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- 2020年1月9日
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三菱重工工作機械は、金属3Dプリンターに人工知能(AI)を適用し、設計通りの正しい寸法で造形する技術を開発した。これまで機内カメラで常時監視した造形画像を基に、制御を最適調整していた。ただ、溶融金属などでレンズが汚れていた際、画像がぼやけて正しく造形できなかった。
新技術はAIにより、不鮮明な画像でも精度を保てる。今春に製品化する。
三菱重工工作機械が2018年に本格発売した同社初の金属3Dプリンター「ラムダ」向けの技術で、世界でも珍しい。標準搭載を検討する。
同プリンターは、金属粉を出しながらレーザーで焼き固めるレーザメタルデポジション方式。2年後に10台程度の販売を見込んでいる。
新技術は、不鮮明な画像でもAIで造形途中の実際の寸法を認識する。
従来は、溶融金属が付いたカメラで撮影すると、造形物の寸法が実際より大きく認識されていた。制御調整は画像を基にするため、意図した造形物に仕上がらない課題があった。また、飛び散る溶融金属や、レーザー照射部のノズルに付着した異物を造形物と認識してしまう難点もあった。AIによって、これらの課題を解消する。
- 2020年1月9日
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- 2020年1月8日
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SUBARU(スバル)は、富士通と共同でエンジン部品の加工品質の良否を判定する人工知能(AI)モデルを開発したと発表した。カムシャフトの研削工程においてセンサーで収集したデータを基に品質状態を即時推測し判定する。同日、スバルの群馬製作所大泉工場の量産ラインに導入し実証実験を始めた。
今後、実用化を目指すとともに、得られた知見を他の部品やエンジン工場全体に横展開し、生産性や品質の向上に役立てる。
開発したAIモデルは、カムシャフトの研削設備につないだセンサーから主軸動力値や振動データを収集・分析し、加工中のカムシャフト全数の品質を即時推測するもの。表面の粗さや形状などの品質データをAIに機械学習させることで加工中でも品質をすぐに良否判定できるようにした。
実証実験では収集したセンシングデータからAIモデルで推測した品質状態を比較し、品質保証基準の範囲内に収まるかを検証する。従来の抜き取り検査に加え、AIモデルによる全数検査をあわせることで効率的に品質保証レベルを高めることが可能かを見極める。
また定期交換が必要な研削砥石の効率的な使い方も検証する。表面を研いで切れ味を戻す「ドレッシング」のタイミングにあわせて実証実験し、交換の間隔を従来比約70%伸ばすことも目指す。
- 2020年1月8日
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- 2019年12月30日
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乗用車メーカー8社が発表した10月の生産・販売・輸出実績によると、世界生産台数は前年同月比10・2%減の237万4662台と前年同月実績を3カ月連続で下回った。全社がマイナス。海外生産がアジアなどの市場減速で伸び悩んだ。国内の生産や販売も台風による影響などで台数を押し下げた格好だ。
海外生産は全社が前年実績を下回った。トヨタ自動車はタイの景気低迷などが影響した。日産自動車は米国の「タイタン」や中国の「シルフィ」などの減少が響いた。三菱自動車はタイで「トライトン」が減った。マツダは中国とタイの生産が大幅に減少し8社中最大の減少幅を示した。ホンダは中国で「CR―V」などの販売が好調で10月として過去最高となったが海外全体で減少した。
国内生産も全社がマイナス。ホンダは「N―WGN」が一部部品の不具合で生産を停止しており、8社中最大の減少幅を示した。SUBARU(スバル)は台風19号で一部の部品供給が滞り、工場を停止したことが響いた。
スズキも完成検査問題への対策で工場の稼働を落としていることが影響した。ダイハツ工業は軽自動車が減少した。
国内販売も全社が前年実績を下回った。
- 2019年12月30日
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- 2019年12月26日
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日産自動車は、ロボット活用による自動化推進などを柱とする自動車工場の生産技術革新計画を発表した。人が担ってきたパワートレーン(駆動装置)の組み付けなどをロボットに置き換える。「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」と呼ぶ新技術で構造が複雑化する次世代車の生産でも高品質・高効率を維持したい考え。まず2020年に栃木工場に約330億円を投じて展開し、ほかの国内外の工場に広げる。
日産が生産革新でつくりあげる“CASE対応ライン”の真骨頂は「パワートレーン一括搭載」と呼ぶシステムだ。作業者が専用パレットに各種部品をセットするだけでロボットが1工程で自動で取り付ける。モーター、エンジン、電池、サスペンションで「27通りもの組み合わせに対応する」と坂本秀行副社長は胸を張る。
画像認識技術を活用してボディーを測定し、0・05ミリメートルの精度で組み付ける。従来、同工程では複数の作業者がきつい姿勢で6回の作業を経て各部品を取り付けていた。
大変革期にある自動車は、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)に加え、既存のエンジン車も残る。さらに自動運転技術などの搭載も進み、機能や構造が複雑化する。
効率や品質を維持しながら車づくりを続けるには、「従来の労働集約型の大量生産から脱却しないと対応できない」と坂本副社長。今回、日産が生産革新に乗り出す背景にはこうした事情があり、(1)車の高度化への対応(2)匠〈たくみ〉の技のロボット化(3)人とロボットの共生―を3本柱に据え、幅広い工程で新技術を導入する。
水漏れ防止のシーリング塗布工程は従来、熟練技能者がハケなどで手作業で仕上げていた。施工部位の形状が複雑なためだ。今回、匠の技能を数値化してロボットに教え、手の動きを忠実に再現して自動化する。
また塗装ラインでは、低温でボディーを処理できる水系塗料を新規開発し、低温処理が不可欠な樹脂バンパーとの同時塗装を可能にした。工程で発生する二酸化炭素(CO2)を25%削減できるという。
坂本副社長は生産改革について「人員削減は目的ではない。人の難作業を減らし、高齢者や女性が働きやすい環境をつくる」とも説明した。
国内外のほかの工場への展開については「設備更新時期や稼働率をみて、適切なタイミングを見いだせるかが課題」とするが、技術単体でも順次導入していく。
- 2019年12月26日
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- 2019年12月25日
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新しいCoroDrill DS20ファミリーの刃先交換式ドリルを発売するサンドビック・コロマントにとって、5xDCから7xDCへの2段階の増加は、会社にとっても、その製品にとって大きな飛躍である。
4–7xDC範囲で発売されるCoroDrill DS20は、14年前に登場し、段階的に生産終了となるCoroDrill 880 (スーパーUドリル) 4–5xDC範囲の代替製品である。
5xDCおよび7xDCという用語は、ドリルの長さを表すものであり、実際のドリル径の5倍または7倍に相当する。実際問題として、これは、長いボルトやスクリューに対応するために、スーパーUドリルを使用して両端から穴あけ加工される大型の鋼製ワークを、片側から貫通できるようになったことを意味する。CoroDrill® DS20の精度で、たとえば、100キログラムの風車用旋回輪を1回のパスで加工すると、ワークを裏返す必要がなく、費用のかかるミスを回避できるため、産業界の顧客にとって大幅な時間とコストの節減につながる。
- 2019年12月25日
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- 2019年12月24日
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ファナックは生産設備の小型化に貢献する協働ロボットの提案を本格化する。安全柵を設けずに活用できる協働ロボットの特徴を生かす。自社工場をモデル工場とし、同ロボットを使ったコンパクトなラインを導入し、多品種少量生産の自動化に活用する。協働ロボットは安全性への配慮から従来のロボットと比べ稼働速度が遅く、生産性が課題だった。スペース効率や柔軟さを含めた採算性を訴求し、協働ロボットの用途を開拓する。
自社工場に同社の協働ロボットを使い、スペース効率を高めた生産ラインを導入し、2019年末にも稼働する。人と同じ作業空間で稼働できる協働ロボットのもう一つの特徴を生かし、同ロボット周辺に複雑な作業にも対応できる人も配置。安全柵分のスペース効率化のほか人の柔軟性も取り込み、ライン全体の生産性を上げる。
従来のロボットを複数配置した自動化ラインは少品種大量生産に適するが、設備全体の大型化や固定化が課題だった。今後は多品種少量生産が進むため(1)従来のロボット(2)協働ロボット(3)人の配置―を最適化し、全体のスペース効率、生産性、柔軟性を向上する。
ファナックは自社工場に自社の協働ロボット50台以上を導入して生産性を向上する。例えば重い部品の組み立て工程に協働ロボットを導入して重筋作業を代替する。また部品を装置にセットする作業に協働ロボットを活用し、レイアウトを変えずに自動化するなど用途開拓を積極化する。
安川電機も自社工場に自社の協働ロボットを導入し、スイスのABBは導入予定。各社は自社工場をモデルとし、同ロボットの提案にも力を入れる。
- 2019年12月24日
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- 2019年12月23日
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NTNは自動車の電動化需要に対応し、2022年から高性能ブラシレスモーターを量産する。自社の電動オイルポンプなどの構成部品として販売する。21年をめどに磐田製作所(静岡県磐田市)にモーターから電動オイルポンプまで一貫する量産ラインを新設する。NTNの車用モーター量産は初めて。電動モーター・アクチュエーター製品群として25年度に現状比6倍以上となる130億円の売上高を見込む。
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など車の電動化が進むと、従来はエンジンで動かしたオイルポンプを電気で動かす必要がある。運転者によるシフトやブレーキの操作を電気信号で伝達しアクチュエーターで駆動する機構も需要が増える。
NTNはこれらの需要を電動モーター・アクチュエーター製品群で取り込む。製品性能を支える基幹部品のモーターは自社で量産する。車向けの同製品群としては回生ブレーキ機構用の油圧調整装置などを量産しているが、モーターは含んでいない。22年初頭をめどにモーターを量産。車用電動オイルポンプとして供給し、製品群を順次拡充する。
量産を始めるブラシレスモーターは高出力とコンパクトが特徴。磐田製作所にはモーターの試作ラインも稼働済みで、既存の他社製品より高い性能を出すめどを付けたという。
受注が増えればモーターは海外などに生産委託する可能性もあるが、設計は自社で担う考え。量産体制を確立しておくことで品質の抑えどころを把握でき、生産委託する際の交渉力にもなる。
- 2019年12月23日
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- 2019年12月20日
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工作機械主要21社の2020年3月期(2社は19年12月期)連結業績では16社が減収を予想する。米中貿易摩擦に端を発した設備投資の見送りは先進国にも拡大。先行きを見えにくくしている。
大手ではツガミ、オークマなどで2020年3月期業績が当初見通しから下振れる。米中摩擦が市況悪化の主要因で、中国市場は18年春ごろから受注が停滞し始めた。主力が中国のツガミは19年4―9月期の現地売上高が前年同期比38・1%減、営業利益が同54・7%減と低調だった。
設備投資の見送りは先進国にも広がり、オークマは3期ぶりの減収減益予想だ。「日米欧アジアすべて弱い」と、10月以降も需要低迷を予想。牧野フライス製作所の19年4―9月期営業利益は同86・9%減。アジア売上高が同21・1%減、欧州が同39・5%減と落ち込みが大きい。OKKは景気に敏感な国内中小企業向けが多く、設備投資の見送り傾向が強い。米国商社大手に現地販売体制を変えたことによる「移行期間」も影響した。
一方、東芝機械やDMG森精機などが通期を増収や増益予想とした。DMG森精機は主要市場で受注の手控えがあるが、営業利益を期初公表値から10億円増(前期比2・0%増)に上方修正。機種構成や粗利の改善、コスト削減が寄与する。東芝機械は、部品の調達難で供給が滞った前期受注の大型工作機械の売り上げ計上が進む。中堅ではエンシュウが案件ごとの原価管理を厳格化するなどで営業増益とする。
市況の反転は21年3月期に持ち越しになりそうで、おおむね来春との見方がある。DMG森精機の森雅彦社長は「あと半年は底が続き、回復が始まる」と先を読む。オークマの家城社長は「米中摩擦の行方によっては設備投資にさらに慎重になる場合もあるだろう」と警戒しつつ、「底入れは最悪20年4月以降」とみる。ほぼ自動車向けのFUJIの曽我信之会長は「年明けから良くなる」と予想する。
さらにスマートフォン(スマホ)特需は終息したとされるが、ツガミの西嶋尚生会長はスマホ大手などの「いろいろな話が飛び交うようになってきた」と詳細は伏せつつも、まとまった設備投資を予期させる話しぶり。これに関連し、来春の底打ちを見込む。
- 2019年12月20日
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- 2019年12月19日
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日本の工作機械各社がタイで成長市場だった自動車以外の分野へ大きくかじを切っている。タイは、自動車部品を削る工作機械の需要地として期待が高かった。ただ、自動車の生産台数は近年低水準。2018年は5年ぶりに年間200万台を超えたが、19年は業界予想を下方修正し、かろうじて200万台の見込みだ。自動車産業が集積している様から「東洋のデトロイト」と称された姿がかすむ。各社、人の介在を少なく複雑加工ができる5軸加工機で市場が立ち上がってきた航空機市場をめがけて切り込む。(2回連載)
タイ・バンコクで開催された東南アジア最大級の金属加工技術展「METALEX(メタレックス)2019」。工作機械各社の出展エリアに、ひときわ大きい5軸加工機が展示された。ジェイテクトのブースだ。最大加工物振り約1200ミリメートル、同1500キログラムの加工対象物(ワーク)を搭載できる。航空機のエンジンケースなど大寸法部品を想定する。18年の前回は台湾製の値頃な工作機械を、同じブース正面の“一等地”に置いていた。
ジェイテクトが出品した大型の5軸加工機
トヨタ自動車系の同社にとって、タイ法人は日系自動車関連大手のトランスプラント(海外現地生産工場)対応という性格が強く、自力で現地顧客の開拓を進めることは最優先事項でなかった。
ただ、タイの自動車産業の不振が長引き、同時に「世界の自動車エンジン向けの生産設備の需要が、かつての成長カーブを描くとはもう考えにくい」(加藤伸仁常務)と業界の大変革期に、航空機産業の開拓を決めた。
タイは航空機エンジンの修理・整備(MRO)拠点の育成を政策で進める。東南アジアでMRO産業のあるシンガポール、マレーシアに部品を納めるタイ企業も出てきた。現状、航空機部品の加工会社は少ないが、「産業が興りつつある」。
DMG森精機は自動車向けのほか、新たに航空機、半導体産業の需要を取り込む。成長を担うのは、世界的に普及を進めている5軸加工機だ。メタレックスでは出品した全6台のうち、4台を5軸加工機が占める。複雑形状で高い精度の部品を、人手をかけずに加工できる事から、労働力不足が課題のタイで有効とみる。
- 2019年12月19日
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- 2019年12月18日
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マツダの次世代ガソリンエンジン「スカイアクティブX」。ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの“いいとこ取り”とも言える新しい燃焼方式を実現した意欲作だ。宇品工場西地区(広島市南区)の組み立てラインでは、従来型ガソリンエンジンとの混流生産が始まっている。
宇品工場に3本あるエンジン組み立てラインの一つ「ELライン」。スカイアクティブX(以下X)はここで、ガソリンエンジンの「スカイアクティブG(以下G)」や「L型エンジン」という従来型エンジンと混流生産されている。
Xが従来型エンジンと違うのは、部品点数の多さと、要求される精度の高さだ。
まず部品は、従来のガソリンエンジンから大まかにいって三つ増えると説明されている。高圧燃料噴射装置と筒内圧力センサー、そして「高応答エアサプライ」と呼ぶスーパーチャージャーだ。
三つだけ増えるとなると簡単そうだが、実際の組み立て現場ではそうはいかない。遮音や断熱などの機能部品も加わって、Xの部品点数はGに比べ74%増加するという。
これに伴い、組み立てに要する総時間は42分長くなる。協働ロボットや自動化設備の導入により12分を短縮するものの、やはり30分は長くかかる。
この30分の作業をこなすため、Xだけを迂回(うかい)させて流す「バイパスライン」を設けた。バイパスラインでは組み付ける部品一式をキット化して作業者の手元に自動搬送する仕組みや組み付ける部品やエンジンが旋回する治具を新たに採用し、作業性を高めている。
一方、高精度が求められるのは、一通り主要部品を組み立てた上で作り出される燃焼室の容積や形状が、燃焼の性能にダイレクトに影響するからだ。Xの圧縮比は16・3。ガソリンエンジンでは世界最高とされる。これを実現するため、Xのピストンの上死点位置の許容幅は、Gに比べ54%縮めたという。
主要部品のカギとなる寸法、すなわちコンロッドの長さやピストンの高さ、クランクシャフトの半径は、いずれも公差をスカイアクティブ以前のエンジンに比べ半減させた。
当然ながら前工程の機械加工にも高精度とバラつきのなさが求められたが、既存の加工機に各種のセンサーをうまく組み合わせることで実現した。
生産現場にも数多くの技術革新が求められた新エンジン。ただし、前評判として指摘されるのが価格の高さ。搭載する「マツダ3」の価格は、同じ排気量2000ccのGに比べ、Xは67万円高い。製品の値付けはコストだけで決まるものでもなかろうが、生産現場にも一層、コスト低減の努力が求められるのは間違いない。
- 2019年12月18日
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- 2019年12月16日
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切削・研削工具6社の2020年3月期連結決算は、当該部門で4社が増収予想だった期初から一転、5社が売上高予想を下方修正して減収の見通し。米中貿易摩擦に端を発する電子・半導体業界や自動車業界の不振が長引き、下期需要回復との期待が外れた。
当該部門の通期売上高予想の下方修正幅は、三菱マテリアルが15・6%減、住友電気工業が10・3%減、ノリタケカンパニーリミテドが4・7%減、旭ダイヤモンド工業が8・2%減、日進工具が7・6%減。
「世界的に自動車の需要が減っている」(住友電工社長)、「下期は当初は回復を見込んだが上期より悪い」(ノリタケ社長)と下期に悲観的だ。日進工具は開発拠点完成や自社展開催で販管費が増える。
ダイジェット工業は切削工具の新製品を日本に続き、下期に米国、欧州、中国などで投入。18年12月に本格稼働した三重県伊賀市の新工場を生かし「耐摩耗工具を拡販する」(ダイジェット社長)。
19年4―9月期連結決算は6社すべてが減収で、部門別の営業利益を公表する全5社が減益。三菱マテは超硬製品のアジアでの販売が減少した。旭ダイヤは電子・半導体向けなどが落ち込み、営業利益が8500万円だった。
- 2019年12月16日
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- 2019年12月13日
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工作機械主要7社の10月の工作機械受注額は、前年同月比43・7%減の238億1400万円だった。米中貿易摩擦の抜本的な解決の兆しが見えない中、国内は設備投資に慎重さが増した様子だ。外需も振るわず、国内外ともに同40%台の減少と落ち込みは大きい。ただ、外需は「低位横ばいで下方には向かっておらず、悲観はしていない」との指摘もある。
内需は同45・6%減の101億7300万円だった。牧野フライス製作所の国内受注は2013年9月以来の20億円割れ。三菱重工工作機械は「(中小企業向けが多い)大型機の案件そのものはあるが、多くで決着に時間がかかっている」と言い、オークマは「先行きの様子見が多くなっている」と、投資判断がもう一段慎重になっている。
外需は同42・1%減の136億4100万円だった。OKKは同96・8%減と大幅に減った。外需の動向は各社で濃淡があり、東芝機械は産業機械向けの工作機械や精密加工機の受注などで減少幅を1割台にとどめた。一方、ツガミは微増だった。
ユーザーが新規投資に動きにくい状況にある中、工作機械各社は老朽設備の更新を促す取り組みを強化するなどして、受注に結び付けたい考えだ。
- 2019年12月13日