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- 2022年8月18日
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丸山製作所は、金属加工で使う水溶性の切削液(クーラント)を長寿命化する装置を開発した。超微細な気泡であるウルトラファインバブル(UFB)技術を活用。独自構造のポンプでクーラントを瞬時にUFB化し、菌の増殖による劣化を抑える。添加剤は不要。環境負荷の低減に取り組む工作機械メーカーなどを対象に9月に製品化。初年度は2000台の販売を目指す。
開発した装置はクーラントをポンプに1回だけ通してUFB化する。直径1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)未満の超微細な気泡が嫌気性細菌を不活化し、クーラントの腐食・劣化を抑える。防腐剤や水素イオン指数(pH)調整剤などの添加剤に頼らず長寿命化できる。
装置構造はコンパクト。9月受注分の消費税抜きの予定価格は長時間対応型の200ボルトが150万円、短時間対応型の100ボルトが75万円。
特定の水溶性クーラントを使った検証に協力したクーラント製造のビーピージャパン(東京都港区)によると、添加剤を使わない状況で従来製品と開発品を比べると、2―4倍長く良好な状態を維持できたという。
環境対策で油性から置換が進む水溶性クーラントは腐食・劣化の抑制に添加剤が必要。最高等級のクーラントでも年2回以上の交換を要し、交換時は生産を止める場合もある。同剤の排出対策も課題だ。装置はこれらの課題解決や産業廃棄物の削減に寄与する。
丸山製作所は水に関するポンプ事業が主力のポンプメーカー。UFB事業を新たな経営の柱とするため、今後もUFB技術搭載の製品を市場に投入する。
- 2022年8月18日
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- 2022年8月17日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した7月の車名別新車販売は、トヨタ自動車の小型車「ヤリス」が2カ月ぶりに首位となった。ヤリスは前年同月比19・5%減に落ち込んだものの「他の人気車種も伸び悩むなか首位を取り返した」(自販連)。6月の1位だったホンダの軽自動車「N―BOX」は、同0・7%増で2位となった。
半導体不足や中国・上海のロックダウン(都市封鎖)による生産調整などが影響し、上位30車種のうち、14車種が前年同月の実績を割り込んだ。
1万台を超えたのは上位3車種。3位のトヨタの「カローラ」は、派生車種で2021年9月発売のスポーツ多目的車(SUV)「カローラクロス」がけん引し、同41・2%増だった。
7年ぶりに全面改良し5月に発売したホンダのミニバン「ステップワゴン」や、21年9月に「ワゴンRスマイル」を発売したスズキの軽自動車「ワゴンR」、同「ジムニー」が、新車効果などを追い風に同2倍以上と大幅に伸びた。
- 2022年8月17日
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- 2022年8月12日
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中村留精密工業は世界最小級の工具主軸「NTスマートキューブ」を搭載した自動工具交換装置(ATC)型複合加工機「JX―200」を発売した。工具収納本数が80本に増加したATCで、さまざまな加工・工法が1台で可能。多様な素材の加工対象物(ワーク)に対する長時間の安定した多品種少量生産を実現する。価格は7000万円(消費税抜き)。月10台の販売を目指す。
新製品のATC型複合加工機は工具主軸コラムを垂直に配置し、重心を最適化。多方向からの負荷に強くなり旋削、穴開け、ギア加工、ミーリングなどで安定した加工を実現する。
さらにスイング角度プラスマイナス95度の工具主軸とY軸を持つ下タレットの組み合わせで、L・R主軸での左右同時加工や下タレットでのセンターサポートなど、さまざまな工法に対応する。
また、機械内部の新コラムやフレーム構造、外観について、シンプルかつスタイリッシュなデザインの仕立てにもこだわった。中村社長は「顧客の要望に機械、制御、加工、サービス各部署が意見を出して考え、実現した」と語る。
- 2022年8月12日
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- 2022年8月10日
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DMG森精機はコンピューター利用製造(CAM)で生成した加工経路を工作機械の制御装置に適合した数値制御(NC)プログラムに変換する機能(ポストプロセッサー)と切削加工シミュレーション、切削力最適化機能を統合したソフトウエアを発売したと発表した。
CAMと同社製機械を円滑に連携でき、プログラム作成から加工開始までの大幅な時間短縮や消費電力削減につなげられる。
5軸加工機で使う場合の基本版(ポストプロセッサー、切削加工シミュレーション)の価格は89万6000円(消費税抜き)から。
発売したソフト「セロスダイナミックポスト」は、同社の5軸加工機と複合加工機、横型マシニングセンターに対応。従来個別に購入する必要があった各機能を1本のソフトで使うことができる。
CAMで作った加工経路をポストプロセッサーでNCプログラムに変換。その後、切削加工シミュレーション機能で加工形状の評価と干渉チェック、加工時間の予測を行い、切削力最適化機能により切削負荷を評価して加工条件を最適化したNCプログラムを自動で生成する。
切削加工シミュレーションには同社のデジタルツイン技術を用いることで、機械構造や軸の加減速、工具交換時間などの同社製機械の機能を再現。実際の切削時間や切削力を正確にシミュレーションできる。
- 2022年8月10日
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- 2022年8月8日
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ミスミグループ本社はオンラインで機械部品を調達できるサービス「meviy(メヴィー)」で発注数に応じた割引を実施する。主要顧客である自動化産業は原材料価格の上昇などで利益を圧迫されやすい環境にある。ミスミは自動製造の範囲拡大など新たな生産方法の導入によるコストダウン効果を主要顧客に還元する。
工場自動化(FA)メカニカル部品の多量注文時に割引率を拡大する新価格体系を導入した。切削プレートもしくは板金部品を21個以上発注した際に、切削プレートは30%、板金部品は40%割り引く。発注数次第だが、最大50%程度の割引率を適用する。
メヴィーは顧客が3次元(3D)データをアップロードして見積もりを依頼すると、人工知能(AI)が価格と納期を即時に回答。受注と同時に加工が始まるため、最短1日の出荷を実現できる。ミスミは同サービスにより、製造業における労働生産性改革の実現を目指している。
- 2022年8月8日
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- 2022年8月4日
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タンガロイは、平面加工用カッターの「ドゥー・トリプル・ミル」と「ドゥー・クアッド・ミル」向けインサート(刃先交換チップ)に「AH3225」材種(写真)を追加し、発売した。高い耐摩耗性と耐欠損性を両立し、サーマルクラックによる突発欠損も防げる。鋼加工での高い信頼性と長寿命を実現する。初年度1億円の販売を見込む。
ドゥー・トリプル・ミルは四角形、八角形、丸駒タイプの用途が異なる3種のインサートを同じカッターで共用可能。今回、計7アイテムを追加した。価格は代表型番の「SNMU1307ANEN―MJAH3225」が1705円(消費税込み)。
ドゥー・クアッド・ミルは切り込み角88度で、接近性に優れ、部品の突起物や治具がある場合でも干渉物の間際まで加工できる。追加したのは計3アイテムで、価格は代表型番の「SNMU120608HNEN―MMAH3225」が1617円(同)。
- 2022年8月4日
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- 2022年8月2日
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機械・工具商社主要8社の2023年3月期連結業績予想は、全社が増収を確保する見通しだ。各社とも生産の自動化や脱炭素化への対応などで求められる商材の提案を加速する。一方で物流停滞やロシア・ウクライナ情勢による原材料や燃料費の高騰などで、先行き不透明な状況が続く。減価償却負担や人件費増などで3社が営業減益を予想するなど、利益面では企業により差が出た。
山善は22年3月期に3年ぶりに売上高5000億円を超え、23年3月期も増収を見込む。国内の生産財事業は「工場の自動化・省人化の高まりや自動車業界などで脱炭素化の開発が加速する」と需要は堅調とみる。ただ、基幹システムなどの投資に伴う償却コストが増え、営業減益と予想する。
椿本興業の23年3月期は食品業界の自動化設備や環境配慮の商材開拓などで売り上げを増やす考えだ。「物流滞留や燃料費高騰などマイナスの影響はあるがカバーできる」とする。
ユアサ商事の23年3月期は全利益項目で過去最高を予想。工作機械の受注残が豊富にあり、販売が伸びる予想だ。国内でコロナ禍の影響が和らぎ「経済活動が活発化する」とみる。
日伝は半導体関連の好調を背景に機械器具の販売が堅調。Cominixは切削工具事業で電気自動車(EV)関連の需要が増えると見込む。
ロシア・ウクライナ情勢について、ユアサ商事では木材輸入や中古建設機械の販売事業で直接影響を受けているのに加え、資源高騰により仕入先からの値上げ要請が強まっているという。他社でも経済活動への影響を注視している。
- 2022年8月2日
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- 2022年8月1日
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スギノマシンは、小型・汎用ドリリング・タッピングユニット「セルフィーダ デュオ」に「クーラントスルー仕様」を追加し、発売した。オイルホール付ドリルやタップに対応。深穴加工やタップ加工において、切りくず排出性を良くするとともに、刃先の冷却と潤滑をしながら加工することで高効率な加工を実現。刃具の折損や摩耗も防ぎ生産性が向上した。
クーラント圧は1・0メガ―5・0メガパスカルで、最高回転速度は毎分7000回転。最大穴開け能力は、アルミニウムが直径16ミリメートル、鋼が同11ミリメートル。最大ネジ立て能力はアルミでM14、鋼でM10まで対応する。セルフィーダ デュオはモーター、スピンドルの交換で加工能力が変えられ、加工プログラムの変更で加工条件や加工サイクルの変更ができるなど汎用性が高い。
- 2022年8月1日
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- 2022年7月29日
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日本電産マシンツールは、工作機械の中古機事業に参入する。中古機販売事業者と連携し、顧客の設備更新時などに老朽化した機械を下取り、修理・復元した上で販売する。他社製機械の引き取りにも対応する。顧客は設備更新時の旧機種の引き取り費用を抑えられ、最新機械を導入しやすくなり、生産性改善や環境負荷低減につなげられる。
今後、中古機事業を始め、日本電産マシンツール製の新品の機械を購入した顧客からの下取りだけでなく、旧機種の引き取りのみにも対応する。
歯車工作機械や門型5面加工機などの日本電産マシンツール製機械は同社が修理・復元し、販売を中古機販売事業者が代行。メーカーが純正部品を使って修理することで、長期間使っても性能を維持できる中古機として訴求する。6カ月のメーカー保証も付与する。
他社製機械の下取りでは同社が窓口となるが、その後の引き取りや修理、販売はすべてパートナーが担う。
設備更新時の古い機械の処分は、顧客が中古機事業者らに買い取りを依頼するケースが多い。しかしその場合、工場から屋外への横引きやトラックによる運送などの費用が発生してしまう。新機種の据え付け時に旧機種を引き取ってもらえると、それらの費用が削減され、新機種購入費用に充てられる。
最新機種の導入による加工対象物(ワーク)1個当たりの二酸化炭素(CO2)削減のほか、下取り機械の再活用につながる環境貢献も見込める。
また日本電産マシンツールは、一部の歯車工作機械について、事前に主要ユニットをそろえるなどして納期を最短2カ月(現在は約8カ月)に短縮する計画生産を月内に始めるほか、レンタルサービスも開始。製品の商談・納入から運用、買い換えまでの「ライフサイクルサポート」を推進し、新規顧客の獲得などにつなげる。
- 2022年7月29日
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- 2022年7月26日
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サンエールは、ワイヤカット放電加工機向けワイヤの新製品を発売した。放電効率の高い材料をコーティングし、通常使われる黄銅(真ちゅう)線に比べ加工を21%高速化した。価格は原材料価格によって変動するが、1キログラム当たり1900円前後(消費税抜き)。年間100トンの販売を目指す。
発売した「SPW+ε(SPWプラスイプシロン)」は、銅60%、亜鉛40%の黄銅線を中心部に持ち、亜鉛の割合を徐々に高めた3層のコーティング構造を持つ。これにより加工を高速化しつつ、加工面の粗さは黄銅線と同等程度を確保した。
亜鉛の割合を最適化し、断線しにくくした。ワイヤの真直度も高めたことで、加工機での結線率は95%と、従来のコーティングワイヤに比べ9ポイント高めた。
ワイヤ直径は0・2ミリ、0・25ミリ、0・3ミリメートルの3種類をそろえた。
- 2022年7月26日
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- 2022年7月25日
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乗用車メーカー7社は2023年3月期連結業績予想で全社が増収を見込む。値引き販売の抑制や為替の円安効果が収益を押し上げ、7社合計の売上高見通しはコロナ禍前の19年3月期を上回る。一方、原材料費価格の高騰が利益を大きく押し下げ、当期増益予想はホンダなど3社にとどまる。急激なコスト上昇は1年間の改善努力で補うことは難しく、負担や利益を中長期で分かち合うサプライチェーン(供給網)の構築が求められる。
23年3月期は米国や中国を中心に前期を上回る需要が見込まれ、各社が多くの受注残を抱える。前期は減産が相次いだが、要因となった半導体など部品不足の影響は継続。全7社が増加を見込む世界販売台数の実現には安定生産が課題になる。
販売規模が小さいSUBARU(スバル)は部品の共用を進めるが、半導体の影響が複数車種に広がる一因となった。汎用性の高い半導体に切り替えるなど対策を推進。中村知美社長は23年3月期の世界生産計画で前期比37・6%増となる「100万台にチャレンジしたい」と強い意志を示した。スズキも半導体関連の部品調達で契約期間の長期化や在庫の積み増しなど対策を徹底。鈴木俊宏社長は23年3月期に約310万台を見込む生産計画を「最低台数として取り組みたい」とした。
ウクライナ情勢などで、鋼材やアルミニウムを中心とした原材料や物流費の上昇が続く。トヨタ自動車は23年3月期に資材高騰の影響が営業利益を1兆4500億円押し下げると見込む。22年3月期にも過去最大の6400億円のマイナス影響があったが、2倍以上に膨らむ原材料価格の上昇傾向に近健太副社長は「過去に例がないレベル」と警戒する。
ホンダも営業利益で2期続けて3000億円近いマイナス影響を見込む。前期は値下げの原資となる販売奨励金の抑制、原価改善、部品サプライヤーへのコストダウン要請などで影響を抑えた。ただ2年連続で原材料価格の急騰を1年間の原価改善努力で打ち返すのは難しく、竹内弘平副社長は「サプライヤーと協力しながらコストの上昇を押さえ込む努力を続ける」とした。
一方、記録的な原材料価格の上昇局面でも、商品価格への転嫁には細心の注意を払う。「カローラ」など30年以上続く車種を多く抱えるトヨタは「インフレになり価格を急に上げていては期待に添えないことになる。原価低減に長期で取り組み、お客さまの期待に応えたい」(長田准執行役員)とした。日産自動車の内田誠社長は「値上げという言葉は好きではない。車の価値を認めてもらえるかが重要だ」とし、商品力の向上に注力する。
- 2022年7月25日