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- 2023年12月22日
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牧野フライス精機は、極小径に対応した高精密コンピューター数値制御(CNC)工具研削盤「DB1」を発売開始した。対象工具径は直径0・03ミリ―4・0ミリメートルで、半導体関連などの微細加工分野で高まる小径工具研削のニーズに応える。消費税抜きの本体価格は4050万円。年間15台の販売を目指す。
X、Y、Zの直線3軸は、指令値と実際に動いた座標値の誤差が小さい「フルクローズドループ制御」により、位置決め精度を高めた。回転軸のA軸とW軸にはダイレクトドライブモーターを採用しており、バックラッシュの無い高精度な割り出しを実現した。
また各箇所に熱変位対策を施したことで、長時間連続加工時の安定性も高めた。砥石(といし)軸には5・5キロワットモーターを採用し、同社従来機に比べて砥石軸の出力を向上させた。標準搭載の自動加工対象物(ワーク)交換装置は直径3ミリメートルのワークであれば最大520本が収納可能で、長時間連続加工できる。
そのほか大形の正面窓を備え、視認性も高めた。ワークの機内形状確認ができる着脱式カメラシステムもオプションで用意する。
- 2023年12月22日
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- 2023年12月21日
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アマダはブルーレーザーとファイバーレーザーの二つの発振器を搭載した3次元レーザー加工機を開発したと発表した。1台で切断、溶接、積層造形(AM)の3種類の加工に対応する。センサーなどにより高速高品位なレーザー加工技術を容易に扱えるようにした。2024年春の発売を予定する。これまで培ったレーザー技術を応用し、主力の板金加工だけでなく新たな事業領域の拡大につなげる。
開発した3次元レーザー加工機「ALCIS―1008e」は、最大出力がそれぞれ3キロワットのブルーレーザーとファイバーレーザーの二つの発振器を搭載。ブルーレーザーはファイバーレーザーと比べて銅に対する吸収率が10倍以上高いなど高反射材にも加工領域を広げられる。トーチを交換することで切断、溶接、AMの各加工に対応する。AMは指向性エネルギー堆積法(DED)を採用した。
アマダはグループ会社で電動車のモーター向けに巻き線用平角銅線の加工機などを手がける。新型機で銅線の溶接も一体提案するなど、電気自動車(EV)分野といった新領域の開拓につなげる。
- 2023年12月21日
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- 2023年12月20日
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THKは人工知能(AI)を活用して機械要素部品や工具の状態を診断するIoT(モノのインターネット)サービス「OMNIedge(オムニエッジ)」を展開している。部品が壊れる前に状態異常を検知して機械ユーザーに知らせる仕組みによって、「ドカ停(長時間の生産設備の停止)」などを回避できる。顧客の困りごとを解決するオムニエッジのラインアップを順次拡充することで、OEE(設備総合効率)最大化の支援という価値提供を加速する。
オムニエッジでは、診断したい部品や周辺機器に専用のセンサーを設置。エッジコンピューティングやクラウドに送られたデータをAIが即座に分析する。例えばモーターやポンプ、ファンといった回転部品の状態を診断するサービスでは振動や温度など複数の要素から、AIが部品の異常度を算出。適切なメンテナンス方法についてもリポート形式で助言する。データを取り込み学習することで進化し続けるAIが生産現場の心強い味方になるというわけだ。
オムニエッジの特徴の一つに、ユーザー側で異常検知の閾値(しきいち)設定や、抽出したデータの分析が不要な点もある。データと一言に言っても、その受け手によって捉え方は大きく変わる。勝又育秀IOTイノベーション本部ソリューション開発部部長兼データサイエンスセクション課長は「データに“スパイス”を添加し味付けをした状態で提供することで、受け手が意思決定をしやすくなる」と狙いを説明する。
オムニエッジの展開に向けてはAIの深層学習に必要な実フィールドでのデータが不足しているという課題もあった。そこでTHKの工場などで実機検証などを実施し、サービス提供につなげた。
現在、オムニエッジのラインアップは第3弾まで拡大。切削工具の欠損やチッピングを検知できる「工具監視AIソリューション」ではスタートアップのMAZINと協業するなど積極的に外部とのアライアンスも活用する。
現在、オムニエッジを採用した企業は国内だけで数百社に上り、業界も多種多様。結果、普段は直接の取引が少ない機械ユーザーとの接点が強化されるなど、ビジネス領域を深化することができた。
勝又IOTイノベーション本部ソリューション開発部部長は「今後もラストワンマイルの困りごとを解決するとがったソリューションを打ち出したい」と第4弾以降のサービス展開にも自信を示す。
- 2023年12月20日
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- 2023年12月19日
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日本特殊合金は、従来の超硬合金に微粒の炭窒化チタンを均一に配置して硬度、摩耗性を大幅に高めた「SCPT合金」を開発し、サンプル出荷を始めた。チタン系材料を添加した超硬合金を窒素気流中で焼結することで均一配置を実現した。ドリル工具なら、寿命が通常の超硬合金の1・9倍に延長できるという。今後、金型素材用にも用途を拡大する。
タングステンの超硬合金の硬度を上げる場合には炭化バナジウムを添加するのが一般的だが、日本特殊合金は超微粒の炭窒化チタンと炭化クロムを複合して焼結。これにより、微粒チタンの均一配置に成功し、大幅な性能向上を達成した。
同社の社内評価によると、SCPT合金の抗折力は通常の超硬合金比25%増、耐摩耗性は同35%増となった。エンドミル、インサート(刃先交換チップ)、ドリルなど4種類の工具にして評価したところ、寿命はインサートで2-3倍、ドリルは1・9倍の結果が得られた。
現在、工具メーカーにサンプル出荷しており、評価実験を重ねている。併せて、社内では金型の素材として開発を進めており、摩耗量が大幅に低減したことも確認した。粉末成形用の需要を見込む。
既に本社工場で月間200キログラムの生産体制を確保した。工具、金型素材として早ければ2023年内にも販売にこぎ着け、生産能力の上乗せも検討する。価格は従来の超硬合金の1・5-2倍となる見込み。
- 2023年12月19日
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- 2023年12月14日
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トミタは水や切削油などの液体の使用量を従来比40%削減できる揺動式ノズルを本格販売する。ドイツのスタートアップ企業の製品で、洗浄時間を同25%削減する。ノズルの内部構造を工夫し、可動部品を用いずに連続的に液体の軌道を変えられる。低中高圧の計3シリーズを品ぞろえした。価格は約3万円から。
販売するのは独FDX(ベルリン)のジェットノズル「オシジェットノズル」。水圧は1―200バールで、機械加工中の切り粉の除去や食品の洗浄、液体の塗布など向け。特別注文で同1000バールの仕様にも対応する。液体の軌道を変える可動部品がないため、メンテナンス性が高い上に小型で長寿命という。
ノズル内の流路設計の最適化により、内部で噴流が壁面に沿うように流れる。一部が主噴流を片側の壁面に押し出す。この動きを交互に連続させることで、ノズルが左右に動いているかのように流体が左右に噴射される。トミタによると、水圧を分散させずに面に噴射でき、一般的なノズルに比べて1・5倍の圧力があるという。
- 2023年12月14日
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- 2023年12月13日
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西村製作所(大阪市平野区)は、3軸の汎用マシニングセンター(MC)を使ってアルミニウムなどの柔らかい金属の曲面に鏡面加工する技術を開発し、受注活動を始めた。切削後の研磨加工が必要なく、低コスト、短納期を実現。直径50ミリメートル程度の円形ワークの場合で、加工コストを2分の1から3分の1程度に抑えられるとしている。同社では平面に加えて、曲面の鏡面加工も実現したことで幅広いニーズに対応。自由形状での鏡面加工技術の開発も目指す。
西村製作所では直径250ミリ―300ミリメートルの円形のアルミニウムに凹型の曲面を加工した。電波を集波するデバイスとして受注したもので、今後追加の納入も決まっているという。汎用MCで切削加工した後、特殊なボールエンドミルを使用して研磨加工を施した。アルミニウムや銅、真ちゅうなど柔らかい金属は研磨が難しく、鏡面加工には高価な専用機か、手磨きが必要となることが多かった。
汎用MCによる鏡面加工では、既に同社は平面加工で独自工法「SABA加工」を展開。ただ平面加工に限られる用途は多くなく、曲面対応へのニーズが多く寄せられていたという。同社では専用のボールエンドミル開発と加工条件出しにより曲面の鏡面加工を実現。「ボールSABA加工」として事業展開し、光学部品など精密な加工が必要な分野へ提案していく。
- 2023年12月13日
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- 2023年12月12日
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三矢工業(愛知県安城市)は、マシニングセンター(MC)による切削加工時にパレット交換などの段取り時間を大幅に短縮する治具「ダンドリーズ」を発売した。加工対象物(ワーク)を固定する専用クランプ爪を1個当たり1分程度でセットできるため、機上のワークを10分程度で取り替えられる。価格は治具が120万円(消費税抜き)、クランプ爪が1個8000円(同)から。年間50セットの販売を目指す。
同治具は剛性が優れた合金「SKD11」を素材に採用し、削り出しによる一体加工品。510ミリメートル四方のプレート面に専用クランプ爪を取り付けられる穴を75ミリメートルピッチで24-25個設けて、さまざまな形状のワークをセットできるようにした。
また厚さを45ミリメートルに抑えたことでMCの加工スペースを十分に確保できる。同治具を2枚つなぎ合わせることも可能。
MCによる切削加工では段取り時間の短縮が生産性向上に直結する。同社は社内の部品加工で試作を重ね「1時間の段取り時間を15分程度に短縮できた」としてサンプル出荷を開始。検証を重ね、このほど本格販売にこぎ着けた。今後、本社工場での見学も受け付ける。
- 2023年12月12日
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- 2023年12月11日
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ユアサ商事はマシニングセンター(MC)による加工時に、切削液を供給するクーラント装置のポンプを制御して使用電力量を削減するソフトウエア「GCCP」を発売した。切りくずの量に応じて必要な時だけクーラント液を吐出するように制御し、ポンプの稼働を効率化できる。小型MCでの実証では、1台当たりの電気代を最大で年間約41%削減できたという。消費税抜きの価格はMC1台当たり19万8000円。年間300台への導入を目指す。
クーラント装置はベッド洗浄用、切削・主軸洗浄用などのポンプを備えている。ユアサ商事によると、機械加工時の使用電力量のうち、同装置全体の使用量で最大6割以上を占めるケースもあるという。
加工現場の二酸化炭素(CO2)削減に向け、同装置の使用電力量削減がカギの一つと捉え、ポンプ稼働の最適制御に着目し、今回のソフト開発に取り組んだ。
ポンプの制御は数値制御(NC)装置の画面を使い、容易に設定可能。切りくず量を少・中・多の3種類の中から選び、自動で一括制御できる。例えば、切りくず量が「中」の場合、加工中はベッド洗浄用ポンプの運転を停止するように制御をかける。また、ツールごとに切りくず量を設定して制御することも可能。
同ソフトは約1年半前から自動車部品加工を中心にフィールドテストを実施し、使用電力量の削減効果を確認してきた。
現時点でファナック製小型切削加工機「ロボドリルα―DiBシリーズ」に対応しており、今後も対応機種を広げる計画だ。
- 2023年12月11日
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- 2023年12月7日
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ブラザー工業は小型マシニングセンター(MC)「スピーディオ」シリーズのオプションで、加工対象物(ワーク)を搬送するローディングシステム「BV7―870Ad」を発売した。対象をスピーディオに限定し、動作を4軸にすることで、シンプルな動きとティーチングの容易さを実現した。消費税抜きの価格は316万円(ローダー本体、架台、側面扉、バルブ等一式を含む)。
独ハノーバーで開催された欧州国際工作機械見本市「EMOハノーバー2023」で初公開した。
架台をスピーディオ本体側面に直結し、アーム本体を水平方向に動作させる駆動機構「TR軸」と二つのアームを回転させる「J1軸」「J2軸」、アーム先端に取り付けたハンドを回転させる「J3軸」の計4軸で構成する。スピーディオ本体と一体になり、アームの中にモーター、配線、配管などを納めることで省スペース化を実現した。
工場のレイアウトに合わせて、機械側面の右側、左側のどちらにも取り付けられる。加工部品の着脱は側面から行い、新システムを制御するコントローラーはスピーディオ本体背面の制御盤に内蔵しているため、機械前面のスペースが空き、設置なしの機械と同様の作業が可能となる。
新システムについて、「設置にコストや手間暇がかかる、使い回しが難しいといった中小企業の自動化のハードルを軽減しようというのが狙いだ」としている。
- 2023年12月7日
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- 2023年12月6日
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乗用車メーカー8社が発表した10月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比12・2%増の237万1355台となり、9カ月連続で前年同月を上回った。メーカー別ではダイハツ工業を除く7社が前年同月を上回った。全体として半導体の不足の解消が進み、各社の生産回復傾向が続いている。地域別では中国の生産が減っている一方、インドでは需要が堅調に推移して、トヨタ自動車やスズキが生産を増やした。
トヨタの世界生産は前年同月比16・7%増の90万285台で10カ月連続のプラスで、10月として過去最高。そのうち海外生産は同8・7%増の61万7590台で単月として過去最高となった。
各社が苦戦する中国の生産は、生産撤退した三菱自のほかに、日産が同35・6%減、ホンダが同12・3%減、トヨタが同2・6%減だった。そのほかのアジア地域ではトヨタがタイやベトナムで経済低迷の影響を受け前年同月比マイナス。三菱自がインドネシアで同マイナスだった。
一方、インドではトヨタが同82・0%増、スズキが同13・0%増と増えた。北米はトヨタ、日産、ホンダがともに生産を増やした。
国内生産は8社合計で同19・0%増の77万9814台で、6社が前年同月を上回った。前年同月を下回ったダイハツは新車種投入で好調だった前年同月の反動があり、SUBARU(スバル)はおおむね想定通りの生産台数だった。
世界販売は中国の減少が響く三菱自を除いて7社が前年同期を上回り、トヨタ、スズキ、ダイハツは10月として過去最高だった。国内販売は8社合計で同11・5%増の37万1293台。マツダとダイハツを除く6社が前年同月を上回った。
- 2023年12月6日
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- 2023年12月4日
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トヨタ自動車がモノづくり革新に挑んでいる。このほど、大物部品を一体成形するギガキャストや、自走式の車両組み立てライン、次世代電池の試作ラインといった新たな生産技術を初公開した。キーワードは投資や生産準備期間などを半減する生産方式「BEVハーフ」と、デジタル技術を活用した「技能の継承」だ。新興の電気自動車(EV)メーカーが常識にとらわれない生産を実現する中、積み上げてきたモノづくり力を次世代でも強みにできるか。現場の取り組みが本格化している。
溶けたアルミニウムが流し込まれた、高さ6メートル、長さ15メートルほどのダイカスト装置。3分ほどで、両側に開いた型から厚さ4ミリメートルのリアフェンダー部の一体成形部品が取り出された。トヨタが明知工場で実証を進めているギガキャストの試作品だ。
特徴は、金型を分割して汎用部と専用部に分け、部品に応じて必要な型だけを交換する方式だ。少ない型の数で幅広い部品の成形に対応できると同時に、従来は24時間かかっていた型交換の時間を20分に短縮。担当者は「高度な寸法管理や設計技術が必要で、ほかにやっているところはない」と自負する。現状の装置の型締め力は4000トンだが、さらなる大型化や薄肉化も検討している。
このほか元町工場では、工場内に設置した6台のカメラで周辺を認識し自動走行するプラットフォーム(車台)に、シートなどを組み付ける様子を公開。完成した車を車両保管場所に自動で運ぶ新型ロボット「VLR」も披露した。9月から運用しており、2024年にはロボット台数を現状の1台から10台に増やし、同工場の全完成車両の運搬に広げる計画だ。
貞宝工場では、全固体電池の電極材料を「からくり」の原理を使って高精度に積層する治具や、バイポーラ型リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池の電極塗布工程を公開。製造領域を統括する新郷和晃執行役員は、全固体電池開発の進捗について「成分開発のめどはついている。量産化には安定して安価に作るなど課題は多いが、5合目くらいには来ているのではないか」との認識を示す。
- 2023年12月4日
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- 2023年12月1日
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OSGは塑性変形によってネジ山を作る工具の盛り上げタップについて、従来の形状を一新し、新しいメカニズムで加工する「グリーン・タップ」を開発した。独ハノーバーで開催中の欧州国際工作機械見本市「EMOハノーバー2023」で初公開した。従来より長寿命化するとともに、新たなタップ製造法の採用によって生産時の二酸化炭素(CO2)排出量を半減できる。2024年内に発売する予定。
グリーン・タップには、一般的な盛り上げタップにある直線状の溝がなく、「刃の山が出現と消滅を繰り返す」という特殊な形状をしている。これを穴に押し当てることで、従来の盛り上げタップとは異なるメカニズムでネジ山を形成する。従来品より長寿命化できる利点がある。
またタップの製造方法も新たに開発。製造時のCO2を半減でき、工具自体が長持ちすることによる廃棄量の削減とあわせて、環境負荷低減に高い効果を発揮するという。
開発を主導した溝口氏は「盛り上げタップが誕生してから大きく形状が変わることは今まで一度もない」と語る。開発ではコンピューター利用解析(CAE)を活用して、実物による試行回数を減らすなどの省力化に成功した。
- 2023年12月1日
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- 2023年11月29日
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中村留精密工業は、精密コンピューター数値制御(CNC)複合旋盤の新機種「SC―200ⅡL」を発売した。従来機種の高い加工剛性・作業性・精度を維持しつつ、長尺の加工対象物(ワーク)に対応する。従来はワンサイズ大きい機械で加工する必要があったワークを加工できる点を訴求し、拡販する。
シングルタレット機で加工径が最大390ミリメートル、加工長さが同522・8ミリメートル。ロングベッドを採用して芯間を伸ばすことで、フランジワークから長尺ワークまで対応可能にした。
主軸回転速度は毎分4500回転。ツールの旋回径は620ミリメートルで、8インチクラス以上の広い加工領域を確保した。角スライドを採用した高剛性スラントベッドにより、重切削や高精度加工にも対応する。また同社製の背面加工ユニット「又兵衛」とテールストックを選択可能。素材から完成品までを1台で加工できる。
加工精度・経時変化への要求が一層高まり、従来以上に高精度な機械が求められている中、新機種の提案を通じて加工現場の作業精度や生産性向上への貢献を図る。
- 2023年11月29日
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- 2023年11月28日
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日本の工作機械メーカーが欧州市場で工場自動化(FA)に貢献する製品を相次ぎ投入する。牧野フライス製作所は工作機械と周辺機器をつないだ自動化システムの制御やデータ活用をするソフトウエアを刷新する。ヤマザキマザックはパレット搬送型の自動化システムで工作機械の長時間の無人運転を支援する。欧州では労働需給の逼迫が続き、賃金上昇圧力も強い。生産現場の改善を後押しし、経営課題の解決に貢献する。
牧野フライス製作所はFAソフト「MAS―NX」を10月末に国内外で発売開始した。従来と比べ生産スケジューリングと工具管理機能を大幅に刷新。72時間先までの生産の進捗を「見える化」することで、現場の作業者が次に何をすべきかを明確に管理できるようにした。具体的にはロボットを活用した加工対象物(ワーク)の取り付けや、面取り、仕上げ加工といった工程ごとにかかった時間などを細かく把握できる。
製造現場では加工を含めたシステムの制御プログラムを自動生成して活用する動きが広がる一方、加工中の工具動作などを細かく把握するニーズが高まる。また同じ機種、同じ加工プログラムで、同じ素材のワークを加工しても、機種間で加工時間などに差が出ることがあり、こうした機差の把握や要因分析を支援し、生産の効率化に貢献する。
ヤマザキマザックは欧州で工場内の生産システムや物流システムと工作機械を連携させるパレット搬送型自動化システム「パレテック」の販売を本格化する。必要な素材や工具を無人フォークリフトが自動搬入することで、従来よりも長時間の無人運転を実現する。オークマは旋盤に工作機械内蔵型のロボットシステム「アームロイド」を組み込んだ機種や、協働ロボット、立体フレキシブル生産システム(FMS)などの提案を積極化する。
- 2023年11月28日