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- 2022年1月4日
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乗用車7社の2021年4―9月期連結決算が出そろい、トヨタ自動車など4社が22年3月期連結業績予想で当期利益または当期損益を上方修正した。奨励金の抑制など販売の収益性改善や為替の円安傾向が利益を押し上げる。一方、半導体など部品不足に伴う減産で世界販売見通しの引き下げが相次ぎ、影響が大きかったホンダなど2社が当期利益を下方修正した。
営業利益や営業損益見通しではトヨタや日産自動車など3社が上方修正した。減産により業界全体で新車が不足し、販売店に支払う奨励金が下がっていることが各社の利益を押し上げる。日産は足元で米国や日本などで新型車の販売が好調に推移。「新型車に織り込んだ価値に基づいた価格設定」(アシュワニ・グプタ最高執行責任者〈COO〉)で販売の収益性を改善する。
トヨタや三菱自動車は利幅の大きいスポーツ多目的車(SUV)の販売が堅調に推移。マツダは減産影響下で「米国や豪州など販売が好調な市場への供給を優先し、リーンな在庫による収益の最大化」(藤本哲也常務執行役員)に取り組む。
為替の円安基調も各社の利益を押し上げるが、鋼材や銅などの原材料価格の高騰が利益を圧迫する。トヨタの近健太取締役は「円安の影響を除けば資材高騰などにより、実質は下方修正になる」との厳しい見方を示す。
一方、部品不足の影響で全社が22年3月期の世界販売見通しを下方修正し、期初計画と比べた減少幅は、同計画を未定としたスズキを除く6社合計で190万台を超える見込み。6社の21年3月期の世界販売実績は2063万台で、約1割が失われる計算になる。
期初計画と比べ影響が大きかったのがホンダで80万台の販売減を見込む。倉石誠司副社長は「年明けから生産が回復する見込みだが、今期中の挽回は難しい」と述べた。17万台の販売減を見込むSUBARU(スバル)の中村知美社長は「挽回のめどが立つほど半導体の供給はいまだ安定していない」とした。
- 2022年1月4日
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- 2021年12月30日
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日刊工業新聞社がまとめた10月の工作機械主要7社の受注実績は、前年同月比53・3%増の357億6800万円で、11カ月連続の増加となった。これまでに比べて伸び率は下がってきたものの、国内、海外とも良好な受注環境が持続。11月以降についても「高い水準で推移するだろう」(オークママーケティング室)との期待もある。
国内は前年同月比43・7%増の139億5400万円だった。牧野フライス製作所の国内受注は半導体製造装置や自動車向けのほか、航空機向けも受注した。オークマは半導体製造装置や建設機械などに加え、「自動車にも動きが出てきた」(マーケティング室)。新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言解除に伴って今後の需要回復の加速に期待する声も上がる。OKKは「地域間移動も緩和され、受注環境は良くなる」(管理本部)と見込む。
輸出は同60・1%増の218億1400万円で、8カ月連続の200億円超え。ジェイテクトは、北米や欧州を中心に全地域での自動車・自動車部品関連でスポット受注があった。芝浦機械は、中国で半導体や風力発電向けに横中ぐり盤などの受注が増えたほか、米国とインドでも立旋盤などを受注。ツガミは強みの中国で幅広い業種で受注が拡大。「勢いは落ち着いてきてはいるが、順調に推移している」(同社幹部)という。
今後も好況が見込まれる一方、部品不足による機械納期への影響が懸念される。牧野フライス製作所は「部品調達は今が一番厳しいが、これを乗り越えれば納期遅延リスクも解消に向かうだろう」(経営企画室)とみる。
- 2021年12月30日
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- 2021年12月29日
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タンガロイは、最小加工径4・5ミリメートルに対応する世界最小径クラスのヘッド交換式ドリル「アド・マイスター・ドリル」を発売開始した。計21アイテムで構成。価格は主要型番の「TID045R06―5」が5万270円(消費税込み)。初年度800万円の販売を見込む。
再研削レスやそれに伴うドリル管理の簡略化、セットアップ時間の短縮ができるヘッド交換式。新開発の専用キーで、小型ヘッドでも迅速で確実なヘッド交換を行える。ボディーに特殊なクーラント穴形状を施したことにより、切りくず排出性の向上と安定した加工を実現する。
ヘッドは、汎用性の高い第一推奨のDMP形にAH725材種を設定。あらゆる被削材で安定した寿命を達成し、高能率な小径穴開け加工が可能となる。
- 2021年12月29日
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- 2021年12月28日
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DMG森精機は、高速主軸「スピードマスター」の新モデルを発売した。最高回転速度が従来比最大2倍となる毎分3万回転の仕様で、加工時間を大幅に短縮できる。価格は220万円(消費税抜き)。
発売した「スピードマスター30k」は、同社の横型マシニングセンター(MC)と立型MC、5軸制御立型MCの機種に搭載可能。高出力モーターの搭載により、3万回転でも一般的な鋼材の荒加工から仕上げ加工まで幅広い加工に対応する。
主軸ラビリンス構造を強化したことで、主軸内への切削液(クーラント)の浸入を防げる。高剛性なベアリングを採用し、主軸回転時の振動を抑制。高精度加工により面品位が向上し、金型加工後の人手による磨き作業を低減できる。カートリッジ構造により、主軸交換作業を大幅に短縮できるほか、3年間の無償保証を設定した。
加工時間の短縮により、二酸化炭素(CO2)排出量や消費電力を削減でき、生産現場の環境負荷低減にもつなげられる。
- 2021年12月28日
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- 2021年12月27日
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日本工作機械工業会(日工会)が発表した10月の工作機械受注実績(速報値)は、前年同月比81.5%増の1492億1800万円で、12カ月連続の増加となった。内需、外需ともに大幅に増加し、2カ月連続で1400億円を上回った。年度の上期末で受注水準が高まる9月と比べても3.2%増となり、回復の勢いがさらに増している印象だ。
内需は前年同月比74.0%増の502億8600万円で、8カ月連続の増加となった。500億円を上回るのは2カ月連続。半導体などの部品不足が続く中、半導体製造装置関連などのメーカーでは増産の動きがあり、「部品を作るための需要が工作機械への投資を後押ししている」(日工会調査企画部)もよう。また、政府の補助金による押し上げ効果も加わったとみられる。
外需は同85.5%増の989億3200万円で、12カ月連続の増加となり、前月比でも2カ月連続の増加。中国では電力不足などによるリスクは残るものの比較的堅調に推移したほか、欧州では10月に開かれた欧州国際工作機械見本市(EMO)で受注を上積みしたようだ。
受注回復に力強さが増している一方で、部品・部材の逼迫(ひっぱく)状況はまだ解消されていない。そのため、ユーザーが部品不足による機械の納期遅延を懸念し、内需の一部は「先行発注の印象が強まっている」(同)という。
- 2021年12月27日
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- 2021年12月23日
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日本精密機械工業会(日精工)がまとめた2021年7―9月期の小型工作機械受注実績は、前年同期比97・1%増の388億3307万円で、4四半期連続の増加となった。中国や欧米など国内外で需要が拡大しており、回復傾向が続いている。
機種別の受注額は、数値制御(NC)小型旋盤が前年同期比2・0倍の222億1923万円、NC小型研削盤が同2・9倍の24億7136万円、NC小型フライス盤が同95・2%増の11億8635万円と、それぞれ大きく増加した。小型マシニングセンター(MC)は同12・0%増の16億7251万円だった。また、非NC小型工作機械も全機種合計で、同75・3%増の18億7650万円と高い水準を示した。
輸出総額は同84・4%増の249億4205万円だった。輸出比率は同4・5ポイント減の64・2%。海外市場は引き続き好調に推移しており、輸出比率の低下は国内需要も順調に回復が進んだことが反映されたもようだ。
今後も、国内外で電気自動車(EV)や半導体、医療関連などを中心に需要が堅調に推移するとみられる。一方、部品不足によって納期が長引き始めている。中国経済の先行きも不透明感が漂い始めており、各社の受注活動への影響が懸念される。
- 2021年12月23日
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- 2021年12月22日
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タンガロイは、焼入れ鋼の旋削加工向けのHPチップブレーカー付きインサート(刃先交換チップ)に、両面使用可能な「WavyJoint」仕様を追加し、発売した。価格は代表型番の「4QS―CNGG120408―HP BXA20」が1万4300円(消費税込み)。初年度1億3100万円の販売を見込む。
CN形、DN形、TN形、VN形の計20アイテムで構成。ロウ付け形状を採用し、ロウ付け面積を160%、立方晶窒化ホウ素(CBN)焼結体の体積を200%増加。焼入れ鋼の旋削加工での安定性を高め、工具寿命を大幅に延長できる。また、CN形にはワイパー切れ刃付きも設定し、仕上げ加工での加工面品位向上につなげられる。
HPチップブレーカーは、焼入れ鋼の旋削加工において、切込み0・2ミリメートル以下の領域で高い切りくず処理性能を発揮できる。
- 2021年12月22日
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- 2021年12月21日
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三菱マテリアルは高硬度鋼旋削加工用コーテッド立方晶窒化ホウ素(CBN)材種「BC8220」に、高切り込み加工用の「BRブレーカ」を追加し、発売した。高切り込み時の切りくず処理性能の向上により、加工パス回数を削減でき、高能率加工を実現する。価格は代表型番の「BR―CNGM120404TA2 BC8220」が8965円(消費税込み)。
計9アイテムで構成。すくい角とブレーカー壁により切りくずを効果的に分断できるほか、ブレーカー壁が多段構造のため、幅広い切り込み領域に対応する。また、CBN基材に超微粒バインダーなどを分散することでクラックの進展を抑え、切削時の突発的な欠損を防げる。クレーター摩耗の進行軽減のために耐熱バインダーも採用した。
- 2021年12月21日
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- 2021年12月20日
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オークマは、工作機械用の新省エネルギーシステム「エコ・スイート・プラス」を同社製コンピューター数値制御(CNC)装置に標準搭載し2022年2月にも出荷を始めると発表した。電力使用量や二酸化炭素(CO2)排出の表示・記録、暖機運転の自動停止など既存システムから機能を拡大。社内の門型マシニングセンターでCO2排出の30%削減を実証した。顧客の脱炭素を後押しする。
同社は省エネシステム「エコ・スイート」を14年から提供し、搭載機を累計3万5000台納入した。CO2排出・各部消費電力の表示、非加工時の暖機運転自動停止、電力消費が大きいミストコレクターやチップコンベヤーの最適制御などの機能を持つ。
同プラスは、CO2排出や各部位の消費電力の記録管理機能を追加しネットワーク対応を向上。暖機運転の自動停止では機械操作時や保全作業時も対象にした。ミストコレクターなどの運転制御は、より緻密化しCO2排出削減を徹底した。
同社は熱変位に対応しやすい機械設計、加工空間変位の検知・修正などの独自技術で、脱炭素対応へのアピールを強化する。新省エネシステムで差別化をさらに進める。
- 2021年12月20日
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- 2021年12月17日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)がまとめた10月の新車販売台数は、前年同月比31・3%減の27万9341台だった。半導体不足や東南アジアでの新型コロナウイルス感染再拡大の影響で、各社が工場の稼働を停止するなど、生産調整を実施した影響が出た。トヨタ自動車は国内全14工場で稼働停止日を設け、ホンダの国内生産は当初計画比3割減とした。
登録車の販売台数は同30・2%減の17万6743台で、2カ月連続のマイナス。10月単月として、統計を開始した1968年以降で過去最低となった。「部品不足の影響が大きかったのではないか」。
軽自動車の販売台数は同33・2%減の10万2598台で、5カ月連続のマイナス。10月単月で11万台を下回るのは、81年以来40年ぶり。メーカー別では日産自動車を除く7社が前年同月を下回った。
11月も各メーカーは減産を予定している。ホンダの11月上旬の国内生産は当初計画比1割減となる見通し。三菱自動車は国内1工場で生産調整を予定している。
減産幅に関しては縮小傾向にあるものの、依然として予断を許さない状況だ。全軽自協の担当者は「半導体不足や海外調達部品の滞りの影響が広がってきており、新車販売台数への影響がいつまで続くのか読み切れない。情勢は非常に複雑で見通しを立てられる状況にない」とのコメントを出した。
- 2021年12月17日
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- 2021年12月13日
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不二越は従来機と比べ成膜速度を最大150倍に速めたダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティング装置「SMVP―1020」を発売開始した。マイクロ波を利用した技術を採用することで、高密度プラズマによるDLC膜コーティングを超高速化する。半導体製造装置のバルブや継ぎ手、パイプ内面に加え、金型などの耐腐食化・耐摩耗化を実現する。価格はオープン。年間10台の販売を目指す。
SMVP―1020では、マイクロ波を利用したコーティング技術「MVP法」を採用した。高密度プラズマによるDLC膜コーティングの高速化で、外面コーティングでは毎時150マイクロメートル(マイクロは100万分の1)を実現する。アーク法やスパッター法を採用した従来機と比べ、成膜速度は30―150倍程度まで向上する。
小径穴内面へのコーティングを可能にしたのも特徴の一つ。従来技術では困難だった直径30ミリ×長さ500ミリメートルや直径3ミリ×長さ100ミリメートルといった小径穴への成膜にも対応できる。
装置の据え付け寸法は幅2・1×奥行き2・0×高さ2・1メートル。成膜有効範囲は直径250ミリ×高さ500ミリメートル。
DLC膜は炭素を主成分とする非結晶質のカーボン物質膜。半導体製造装置や金型関連だけでなく、紡績機械のノズルや自動車部品、アルミニウム切削用ドリル、ガラスなどに幅広く使用されている。
- 2021年12月13日
