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- 2019年12月9日
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トヨタ自動車が7日発表した2019年4―9月期連結決算(米国会計基準)は、当期純利益が前年同期比2・6%増の1兆2749億円で着地し、中間期として過去最高となった。日本や北米で販売台数が堅調に推移したほか、金融事業の増益が寄与した。売上高も同4・2%増の15兆2855億円と過去最高だった。一方、会見した近健太執行役員は「車の性能向上などで原価が上昇。固定費を含め総原価の低減をさらに進める」とし、一層の体質改善が必要との見方を示した。
本業のもうけを示す営業利益は同11・3%増の1兆4043億円と、過去2番目の水準となった。課題の北米事業はスポーツ多目的車(SUV)「RAV4」など新車販売が好調で同62・2%の増益。中国事業(19年1―6月期)は販売台数は伸びたが、為替変動などで営業減益だった。
20年3月期見通しは、いわゆる持ち合い株の価格上昇に伴う評価益「未実現持ち分証券評価益」が寄与し、税引き前利益を前期比15・1%増の2兆6300億円(前回予想比700億円増)に上方修正した。通期の販売台数は日野自動車、ダイハツ工業などを含むグループ全体で前回予想比3万台減の1070万台とした。インドやタイなどが落ち込む。
今後は原価改善の加速が課題。これまで年3000億円超の改善効果を出してきたが今期は約2500億円と見込む。車の高機能化に伴う原価上昇への対応力を強化する。ただ中国経済の減速や、米国の新車頭打ちなど先行きは不透明。電動化や自動運転などへの投資も利益を圧迫する。
- 2019年12月9日
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- 2019年12月6日
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シチズン時計の工作機械事業会社、シチズンマシナリーは2023年に中国で工作機械の生産能力を現在比2倍に増やす。21年に東部の山東省シ博市に新工場を建設し、同市内の現工場を集約する。中国市場の好転に備えた措置。米中貿易摩擦を機に世界の主要企業による現地事業の縮小・撤退の動きがある。ただ、製品競争力を持つ日本の工作機械各社には、高精度部品を使う最終製品の高度化に伴い、これを加工する工作機械の商機拡大が見込める。需要停滞期の今、各社が将来に向けた製販体制の整備に動きそうだ。
シチズンマシナリーは中国新工場をテコに、23年度にも現地売上高を18年度比2倍の180億円に引き上げる。投資額は約30億円。23年に棒状の材料を連続的に加工する自動旋盤の月産能力を170台から350台にする。技術営業員を同3倍の100人に拡充する。工場内は自動化やIoT(モノのインターネット)を多用する。
同社は、中国の生産能力が売上高拡大の課題になっていた。現地は30―50台規模の工作機械を一度に発注する大口案件が多く、最高益だった17―18年度の好況時には、能力の限界から一部を失注することがあった。
新工場は、現工場から自動車で5分ほどの距離。21年2月の稼働を目指す。敷地面積は6万8000平方メートルで、工場の延べ床面積は現在比3倍の3万4000平方メートルを確保する。現工場から従業員を引き継ぐ。初めて寮を2棟建て、人材確保を有利にする。
中国の工作機械市場は米中摩擦の影響や生産設備の過多などから低迷が続く。日本工作機械工業会(日工会)によると、中国の現地受注は9月まで19カ月連続で前年比マイナスを継続中だ。しかし、高性能の最終製品に組み込む部品加工用や、少人数で高品質の加工をする自動化のための潜在需要は大きい。
- 2019年12月6日
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- 2019年12月5日
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海外の自動車市場の減速感が鮮明になってきた。乗用車メーカー8社がまとめた2019年度上期(4―9月)の生産・販売・輸出実績は、海外生産の減少が響き、世界生産は前年同期比2・3%減の1381万3156台だった。東日本大震災があった11年以来8年ぶりに前年同期実績を下回った。アジアを中心に選挙に起因する買い控えやローン審査の厳格化、新興国通貨安などの影響で市場の減速感が目立った。
海外生産は同5・3%減の922万6319台だった。トヨタ自動車はインドネシアで大統領選の影響で台数が減った。マツダは新車投入が少ない中国で減少。スズキはローン審査の厳格化により主力のインドが7期ぶりに前年同期実績を下回ったほか、パキスタンも通貨安の影響を受けた。さらに日産自動車は英国でスポーツ多目的車(SUV)「ジューク」のモデルの切り替えで減少したほか、メキシコでは小型車「セントラ」が落ち込んだ。
国内生産は同4・6%増の458万6837台とプラス。トヨタは北米向けの新型「カローラセダン」が、スバルはSUV「フォレスター」がけん引した。マツダは西日本豪雨の影響で稼働を減らした前年の反動でプラスとなった。スズキは完成検査問題の影響で減少した。
9月単月の世界生産は、前年同月比0・3%減の237万4409台だった。国内生産はトヨタがけん引して前年同月実績を超えたが、海外生産の落ち込みをカバーできなかった。
- 2019年12月5日
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- 2019年12月3日
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機械工具商社と切削工具メーカーの機能を併せ持つ曽根田工業は、先ごろ名古屋で行われたメカトロテック図亜パン2019にあわせ、同社専用アプリを開発し、公開した。
これに伴い同社のカタログや商品検索はもちろん、切削に必要な計算単位変換などもアプリ化し、切削現場に役立つアプリを目指し改良していく。
曽根田社長は「中小切削工具メーカーではおそらく初めての取り組みと思われ、自社開発することにより開発コストを下げることに成功した」という。
更に同社では、中小切削工具メーカーにこのノウハウを共有するようアプリ開発の手伝いを行うことも視野に今後活動していく考えであり、大手メーカーでしかできないアプリ開発を中小連携で行っていくとしている。
- 2019年12月3日
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- 2019年11月29日
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育良精機はこのほど、ワークに付着した切削油や切り粉を除去する「パーツブロークリーナー」の幅500㎜タイプ「ISK‐PBC500」を発売した。従来の300㎜タイプ「ISK‐PBC300」に比べ、大きなワークや長尺のシャフトなどに対応するほか、作業スペースが広いため作業性が向上する。
加工後のワークに付着した切削油や切り粉は今まで、エアブローで工場の床に直接落とすか、加工機内で作業していた。ただ、現場が汚れるほか、加工機内での場合は加工中に作業が行えないなどの課題があった。
「パーツブロークリーナー」は移動式のエアブロー装置で、ブローガンを握るかフットペダルを踏むことによってワークをブローし、加工油や切り粉を落とすことが可能。また、同時かつ瞬時に吸引、回収するため、現場を汚さずに作業することができる。
本体はキャスター付きのコンパクト設計で、旋盤や給材機が並ぶ狭い通路でも簡単に移動できる。また、エア駆動のため、電気的トラブルや火災などのリスクが少ない。さらに吸引ファンを使用していないため、落とした部品や切り粉などが作業者に跳ね返る心配が無く、安全に作業できる。そのほか、補集物を溜めるタンクは本体から容易に取り出せるため、手を汚さず簡単に廃棄することもできる。
「作業スペースが広い500㎜タイプをラインアップに加えたことで、より大きなワークに対応できるようになった。多様な現場に提案していきたい」。
ニュースソース:日本産機新聞(https://nihonsanki-shimbun.com/)
- 2019年11月29日
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- 2019年11月28日
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イワタツールは新しい超精密位置決めドリルの「SPセンターZERO」を発表した。同製品はドリル位置精度1μmを実現し、ポートメッセなごやで開かれたメカトロテックジャパンでも展示した。
新製品の発表は約6年ぶりと言われる同社が発表したSPセンターZEROは、高精度な穴加工を求めるユーザーに最適で、ガイド穴の位置精度1μm以下を実現し、穴の入り口と出口のバリを低減、薄板穴加工にも活用できる。
岩田昌尚社長は「位置がズレた状態でドリル加工すると、ドリル本体の寿命が悪くなる」とし、高精度な位置精度を実現する同製品の使用でドリル寿命が10倍に伸びた事例もあるという。
工具径は0・1~6㎜をラインアップ。今年12月に発売予定で、販売目標は月1万本。また、イタリアの切削工具メーカーであるtee社の総代理店としてエンドミルを販売することも発表した。
- 2019年11月28日
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- 2019年11月27日
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京セラは縦置き構造と独自形状のチップを採用した高性能エンドミル「MEV」を発売した。
高剛性と低抵抗を兼ね備えた新タイプのエンドミルで、耐摩耗性・耐溶着性を向上させた独自の「MEGACOAT NANO」を採用し、チップの長寿命化を実現した。
一般的にエンドミルはホルダ芯厚を厚くすることで高剛性が得られ、高精度な加工を可能にするが、抵抗が大きくなり、切削条件(能率)が低下する。
また、能率を重視すると、振動に弱くなり、精度が落ちるという逆相関関係にあり、高剛性と低抵抗を両立させることが課題だった。
同製品は同社初のチップ縦置き構造を採用し、ホルダの芯厚を従来比約120%に向上させたほか、独自形状の三角形チップを採用したことで高剛性と低抵抗を両立させ、高精度かつ高能率加工を実現した。
加工径はφ20~50㎜。加工用途は平面加工、肩加工、溝加工、ポケット加工、ランピング加工、ヘリカル加工。
推奨被削材は炭素鋼、合金鋼、金型鋼、ステンレス鋼、耐熱合金、チタン合金、鋳鉄。型番数はホルダ:25型番/チップ:6型番。
ニュースソース:日本産機新聞(https://nihonsanki-shimbun.com/)
- 2019年11月27日
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- 2019年11月26日
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北熱は、アルミニウムの加工用金型・工具の寿命を延ばす表面処理技術を開発した。アルミダイカスト金型向けの「アクロ9」と、アルミ摩擦撹拌接合(FSW)工具向け「FSW―R」「FSW―E」の計3種で、今後それぞれの受託加工を順次、開始する。軽量化のためにアルミ合金への部材の代替が進む自動車部品の表面処理加工の需要を取り込む。
アクロ9はダイカスト金型に特化した厚膜9マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のアルミクロムナイトライド(AlCrN)系コーティング膜。従来のコーティングに対し、溶損量を70分の1、摩耗量を50分の1、衝撃摩耗を4分の1にし、金型寿命の大幅な向上を実現する。12月からダイカスト金型成形メーカーから加工を請け負う。初年度1000万円の売り上げを目指す。
一方、FSW工具向けでは、耐摩耗性を重視した表面硬化処理のFSW―Rと、耐凝着性に軸足を置いた表面改質処理のFSW―Eを用意。Rは工具先端の摩耗量を従来比で2分の1に抑制。Eは工具先端の凝着量を同5分の1にできる。
FSWメーカー向けにそれぞれ11月から請け負いを始めた。初年度の売り上げ目標は両方合わせて1000万円。
- 2019年11月26日
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- 2019年11月22日
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日本工作機械工業会がまとめた2019年4―9月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同期比34・0%減の6048億5700万円だった。設備投資の手控えが続いた。9月単月は12カ月連続減となる前年同月比35・5%減の989億7300万円。9月として10年以来9年ぶりに1000億円を割り込んだ。米中貿易摩擦の影響が世界中で拡大している。
4―6月が前年同期比33・0%減、7―9月が同35・1%減と3割台の減少が続いている。
9月単月は内需が期末効果で2カ月ぶりに400億円台を回復したが、自動車の前年同月比41・2%減をはじめ、どの産業向けも力強さを欠く。
外需は9月では09年以来10年ぶりに550億円を下回った。09、10年は08年のリーマン・ショックのために年間受注額が1兆円に届かなかった。ここにきて停滞が指摘されるドイツは同57・1%減と大幅に減少。同42・1%減の中国と同じく今年の最低額を記録した。
日工会副会長は定例会見で、「起爆剤は来春から夏にかけて半導体(の需要)が動きだすことだ。関連する設備投資が期待できる」と展望した。
- 2019年11月22日
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- 2019年11月21日
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共立精機は、人工知能(AI)で刃具の種類を自動判別する機能を付与した刃具交換自動化システム(写真)を23日に発売する。自動測定・交換する工具情報の事前登録が不要で、さまざまな形状の刃具に対応できる。システム全体の価格は2500万円(消費税抜き)。年間10台の受注を目指す。
刃具自動交換システムはツールプリセッターを核に、複数の機器を組み合わせて刃具の測定、交換、収納などを自動化する。自社開発した自動判別機能は、AIに刃具の形状などを学習させる。工具情報と関連する刃具の測定プログラムを自動作成でき、機械加工現場に導入しやすくなる。
刃先の洗浄装置と刃先長さの自動調整機能をシステムに追加した。主に工作機械の工具補正機能を使わず、規定の長さにセットされた刃具で機械加工することが多い自動車関連の量産工場への導入を狙う。
- 2019年11月21日
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- 2019年11月20日
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高松機械工業は上部に主軸を設置した単軸旋盤のような「加工ユニット」を一体のベッド上に3基搭載する、倒立型コンピューター数値制御(CNC)旋盤「XV―3」を開発した。これまで同社製2軸機と単軸機、ローダー、他社製穴開け機で構成したラインが1台で完結する。チップコンベヤーなどの周辺機器も1台分で済み、ライン長が大幅に縮小する。顧客の反応を収集し早期の市場投入を目指す。
Y軸を標準搭載した加工ユニットに旋削加工や回転工具による穴開け加工などの役割を分けて自由に工程を構築し、1台の機械に集約できる。コレットチャック、3インチ、4インチの各チャックに対応。適正な加工対象物(ワーク)サイズは直径30ミリメートル程度で、自動車部品を想定する。
主軸がワークをつかみにいく機能や機内搬送装置も装備。主軸を奥側に30度傾けて搬送装置が横に移動する空間を確保。搬送装置のハンドは反転機構付きで、ワークの裏表を加工できる。加工ユニットには全て操作パネルが付く。制御装置は三菱電機製。
- 2019年11月20日
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- 2019年11月18日
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中村超硬は、企業化開発を進めてきた「ゼオライトナノ粒子の製造方法と粒径制御技術」が委託先の科学技術振興機構(JST)に成功と認定されたと発表した。すでに梱(こん)包材、化粧品、衛生用品などの用途に向けサンプル品を頒布し、ユーザー評価を進めており、同社は幅広い分野での活用を見込み、早期の事業化を目指すとしている。
ゼオライトをナノ粒子化するには特殊な環境下で行う必要があり、粒径が不安定、量産化が難しいなどの課題もあった。東京大学の脇原徹准教授らの研究成果を基に、JSTが同社に委託して進めた企業化開発では、粒径100ナノメートル(ナノは10億分の1)以下のナノ粒子を作製する「粉砕・再結晶化法」と粒径150ナノ―300ナノメートルのナノ粒子を作製する「粒成長法」の二つの手法により、ナノ粒子の安定的な合成に成功。
従来の手法に比べ、約10分の1のコストでゼオライトナノ粒子を製造できるようになった。
ゼオライトは吸着、触媒、イオン交換などの目的で工業用途に使われている。ナノ粒子化により用途がさらに拡がり、幅広い分野の産業の需要に応えることが期待できる。
- 2019年11月18日
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- 2019年11月15日
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住友電気工業は、金属切削加工用の工具に複数のセンサーを搭載し、加工状態をリアルタイムに監視できる「スマートツール=写真」を開発した。1年内に自社工場で実証実験を始めて加工データを収集し、データ分析のノウハウを蓄積する。第5世代通信(5G)や自家発電などの技術を盛り込むことも視野に入れる。金属部品仕上げ加工時の微細な欠損の発生を事前に防ぐなど、高度な生産管理システムとして実用化を目指す。
旋盤加工用工具のほか、複数の刃を持つ回転工具も開発している。3Dプリンターで製作した複雑形状の工具ホルダー内に振動、歪み、温度などの変化を計る複数のセンサーや電池を内蔵する。
現在は計測したデータを近距離無線通信「ブルートゥース」で転送するが、将来はより高速・大容量の通信が可能な5Gの採用も視野に入れる。ホルダー内で自家発電してセンサーや通信の電源を賄う仕組みも検討する。
スマートツールの開発は自社工場へのIoT(モノのインターネット)技術の導入やビッグデータ(大量データ)分析技術の研究開発を担当する「IoT研究開発センター」と工具事業部門が共同で取り組む。
金属表面仕上げなどの加工時に微細な欠損が発生するのを察知するために計測が必要なデータにはめどを付けているという。1年内に自社工場で実証を始めて、分析のノウハウを蓄積し、工作機械メーカーなど他社との実証も始めたい考え。
工作機械は主軸にセンサーを搭載して状態監視する手法があるが、加工対象に近い工具で計測する方が高精度に監視できるとみられる。
- 2019年11月15日