-
- 2024年6月6日
-
乗用車メーカー8社が発表した4月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比1・3%増の192万5501台となり3カ月ぶりに前年同月を上回った。工場停止の影響などで国内生産は減少したものの、半導体など部品不足が改善したことで海外生産は総じて好調で、全体を押し上げた。
各社の世界生産は日産自動車とホンダ、三菱自動車が3カ月ぶりに増加。日産は国内が前年割れだが、部品の供給制約が解消された北米など各地域で前年実績を上回った。ホンダも半導体不足やコロナ禍などの要因が複合的に影響した前年に対して増加。国内でコンパクトスポーツ多目的車(SUV)「VEZEL(ヴェゼル)」の販売が好調だった。三菱自は軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」などの国内生産が増加した。
スズキの世界生産は4カ月連続で増加。国内で軽自動車「スペーシア」、小型車「スイフト」の新型車効果があり、海外では現地工場の新ライン稼働で4月単月で過去最高となったインドがけん引した。
一方、トヨタ自動車の世界生産は3カ月連続で前年割れ。北米はSUV「RAV4」など主力モデルが好調だが、中国で価格競争が激化。日本も「プリウス」などの生産停止が響いた。
マツダはSUV「CX―50」を米国で2直化するなど海外生産は伸長したが、前年同月が国内生産が多かった反動が出た。ダイハツ工業はマレーシアで需要が伸び海外生産が6カ月ぶりにプラスとなるも、日本国内中心に認証不正の影響が継続し世界生産は8カ月連続で前年割れ。SUBARU(スバル)はSUV「クロストレック」など海外生産が伸長したが、国内で北米向けのSUV「フォレスター」の生産を順次開始するため計画的に生産を落とした影響で前年割れとなった。
- 2024年6月6日
-
- 2024年6月5日
-
中村留精密工業は、スピードをコンセプトにした旋盤「Vシリーズ」の第2弾として、2スピンドル3タレット式複合精密コンピューター数値制御(CNC)旋盤「NTY³―100V」を5月に発売開始した。従来の3タレット複合加工機と比べて加工時間を30%短縮できる。
特に成長が見込まれる電気自動車(EV)・半導体関連・ロボット部品などに加工速度と生産性向上で貢献する。価格は4240万円(消費税抜き)。月20台の販売を目指す。
新機種には同社独自のアイドルタイム短縮機能「クロノカット」を標準搭載した。主軸同期・リジッドタップの高速化により、主軸やミーリングの回転数、トルクを向上させた。加工条件は変わらないので精度への影響はない。
最大72ステーションに工具が取り付けられ、あらかじめ2、3個の加工対象物(ワーク)用の工具をセットできる。それにより別のワークを加工する時でも工具段取りの変更が不要。
また、左右のタイムバランスの調整や下タレットによるセンターサポートなどで、加工工程を柔軟に構築できる。
- 2024年6月5日
-
- 2024年6月4日
-
機械・工具商社8社の2025年3月期連結業績は全社が増収、営業増益を予想する。工作機械の受注は下期にかけて回復を見込み、半導体や電気自動車(EV)関連の投資拡大も追い風となる。一方、円安進行による原材料・燃料費の高騰や中国経済の低迷、世界的な金融引き締めに伴う設備投資への影響など先行きの不透明感は引き続き漂う。
山善は25年3月期に生産財では技術営業を推進し、夏以降に半導体関連で大型受注を計画する。海外市場は「成長著しいインドや北米で事業を拡大していく」(岸田貢司社長)方針だ。一方で国内の設備投資の回復の遅れや中国の景気動向などを踏まえて、3カ年中期経営計画の最終年度となる25年3月期の売上高目標を当初計画から700億円下げるなど目標数値を修正した。
ユアサ商事の25年3月期は全利益段階で3期連続の最高益更新を目指す。田村博之社長は「工作機械は半導体製造装置向けを筆頭に8、9月以降に回復してくる」と見る。成長戦略で重視する海外事業は生産財や住環境・建設など総合的に展開し、タイやインド市場を攻める。タイでは新社屋を24年中に完成させ、インドでも24年度中に拠点を4カ所に倍増する。増収増益予想のトミタも継続してインド事業を強化する。
椿本興業の香田昌司社長は25年3月期業績見通しについて、「(自動化・省人化など)人手不足対策の商材を提案し、計画を達成できる」と強調する。環境関連機器の拡販に加え、二次電池の大量生産に適した設備提案を進める。
24年3月期は4社が増収、営業増益だった一方で、中国経済低迷の影響などを受けた4社は減収、営業減益となった。
各社にとっては、中国経済の回復の見通しが立たない中、海外市場では成長を見込むインドや東南アジア諸国への進出が業績拡大のカギとなりそうだ。
25年3月期の計画達成に向け、供給が回復傾向にある半導体関連や自動車関連をけん引役にし、自動化や省人化、脱炭素化対応の設備投資需要を着実に取り込む戦略が求められる。
- 2024年6月4日
-
- 2024年6月3日
-
丸一切削工具は、油圧機器向け部品を精密加工するためのシート面カッターで、粗加工用のインサート交換式カッターを発売開始した。
日欧メーカーでの採用が多いメートルネジ規格に対応する。消費税抜きの価格はサイズにより7万1900―8万3400円。
シート面は油圧機器の配管継ぎ手部分でOリングによってシールされる部分。同社ではスローアウェー用の専用カッターを販売しているが、今回、粗加工用カッターを追加することで、加工スピードの向上やカッターの長寿命化につなげる。
シート面は高圧の作動油が漏れないように高精度の加工が求められ、専用の工具が使われる。従来は刃先と本体が一体型の特注工具で加工されることが一般的だったという。
- 2024年6月3日
-
- 2024年5月31日
-
オークマは、江南工場の一部を再開発し、工作機械の自動化仕様対応を担う「エンジニアリングセンター(仮称)」と未来のモノづくりのあり方を提案する「イノベーションセンター(同)」を建設すると発表した。自動化仕様の生産作業をエンジニアリングセンターに集約し、生産効率を高める。これにより同社全体で10―15%ほどの生産増強を図る。2025年12月に竣工予定で総工費は140億円。
延べ床面積はエンジニアリングセンターが1万4400平方メートル、イノベーションセンターが4500平方メートル。
本社工場(愛知県大口町)や可児工場(岐阜県可児市)で行っている工作機械と自動化システムを組み合わせた自動化仕様の組み立て・機能確認、顧客の立ち会いなどをエンジニアリングセンターに移す。大きなスペースや時間を要するこれらの作業を集約することで、年間800台の増産が可能になる。
イノベーションセンターにはサイバー空間で顧客と将来の工場像を作り上げたり、治具、自動化、計測装置など周辺機器メーカーと協業して製品・サービスを提案したりする場を設ける。
- 2024年5月31日
-
- 2024年5月29日
-
DMG森精機は工作機械で加工対象物(ワーク)を計測する際の段取り作業を効率化する機能を開発した。工作機械の操作画面で表示されるガイダンスに沿って座標などの必要項目を入力するだけで、計測プログラムを作成可能。これまで専用プログラムの作成が必要だった計測の場合、作業時間を従来比30分の1の約2分に短縮できる。ワーク形状の複雑化で高度な計測が求められる中、段取り作業を支援し生産性向上に貢献する。
新機能「Measuring Pro(メジャリング・プロ)」は、工程集約などを支援する製品群「テクノロジーサイクル」の一つとしてこのほど提供を始めた。対象は5軸加工機「INHシリーズ」などDMG森精機の工作機械5シリーズ。主軸に取り付けるオプションの機内計測装置「主軸タッチプローブ」を購入すれば無料で活用できる。
新機能では一般的なXYZ面の計測のほか、シャフトや回転軸位相の計測といった複雑な計測を含め、16種類の計測工程の効率化に対応する。ワークと工作機械の軸が平行になるよう調整する「平行出し」向けの計測では、専用のマクロプログラムの作成などで60分程度かかっていた作業を約2分で完了できるなど、段取り時間を大幅に短縮できる。
また補正値を自動入力する機能も盛り込み、安全で効率的な補正作業を支援する。
軽量化を目的に複数の部品を一つにまとめるなど、複雑な形状の加工需要が高まっている。それに伴い複雑で高度な計測が求められており、メジャリング・プロの投入で作業負担の軽減や作業時間の短縮を支援する。また新機能により、工作機械でワークを計測する加工と計測工程の集約を後押しするとともに、両工程の自動化で夜間などの工作機械の連続稼働を支援し顧客の生産性向上に貢献する。
- 2024年5月29日
-
- 2024年5月28日
-
日本工作機械工業会(日工会)が発表した4月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比8・9%減の1209億200万円と、16カ月連続で減少した。一方、外需の約3割を占める中国が自動車関連のまとまった受注もあり16カ月ぶりに増加した。地域や業界などで受注はまだら模様だが、稲葉善治日工会会長(ファナック会長)は「現在は調整局面から回復局面に向かう転換期にさしかかっている可能性がある」との見方を示した。
地域別の受注額は、中国が同2・6%増の265億6000万円。前月比は4・7%増と3カ月連続で増加し、2カ月連続で250億円を上回った。業種別では電気自動車(EV)関連の設備投資があった自動車向けが前年同月比1・0%増の91億円、電気・精密向けが同21・1%増の56億円だった。稲葉会長は「中国政府の景気刺激策の効果が出始めている感触を得ている」とした上で、「しばらく工作機械は活発になる見通しで、必ずしも一過性とは言えない」との考えを述べた。
一方、外需の約2割を占める米国は同23・4%減の188億9900万円。3カ月ぶりに減少し、9カ月ぶりに200億円を割り込んだ。メキシコなどを含む北米全体を業種別で見ると、航空・造船・輸送用機械向けが同94・5%減の3億円と大幅に減少。一部案件のキャンセルの影響で、14年5カ月ぶりに5億円割れとなった。
内需は同12・8%減の363億7200万円と、20カ月連続で減少した。精密機械向けが同44・2%増の22億円だった。稲葉会長は「半導体製造装置関連で先行的な投資が続いている」とした。
今後、受注が回復に向かう要因として稲葉会長は「日本を含む世界で半導体関係の投資への期待が大きい」と指摘。EV向けの投資についても中国、米国、メキシコなどで動き出しているとし「半導体と自動車関連がこれからしばらくけん引力になっていくことを期待したい」と述べた。
- 2024年5月28日
-
- 2024年5月27日
-
日清工業は、切削工具向け両頭平面研削盤を海外市場に投入する。現在普及している汎用機に比べ、加工時間を半減した機種を欧州や米国、インドなどで販売する。同社は出荷台数ベースで4―6割を自動車産業向けが占めてきた。高剛性で加工能力が高い点を訴求し、切削工具向けを拡販。同製品を新たな柱に育て自動車業界への過度の依存を緩和する。2026年6月期に切削工具向け研削盤で全体の約10%にあたる3億―4億円の売り上げを目指す。
日清工業はスウェーデンの大手切削工具メーカーのサンドビックから要請を受け工具向けに参入した。サンドビックは高剛性な同社の研削盤であれば加工速度を短縮できることに注目したようだ。
自社開発した両頭平面研削盤「VP3―400RW」を、ほかの海外工具メーカーにも売り込む。
本社工場で生産し、欧米やインドなどに輸出する。既に日本市場には投入済みで、日本での実績をテコに海外を深耕する。
同機種は二つの砥石(といし)を向き合わせて回転し、砥石の間に工作物を通して両面を同時に研削する。主軸やベッドの剛性を向上することで加工時間を大幅に短縮。超鋼に加え、サーメットやセラミックスなど難削材料の加工能力も高い。
加工速度の高速化に合わせ、加工対象物(ワーク)の搬送システムを刷新した。同システムはパレットのワークをロボットが取り出して加工部にセットし、加工後のワークをパレットに戻すもの。従来は垂直多関節型ロボットを活用していたが、これを水平多関節(スカラ)型ロボットに変更。高速で精度良くワークをセットできるようにした。
日清工業の23年6月期の売上高は30億円。主力の自動車向けに次ぐ事業基盤の構築を急いでいる。切削工具向け研削盤は後発だが、高剛性や加工速度の速さなどで商機があると判断。海外市場への参入で事業安定化と売り上げ拡大を加速する。
- 2024年5月27日
-
- 2024年5月24日
-
金属板の端を折り紙のように折る「ロボットヘミングシステム(RHS)」のパイオニア、トライエンジニアリング。
主力のRHSを中心にロボットによる生産・加工システムを幅広く展開するロボットシステムインテグレーションの総合メーカーだ。
現在はシステムインテグレーター(SIer)としてのロボットシステムの提案だけでなく、新しい生産工法の開発にも挑戦している。培ったロボット技術と、ロボットメーカーや周辺機器メーカー、大学、研究機関などとのネットワークを活用し、顧客の生産技術に関する開発を受託する。
生産技術は加工機やロボット、ソフトウエアまでを多角的に考える必要がある。生産技術の担当者には高度化する個々の技術の見極めとともに、それらをまとめ上げる能力が求められる。こうした中、生産技術の開発を自社だけで完結させずに外部委託を有効活用する例が増加。トライエンジニアリングの生産技術開発受託事業も「ニーズが増えている」。
ロボットシステムの多様なラインアップも同社の強みだ。金属の摩擦撹拌接合(FSW)をロボットで実現するシステムは、自動車の電動化で需要増が見込まれるアルミニウムダイカスト部品やバッテリーケースなどの接合用として提案を進めている。人手不足で技能継承が課題となっている研磨加工でも、ロボットシステムによる自動化を推進する。
現在の注力分野は穴開け・切削加工などをロボットで行う「ロボットマシニングシステム」だ。特に加工対象物(ワーク)が大型の場合、「ロボットによる加工を実現できれば、加工機よりも導入費用や設置面積を減らせる」。
ロボットを複数台設置すれば、多軸で同時に複数の加工を進められるため高効率化が可能だ。
メーカーと共同で加工用途に最適な高剛性・高精度のロボットの開発も進める。「ロボットマシニングは始まったばかり。目指すところは加工機と同レベルのスピードや精度。さらに市場を開拓する」と意気込む。
- 2024年5月24日
-
- 2024年5月23日
-
「2024年は準備期間。25年から本格導入が始まるのでは」。車体構造を一体成形する技術「ギガキャスト」の日本での普及の時期について、複数の関係者がこう語る。電気自動車(EV)大手の米テスラが導入したことで注目され、トヨタ自動車も26年に投入予定の次世代EVでギガキャストを導入する方針を打ち出した。将来の本格導入を見据え、自動車部品関連企業がギガキャスト関連事業に新規参入する動きも進んでいる。
ギガキャストはアルミニウムダイカストでEVの車体構造を一体成形する技術。欧米や中国のEV生産で部分的に実用化が進む。テスラは約70点の部品で構成していた車体骨格部品をギガキャストにより1点に置き換え、コスト削減と車体剛性の向上につなげた。
米谷製作所は共和工業と組み、ギガキャストに必要な大型金型の提供を24年に始める予定。米谷製作所の米谷強社長はギガキャストについて「生産現場の省人化、省力化のメリットがあり、採用が進むだろう」と期待する。
コイワイは3Dプリンター技術を生かし、ギガキャスト向け砂型鋳造試作事業を始めた。ギガキャストによる量産の前段階で、砂型を用いて鋳物を試作する需要が増えると判断した。同社はエンジン用鋳物部品の試作で豊富な実績を持つが、車の電動化の進展で受注量が減少。ギガキャストの試作需要を取り込み巻き返しを狙う。リョービも25年3月に菊川工場でギガキャスト専用の新工場を稼働予定。大型のダイカストマシンや金型加工機を導入し、自動車メーカーからの試作の受注を目指す。
ソディックは日本精機と連携し、ギガキャスト向けの大型の金型部品「入れ子」を金属積層造形(AM)で作る技術の開発に取り組む。アイシンは中期経営計画でEVのボディーを一体成形するギガキャストを成長市場と位置付け、取り組みを加速する。
日系自動車メーカーでギガキャスト導入について時期まで含めて明言しているのはトヨタのみだが、態度を明らかにしていないメーカーも含め「試作はしている」と複数の関係者が明かす。一部ではギガキャストで従来通りの品質を出せるのか懐疑的な声もあるものの、多くの関係者は「導入が進むだろう」とみている。日本では安全性や品質の観点から、バッテリーパックにおけるギガキャスト採用が先行するとの見方が有力だ。
「ギガ」の名が示す通り、ギガキャストで使用する機械や金型は従来よりも大型となる。こうした大きな機械や金型をどう運ぶかや、どこに設置するかの検討も重要になる。金型を例に取ると、大型の金型を輸送する際には道路交通法の手続きなども求められ、分割輸送といった手だてを考える必要がある。そのためギガキャストを導入する工場内、もしくはその近辺に金型の設計・製作も含めた拠点の整備が必要との見方が多い。
全てを一体成形するのか、または複数の部品に分割して成形するのか、完成車メーカーの方針によっても判断や対応が分かれそうだ。分割して成形する場合は、後工程でその部品を接合するための技術も必要となり、新たな商機が生まれる可能性もある。
- 2024年5月23日
-
- 2024年5月21日
-
ガリューは、生産ラインに対応するエアブローノズル「ラインブラスター」シリーズを刷新して発売した。回転するチューブの素材を見直し、低圧でも回転しやすくして耐久性も高めた。除塵や水切り、乾燥などの用途を想定する。
低圧、標準タイプでそれぞれ可動範囲ごとに3種類のノズルを用意し、計6種類をそろえた。使用圧力は低圧タイプが0・25メガ―0・4メガパスカル(メガは100万)、標準タイプが0・4メガ―0・6メガパスカル。
チューブの素材は従来のソフトポリウレタンから、耐久性が高いエンジニアリングプラスチックに変更。しなやかさが上がり、低圧でも回転しやすい。耐久時間は従来比5割増の4500時間に伸びた。
同シリーズは円筒形ノズルにチューブを挿入した構造。チューブはエアコンプレッサーの圧力でノズル内部を回転し、広範囲にエアを叩きつけながら噴射する。使用圧力0・5メガパスカルで毎分約3000回転する。一方向に噴射する平型ノズルに比べて洗浄効率が良い。
- 2024年5月21日
-
- 2024年5月20日
-
キラ・コーポレーションは、難削材加工機「グラインディングセンターGCV―30」用に自動芯出し機能を開発し、オプションとして提供を始めた。
タッチプローブやカメラシステムなどを用いて、加工対象物(ワーク)とインデックスユニットの中心のズレを補正し、大径ワークの芯出し作業を簡素化した。半導体回路を形成するエッチング装置に使う静電チャックなどの外周の面取り加工向けに提案する。
自動芯出し機能はタッチプローブと電荷結合素子(CCD)カメラシステムでワークをセットした位置を測定するとともに、レーザー測定システムで工具の長さと径を計測。インデックスユニットとワークの中心のズレ分を求め、極座標補間で加工する。加工終了後はCCDカメラで検査測定する。
機械ストロークよりも大きいサイズのワーク加工が可能。Y軸移動量400ミリメートルに対して直径500ミリメートルのワークに対応する。
同加工機はタッチプローブとレーザー測定システムを標準装備しており、インデックスユニットとCCDカメラがオプション設定となる。
主なワークはエッチング装置に使う静電チャック、フォーカスリング、シャワープレートを想定する。これらの部品加工は芯出し作業に長時間を要しており、効率化が課題となっている。
半導体ウエハーは今後、さらに大型化が進むと予想されている。同機能の活用を通じて生産性向上を提案し、半導体分野で同加工機の拡販につなげる。
- 2024年5月20日
-
- 2024年5月17日
-
工作機械各社が加工機のサブスクリプション(定額制)サービスを提供する動きが広がっている。ソディックは月額で放電加工機を利用できるサービスを始めた。契約期間は最短1年から選択できる。エンシュウはみずほリースと組み、月額でマシニングセンター(MC)のサブスクを展開している。初期費用を抑えて生産性の高い工作機械を導入しやすくし、急な需要の変動やモノづくりの変化に柔軟に対応できるようにする。
ソディックがこのほど始めたサブスクサービス「サブスク TRY(トライ)」は、航空機部品や金型加工向けのワイヤ放電加工機2機種が対象。契約期間は1、3、4、5年から選択できる。月額利用料には消耗品の交換を含めた年1回のメンテナンスや、事故に備えた動産総合保険の費用も含めた。
同社ワイヤ放電加工機のエントリーモデル「VN400Q」の場合、月額19万円から利用できる。契約終了時に延長か返却を選択する。工作機械のリース契約は一般的に7年以上とされるが、契約期間を複数設定することで利便性を高めた。
同社幹部は「新機種を短期間で使い続けたい、または仕事の先行きが不透明で投資判断が難しいといったお客さまのニーズに応えたい」としている。今後は2機種以外にもサブスクでの品ぞろえの拡充を予定する。
エンシュウが2022年に始めたMCのサブスクでは、加工プログラムの説明や実習を通じて導入を支援する教育サービスなども無料で提供する。
また岡本工作機械製作所も20年に研削盤で月額のサブスクを始めている。契約には油圧油の交換やといし軸(スピンドル)の振れの調整といったメーカーが保証する無償点検サービスなどを含めた。
製造業ではデジタル変革(DX)で開発期間が短縮するほか、脱炭素に向け電気自動車(EV)シフトが進むなど大きな変化が起きている。一方、急な市場の変化への対応が常に求められ、工作機械の性能の進化もデジタル技術の進展で加速している。各社はサブスクの投入で工作機械導入の選択肢を増やし、モノづくりの潮目の変化に対応しやすくすることで、受注機会の拡大につなげる。
ただ業界関係者からは「サブスクの認知度がまだ高くなく訴求できるかがポイント」との指摘もある。対象機種や関連サービスの拡充でサブスクが浸透するのか注目される。
- 2024年5月17日
-
- 2024年5月15日
-
日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した4月の車名別新車販売によると、ホンダの軽自動車「N―BOX(エヌボックス)」が前年同月比0・3%減の1万4947台で9カ月連続の首位を維持した。認証不正問題が影響し2月以降、上位30位圏外となっていたダイハツ工業は軽「ミラ」が同39・4%減の3360台で26位に浮上。同社は7日、約4カ月半ぶりに国内全ての工場が稼働し、今後の台数増が見込まれる。
2位は1月に一部改良があったトヨタ自動車の小型車「ヤリス」、3位には4月にセダンなどの一部改良があったトヨタ「カローラ」が入った。ホンダのコンパクトスポーツ多目的車(SUV)「ヴェゼル」は前年同月比2・6倍と大幅増。スズキの軽「ハスラー」や、トヨタの高級ミニバン「アルファード」も伸長した。
一方、3月に6位で、2023年度通年でも7位と人気が高いトヨタのハイブリッド車(HV)「プリウス」は、4月にリコール(無料の回収・修理)を届け出た影響などもあり、同43・2%減の4452台と大きく減少した。
23年度通年で5位と人気車種だったダイハツの軽「タント」は同84・4%減の1866台で、4月も30位圏外だった。4月10日に生産を再開したタントよりも先に、2月26日に生産再開したミラが30位圏内に入った。ダイハツは既に全車種の受注を再開。生産についても軽「ムーヴキャンバス」と小型車「ロッキー」のHVを除いて再開している。
- 2024年5月15日