-
- 2022年10月4日
-
デンソー完全子会社のデンソー福島は、トヨタ自動車が開発した固体高分子(PEM)型の水電解装置で水素を製造し、電気炉のアフターバーナーの燃料として活用する水素利活用システムを本社工場(同)内に構築する。工場の脱炭素化が目的。2023年度に設置し、25年度まで実証を行って実用化を目指す。
デンソー福島は地産地消型の脱炭素工場の実現に向け、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による助成を受けて水素製造・燃焼利用事業を進めることにした。
同工場には高温熱利用のための液化石油ガス(LPG)燃料の工業炉があり、多くの二酸化炭素(CO2)を排出。この工業炉を再生可能エネルギー由来の電力を用いた電気炉に置き換え、廃ガスを無害化するアフターバーナーの燃料に水素を利用する。電気炉の電力は工場が運用する1000キロワットの太陽光発電と非化石証書からのグリーン電気を使う。
水素製造にはトヨタの燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」向け燃料電池セルを転用した水電解装置を用いる。同装置は小型化・低コスト化が期待でき、実用化としては同工場への導入が第1号となる。水素の製造能力は1時間当たり8キログラム規模。製造した水素を容量300立方メートルのタンクに貯蔵し、水素バーナーで燃焼する。
- 2022年10月4日
-
- 2022年10月3日
-
乗用車メーカー8社が発表した2022年上期(1ー6月)の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同期比6・0%減の1155万5703台だった。前年同期を下回るのは2年ぶり。半導体不足が長期化しているほか、中国・上海でのロックダウンなどの影響を受け、各社は減産を余儀なくされた。
国内生産は同14・3%減の342万60台、海外生産は同2・1%減の813万5643台で、特に国内のマイナス幅が大きかった。「国内生産のみで使用している部品に供給不足があり、減少幅が大きくなった」(トヨタ自動車)。一方でトヨタとダイハツ工業は、海外生産が過去最高となった。「中国での能力増強や生産最適化などが押し上げた」(同)という。
部品不足の中、各社は堅調な需要に応える工夫をしている。スズキは主力のインドにおいて、半導体の使用量が少ない輸出向け車両の生産を増やした。
ただ今後も、厳しい状況は続きそうだ。
- 2022年10月3日
-
- 2022年9月29日
-
牧野フライス製作所はレーザー加工機事業を拡充する。加工対象物(ワーク)への熱影響が少ないなどの特徴を持つ超短パルスレーザーを採用した新機種を市場投入した。照射時間が極めて短いフェムト秒(フェムトは1000兆分の1)レーザーを使い、変質層やクラック(ひび割れ)の発生を抑えることで、高精度な微細加工が可能。切削加工などでは対応できない形状・材質の加工要求が高まる半導体や医療関連市場を深耕する。
新機種の「ルミナイザーLF400」は、最大ワークサイズが幅450ミリ×奥行き450ミリ×高さ200ミリメートル。価格は1億円以上。年間10台の販売を目指す。
レーザー光を制御するガルバノスキャナーに2軸仕様と5軸仕様をそろえるなどし、平面加工や穴加工、微細形状加工など加工内容に応じて最適な機器を選べる。
機械筐体(きょうたい)部に高剛性で前後左右対称となる設計を採用し、マシニングセンター(MC)で培った高精度位置決め技術も活用。外気温変化による機械姿勢の変化を最小化することで、長時間運転でもプラスマイナス0・001ミリメートルの位置決め精度を実現した。
また、アイコン表示によって直感的操作が可能なパネルを採用。レーザー発振器やガルバノスキャナーなどの機器も同一画面上で調整・操作できる。
牧野フライス製作所は脆(ぜい)性材加工向けに、水と空気との境界面での光の全反射現象を利用したウオータージェット式の機種を20年11月に発売し、レーザー加工機市場に参入した。今回の新機種投入により、レーザー加工機全体の年間販売台数を数年後に現在比約10倍の100台に増やす方針。LASER・EDM事業部の木戸正孝部長は「MCや放電加工機では対応できない部分をカバーすることで、当社の事業の柱にする」と事業拡大へ意気込みを示した。
- 2022年9月29日
-
- 2022年9月22日
-
DMG森精機は、割り出し5軸加工の工程設計を学べる動画コンテンツの販売を始めたと発表した。さまざまな加工対象物(ワーク)に対する割り出し5軸加工のクランプ方法から加工工程までを3次元コンピューターグラフィックス(3DCG)を使って解説。加工工程の考案をはじめ、5軸加工機の導入検討や技術者教育に活用できる。価格は年間11万円(消費税抜き)で、今後追加予定の同時5軸加工や複合加工機用などの全コンテンツも利用できる。
新コンテンツ「工程設計アドバイザー(割出し5軸編=イメージ)」は、精密切削加工を手がける入曽精密(埼玉県入間市)と協力して制作した。DMG森精機の顧客専用サイトの教育サービスの一つとして提供する。
1ワーク当たり5分程度の動画で、まずは60種類のワーク事例を公開した。そのうち10種類をサンプルコンテンツとして、同サイトの顧客向けに無償公開している。
今後1カ月ごとに10種類の事例動画を追加公開し、12月末までに計100種類に増やす。また、同時5軸加工編や複合加工機編、テクノロジーサイクル編のコンテンツも追加する。
- 2022年9月22日
-
- 2022年9月21日
-
三菱重工航空エンジンは、航空機エンジンの修理・整備(MRO)事業を拡大する。本社工場のうち、MROを担う工場を拡張する。新エリアに機械設備を集約し、既存エリアでの人手作業を効率化する。2023年度に新エリアを稼働する。投資額は非公表。工場拡張により、MROの対応能力を現状の月4―5台から30年度ごろに同15台に高める計画。コロナ禍からの経済再開による航空機運航拡大に伴うMRO需要増を取り込む。
MRO工場に建築面積約1600平方メートルの新エリアを拡張する工事を始めた。エンジンを分解・修理して組み立てた後にブレードのバランスを測定する専用機や研削盤を新エリアに移す。専用機は1台追加導入する。同約1万2000平方メートルの既存エリアでは、部品交換や修理、組み立てなど人手作業のみ実施することで、対応能力を高める。
欧エアバスの小型機「A320neo」用エンジン「PW1100G―JM」のMRO需要に対応する。三菱重工航空エンジンは同エンジンの燃焼器などを長崎工場(長崎市)で生産しており、MROも請け負っている。A320neoの受注好調で高まる同エンジンのMRO需要拡大を取り込む。
三菱重工航空エンジンは22年度に売上高約1000億円を見込み、30年度には約2000億円に伸ばすことが目標。MROの比率は22年度は3―4割とみており、30年度には約半分に高めることを目指す。
- 2022年9月21日
-
- 2022年9月20日
-
タンガロイは、ヘッド交換式ドリル「ドリル・マイスター」の汎用ヘッドDMP形、高精度加工用ヘッドDMC形、座繰り加工用ヘッドDMF形を大幅に拡充した。炭素鋼、合金鋼の加工での長寿命化により、工具費用の低減につなげられる。
全85製品をそろえ、価格は代表型番の「DMP060AH9130」が8899円(消費税込み)。初年度2000万円の販売を見込む。
DMP形では耐摩耗性が高い「AH9130」材種を直径6・0ミリ―9・9ミリメートルのすべての径に拡充した。汎用的な「AH725」材種と合わせ、さまざまな加工で最適な材種を選択できる。
また、DMC形で同20・0ミリ―25・9ミリメートルのすべての径を拡充。DMF形は同10・0ミリ―19・9ミリメートルの径範囲で14製品を追加した。
- 2022年9月20日
-
- 2022年9月16日
-
日刊工業新聞社がまとめた1―6月の工作機械主要7社の受注実績は、前年同期比38・1%増の2669億9400万円だった。国内が同53・6%増、輸出が同30・4%増。半導体製造装置を中心に、自動車や一般機械、医療機器向けなど幅広い業種で設備投資の活況が続いた。物価高や金利上昇による景気後退リスクはあるものの、業界では7月以降も受注環境は当面高水準で推移するとの見方が強い。
全社が国内、輸出、総額の全項目で増加となった。牧野フライス製作所とツガミは総額が1―6月として4年ぶりに過去最高を更新したほか、オークマも輸出が1―6月として過去最高となった。
輸出では、最大市場の中国で電気自動車(EV)を含む自動車関連や電気・電子機器向けなどで旺盛な需要が持続。米国でも半導体製造装置をはじめ、自動車や医療機器向けなどが好調だった。
オークマは足元で製造業の自動化、省力化投資が活発なほか、けん引役の半導体製造装置向けの需要も根強いことから、7月以降について「急激な落ち込みはない」と見通す。
6月単月の7社の受注総額は、前年同月比21・7%増の466億500万円で、19カ月連続の増加となった。400億円を上回るのは5カ月連続で、高水準を維持している。
牧野フライスは、中国と米国を中心に好調で、総額がすべての月を通じて過去3番目の実績となった。
日本電産マシンツールは、国内で産業機械向けに門型機械を多く受注したことで大幅増加となった。米国でも自動車向けに歯車機械の大口受注を獲得するなど、「国内外で市場が動き始めてきた印象だ」。
中国市場は以前よりも若干調整気味の状況ではあるものの、まだ高い水準が続いている。ツガミは3カ月連続で減少したが、年間を通じて1000億円を上回るペースを持続しており「悪くない数字」と捉える。
- 2022年9月16日
-
- 2022年9月14日
-
ミスミグループ本社は、オンラインで機械部品を調達できるサービス「meviy(メビー)」で、長納期を選んだ顧客の部品価格を割り引くサービスを始めた。「納期が長くても安く調達したい」という顧客の要望を踏まえた。顧客は生産計画など状況に応じた納期を選べ、調達価格のコストダウンも同時に実現できる。
「長納期低価格サービス」は出荷日の選択時に「20日目」を選ぶと完了する。機械部品1個から適用し、短納期選択時と変わらない品質で価格を30%引き下げる。対象とするのは工場自動化(FA)メカニカル部品の切削プレートや板金部品。
メビーは顧客が3次元(3D)データをアップロードして見積もりを依頼すると、人工知能(AI)が価格と納期を即時に回答。製造プログラムの自動生成で最短1日の出荷に対応している。
- 2022年9月14日
-
- 2022年9月12日
-
三菱マテリアルは、両面インサート(刃先交換チップ)式汎用肩削りカッター「WWX400シリーズ=写真」に、コーナー半径(R)1・6ミリメートル、同2・0ミリメートルのインサートを追加し、発売した。耐欠損性が求められる加工や高送り加工に適する。価格は代表型番の「6NMU1409160PNER―M」が、1716円(消費税込み)。
材種などにより全30製品で構成。大きなインサートコーナーRにより、刃先強度の向上と高能率加工を実現する。既存のR0・4ミリメートルと同0・8ミリメートルのインサートを含め、幅広い加工に対応する。
同シリーズは強度を追求した独自開発のX形状インサートを採用。両面6コーナー使用が可能で工具費用削減につなげられる。また、さらい刃を大Rとすることで、無研磨クラスのインサートでも良好な仕上げ面を実現する。
- 2022年9月12日
-
- 2022年9月9日
-
工作機械メーカーの2022年度は、国や業種によってまだら模様ながらも底堅い需要に支えられ、おおむね好業績を維持しそうだ。売上高予想を開示している主要19社の総額は前年度比13・1%増の1兆4841億円となる見通し。営業損益も開示企業15社のうち13社が増益または黒字転換を見込む。ただ、部品不足や原材料高、中国経済の先行きなどの不透明要素も多く、収益の伸びを微増にとどめる企業も目立つ。部品調達や収益管理の巧拙が一層問われる局面を迎えている。
前年度末までの受注残が豊富に積み上がっていることに加え、製造業の自動化・省人化や電気自動車(EV)化の加速、脱炭素対応に関する機械設備需要も引き続き活況が見込まれる。
ツガミは売上高、営業利益、当期利益で2期連続の過去最高更新を予想する。牧野フライス製作所やシチズン時計も売上高が過去最高を見込む。最大市場の中国は需要減速が懸念されるが、牧野フライス製作所の永野敏之専務は「今のところ底堅い需要が当面続く」とみる。
オークマは売上高が2100億円と、過去最高だった08年3月期の2138億円に近い水準を予想し、「過去最高(になること)を視野に入れる」(家城淳社長)と強気の姿勢を見せる。
DMG森精機は、1―3月期の好調な受注実績などを反映し、22年12月期業績予想を上方修正した。受注は全地域で堅調に推移しており、特に米州市場は「宇宙関係やEV、エネルギー、医療関連などが非常に強く回復している」(森雅彦社長)と捉える。
旺盛な需要を背景に工場の稼働率が高まることで生産性の改善も進む。芝浦機械や滝沢鉄工所が営業利益で大幅増益を見込む。
一方で小幅増にとどまる予想も目につく。シチズン時計の古川敏之常務は、部材調達難の影響でリードタイムが長期化していることに加え、「輸送コストも増加している」と指摘する。
収益確保に向けて、生産効率化や原価低減の取り組みが重要となる。一方、高松機械工業の高松宗一郎社長は、原材料の高騰に対して「製品価格への転嫁も検討する」と値上げを示唆する。
- 2022年9月9日
-
- 2022年9月8日
-
藤原製作所は、立型マシニングセンター(MC)の主軸向けスピンドルユニットを開発した。最高回転数は毎分5万回転と、これまでの同社最高速品より1万回転高速化した。仕上加工用の高精度MCへの搭載を目指し、工作機械メーカーに売り込む。
加工精度は0・2マイクロメートル(マイクロは100万分の1)とサブミクロンの高精度を確保。軸受にはオイルエア潤滑方式の玉軸受を採用し、高速回転ながらもエアスピンドルに比べて高い切削トルクを得られる。
内蔵(ビルトイン)モーターは、欧州メーカー製の同期モーターを採用した。ツールホルダーのテーパー規格はHSK―E32。
構成部品を少しずつ見直し、改善することで高精度かつ高速回転を実現した。価格や販売目標台数は、今後の工作機械メーカーの採用の動向によって変わるとして明らかにしていない。
同社は独立系の主軸スピンドル専業メーカー。内製する工作機械メーカーも多い中で、専業メーカーは全国的に見ても数少ないという。
- 2022年9月8日