後も高トルクに耐え、樹脂を破損しないナットとボルトで樹脂部品締結の需要を取り込んでいく。
- 2020年8月19日
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- 2020年8月18日
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フルタ電機は、工場内送風機「フォローウインドFW2」シリーズの新機種を発売した。30ワットの電力で風速1メートルの風を16メートル先まで送風できる。消費税抜きの価格は三相200ボルト仕様が7万円、単相100ボルト仕様と新設定の同200ボルト仕様は7万1000円。
暑熱対策のスポット送風のほか、屋上扇や集塵機に向けた送風、環境に配慮した場所への連続送風などの用途を想定する。新製品は騒音値52デシベルと静かで、天井スペースの問題などでダクト配管が難しい環境でもスポット送風を実現する。
工場内送風機で遠方まで風を送るには大出力の送風機を使うことが多い。新製品は省エネルギー化と送風音の低減を求める現場のニーズに応えて開発した。
- 2020年8月18日
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- 2020年8月17日
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TANOIは、歯科機器部品や自動車向け精密部品の生産を効率化する。年内に電解バリ取り機を初めて導入し、これまで人手に頼っていた円筒形部品のバリ取りを自動化する。同部品の生産能力を現行の月産約3000個から同1万個超に高める。量産体制を強化し受注増を狙う。
約1800万円を投じ、本社工場にアクリテック製の電解バリ取り装置を2台導入する。同装置は加工対象物(ワーク)を治具電極に固定して電解液に浸し、電解現象を制御することで厚さが0・05ミリメートルほどの微細なバリを短時間で取り除く。
円筒形部品の交差穴や内面段付き部などに生じるバリの除去に活用する。TANOIで治具を内製し、1回で最大5個の部品のバリを約20秒で除去できるようにする。
現在、精密部品は本社工場とベトナム拠点で量産し、仕上げ加工は本社工場で行っている。微細なバリの除去は特別な技術が必要で継承が難しく、人手による作業時間は部品1個当たり1分ほど要していた。
田野井社長は「社内で仕上げ加工ができる技術者は少ない。後工程で問題が起きると量産が止まるリスクがあった」と明かす。導入後は複数の部品形状に対応するための治具を製作し、多台持ちで運用するなど生産性向上に取り組む。
- 2020年8月17日
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- 2020年8月12日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽協)が発表した2020年上期(1―6月)の車名別新車販売によると、ホンダの軽自動車「N―BOX」が前年同期比22・7%減の10万1454台と大幅に落ちたものの、登録車を含めた全体で4年連続の首位となった。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う需要減退があったが、2位はスズキの軽「スペーシア」、3位はダイハツ工業の軽「タント」と軽の強さを印象づけた。トヨタ自動車が19年11月に発売した4位の小型スポーツ多目的車(SUV)「ライズ」が軽を除く登録車で首位を獲得した。前年同期に登録車で首位となったトヨタの「プリウス」は16位だった。
6月単月では1位がホンダの「N―BOX」、2位がトヨタの「ライズ」、3位がスズキの「スペーシア」だった。
- 2020年8月12日
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- 2020年8月11日
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DMG森精機は、伊賀事業所内の展示施設をフルコンピューターグラフィックス(CG)で再現した「デジタルツインショールーム」を公開した。360度のパノラマビューにより、実際の施設を歩くような感覚で工作機械の外観や加工イメージなどを閲覧できる。24時間いつでも気軽に訪問できる体制により、顧客に最適な機械・技術を訴求する。
4K画質による鮮明な映像に仕上げ、日本語版と英語版を同時公開した。制作費は約2000万円。5軸加工機や金属積層造形(AM)機など45機種のほか、自動化システムや工具などの周辺機器をデジタル化して展示しており、カタログのダウンロードや商品の購入が可能。オンラインセミナーにも申し込める。
また同ショールーム上で、機械と自動化技術などを融合したシステムソリューションの導入モデルを9月をめどに公開する。工具、ロボットメーカーとの共同展示会なども今後検討する。
DMG森精機は、ショールームをはじめとするデジタル化の取り組みを今後も拡充し「100%現場で行っていた仕事の7割をデジタルが担い、残りの部分は現場で行うように使い分けていきたい」(森雅彦社長)としている。
- 2020年8月11日
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- 2020年8月10日
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太陽工機は、本社工場内に研削技術研究所を開設した。総額約2億円を投じて最新の同社製研削盤を設置。新たな要素技術・加工技術を研究開発するほか、設備購入を検討するユーザーからのテスト加工の依頼などにも応じる。今後は月4―5件のテスト加工依頼に応じ、提案営業の強化につなげたい考えだ。
研究所は約230平方メートルのスペースに立型研削盤4台と横型研削盤2台を設置。効率的な研削技術の研究や、ユーザーの実機見学、テスト加工の受託などに対応する。同社社員の能力向上のための教育機関としても活用する。
ユーザーは事前に研削盤の加工精度を確認できるメリットがある。太陽工機にとっては納品までのリードタイムや、納品後の機械の立ち上がり時間を短縮する効果が見込める。
従来もテスト加工の要望は受けていたが、専用の研削盤がなかったため月1、2件の実施にとどまっていた。渡辺剛社長は「設備投資したくても(新型コロナウイルス感染症などで)先行き不透明感が強いため二の足を踏むユーザーが多い。研究所は加工精度の情報を事前に提供できるので、投資判断の一つの材料にしてほしい」としている。
- 2020年8月10日