-
- 2021年5月26日
-
日本工作機械工業会が発表した3月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比65・1%増の1278億7600万円で、5カ月連続の増加となった。中国を中心に外需が引き続き好調だったことに加えて、内需も28カ月ぶりに増加に転じた。1000億円超えは2カ月連続。2020年度累計はコロナ禍の影響で11年ぶりの1兆円割れとなったが、足元では受注水準が一段と高まっており、先行きに明るさが増している。
3月の受注額は、19年3月以来24カ月ぶりに1200億円を上回った。内需は需要回復傾向に年度末効果も加わったことで18カ月ぶりの400億円超えとなった。業種別では全11業種中9業種が増加。特に半導体製造装置関連の需要増により、一般機械が28カ月ぶりに増加へ転じ電気・精密も24カ月ぶりの45億円超え。また自動車が16カ月ぶりの100億円超え、鉄鋼・非鉄金属が14カ月ぶりの15億円超えとなった。
外需は5カ月連続の増加で、29カ月ぶりの800億円超え。需要をけん引するアジアは36カ月ぶりに500億円を上回るなど活況を呈している。特に中国は半導体や自動車関連向けの伸びと、コロナ禍で前年の経済活動が停滞した反動もあり、前年同月比3・3倍に拡大。過去3番目の受注額に達した。欧州は20カ月ぶりの140億円超え、北米も20カ月ぶりの200億円超えを果たすなど、回復の波が広がっている。
20年度累計は3年連続の減少。年度後半から中国向け需要が回復したものの、コロナ禍による国内外での需要減退が響いた。内需は2年連続の減少で、8年ぶりの4000億円割れ。外需は3年ぶりに増加へ転じたが、2年連続で7000億円を下回った。
- 2021年5月26日
-
- 2021年5月24日
-
DMG森精機は中国に新工場を建設する。2025年1月に稼働を始める予定。既存工場と合わせて現地生産能力を現在比約倍増の年間1000台に引き上げ、成長する中国市場を深耕する。中国ではコロナ禍からの経済回復が続き、幅広い業種で工作機械の需要が伸びている。他社でも中国市場の成長を見据えて設備投資の動きが広がっており、工作機械需要の潮目の変化が鮮明になってきた。
DMG森精機の新工場は天津工場(天津市)の隣接地に建設する予定。設備投資額は30億円規模と見られる。
現在の天津工場は13年10月に稼働を開始し、中国市場の戦略機である横型マシニングセンター(MC)「NHC」や立て型MC「CMX」を生産している。また、加工対象物(ワーク)を工作機械に自動搬入・搬出する「LPP」などの自動化システムの組み立ても担っている。
同社は、中国でのインフラ関連や半導体製造装置向けに工作機械の受注が伸び、20年12月期は全体受注額(2797億円)に占める中国比率は前期比2ポイント増の10%に拡大した。
天津工場はすでに22年2月まで受注残で埋まっている状況。現地では今後も自動車や半導体製造装置関連からの需要増加が見込めるため、工場増設により対応する。
工作機械市場は回復傾向が続いており、そのけん引役となっているのが中国市場だ。自動車をはじめ、スマートフォンやパソコンなどの電子機器、半導体製造装置、インフラ関連など多様な業種で需要が広がっている。
日本工作機械工業会によると、2月の中国向け受注額は前年同月比4・1倍の302億円と9カ月連続で増加した。2月は春節休暇の影響が含まれるものの18年4月以来34カ月ぶりの300億円超えとなり、外需全体に占める割合も4割を上回るなど、「需要の強さが浮き彫りとなった」格好だ。
中国政府が電気自動車(EV)の普及促進や半導体産業の育成による経済成長を目指す中で、今後も工作機械の需要も拡大が見込まれる。
DMG森精機の森雅彦社長は「中国市場は今後も伸びていく」と予想。製造業の発展とともに、「自動化・省人化ニーズが強まるはずだ」(シチズンマシナリーの中島圭一社長)という声もある。
中国の旺盛な需要に対応するため、業界では供給体制を強化する動きが相次いでいる。
- 2021年5月24日
-
- 2021年5月21日
-
日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要7社の2020年度の工作機械受注高は、前年度比15・8%減の2731億9200万円だった。20年初頭から新型コロナウイルス感染症が拡大し、製造業の設備投資が大幅に減退。工作機械メーカーも営業活動の自粛を強いられるなど、コロナ禍の影響が特に年度前半に色濃く表れた。ただ、足元では中国を中心に受注環境は改善しており、各社は今後も回復持続に期待を寄せる。
牧野フライス製作所は受注総額が435億円で、10年度以降では最も低かった。オークマは円高の長期化の影響などを受けた12年度以来、8年ぶりに1000億円を下回った。ただ同社は「コロナ禍で営業活動ができない期間などもあったものの、よくこの規模の減少でとどまったという印象」(マーケティング室)と捉える。
中国市場に強いツガミは、受注総額が唯一増加となった。中国で自動車を中心に幅広い業種からの需要を取り込んだ。
21年3月単月の受注額は前年同月比54・7%増の349億9400万円だった。20年半ば以降、需要をけん引してきた中国に加え、欧米などにも受注回復の流れが波及している。
オークマは中国向けが同約2倍となったほか、米国向けが航空機や自動車を中心に同4割増、欧州向けが自動車部品や油圧機器関連向けに同8割増に伸びた。ツガミとOKKは輸出が同2・8倍と大幅に増加。「中国が引き続き強く、欧米も(受注ペースが)上がってきた」(ツガミ幹部)という。芝浦機械の輸出は同69・9%増で、中国で風力発電向けに横中ぐり盤、スマートフォン関連向けに超精密機を受注したことが寄与した。
今後も新型コロナ感染の影響などが懸念されるものの、回復基調が続く見通しだ。オークマでは「製造業の設備投資は急激に落ちることなく、夏に向けて国内外ともに上がっていく」(マーケティング室)とみる。
- 2021年5月21日
-
- 2021年5月20日
-
キタムラ機械は、高精度微細加工機「マイセンター―スーパーマイクロン」を発売開始した。クロスレールと一体鋳造のダブルコラム構造を採用。コラムには独自開発の温度制御媒体を封入して、加工中の温度変化の影響を抑えた。半導体のほか、精密金型や医療、光学などの分野での利用を想定している。価格は2980万円(消費税抜き)。
テーブルサイズは400ミリ×500ミリメートル、各軸移動量(X軸×Y軸×Z軸)は450ミリ×350ミリ×300ミリメートル。テーブル積載重量は125キログラム。最高主軸回転数は毎分4万回転、工具収納本数18本。
集塵機や防塵構造を備え、グラファイト加工や微細加工時に発生する細かい切粉の処理にも対応。暖機運転をしないコールドスタートからの連続加工においても熱変位の影響を抑制し、1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)単位の安定した加工精度を実現した。
- 2021年5月20日
-
- 2021年5月19日
-
日本工作機械工業会(日工会)が発表した3月の工作機械受注額(速報値)は、前年同月比65・0%増の1278億2300万円で、5カ月連続の増加となった。1200億円を上回るのは2019年3月以来、24カ月ぶりだ。受注環境は昨年半ば以降、中国を中心に回復基調を続けている。ここに来て、その流れが欧米にも波及し、回復度合いが鮮明になっている。
総額が1000億円を上回るのは2カ月連続で、日工会では「内需、外需ともに良い方向に進んでいる」(調査企画部)と捉えている。
内需は同18・7%増の406億4700万円で、28カ月ぶりの増加に転じた。400億円を超えたのは19年9月以来、18カ月ぶり。年度末効果が寄与したとみられるが、「特定の業種・企業だけが良いわけではなく、市場全体で上がっている」(同)という。
外需は同2・0倍の871億7600万円で、5カ月連続の増加となった。800億円を上回ったのは、米中貿易摩擦の影響が出始めた18年10月以来、29カ月ぶり。中国だけでなく、欧米やインドなどほかの国・地域でも需要が増え始めており、外需の回復ペースを押し上げている。
今後もコロナ禍や米中関係の影響など懸念する点はあるものの、業界では「4月以降も回復基調が続く」(大手メーカー幹部)との声が聞かれる。
20年度の受注額は前年度比10・1%減の9884億3000万円で、3年連続の減少となった。1兆円を下回るのは11年ぶり。
内需は同27・0%減の3261億4800万円で、2年連続の減少となった。外需は同1・4%増の6622億8200万円で、2年連続の7000億円割れとなったものの、中国を含めたアジアの需要がけん引して3年ぶりの増加となった。
- 2021年5月19日
-
- 2021年5月18日
-
日本船舶輸出組合(JSEA)が発表した2020年度の輸出船受注量は、前年度比5・8%増の894万7320総トンと2年ぶりに前年実績を上回った。
新型コロナウイルス感染症の拡大により商談が停滞しているものの、21年1月以降は増加基調が続いた。受注隻数は177隻で、船種別の内訳は貨物船52隻、バラ積み船95隻、油送船29隻、その他1隻だった。ただ、コロナ禍の収束が見通せず、不透明な受注環境が続きそうだ。
21年1―3月期の受注量が前年同期比77・9%増の368万7890総トンと大幅に伸びたのが寄与した。受注隻数は78隻だった。一方、需要の持ち直しではなく、一過性の回復との見方も出ている。「コロナ禍の影響とともに、(船舶の)環境規制による発注の様子見の動きも出てきている」(JSEA)という。
20年度の船主系列別の契約実績(トン数ベース)では邦船系が86・0%、欧米系1・4%、ギリシャ系4・5%、その他8・1%だった。
20年度の通関実績は235隻、1016万2013総トンだった。これにより21年3月末の輸出船手持ち工事量は前年度末比13・0%減の1512万8290総トンとなった。減少幅は縮小しているが、韓国勢や中国勢が造船市場を席巻しており、日本勢は厳しい状況だ。
- 2021年5月18日
-
- 2021年5月17日
-
キタムラ機械は、同時5軸制御横型マシニングセンター(MC)「スーパーセル―800G」を発売した。傾斜軸中心と回転軸テーブル上面を直線上に配置した5軸原点共有構造で、パレット交換や工具交換のたびにする各種補正値の変更を不要にし、自動化を容易にして加工時間短縮と生産性向上を実現した。価格は8860万円(消費税抜き)。年間6台の販売を計画している。
フレキシブル生産システム(FMS)であるスーパーセルシリーズの上位機種で、航空機部品加工などでの利用を想定。パレットサイズは630ミリ×630ミリメートル。加工対象物(ワーク)の最大サイズは直径900ミリ×高さ700ミリメートル、最大積載重量は1200キログラム。主軸回転速度は毎分2万回転、工具収容本数は122本。
両端支持のトラニオンテーブル構造で高追従性と高品位な加工面を実現。切削能力を従来比で60%高め、毎分130回転の回転軸(C軸)による旋削加工での工程集約で生産性を高められる。21パレット仕様などのFMS対応や工具マガジン拡張ができ、生産状況の変化に応じて完全無人化対応の構築を可能にしている。
- 2021年5月17日
-
- 2021年5月14日
-
本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した2020年度の車名別新車販売は、トヨタ自動車の小型車「ヤリス」が首位だった。16年度のトヨタのハイブリッド車(HV)「プリウス」以来、登録車が4年ぶりに軽自動車から年間首位を奪還した。トヨタ車の首位も4年ぶり。3年連続トップだったホンダの軽自動車「N―BOX」は2位となった。
全体首位のヤリスは前年度比12・2倍の20万2652台。登録車の年度20万台超えは16年度のプリウス以来。ヤリスは20年2月発売で、好調な販売を維持した。
前年度は上位5車種のうち軽が全て占めたが、20年度は登録車でヤリスのほか、19年11月発売のトヨタ「ライズ」が5位に食い込んだ。2―4位の軽自動車勢は軒並み前年度比マイナスだった。
3月単月ではヤリスが7カ月連続で首位となり、2位はN―BOX。同車種は軽で16カ月連続で首位だった。
- 2021年5月14日
-
- 2021年5月13日
-
三菱マテリアルは炭素鋼・合金鋼加工向けソリッドドリル用の物理気相成長(PVD)コーテッド超硬材種「DP6020」を発売した。多積層コーティングの採用により、穴開けの高速・高能率加工時の耐摩耗性を高めた。価格は個別見積もりとなり、長さや太さなど形状により異なる。
多積層コーティングにより加工時の耐クラック(ひび割れ)性も高めた。またケイ素を添加したことで、被膜の硬さと酸化開始温度も大幅に向上させた。これにより被削材「S50C」の高速・高能率条件において、同社従来品比2倍以上の耐摩耗性を実現した。
近年、自動車部品の加工では高速・高能率化が主流となり、穴開けでも高速切削領域での加工が行われている。一方で強度が必要な部品のため、材料の鋼は靭性(じんせい)が一層高まっている。
- 2021年5月13日
-
- 2021年5月12日
-
日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した2020年度の新車販売台数は、前年度比7・6%減の465万6632台と2年連続でマイナスだった。500万台を切ったのは5年ぶり。新型コロナウイルス感染症の拡大による販売不振などが響いた。自動車メーカーは半導体不足で生産調整が続く。
20年度の登録車販売は同8・9%減の289万8884台で4年連続のマイナスだった。300万台割れは10年ぶり。小型乗用車は同10・3%減の109万2353台で4年連続のマイナスだった。人気車の新車効果の一巡などが要因。
軽自動車は同5・3%減の175万7748台で2年連続のマイナスだった。20年度下半期はスライドドア付きで車高が高い「スーパーハイトワゴン系車種」が人気だったが、新型コロナによる前半のマイナスを挽回できなかった。
3月の新車販売台数は前年同月比5・4%増の61万3003台だった。
今後については「新型コロナの感染状況や半導体不足の情報もあり情勢は複雑。見通しを立てられない状況」。
- 2021年5月12日
-
- 2021年5月11日
-
三菱マテリアルは、汎用超硬ソリッドドリル「TRISTARドリルシリーズ『DVAS』」に深穴加工用を追加し、発売した。ドリル径1ミリ―2・9ミリメートルの計84アイテムで、工具径のそれぞれ20倍、25倍、30倍、40倍、50倍の深さが加工できる。
価格は代表型番の「DVAS0100X20S040 DP1120」が3万690円(消費税込み)。
小径ドリルに最適化した独自クーラント穴形状により、クーラント吐出量を従来比2倍以上に増やし、切りくず排出性と切削熱の排熱性を高めた。ストレートな主切れ刃とシンニング切れ刃を滑らかな円弧で連続的につなぐデザインを施し、耐欠損性も向上させた。
また、シンニング切れ刃で生じた切りくずをスムーズにカールさせ、切りくず流れを整流化することにより、低抵抗で優れた切りくず分断性能も実現した。
- 2021年5月11日
-
- 2021年5月10日
-
タンガロイは、革新的なろう付け形状を採用した『Wavy Joint CBN』(ウェイビージョイントCBN)シリーズについて、対応材種を増やし、アイテム数も大幅に追加することで従来の8倍以上のラインナップに拡充し、全国で発売を開始した。
ウェイビージョイントCBNシリーズは、革新的なろう付け形状を採用し、CBN焼結体の体積を200%増加、また、ろう付け面積も約160%増加させたCBNインサート。高切込みや乾式加工における刃先の切削温度の放熱性が向上するとともに、ろう付け強度が向上したことでCBN刃先の剥離が抑制できる。焼入れ鋼の旋削加工での安定性の飛躍的な向上と、工具寿命の大幅な延長が可能となった。
今回、既に設定済みの汎用材種『BXA20』において、形状&コーナR違い、種々の刃先処理仕様、ワイパー切れ刃付き等、アイテムを大幅に拡充。さらに焼入れ鋼の高速連続加工において驚異的な長寿命を実現する『BXA10』材種も新たに設定した。これによって従来の8倍のアイテム数となり、様々な加工形態に高性能ウェイビージョイントCBNを利用できるようになった。
さらに両面ポジインサートの『MiniForce-Turn』用WXGQ形にもウェイビージョイントCBNを展開。安定加工と工具寿命延長のメリットはそのままに、特に量産加工を行うユーザーにおいて、6コーナ使用できることでコーナ単価が低く抑えられ、工具費低減に貢献する。
主な形番と標準価格は「4QS-CNGA120408 BXA10」が1万1300円、「6QS-TNGA160408 BXA10」が1万4600円、「6QS-WXGQ040308SPL BXA20」が1万4600円(いずれも税別)。全アイテム128点。
- 2021年5月10日
-
- 2021年5月6日
-
乗用車メーカー8社が発表した2月の世界生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比3・4%増の193万9305台となり、2カ月ぶりに増加した。1年前は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、各社が中国の完成車工場の操業を相次いで停止したことから反動増が理由。新型コロナ影響前の2019年2月と比べると約13%減で、半導体不足や北米での寒波の影響による減産など不安定要因も多い。
海外生産は前年同月比11・5%増の127万2554台だった。中国ではトヨタ自動車が同5・8倍の8万9488台を記録するなど、新型コロナ影響からの反動増で各社ともプラスに転じた。一方、米国では各社ともに前年同月を下回った。トヨタは寒波の影響で一部の工場が稼働を停止し、同13・9%減の8万3676台だった。ホンダは同22・1%減の7万7345台。新型コロナ、半導体不足、寒波など複合的な要因が重なった。日産自動車も同28・7%減の3万8110台だった。
スズキは主力のインドで同19・3%増の16万8111台と、2月単月として過去最高だった。コロナ禍での自動車需要の増加などが生産を押し上げた。
国内生産は同9・1%減の66万6751台。輸出向けのスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」が生産をけん引した日産以外は前年同月を下回った。トヨタは2月に起きた福島沖地震の影響で一部工場が稼働停止した影響で、同7・5%減の24万4048台だった。ホンダも半導体不足による鈴鹿製作所での減産が響き、同33・6%減の4万7158台だった。
- 2021年5月6日
