-
- 2021年10月27日
-
中村留精密工業は、同社複合加工機ラインアップのうち24機種に新機能「プログラム最適化機能」を順次標準搭載する。同機能を活用することで、数値制御(NC)プログラムを自動で編集し、加工中のアイドルタイム(待機時間)を極力縮め、最終的なサイクルタイム短縮に貢献する。
同機能は原点復帰、アプローチ指令、タレット旋回指令、主軸同期指令、主軸停止指令と最大五つの項目でプログラムの自動変換を行え、最適化したい項目だけを選んで編集もできる。加工条件は一切変えないため、精度に変化はない。「面倒な設定などは省き、項目を選び次第、すぐに実行できる点が特徴。実際に11%のサイクルタイム短縮につながったという例もある」(中村匠吾専務)と効果を確認している。
- 2021年10月27日
-
- 2021年10月26日
-
アマダは精密金型・部品などの加工に使われるプロファイル研削盤で12年ぶりに新機種を市場投入する。独自の撮像技術を活用したデジタルプロジェクターの搭載と、計測・補正作業の自動化により、非熟練者でも簡単に高精度加工が可能。加工時間も従来比20%以上の短縮が見込める。研削加工への要求精度の高度化や作業者の技術不足といった課題解決支援につながる点を訴求し、拡販する。
プロファイル研削盤は、計測用に光学式投影機を搭載し、加工対象物(ワーク)をスクリーンに投影し、仕上げ形状が描かれたチャート図に倣って精密に研削加工する。ただ精度計測や補正加工は、作業者が肉眼で判断して行うため、熟練の技能が必要とされる。
アマダマシナリーが開発し10月20日発売した新製品「DPG―150」は、従来の光学式投影機に代わり、32インチサイズで4K画面のデジタルプロジェクターを搭載。最大倍率を400倍(従来は110倍)と大幅に拡大した。ワークの微細な部分を鮮明に見ることができ、視野範囲も広げられる。デジタルプロジェクターの搭載は業界初という。
昇降ストロークはリニア仕様の場合で0ミリ―162ミリメートル、砥石(といし)サイズは直径65ミリ―180ミリメートル。装置単体の価格は3760万円(消費税抜き)。電気自動車(EV)や半導体、高速通信関連分野向けを中心に年24台の販売を目指す。
自動でワーク形状の計測や完成品との誤差の補正加工を行う機能も搭載する。計測にはルーペ操作による計測や指定区間の自動計測など3機能を設定。初期段取り後の全作業を自動化することで、作業者による品質のバラつきを抑えられ、チャート紙の作成用設備費用も削減できる。
また生産性をより重視するユーザー向けに、同機種と自動工具交換(ATC)/自動ワーク交換(AWC)ロボットを組み合わせた自動化仕様もそろえた。粗加工から仕上げ加工の自動化と複数製品の連続加工が可能で、作業員不在時の長時間連続運転を実現する。
プロファイル研削盤の現在の主要市場は日本と中国、韓国だが、新機種の自動化機能や高い操作性を訴求し、欧州、北米、東南アジアにも拡販する。
- 2021年10月26日
-
- 2021年10月22日
-
OSGは10月1日受注分から、ハイス(高速度鋼)エンドミル標準品を15%値上げした。
高速、高耐久ニーズの高まりに伴う超硬化へのシフトを背景に、ハイスエンドミルの生産量は長年にわたり減少している。一方で、安定加工など根強いニーズがあることから、価格改定により事業継続を図る。同製品の価格改定は2018年以来、約3年ぶり。
対象は自動車や機械部品など幅広い加工に使われるハイスエンドミル。標準品は15%、オーダーメードの特殊品も顧客に一定の値上げを求めていく方針。
ハイスエンドミル市場は80年代をピークに減少の一途をたどっている。高速、高耐久ニーズの高まりから今後も超硬化が加速し、ハイスエンドミルの需要はさらに減少するとみられている。同社はこれまでも生産性向上に取り組んできたが、生産の減少をコスト低減活動で吸収し切れない状況になっているという。
同社はハイスエンドミルで5割以上の国内シェアを持つ。前回の値上げは原材料の高騰によるものだった。今回は「タップからドリル、エンドミルまで扱う総合工具メーカーとして、事業継続のための判断」(OSGグローバル企画部)としている。
- 2021年10月22日
-
- 2021年10月21日
-
日刊工業新聞社がまとめた8月の工作機械主要7社の受注実績は、前年同月比99・5%増の358億4800万円で、9カ月連続の増加となった。中国や欧米を中心に輸出が引き続き好調で、国内も補助金効果が加わったことで回復傾向が強まっている。引き続き堅調な受注環境が見込まれるが、メーカーでは部品・部材が今後逼迫(ひっぱく)する可能性があり、生産への影響の懸念が強まっている。
輸出は6カ月連続の200億円超え。中国需要はピーク時からは落ち込んできたものの高水準を維持しており、北米や欧州では幅広い業種で需要が広がっている。
牧野フライス製作所は中国で商用車のディーゼルエンジン向けの受注があったほか、米国も半導体製造装置や商用車関連向けに受注。オークマは欧州向けがイタリアやトルコを中心に前年同月比約4倍に伸び、業種も「自動車部品のほか、食品機械や医療機器など多岐にわたる」(マーケティング室)という。
OKKは輸出が同9・6倍と大幅に増加。特に米国が好調で「自動車と航空機業界向けに5軸機、自動化の設備投資の引き合いが主になってきている」(担当者)という。
日本電産マシンツール(旧三菱重工工作機械)は、前年同月の中国向け大口受注の反動により輸出が減少となったが、台湾や米国で歯車機械を受注するなど堅調に推移。今後は「東南アジアやインドの回復が待たれる状況」(事業戦略推進室)と期待する。
一方、国内は7社の総額が2カ月連続で130億円を上回った。芝浦機械は産業機械や金属加工、エネルギー関連向けに受注し「7月に続いて複数の案件で事業再構築補助金の採択が見られた」(広報・IR部)という。幅広い業種で設備投資の動きが広がっており、メーカーでは「9月も補助金採択による受注計上がプラスに働く」(牧野フライス製作所)と期待する。
また部品・部材の逼迫について、各社は直近で影響は出ていないものの、「今後も続けば、顧客の短納期要請に応えられずに競争が厳しくなる可能性がある」(大手メーカー担当者)との声も上がる。
- 2021年10月21日
-
- 2021年10月20日
-
タンガロイは、小径・多刃仕様の直角肩削りカッター「タング・フォース・レック」で、最大切り込み11・5ミリメートルに対応する12サイズを発売した。びびりのない安定加工と高い耐欠損性を実現し、より幅広い加工に対応する。
ボディーには標準シャンク、ロングシャンク、モジュラータイプ、ボアタイプを設定。インサート(刃先交換チップ)は、コーナ半径(R)0・4ミリ―3・0ミリメートルをそろえた汎用のMM形と、アルミ合金加工用AM形など計26アイテムで構成。価格はボディーの「EPAV12M016C16・0R03」が3万7070円(消費税込み)。インサートの「AVGT120408PDFR―AM KS05F」が1342円(同)。初年度3億6000万円の販売を見込む。
切れ刃を従来比約2倍に伸ばした。インサート座も従来品同様に大きなバックメタルを持たせ、止めネジを長くすることで、大きな切り込みにも対応できる剛性を確保した。
また業界最多の刃数を持たせ、高能率加工を実現した。
- 2021年10月20日
-
- 2021年10月19日
-
京セラは半導体製造装置部品や光学部品の需要拡大に合わせ、微細加工対応のソリッド工具事業に参入した。関連部品の製造に使う精密金型加工などの使用を想定。他社従来品比で工具寿命を3倍程度延ばせる高硬度材加工用ソリッドボールエンドミルを発売開始した。消費税抜きの価格は1本2950円から。ネック長や工具径別で計124型番をラインアップ。半導体、電子部品、車載向けに提案し、年5億円の販売を目指す。
投入するのは一般的な金属で最も硬いとされる硬度70HRCの高硬度材に対応した切削工具「2KMB」。同工具向けに開発した特殊な2層構造のコーティング技術を採用し、耐チッピング性と耐摩耗性を高レベルで両立させた。独自の設計技術により、ボール部断面積を他社従来品比18%拡大し、高い工具剛性を確保。工具のたわみを減らし加工対象物(ワーク)の倒れを抑制して、加工精度を保てる。
新製品は合金工具鋼やステンレス系、高速度鋼(ハイス)系など多様な高硬度材に使用可能。工具径が直径0・1ミリ―4ミリメートルの間で、標準タイプとロングネックタイプを合わせ、124型番からワークや用途に合わせ最適な工具を選べる。国内外の拠点で量産体制を整えた。
内燃機関向けの切削工具需要は縮小傾向だが、第5世代通信(5G)対応や電気自動車(EV)など「精密金型市場は必ず伸びる」(機械工具事業本部担当者)とみる。京セラは微細加工工具の市場規模を年200億円程度と想定する。
- 2021年10月19日
-
- 2021年10月18日
-
日本工作機械工業会が発表した8月の工作機械受注額(速報値)は、前年同月比86・2%増の1265億8700万円で、10カ月連続の増加となった。営業日数が少なかったことで、前月比は3カ月ぶりに減少。それでも外需が引き続き堅調で、補助金効果などによる内需の拡大もあり、6カ月連続で1200億円を上回った。
内需は前年同月比2・0倍の462億1900万円で、6カ月連続の増加。450億円を上回るのは2カ月連続で、前月比も3カ月連続の増加となった。日工会では「需要の自律的な回復傾向が続いていることに加えて、事業再構築補助金や、ものづくり補助金も貢献しているとみられる」(調査企画部)としている。
外需は前年同月比78・9%増の803億6800万円で、10カ月連続の増加となった。前月比では、2カ月ぶりに減少したものの、6カ月連続で800億円を上回っており、高い水準を維持している。
- 2021年10月18日
-
- 2021年10月15日
-
タンガロイは、直角肩削りカッター「タング・トライ」に最大切り込み3・5ミリメートルの「04サイズ」を追加、発売した。取り代が少ない加工に最適な工具として訴求する。ボディーの価格は「EPA04R016M16・0―04」が3万9380円(消費税込み)。インサート(刃先交換チップ)と合わせて初年度1億2300万円の販売を見込む。
内接円径4・0ミリメートルの超小型インサートを採用。工具径16ミリメートルで4枚刃、同25ミリメートルで6枚刃など、従来品の1・5―2倍の多刃化を実現し、高能率加工を可能にした。底面側の加工面品位も高いため、狭窄(きょうさく)部の平面加工にも適用できる。
タング・トライシリーズは、切れ味の良い3コーナー仕様インサートを採用し、高い精度や能率などを実現。従来は加工部品や除去量の大きさに応じて、06、10、15の3サイズのインサートをそろえていた。
- 2021年10月15日
-
- 2021年10月14日
-
村田機械は刃物台を上下に動かし、従来品と比べてより複雑な複合加工ができるY軸機能を載せた正面型コンピューター数値制御(CNC)ターニングセンター「MWR120」を開発した。人手不足を背景に多品種少量生産の現場で高まる工程集約化や自動化、省人化ニーズに応える。ロボットや産業機械、建材向けといった多様な部品を生産する町工場などをターゲットに10月から受注活動を始める。
ボリュームゾーンのチャックサイズ6インチ・8インチクラスでY軸機能搭載は業界初。消費税込みの価格は2150万円。月6台の販売を目指す。
村田機械は大量生産の自動車部品加工向け工作機械を得意とする。近年は非自動車部品分野の新規顧客開拓にも積極的で、新製品で弾みをつける。
ターニングセンターは旋盤加工とマシニング加工を1台で担う。同社は加工対象物(ワーク)の搬入出を自動化するガントリーローダーと合わせて顧客に提案する。
平行配置した同一能力の2主軸・2タレット搭載の正面型旋盤が新製品のベース。占有床面積は幅2490ミリ×奥行き1800ミリメートルで、旋盤とマシニングセンターが別々の場合と比べ半分以下。工程集約と自動化で生産性を高める。
刃物台がY軸機能で上下に動き、主軸はX軸(左右)とZ軸(前後)に駆動。従来品で難しかったワーク端面の偏芯位置への穴開けなどが行える。従来品は主軸が固定で、刃物台のみX軸とZ軸に動く構造だった。
新構造でギアボックスを介さずに回転工具と回転工具用モーターの直結も可能となり、ノイズを大幅低減。同モーターのエネルギー伝達効率も向上した。
- 2021年10月14日
-
- 2021年10月12日
-
スリーエフ技研は、金属加工用研磨布ホイールを増産する。手作業の割合が多い従来の生産工程の見直しと独自設備による自動化を進め、同ホイールの生産で3―5年内に現在の月産600個から同1000個へ6割強増やす。量産体制の構築で生産コストを削減。従来のカスタム品に加え汎用品を手がけ、拡大する需要の取り込みも狙う。設備投資額は1000万―1500万円を想定する。
生産工程の自動化は、現場でトライ・アンド・エラーを繰り返しつつ、3―5年内に自動化を支援する試作装置を開発・導入する。同装置で効果が出れば増設も検討する。
スリーエフ技研は産業用研磨布ホイールなどを製造・販売する。顧客に合わせた大型製品のカスタマイズ(個別対応)が強みで、大手鉄鋼メーカーにも採用されている。
同社によると、近年は国内の研磨材メーカーの統廃合が続き、研磨材の需要に対し、供給が間に合っていない状況という。札谷社長は「今後、生産拡大と効率化に向け、手作業の工程をさらに機械化する」としている。
- 2021年10月12日
-
- 2021年10月11日
-
中村留精密工業は、オプション搭載としている工具や加工対象物(ワーク)への切りくずの巻き付きを防ぐ揺動切削機能の対象機種に、大型機を含む複合加工機7機種を追加した。搭載可能機種は計14機種に拡大した。
揺動切削はサーボ制御による工具の振動で、刃先に一定間隔の揺動を生じさせる。ワークに対して空振り領域を作ることで切りくずが細かく分断され、絡み付き防止や排出性向上につながる。特に自動工具交換(ATC)付きの工作機械に揺動切削を用いると、切りくずの絡み付きによる不良や機械停止時間が減少し、生産性向上で高い効果を発揮する。
顧客の要望もあり、今回の追加機種では最大加工径640ミリメートルの高剛性ATC型複合加工機「NTRX―300L」にも搭載可能とした。同社によると、ATCと大型機に揺動切削機能を搭載するのは世界でも珍しいという。
揺動切削は溝入れ加工、ドリル穴開け加工、内径加工にも対応。今後は機械との相性を見ながら、同機能の搭載可能機種を検討していく。
- 2021年10月11日
-
- 2021年10月8日
-
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が発表した8月の新車販売台数は、前年同月比2・1%減の31万9697台で、2カ月連続で前年を下回った。登録車はプラスだったが、軽自動車は8月単月として直近10年間で最低だった。全軽自協は「世界的な半導体不足や、東南アジアでの新型コロナウイルス感染再拡大による調達部品の滞りを受け、各社が減産などを行った影響が大きい」とコメントした。
軽自動車は同12・0%減の11万3129台で、3カ月連続の前年割れだった。メーカー別では、三菱自動車が3カ月ぶりにプラスとなったが、他の7社はマイナスだった。ホンダは6カ月ぶりに前年を下回った。
9月以降について、全軽自協は「半導体不足などの影響が広がっている。情勢は非常に複雑で、見通しを立てられる状況にない」とのコメントを出した。
登録車は同4・4%増の20万6568台で、6カ月連続でプラス。ただ2019年と比べると14・9%減だった。「消費マインドは回復していない。半導体不足などによる納車遅れの影響もある」。
車種別では、普通乗用車は同12・3%増の10万3040台で、11カ月連続の2ケタ増だった。一方、小型乗用車は同6・5%減の7万2490台で、8月単月としては過去最低だった。「近年、比較的大きめの車が人気を集めている」点が背景にあるとしている。
- 2021年10月8日
-
- 2021年10月6日
-
山田マシンツールは、1・5ギガパスカル級の超高張力鋼板(超ハイテン鋼)に対応する高耐久刻印を開発した。特殊ハイスの採用と製造法の工夫により、耐久性を従来品比10倍に高めた。自動車用鋼製部品にマーキングする打刻機に搭載する。すでにこの対応打刻機の受注を始めており、2021年度は2台の納入が決まった。22年度以降に完成車メーカーを中心に拡販を図る。
マーキングは自動車などの品質管理の証として、1台当たり300―400カ所の部品に施す。軽量化目的で自動車に超ハイテン鋼を採用するケースが増えている。超ハイテン鋼は硬いため打刻の際、刻印が欠損しやすい。このため高耐久性を特徴とする刻印が求められていた。
山田マシンツールが開発した高耐久刻印は、素材として特殊な処理を施したハイスを採用した。また製作工程では、小径砥石に超音波振動を加える研削と、滑らかな表面処理を可能にするヘリカルスキャン研削を組み合わせた。これにより欠損につながるバリやツールマークを抑える。
これまで同社は、超硬カッターでハイスに一刀彫りする手法で刻印を製作してきた。今回開発した刻印の耐久打刻回数は、従来に比べ10倍の約29万回に向上した。
同社の打刻機はサーボモーター駆動で刻印をワークに押しつけて打刻する。高耐久刻印も同様の打刻機に取り付けて使う。価格は個別見積もり。
山田マシンツールは高耐久刻印を日本工業大学やトラックメーカーなどとの産学連携で開発した。
- 2021年10月6日