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- 2022年11月22日
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日本電産マシンツールは、電気自動車(EV)用歯車加工向けに切削面取り盤と専用工具を発売した。EV用歯車の仕上げ工程に対応した高精度な面取り形状を実現する。ホブ盤など既存の歯車機械の新たなラインアップとして追加し、今後成長が見込まれるEV用歯車の市場を深掘りする。
切削面取り盤「CF26A」は、歯車を高精度に仕上げるために面取り部(角部)を切削で除去する装置。価格は1980万円(消費税抜き)。2023年3月期に10台の販売を目指す。
従来は歯車の両端面の角部を用いて転造によって取り除くフレージング加工が主流だが、歯面・端面方向に盛り上がりやバリ残りが発生することが課題となっていた。
新製品は、ネジ状の工具を使って工具と被削歯車の同期運動によって形状を作り出す創成法を採用。切削加工で面取り部を除去するため、フレージング加工を上回る面品位を得られる。
フレージング加工後の2次バリの発生を抑えられ、前工程のホブ加工で生じる端面バリの除去も可能。フレージング加工で難しかった歯底部分の面取りや1ミリメートル以上の大きな面取り幅にも対応する。
専用工具の「エッジカット」は最新の工具設計シミュレーションを用いることで、実加工時に狙い通りの面取り形状を確保できる。長寿命で工具交換頻度が少なく、再刃付やリコートも可能なため工具のランニングコスト削減も見込める。
- 2022年11月22日
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- 2022年11月21日
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タンガロイは、自動盤向け高精度溝入れ・ネジ切り加工用工具「ミニVロックグルーブ」を発売した。ホルダーとインサートの計25製品で構成。インサートの価格は代表型番の「VGP08―033F―000SH725 0・33ミリメートル幅」が3113円(消費税込み)。初年度4200万円の販売を見込む。
独自のV字形状を持つ2コーナー仕様のインサートを使用。刃先周辺を平たんなスリム形状としたことで、刃物台取り付け時に隣接する工具との干渉を防げる。インサートの小型化により、びびりの少ない高精度な溝入れ加工が可能。
溝幅は0・33ミリ―1・0ミリメートルを設定し、ネジ切り用インサートはネジ山角が55度と60度に対応する。ホルダーは8ミリメートル角と10ミリメートル角、12ミリメートル角のほか、高圧クーラントにも対応する内部給油式タイプを設定した。
- 2022年11月21日
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- 2022年11月18日
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日本工作機械工業会(日工会)は、2022年の工作機械受注見通しを前年比13・5%増の1兆7500億円(22年1月予想は1兆6500億円)に上方修正した。18年(1兆8157億円)に次ぐ過去2番目の高水準となる。世界的に製造業の設備投資が活況で、8月までの受注が国内、海外主要地域ともに高水準で推移。今後も大きな落ち込みはなく、年初の見通しを上回るとみる。
予想額の内訳は、内需が同17・6%増の6000億円(22年1月予想は5700億円)、外需が同11・5%増の1兆1500億円(同1兆800億円)。外需は18年以来4年ぶりに過去最高を更新する見通しだ。
1―8月期の累計受注額は1兆1929億円で、同期として18年に次ぐ過去2番目の受注額を記録した。今後、欧米を中心とするインフレ高進と利上げをはじめ、中国経済の低迷や機械の長納期化などのリスクが一層高まる中、受注レベルはこれまでよりも一段落ちる懸念はある。
一方で、日工会の会員企業へのヒアリングでは、国内外ともに製造業の繁忙感が高く、自動化や高効率化の追求、旺盛な半導体製造装置需要や自動車の電動化需要、生産拠点多極化の動きなど「中長期を見据えた根強い設備投資需要が感じられる」という。
- 2022年11月18日
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- 2022年11月15日
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三菱マテリアルは超耐熱合金加工用の超硬ソリッドドリル「DSAドリルシリーズ」に、切れ刃径の5倍の深さの穴を加工可能な「L/D=5サイズ」を追加、発売した。
ドリル径3ミリ―12ミリメートルの範囲で計115品を設定。価格は代表型番の「DSAS0300X05S060 DP9020」が1万6940円(消費税込み)。
超耐熱合金は一般鋼に比べて加工硬化しやすく、切削熱が上がりやすい。DSAドリルシリーズはそうした超耐熱合金の加工でも長寿命で、穴品位を高められる。
加工径5ミリメートル以上の内部給油式については独自のクーラント穴形状により、ドリル剛性を低下させずにクーラント吐出量を増大。潤滑性、冷却性を高めた。
頑丈な直線状切れ刃と超耐熱合金加工用ホーニングにより、安定した切りくずを生成できるようにし、チッピング(欠損)を抑えた。
- 2022年11月15日
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- 2022年11月14日
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シチズンマシナリーは、金属切削時に発生する切りくずを分断する独自技術の搭載を、主軸台固定型自動旋盤に本格展開する。剛性や耐久性が高い「滑りガイド」の採用機種に初搭載して12月に市場投入し、順次拡大する。主軸台移動型と合わせて旋盤の構造を問わず同技術を提供できる体制を構築。生産性向上や環境負荷低減に貢献できる点を強みに拡販を狙う。
切りくず分断技術「低周波振動切削(LFV)」は、サーボ軸を切削方向に振動させ、切削中に刃物が当たらない「空振り時間」を設けることで切りくずを細かく分断する。材料や工具に切りくずが絡まず不良品を削減できるほか、切りくず容量の大幅縮小や深穴加工の効率向上を実現する。また垂直、水平の2軸ともに振動・補間して、テーパー(斜め)や円弧などさまざまな形状加工でも切りくずを分断できる。
シチズンマシナリーの自動旋盤でのLFV搭載機種は、主軸台移動型の「シンコム」、主軸台固定型の「ミヤノ」の両ブランド合わせて11機種。それらはすべて「転がりガイド」を採用した機種で、そのうち8機種がシンコム機。ミヤノ機は滑りガイドを基本採用しているため、今後、滑りガイド採用機種でもLFV対応を進めることでユーザー層の拡大につなげる。
同社は2013年にLFVの搭載機を発売し、16年にシンコムブランドの主力機種への搭載などで機種を拡充してきた。また16
年以降、欧米とアジアにも拡販してグローバルで顧客層を拡大。22年9月末にはLFV搭載機の累計出荷台数が4500台を突破し、23年3月期中には5000台に達する見通しだ。
- 2022年11月14日
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- 2022年11月11日
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日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要7社の4―9月期の工作機械受注実績は、前年同期比17・7%増の2730億2500万円だった。コロナ禍から急回復した前年に比べて伸び率は下がったものの、中国と米国を中心に海外で旺盛な設備投資需要が継続。日本も半導体製造装置向けなどがけん引し、堅調に推移した。
5社が国内、輸出、総額の全項目で増加した。牧野フライス製作所は4―9月期の総額が18年度以来4年ぶりに過去最高を記録。輸出も中国、米国が好調を維持したことなどから2年連続で過去最高を更新した。
オークマも輸出が18年度以来となる4―9月期の過去最高を記録した。中国や米国で半導体製造装置向けが好調だったところに、電気自動車(EV)関連向け需要も伸びてきたことが寄与した。
今後の受注環境については、部品不足による機械の長納期化や中国経済の減速、インフレ高進などの設備投資への影響を懸念する声が強まっている。
中国市場に強いツガミは「中国の需要自体は悪くはないが、まだ底を打っている感じはしない」と慎重な姿勢を示す。牧野フライス製作所は「全地域的にインフレの影響が懸念され、10―12月期以降は徐々に受注水準は落ち込む可能性がある」とみる。オークマは半導体関連投資の持続やサプライチェーン(供給網)見直しの動きから「一本調子で上がることはないが、ガクッと落ちることもない」と予想する。
9月単月の7社の受注総額は前年同月比10・6%増の491億7900万円で22カ月連続の増加となった。総額で増加したのは6社。ニデックオーケーケー(旧OKK)は同2・0倍と大幅に伸長し、「中国・東南アジアで、EV関連部品の引き合いが増加している」と背景を説明する。
- 2022年11月11日
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- 2022年11月10日
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京セラは切削工具の購買計画や高効率な加工法などを提案し、生産現場のコストダウンを支援するサービスを開始した。顧客に工具の使用・在庫状況などを把握できる工具棚を提供。棚を介し、顧客と在庫情報や生産情報を共有することで京セラが課題や改善案を提案する。欧米では工具メーカーによる同様のサービスが普及しつつあり、同社は国内で競合に先んじて事業化する。
サービスの利用料金は京セラが開発した電子工具棚「ツールオーガナイザー」1台の基本パッケージで、5年契約の月額4万8000円(消費税抜き)。オプションで電子工具棚や工具管理システム(TMS)を追加できる。京セラ製工具以外にも対応する。
会員専用ウェブサイトを通じ、顧客の工具の使用・在庫状況や生産情報などを共有。京セラは製造品ごとの工具費や使用マシン別工具使用量などを分析し、無駄やコストの削減につながる提案をする。自社の新製品開発や営業にもつなげる。
電子工具棚は収納したい切削工具を登録すると、その型番を入力するだけで収容場所や持ち出し履歴を確認できる。工具を探す時間や棚卸し時間の削減に加え、独ゾラ製のTMSと連携することで在庫状況や使用状況も確認できる。
電子工具棚のサイズは幅800ミリ×奥行き790ミリ×高さ1175ミリメートル。棚は各段に電子ロックが付く。
京セラの機械工具事業の2021年度(22年3月期)の売上高は前年度比30・0%増の2510億円。30年度には約2倍の5000億円を目指している。
- 2022年11月10日
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- 2022年11月9日
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日本工作機械工業会(日工会)が発表した9月の工作機械受注額(速報値)は、前年同月比4・3%増の1508億2000万円で23カ月連続の増加となった。1500億円を上回るのは3カ月ぶり。外需が依然好調な一方、内需が19カ月ぶりの減少に転じた。日工会は内需について「高水準であることに変わりはないが、今後、伸びの勢いが落ち着く可能性はある」との認識を示した。
内需は同9・0%減の524億500万円だった。4カ月連続で500億円を上回ったものの、営業日数の少ない8月と比べて1・2%の伸びにとどまった。政府の補助金効果についても、製品の長納期化のために申請を諦める動きも見られ、「効果が薄らいでいる」という。
外需は前年同月比13・1%増の984億1500万円で23カ月連続の増加となり、9月として過去最高を更新した。欧州での夏季休暇明けの商談再開や、米国での展示会開催効果などがあったとみられる。
- 2022年11月9日
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- 2022年11月8日
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オークマは、欧米市場向けにテーブルサイズが直径500ミリメートルの5軸制御マシニングセンター(MC)「ジェノス M560V―5AX」を開発、発表した。ジェノスシリーズの使いやすさを維持しつつ、同クラスの5軸制御MCに比べ小型ながら広い加工エリアと高い加工能力を備え、高精度と脱炭素を両立したという。
価格は標準仕様で4000万円。年間100台の販売を目指す。日本国内での販売は未定。
機械が自律的に高精度を維持する知能化技術「サーモフレンドリーコンセプト」を搭載。それを応用した省エネルギー技術「エコ・スイート・プラス」を標準装備した。クーラントタンクの清掃頻度を激減させる「スラッジレスタンク」も特別仕様で用意した。
床面積は従来機比で25%削減し8・2平方メートルと省スペースながら、加工対象物(ワーク)の径で最大直径700ミリメートルに対応する。
- 2022年11月8日
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- 2022年11月4日
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タンガロイは、非鉄金属の旋削加工用インサートとして「28形チップブレーカシリーズ」を拡充し、発売開始した。両面仕様のため工具費用の低減につなげられる。価格は代表型番の「CNMG120408―28KS05F」が924円(消費税込み)。初年度2800万円の販売を見込む。
同シリーズは深いインクリネーション刃形を持つ3次元ブレーカーで、鋭い切れ味で切削抵抗を低減し、高い切りくず処理性能も持つ。インサート材種には耐摩耗性に優れた超硬合金「KS05F」を採用。切れ味と強度を備えたネガ(両面)タイプインサートとの組み合わせにより、安定した長寿命を実現する。
CNMG、DNMG形など経済性の高いM級インサートのほか、CNGG形高精度G級インサートも設定。非鉄金属の仕上げ切削領域から中切削領域まで幅広くカバーできる。
- 2022年11月4日
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- 2022年11月2日
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東振テクニカルは、加工能率と真円度を両立しつつ、ボタン一つで直感的な操作を可能にして利便性を向上させた心なし研削盤「TO―6040T―WR―TF」を開発した。取り扱いが難しいとされる心なし加工において、加工品質を高めつつ作業者の習熟度によるバラつきや故障損失を低下させた。
新型機は最大加工径が直径120ミリメートル。操作盤のボタンを押すだけのシンプルな操作で段取りから加工に取りかかれるのが特徴。トポロジー最適化の手法を用いて、研削速度を従来機比で20%向上させつつ、寸法バラつきを12%低下させた。
誤操作で加工対象物(ワーク)をぶつける損失を防ぐため、誤操作防止機能を付けた。さらに加工状態の見える化を実現。従来、試し加工を繰り返すことで出した加工条件を自動算出し、真円度などの加工予測を表示することで実際の加工までの時間を短縮させた。
また、予知保全に向け、劣化などによる主軸などの交換時期を伝える監視用アプリケーションも開発した。現場環境にも配慮し、加工部のカバーを機械全体に広げ、クーラントミストを機外に出しにくい気密性を上げた設計で、機械周辺のミストを80%削減した。
東振テクニカルは軸受用などのローラー専門メーカーである東振精機向けの工作機械を開発、メンテナンスする部門として設立。そのほかベーンポンプも製造・販売する。
- 2022年11月2日
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- 2022年11月1日
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エンシュウはみずほリースと連携し、マシニングセンター(MC)のサブスクリプション(定額制)サービス「ジャスタ」の提供を始めた。
期間は3年間で一般的な機械の購入に比べて導入コストを4割減らせる。自動車の電動化やデジタル変革(DX)の進展などで加工需要が短期間で変化することに対し、中堅・中小企業が円滑に対応できるように設備投資の負担軽減につなげる。
おおむね100台を上限に提供する。対象はエンシュウの立型MC「WE30Ve」、同「EV450Te」、横型MC「GE480H」の3機種。
機械の定期点検に加えて、操作説明や実習といった導入支援教育サービス、事故に備えた保険も用意する。3年後には購入または返却が可能。
- 2022年11月1日
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- 2022年10月31日
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テイケンは、レジンボンドダイヤ・立方晶窒化ホウ素(CBN)ホイールの砥石面を再生する高精度ドレッシングツール「シナジードレッサ=写真」を10月3日に発売する。消費税抜きの価格は全面を研削加工した精密タイプが3万6000円、底面だけを加工したKITタイプが2万7500円。初年度は合わせて500本の販売を見込む。
同製品のサイズは幅83ミリ×奥行き27ミリ×厚さ16ミリメートル。同社の研削用ホイール「シナジーホイール」用に開発したが他社製品にも使用可能。ホイールの振れ取りや目立てを行うドレッシングメタル部とボディーとの接合にロウ付けを採用したことで、最後まで安全に使用できる。
- 2022年10月31日
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- 2022年10月28日
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ソミックマネージメントホールディングスは、2030年3月期をめどに自律走行ロボットなど新規事業の売上高を1200億円に引き上げる。主力の自動車部品に次ぐ経営の柱を育成する。自律走行ロボットは取り組みを始めたばかり。事業化へ技術・知見の獲得や人材育成を急ぐ。30年3月期にソミックグループで売上高3000億円(22年3月期は約900億円)を目指すなか、4割を新規事業で稼ぐ考えだ。
ソミックグループの中核で自動車のボールジョイントといった自動車部品を得意とするソミック石川は、生産設備の故障を未然に予知する仕組みや、熱処理で生じるエネルギーを再利用する取り組みなどを研究している。グループ会社が出資した米国のスタートアップや研究機関などと連携し、人工知能(AI)を活用した外観検査などの事業化も検討している。
「従業員の業務の1割は新規事業の検討に充てたい」(斉藤社長)としており、ソミック石川での知見をグループ全体の新規事業に生かす。
また、次世代を担うリーダーの育成を目的に「クリエイティブシンキング講座」を実施している。グループ内の人事交流、選択的週休3日制や副業・兼業といった働き方改革なども推進し、従業員が新たな発想を生み出しやすい環境を整える。
ソミックグループでは、建設業界を主な顧客とした作業支援ロボット「SUPPOT(サポット)」のレンタルサービスを4月に開始した。サポットの開発にはソミック石川の自動車部品のノウハウを応用した。足元では国内の大手電気機器メーカーから工場敷地内利用の提供を受け、資材運搬の自動化のための共同研究を進めている。
一連の取り組みを通じて自動車業界の変革やコロナ禍といった事業環境の変化に対応しつつ、中長期の成長を見据えた体制を確立する構えだ。
- 2022年10月28日