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- 2023年9月28日
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ヤマザキは鋳物用ロボットバリ取りシステム「スーパーデバセンターSDC22シリーズ」の製品群を拡充する。加工対象物(ワーク)と治具を合わせた可搬重量の仕様を15キロ・50キロ・150キログラムの3種類でシリーズ化し、200キロ・300キログラム台の特注にも対応する。消費税抜きの価格は1000万-5000万円程度。主要顧客の自動車以外の業界を開拓する商品と位置づけ、5年以内に年間50台で約10億円を目指す。
SDC22シリーズは2020年にユーザーの打診を受け、鋳物のバリ取りで発生する粉塵対策を施した上で、水平多関節(スカラ)ロボットやタレット、制御ソフトを組み合わせて開発した。
同年の発売以来これまでに20台程度受注している。人手不足の深刻化に伴い、作業環境が過酷なバリ取り工程への自動化ニーズが一層高まるとみて、製品を拡充して受注活動を強化する。
専用機メーカーの強みを生かし、3種類以外にも200キロ・300キログラム台の重量の特注仕様や、自動パレット交換装置(APC)の追加にも対応する。
- 2023年9月28日
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- 2023年9月27日
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竜製作所は、専用機メーカーとして自動車向けを中心に搬送機、組付機、検査機などを手がける。電子設計の部署を持っているのが特徴で、視覚装置を用いた電子(マイコン)設計による検査装置の製作に対応。ロボットを組み合わせた検査装置を核にライン一括受注の提案を強化している。
「専用機メーカーで視覚装置を手がけているところは少ない」とし、技術の強みとなっている。視覚装置とロボットの組み合わせをベースに、前後工程を含むライン一括やブロック単位での受注に対応する。
車輪ロック防止装置(ABS)の最終検査機で豊富な実績を持つほか、パイプピッキング&治具挿入機、ラジエーター製造でのパッキン貼付機など多様なニーズに応えている。専用機の設計、製作で培った技術、ノウハウを生かし、ロボットのプログラミング、ティーチングから設備の組み立てまで一貫対応し、早期立ち上げに貢献する。
パイプピッキング&治具挿入機の場合、前工程から次々と流れてくるパイプ1本ごとの位置、向きをカメラで認識。不規則に置かれた状態でも、ロボットがパイプを正しくつかんで専用台に置き、治具挿入機に移送する。
高速通信化に伴って対策の必要性が指摘されている、マイコンの動作に及ぼすノイズの対策技術も強みの一つ。トレーサビリティー(履歴管理)にも対応し、作業の正確性と効率化を両立するとともに、設備の信頼性を支えている。
自動車の電動化に伴い、車部品はモーターと電子制御ユニットなどを一つのモジュールにまとめる機電一体化が進んでいる。車部品の電子化により検査作業が増え、検査精度の要求も高くなると予想されることから、今後は「マイコン設計による検査機の需要が増えてくるだろう」と見通す。
ニーズの拡大を見据え、電子設計の部署を拡充する。増員の方針を決めており、電子設計担当者は現在の6人から、2024年度に新卒2人が加わる予定。高度化する顧客ニーズに対応し、最適設備の提案、実現に挑む。
- 2023年9月27日
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- 2023年9月26日
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スター精密は自動車部品などの加工時間見積もり支援ソフトを開発し、全国の営業拠点で試験運用を始めた。見積もり作成時間の最大70%削減を目指す。主力のスイス型(主軸移動型)旋盤のうち、クシ刃型刃物台の採用機種を対象に運用し、顧客に同旋盤の導入を促すビフォアサービスとして活用する。新規事業領域として掲げる製造現場のデジタル変革(DX)支援の一環として、5年後をめどに外販を目指す。
加工時間見積もりはスイス型自動旋盤のユーザーの自動車部品メーカーなどに提出する見積もりの一つ。部品形状などの加工条件に基づいて算出し、正確で迅速な対応が求められる。従来、スター精密では営業技術担当者が図面を見ながら手作業で作成していた。
図面のデータを入力するまでは従来と同じだが、同支援ソフトを使えば、営業担当者でも簡単に加工時間を算出し、見積もり作成を迅速化できる。加工難易度が高い部品の場合は、営業技術担当者が対応する。
試験運用は、主力機種の一つでクシ刃刃物台を採用した「SB―20」を軸に始めた。3年程度かけて各種運用データを蓄積し、外販開始に備える。さらに、タレット型刃物台採用機種にも運用範囲を拡大する。
スター精密は自動旋盤の工作機械事業と、小型プリンターなどの特機事業に続く第3の柱となる新規事業の開発に取り組んでいる。その一つとして物流、店舗、製造向けDXの事業領域を設定し、商品・サービスの開発を推進しており、同事業領域で2024年に売上高30億円を目指す。
- 2023年9月26日
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- 2023年9月15日
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スギノマシンは、掛川事業所(静岡県掛川市)にバリ取り技術の研究所を開設した。国内の各事業所に点在していたバリ取り技術や人員を同研究所に集約。生産性向上や人手不足で高まるバリ取りの自動化ソリューションなどを一体的に提供する。
新研究所「デバラボ」は同事業所内の既存建屋に整備した。顧客との打ち合わせスペースと加工テスト・研究を実施するラボで構成し、バリ取り関連の技術研究や商品開発、テスト・検証を担う。人員は8人で順次増やす。
ラボには自社製の高圧水バリ取り部品洗浄機や小型マシニングセンター(MC)、ロボットバリ取り装置などを設置。実機での加工テストの提供などで顧客ごとに異なる課題にきめ細かに対応する。
スギノマシンは高圧水による洗浄技術、MCによる切削技術、独自のフローティング加工など多様なバリ取り技術を持つ。ただ、各製品・技術は事業所ごとに担当していたため総合的な提案が難しかった。
「バリ取りはモノづくりの非常に重要なテーマ。自社の技術や製品全てを活用し、顧客の課題解決に貢献したい」と話した。
- 2023年9月15日
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- 2023年9月14日
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中村留精密工業は、2スピンドル2タレット式の精密コンピューター数値制御(CNC)複合旋盤「WY―100V」を10月18日に発売する。「最速の、その先へ。」をコンセプトに、従来機種を7年ぶりに刷新した。アイドルタイム(待機時間)を短縮する新技術を搭載し、加工速度と生産性向上で短納期対応に貢献する。価格は3140万円(消費税抜き)。月20台の販売を目指す。
新技術「クロノカット」は、タレットの旋回速度、主軸の同期やリジッドタップの高速化により、主軸やミーリングの回転数、トルクを向上させた。一方で加工条件は変わらないため、精度への影響はない。
加えて、パーツキャッチャーを採用したことで加工対象物(ワーク)の取り出し時間を短縮。加工事例として油圧バルブ品の場合、加工時間の30%短縮を実現した。
新機種は同社がスピードをコンセプトにした「Vシリーズ」の旗艦モデル。今回の第1弾を基に、今後もラインアップを拡充していく。
- 2023年9月14日
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- 2023年9月13日
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日産自動車は、横浜工場でのエンジン生産が累計4000万基を突破したと発表した。同工場は1935年にエンジン生産を開始。現在はエンジン量産工場として、可変圧縮機構を採用し世界で初めて量産を開始した「VCターボエンジン」などのほか、独自のハイブリッド車(HV)技術「eパワー」用モーターなどを生産している。
同工場ではエンジン生産開始以来、乗用車に初めて搭載したターボエンジン「L20ETエンジン」やV型6気筒「VGエンジン」などを生産してきた。累計で76年に1000万基、86年に2000万基、97年に3000万基を突破した。
和田民世工場長は「会社設立90周年の記念すべきタイミングで、エンジン生産累計が4000万基という大きなマイルストーンを達成できたことを大変うれしく、誇らしく思っている」と語った。
同工場はエンジン量産のほか、パワートレイン生産技術開発部門と連携し、生産技術や量産のための技能や知識などをグローバル展開するパイロットプラントとしての役割も担う。24年までに全固体電池の技術開発をするパイロットラインを設置する予定だ。
- 2023年9月13日
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- 2023年9月12日
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日本スピンドル製造は、電気自動車(EV)のモーター部品のローターシャフトを効率良く加工できる技術を開発した。得意とするフローフォーミング加工法の新技術により鍛造品を切削する従来工法に比べ、ローターシャフト材料の重量を半分以下に抑えられる。内部の中空化も可能。EVの軽量化に貢献する。
フローフォーミング専用機を使っている場合、加工ツールを交換すれば数十万円の費用で導入できる。EVの普及を見据え、専用機の拡販を目指す。
フローフォーミングは板状や円筒状の金属を回転させ、ローラーを押し当てて金属を自在に変形させる加工方法。ローターシャフトのフローフォーミングにおいて、一部をツバ出しして張り出す加工技術を開発した。
ローターシャフトの端が短くなるため、加工箇所が従来工法より少なく、材料の重量を抑えられる。内部の中空化により冷媒を通せるため、冷却性能を高める効果も得られる。
日本スピンドル製造は住友重機械工業の子会社。フローフォーミング専用機が主力。新加工技術は専用機のうち、駆動系部品向け機種が対象となる。
- 2023年9月12日
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- 2023年9月11日
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ソディックは仙台市太白区に同社国内最大級のショールームを備えた新拠点「仙台テックセンター」を建設し、8月1日から営業を始めた。投資額は約7億円。同区の仙台営業所を移転する。併せて営業やサービス担当者を増員し、放電加工機などの補修部品の在庫も拡充する。東北地域は高精度な加工が必要な電子部品産業が集積する。サービスの充実で繰り返し精度の高さといった同社製品の特徴を生かせる体制を整備し、高度なモノづくりに貢献する。
仙台テックセンターは2階建てで延べ床面積約1191平方メートル。ショールームには形彫り放電加工機や射出成形機、マシニングセンターなど最新機種8台を設置する。従来と比べ補修部品を在庫する倉庫スペースを拡大し、災害や緊急対応のリスクも分散する。
加工に関わる相談全般に対応する技術アプリケーションスタッフも常駐。加工検証などを通じて課題解決を支援する。定期的に加工機や成形機に関する技術スクールを開き、顧客の要望に応じた特別講習会も実施する。
東北地区はマイクロコネクターなど精密電子部品産業が集積し、同社加工機の国内出荷台数の中でも多くの割合を占める。迅速で充実したサービスを提供することで、繰り返し精度や再現性の高さといった同社製品の特徴を最大限生かし、高度な技術が求められる生産現場を支援する。
放電加工機など工作機械販売の2023年1―3月期の売上高は前年同期比18・4%減の91億円。一方、保守サービスや消耗品の同期の売上高は同7・1%増の30億円と、工作機械事業全体の25・0%を占めた。サービス体制の拡充で景気の影響を受ける設備投資に左右されない収益基盤の構築にも貢献する。
- 2023年9月11日
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- 2023年9月8日
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中国の鍛圧機械各社が日本市場で攻勢をかける。東京・有明の東京ビッグサイトで開催された「MF―TOKYO2023」では特にレーザー加工機で、豊富な納入実績や圧倒的な量産効果による価格競争力を強みに提案を積極化している。
日本に加工検証施設を設けてサービスにも力を入れる。背景には二酸化炭素(CO2)からファイバーレーザーが主流になるレーザー加工機市場の構造変化もある。
「日欧のファイバーレーザー加工機と比べて価格を半分以下に抑えている」。日本ボーダーレーザーは価格競争力に自信を示す。
親会社の中国山東省のボーダーレーザーは、切断用レーザー加工機の2022年の世界販売台数が前年比18・6%増の6156台。出力1キロワット以上の同加工機の販売台数は世界一という。品ぞろえはレーザー出力1キロ―50キロワットと豊富で、年約3000台を納める中国市場での納入実績などから、江頭アドバイザーは「性能や信頼性も日欧メーカーと遜色はない」と強調する。日本では約10社の販売代理店を通じ年約数十台を販売する。
HSGエンジニアリング(川崎市中原区)は22年9月に川崎市に「実証加工センター」を設立し、加工品質を検証する体制を構築した。企画開発の担当者を配置し、日本市場に合わせて製品仕様を変える体制も整備。保守部品を在庫して専任の担当者も配置した。
親会社は加工機大手のHSGレーザー(中国広東省)。レーザー加工機の月産台数は700台と世界有数の規模を持つ。日本では小型機やパイプ用のレーザー加工機、溶接機を中心に販売。定価は日本メーカーの約半分で、杉山明彦副社長は「日本市場に合わせたサービス体制で対応していく」と自信を示す。
済南森峰レーザー科学技術(中国山東省)は、日本法人の開設を検討する。強みは最大20キロワットの高出力レーザー。アジア地域の営業責任者の李錫龍氏は「加工性能は日本企業とあまり変わらない」とした。価格は日本企業の同等の性能の製品の3分の2に抑え、こちらも差別化要因だ。
- 2023年9月8日
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- 2023年9月7日
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日本精工は今月より軸受の研削ラインの一部を自動化する。7月から段階的に自動測定機を導入し、2022年から導入を進めている加工対象物(ワーク)のライン内自動搬送に加えて、測定工程も自動化する。日本精工は22年度からの5カ年中期経営計画で、26年度に生産性を21年度比1・5倍に高める方針。各工場で生産性が高い次世代モデルラインの構築に取り組んでおり、今回の自動化はその一環となる。
インフラ向け中心に大型軸受を生産する藤沢工場桐原棟で、研削ラインの一部を自動化する。従来も工程間の無人搬送車(AGV)など複数の自動化に取り組んでいたが、既存研削ラインの設備間搬送と測定作業は手作業だった。自動搬送機と自動測定機の導入が完了する9月以降は段取り替え以外で人手が極力かからなくなり、現行より少ない人数で複数ラインを担当できる。
大型軸受の研削ラインでは、ワークの単体重量が40キログラムに迫るものもある。手作業ではクレーンなどの荷役設備が必要となるため、今回の自動化は省人化以外にも従業員の安全性、設備稼働率向上といった付随効果が見込める。藤沢工場桐原棟では26年までに同じ構成の4ライン内で搬送・測定の自動化を計画する。このほかの施策も含め、藤沢工場では26年までに生産性を21年度比1・7倍に高める方針。
日本精工は中計で「生産の超安定化」を掲げる。生産現場のオペレーターや保有設備、サプライチェーン(供給網)に至るまでを最適化することで経営資源を強化する狙いだ。
- 2023年9月7日
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- 2023年9月6日
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旭工業所(愛知県刈谷市)は、自社の製造工程内で使用する検査具や測定器を外部向けに設計・販売するサービスを始めた。同社の品質保証部では数十年間にわたり自動車部品の評価を担う測定器を自作している。このノウハウを活用して内径や外径を検査する器具などを外販する。自動車部品メーカーや軸受メーカーの需要を想定。年間1000万円の売上高を目指す。
検査具や測定器の外販は2021年から一部で始めており、今後は23年2月に立ち上げた自社ブランド「kensatools(ケンサツールズ)」を通じて本格展開する。内径や外径、ピッチ、円周振れなどの測定器を設計・販売する。主に旭工業所が事前に組み立てた汎用品と、顧客のニーズを反映した専用品を提供。これまで汎用品で約20件、専用品では30―40件の販売実績がある。製造ラインにおける検査工程を全て任される案件も出てきた。
自動車部品などは3次元測定機で検査する場合もあるが、高額なためラインごとに1台ずつ設置することは現実的ではない。空調管理や測定技能も必要になる。同社ではインラインでの使用にこだわった測定器を手がけ、現場の作業員が定期的に検査し品質を担保することを支援する。
自動車部品メーカーには昨今、国際規格「IATF16949」などの品質マネジメントシステムに準拠したモノづくりが求められている。完成品だけでなく製造プロセスでも製品のバラつきを抑える必要があり、同社では工程内で製品や部品を評価する検査具・測定器の需要があるとみている。
同社は、自動車部品のうちトランスミッション(変速機)向け部品の切削加工や組み立てなどが主力。「ピストン」と呼ばれるアルミニウムダイカスト製の輪状の部品を月間数百万個加工している。
- 2023年9月6日
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- 2023年9月4日
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カッター産業(浜松市南区)は、初の自社商品としてハステロイなど耐熱合金の加工に適した超硬合金製エンドミルを発売した。刃の外径が10ミリ、12ミリ、16ミリメートル、刃形は4枚と6枚で、仕様は計6種類。コーティングは変更可能。消費税抜きの価格は仕様によって異なり8000円から。当面は受注生産で対応し、将来は主力である工具の再研磨事業などに次ぐ新たな柱に育てる。
工具再研磨の顧客から、より耐久性が高い工具を求める依頼を受けて開発に着手した。材料メーカーや加工業者からの情報収集から始め、試作品によるテストを重ねながら、耐熱合金の加工に向いた海外製の特殊材料とコーティング、刃の形状の組み合わせなどを見いだした。
刃形は底刃の角度が不均一な「不等分割」と、刃のねじれの角度が2枚おきに異なる「不等リード」で、加工精度に影響が出る振動を抑制する。開発を依頼した顧客が新開発のエンドミルでハステロイを加工したところ、従来使用品に比べて工具寿命が10倍に延びたという。
松本社長は初の自社製品について、「主要顧客である自動車産業以外に耐熱合金の加工など幅広いニーズを探りたい」と狙いを話す。
- 2023年9月4日