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- 2021年7月14日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した5月の新車販売台数は、前年同月比46・3%増の31万9318台と8カ月連続でプラスだった。前年同月は新型コロナウイルス感染拡大を受けた初めての緊急事態宣言が発出された時期で、経済活動が制限され新車販売も落ち込んだ。2021年5月はその反動増が大きく出たものの、例年の販売水準までは回復しきれていない。
登録車は同30・9%増の19万3750台と3カ月連続でプラスだった。ただ5月単月としては統計を開始した1968年以降で下から4番目。半導体などの部品不足や、消費マインドの回復が遅れていることなどが影響している。
車種別では乗用車が同34・1%増の16万5932台だった。特に普通乗用車は同63・3%増の9万7430台だった。
軽自動車は同78・6%増の12万5568台と8カ月連続のプラスだった。ダイハツ工業の「タフト」などの新型車や、特別仕様車によるテコ入れの効果が見られた。しかしコロナ影響が無かった19年同月比だと15・6%減という実績で「良い数字ではない」(全軽自協)。
今後の見通しは「各メーカーに半導体不足の影響が広がっており、その影響も読み切れない状況だ」(同)。4月末に発出された3回目の緊急事態宣言が延長されたこともあり、「先行きはかなり不透明だ」(自販連)という。
- 2021年7月14日
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- 2021年7月12日
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スター精密は自動車、油圧・空圧装置分野などの大径部品加工向けのスイス型(主軸移動型)自動旋盤「SR―32JIII」を8月に発売する。背面加工用に6軸型ユニットを搭載した直線制御軸5軸の「タイプA」、Y2軸制御付き8軸型ユニットを搭載した直線制御軸6軸の「同B」がある。消費税抜きの価格はAが1080万円、Bが1230万円。シリーズ合計で年間300台の販売を目指す。
同旋盤は大径部品加工向けの主力機「SR―32J」をリニューアルしたシリーズ最新モデル。最大加工径は32ミリメートル。
正面加工用のくし刃型刃物台回転工具に、加工部品の形状に応じて工具ユニットが取り換え可能な2カ所のカートリッジポジションを備えた5軸型と6軸型のほか、クロス加工専用の6軸型の3タイプを用意。顧客のニーズに応じた最適なツーリングレイアウトを選べるようにした。
機械構造面では、くし刃型刃物台に独自の「スラント型すべり案内面構造」を採用。機械剛性を高め、長時間にわたって安定した高精度連続加工を可能にした。
- 2021年7月12日
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- 2021年7月9日
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乗用車メーカー8社がまとめた4月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比2・3倍の207万8285台と、大幅な増加となった。3カ月連続のプラス。半導体供給不足により生産調整を実施したマイナス影響はあるものの、2020年はコロナ禍で各社が工場稼働を停止しており、その反動増が大きく出た。足元では半導体不足が続く。
海外生産台数は同2・8倍の139万8524台だった。トヨタは同3・1倍の49万3854台で、4月単月で過去最高となった。欧州の一部でコロナ禍によるロックダウン(都市封鎖)の影響はあったものの、米国でライトトラックを中心に販売が好調だった点が押し上げた。
全体の国内生産台数は同64・8%増の67万9761台。ダイハツ工業は同67・5%増の8万2477台で、4月として過去最高だった。軽自動車「タント」などの販売が好調で生産を増やした。
全体の国内販売は同30・2%増の32万3342台。緊急事態宣言などの影響はあったものの、昨年の反動増に加えて、新型車の販売が好調な点が寄与した。
4月に三菱自動車は国内外の3拠点の生産において、計7500台の半導体不足の影響があったとしている。半導体の需給は引き続き逼迫(ひっぱく)している。
- 2021年7月9日
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- 2021年7月6日
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牧野フライス製作所は工作機械に付随する周辺機器の独自開発に参入した。新ブランド「スマートツール」を立ち上げ、独自に開発した工具や取付具、測定具、ソフトウエアなどの商品をそろえる。汎用のマシニングセンター(MC)で専用工程を実現。第1弾として半導体製造装置や真空装置の部品加工専用の3製品を投入する。
工作機械の周辺機器を独自開発することで、加工の品質向上や製品コストの低減、競争力の強化につなげる。まず第5世代通信(5G)や電気自動車(EV)の普及で需要が高まる、半導体製造装置・真空装置の部品加工向けから展開。今後、年間6種類を目標にスマートツールの製品群を拡充する。高山幸久執行役員営業本部長は「機械だけでなく工具や加工技術で顧客の利益を最大化する」と意気込む。
発売した半導体製造装置・真空装置の部品加工用の3製品は、真空バルブなどのシール面の高品位仕上げに使う。手作業での磨き工数を削減し、製造期間を短縮する。一定の制限はあるが、既存のMCに後付け可能だ。
円状のシール面の旋削仕上げをMCで実現する「シンクロスピナ」は、消費税抜きの価格が137万円。エンドミルなどの切削痕を除去するベルト研磨装置「ベルトトラックフィニッシャ」は同54万円。加工制御と専用バイトの組み合わせで従来比6倍の毎分6000ミリメートルの切削送りでシール面を仕上げる「スーパーヘール加工」は同65万円。
販売目標はシンクロスピナとベルトトラックフィニッシャが年間80本、スーパーヘール加工が同100本。3種とも面粗さ(Ra)0・4マイクロメートル(マイクロは100万分の1)を実現する。
- 2021年7月6日
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- 2021年7月5日
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タンガロイは、高硬度鋼旋削加工用インサート(刃先交換チップ)「T―CBN」シリーズに、刃先角25度のY形と同45度のF形を追加し、発売開始した。価格はY型の「2QP―YNGA160404BXA20」が6490円(消費税込み)。計39アイテムで、初年度に3億円の販売を見込む。
既存インサートのV形、D形に加え、同じホルダーを共有できるY形とF形を設定したことで、工具本数を増やさずに加工適用範囲を拡大可能。高硬度鋼加工での加工コスト削減につなげられる。Y形は、V形の刃先を両側から5度ずつ削り落とした形状の両面仕様2コーナータイプ。加工対象物(ワーク)との干渉がしにくく、高硬度鋼部品の細かい「ヌスミ加工」や細いV溝加工などに有効となる。
F形はD形の刃先角を10度狭めたことで、立壁の引き上げ加工などでワークとのクリアランスが大きくなり、切りくずのかみ込み境界近傍に発生する異常損傷などを大幅に低減できる。
- 2021年7月5日
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- 2021年7月2日
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シチズンマシナリーは、主軸台移動型コンピューター数値制御(CNC)自動旋盤「シンコムL20シリーズ」に最小モデルを追加し、6月下旬に発売した。現行モデルに比べて機械本体の奥行きを155ミリメートル短縮し、設置面積を約13%縮小した。工場の狭いスペースを有効活用でき、単位床面積当たりの生産性向上につなげられる。価格は877万8000円(消費税込み)。月間10台の生産を見込む。
新機種「L20VII」は、最大加工径が直径20ミリメートル、主軸回転数は毎分最大1万回転。奥行き寸法は1065ミリメートルで、加工径20ミリメートルの自動旋盤では業界最小クラスという。
くし刃刃物台のバイト本数を6本に増やし、回転工具のツール本数も拡張可能なため、さまざまな加工対象物(ワーク)に柔軟に対応可能。切り粉を細かく切断する「LFV(低周波振動切削)」技術や、最大加工径が直径25ミリメートルのオーバーサイズ対応などもオプションで追加できる。
- 2021年7月2日
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- 2021年7月1日
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機械・工具商社各社の2022年3月期は、工場の自動化や省人化の提案などで巻き返しを狙う1年となりそうだ。主要9社の22年3月期連結業績予想は、おおむね増収・営業増益基調。新型コロナウイルス感染症拡大による事業活動の制限を受け、全社が減収・営業減益となった前期から好転する。ただ、新型コロナの感染再拡大に加え、輸出入用のコンテナ不足といった課題も浮上しており、事業環境の不透明感は拭えていない。
22年3月期はユアサ商事や椿本興業、鳥羽洋行など5社が営業増益を見込む。「収益認識に関する会計基準」などの適用により、前期比増減率を開示していない杉本商事も実質的に営業増益の予想だ。フルサト工業は21年10月に予定するマルカとの経営統合などを踏まえ、見通しの公表を見送った。
山善は22年3月期の営業利益を115億円と予想する。20年秋以降、自動化設備などの出荷が緩やかに回復。コロナ禍を脱した中国などで生産財関連の受注も増加している。一方で、状況を予測しづらい新型コロナの感染再拡大を懸念する。
椿本興業は22年3月期の営業利益で前期比6・6%増の35億円を見込む。国内で伸びる半導体製造装置や自動車関連の部品の取り扱いを「今期の伸びしろ」(纐纈〈こうけつ〉准志常務執行役員)と位置付けた。日伝は22年3月期からの新3カ年中期経営計画で、最終年度となる24年3月期の営業利益を60億円にする目標を掲げた。
受注が回復基調にある一方、新たな課題も生じている。コンテナ不足が工作機械輸出に影響。ユアサ商事の田村博之社長は「モノはあるが、動かせない状況」と指摘し、輸送費上昇がコストを圧迫することを不安視する。
- 2021年7月1日
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- 2021年6月29日
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日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要7社の4月の受注実績は、前年同月比99・1%増の363億4000万円で、5カ月連続の増加となった。中国が引き続き好調だったことに加え、欧米や日本でも設備投資回復の動きが波及。4月単月としては新型コロナウイルス感染症発生前の2019年4月(321億1600万円)を上回り、コロナ禍からの順調な回復ぶりを示している。(総合1参照)
総額は全社が前年同月比で増加した。前年同月は新型コロナの影響で受注が下落したこともあり、三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)などは大幅な増加率となった。また、期末で受注が高まる3月と比べてもジェイテクトとOKKを除く5社が増加となった。
牧野フライス製作所は2カ月連続で50億円を上回り、19年8月に次ぐ水準。台湾、韓国の半導体製造装置関連向けに受注が伸びたほか、米国も「想定よりも進捗(しんちょく)は良い」(業務部IR課)という。
オークマは中国で自動車関連向け金型や風力発電向けに受注が増加し、欧米も順調に伸長。米国は「ワクチン接種が進んで営業活動ができるようになり、今後は自動車関連も伸びる」(マーケティング室)と期待する。
三菱重工工機は中国で門型機械の大口受注獲得などにより、受注が好調だった18年度の単月平均(約35億円)と同水準となった。ツガミは強みの中国に加え、欧米、日本も好調で、単月の過去最高額を更新。「中国の好調はまだ続きそう」(ツガミ幹部)とみる。芝浦機械は中国での産業機械やスマートフォン向けの受注に加え、米国でもエネルギーやインフラ関係向けに受注した。
外需が順調に回復を続ける中、今後は内需の押し上げがどれだけ進むかが注目される。中小企業では「ものづくり補助金」の採択待ちによる設備投資控えもうかがえる。メーカーからは「国内の潜在的な設備投資意欲はあるので、今後もう一伸びしてほしい」(オークマのマーケティング室)との声も挙がる。
- 2021年6月29日
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- 2021年6月25日
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乗用車7社の業績が新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復傾向にある。2022年3月期連結業績予想で6社が増収を見込む。世界で新車販売の増加を織り込む。トヨタ自動車とホンダは販売台数でコロナ前の20年3月期を上回る。経営再建中の日産自動車は回復が鈍く、営業損益ゼロの見通し。半導体不足、原材料価格高騰、コロナ感染再拡大といった不安材料もあり、挽回生産などモノづくりの力も試される。
「日本、北米、欧州、中国は想定より早く回復してきている」。トヨタの近健太執行役員は主要市場の動向をこう見る。同社は22年3月期のグループ世界販売台数を前期比6・4%増と予想。全地域で計画する販売増が、収益を押し上げる。
21年3月期に唯一営業増益を確保したホンダ。過去最高の販売台数を更新し業績をけん引した中国市場について倉石誠司副社長は「4月も大変好調」とし、22年3月期は前期を上回る販売を見込む。
北米では日産が22年3月期の販売台数を同17・1%増としたが、コロナ前の水準には届かない見通し。同社は米国で販売奨励金に頼らない改革を断行。アシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は販売の「量から質にシフトしている」と話す。
先行き最も懸念されるのが半導体不足。22年3月期に日産は約25万台、三菱自動車は約4万台の減産、マツダは約7万台の出荷減影響を見込む。トヨタの近執行役員は「大きな影響は見通していないが予断を許さない状況」と、生産計画にリスクを織り込む。
一方、ホンダとSUBARU(スバル)は上期中心に減産を見込むが、期中の増産で半導体の影響を相殺する計画。スバルは労働組合との話し合いを含め柔軟な生産シフトを検討し、中村知美社長は前期比約3割増の生産計画を「何とかやりきりたい」とする。
インドでは足元で新型コロナの感染拡大が深刻化し、スズキは22年3月期の明確な生産計画を示すのが難しいとした。加えて半導体影響やロジウムなど原材料価格の上昇もあり、「しっかり見極めるための時間を持ちたい」(長尾正彦取締役専務役員)と業績予想を未定とした。挽回生産や材料価格上昇を打ち消す原価低減など、部品メーカーを含めた供給網全体の底力が求められている。
- 2021年6月25日
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- 2021年6月24日
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TOWAは約20億円を投じて、京都東事業所に精密加工用超硬工具製造の新棟を建設し、2022年春をめどに稼働する。稼働後の生産能力は売上高換算で年30億円程度に増える。21年3月期の工具売上高は約6000万円だった。拡販を進め、早期にフル稼働を目指す。
精密加工用超硬工具は、金型工場である京都東事業所の一角で生産している。工具の需要拡大を見据えて同じ敷地内に専用棟を設ける。
新棟で生産するのは、自動車や電子部品など精度を求められる加工で使われる切削工具。省エネルギー設備を導入し、工場で使うエネルギーの一部を太陽光発電で賄うなど環境に配慮する。
同社はこのほど、主力の半導体樹脂封止装置向けで培ったナノメートル(ナノは10億分の1)レベルの加工技術を生かした特殊工具で大型受注を獲得した。
さらに自動車や産業機械向け需要の回復で、工具需要も拡大が見込めるため投資に踏み切る。
- 2021年6月24日