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- 2020年5月1日
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住友電気工業は、アルミニウム合金加工用の多結晶ダイヤモンド(PCD)カッター「アルネックスANX型」の本体に、モジュラー型など33種の新製品を追加し、計70種に拡充した。
自動車で採用が増えるアルミ製軽量部品の高速・高能率加工や小型加工設備に対応する工具の需要を取り込む。消費税抜きの価格は7万―35万円。刃先(ブレード)と合わせて2年後に年間売上高3億円を目指す。
モジュラー型を新設し、刃径25ミリ―40ミリメートルの7種を加えたほか、柄付き8種と仕上げ加工などに使うシェル型18種を追加した。
アルネックスは、アルミ合金製ボディーで、刃径100ミリメートルで1・0キログラム以下と、小型加工設備に対応する軽量工具。1インチ当たり4・5刃の多刃設計が可能で、送り速度毎分3万ミリメートル以上の高能率加工ができる。
- 2020年5月1日
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- 2020年4月30日
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ブルーム・ノボテストは、レーザー工具測定システム「DIGILOG(デジログ)」シリーズの最上位モデル「LC50―DIGILOG」を発売した。切れ刃の微細なバラつきまで測定でき、ユーザーの加工対象物(ワーク)品質向上や工具の寿命管理につながる。今後、測定結果を視覚化、解析するソフトウエアも追加し、IoT(モノのインターネット)や第5世代通信(5G)を視野に入れたモノづくりを提案する。
新製品は工作機械に取り付け、レーザーによる非接触方式で工具の状態を測定する。高精度なアナログスキャニング技術とデジタル測定を組み合わせることで、瞬時に多くの測定値を取得。従来は難しかった工具先端のR形状など、あらゆる工具の測定や評価が可能になる。工具測定と検知時間は従来比最大60%短縮。熱変位補正による加工精度の安定化や工具摩耗測定、チッピング検知にも対応する。
一方、ソフト「LC―VISION」は当初、保守で活用できる標準機能に加え、3次元(3D)工具制御や主軸管理の2アプリケーション(応用ソフト)を設定し、工具と主軸の品質が視覚的に判定できる。今後、さらに機能を追加する。
- 2020年4月30日
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- 2020年4月28日
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汎用旋盤で“研削”できます―。テクノナカニシは、汎用旋盤に搭載することで研削加工ができるユニット「SLG―25」を発売した。
旋盤の刃物台に載せて使用し、容易に着脱できる設計が特徴。加工対象物(ワーク)の仕上げや少量の加工など専用機を導入せずに研削加工ができる。価格は49万5000円(消費税抜き)で、年間10台の販売を目指す。
ユニットに外径125ミリメートル、内径12.7ミリメートルの砥石(といし)を取り付けて使用する。重量は約6.2キログラム。三菱電機製のサーボモーターを採用し、砥石の回転速度は最大で毎分6000回転。
オプションでモーターの回転速度と負荷率をリアルタイムで表示・管理できる制御盤を用意した。制御盤の価格は69万5000円(同)
- 2020年4月28日
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- 2020年4月27日
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乗用車メーカー8社が発表した2月の世界生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比15・7%減の187万4791台となり、7カ月連続で減少した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、各社が中国の完成車工場の操業を相次いで停止したことで大幅に落ち込んだ。また、一部メーカーでは中国製部品の供給遅れで中国以外の生産にも影響が及んだ。中国生産が壊滅的な状況に陥ったことが世界生産に大きな影を落としている。
海外生産は同18・6%減の114万1214台となった。中国生産はトヨタ自動車が同77・4%減、日産自動車は同87・9%減、ホンダは同92・4%減、マツダは同90・6%減と大幅に減少した。その他の地域では日産が米国でスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」が減少した。マツダもタイで小型車「マツダ2」、小型SUV「CX―3」を減らした。ダイハツ工業は一部改良したマレーシアでの小型セダン「ベザ」が増加した。
国内生産は同10・8%減の73万3577台。日産は新型コロナの影響でサプライチェーン(部品供給網)の混乱や需要低迷を理由に生産調整し約3割減。トヨタも2ケタ減となったが消費増税の影響が主因で、「新型コロナの生産面への影響は中国以外では出ていない」(広報)としている。ホンダも消費増税の影響で減少した。SUBARU(スバル)は、北米向けSUV「フォレスター」の販売好調で増やしたほか、外製部品の不具合で部分供給に制約があったことの反動増となった。
3月に入っても各社は中国工場の操業を再開したものの急激な生産挽回は難しい状況。さらに感染が欧米やアジアなど主要生産地域に広がっており、今後世界生産の大幅な減少は避けられない見通し。
- 2020年4月27日
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- 2020年4月24日
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長谷川機械製作所は、球体部品を加工する球面加工旋盤「RZ―1」を投入した。通常、旋削とバニシングは別工程で行われるが、同製品は1台で加工できるのが特徴。効率的な生産が可能となる。自動車部品のほか、軸受、工場自動化(FA)製品、医療機器部品の加工用途などでの利用を見込む。価格は約1600万円(消費税抜き)。
切削加工と、塑性変形を利用して表面を滑らかに仕上げるバニシング加工を同じ工程で行う。機構部分の工夫により同工程での加工を実現しており、国際特許を出願中。真球度は5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下、面粗さ(Ra)も0・1マイクロメートル以下。主軸の最高回転数は毎分6000回。装置の寸法は、幅1・6×奥行き1・93×高さ1・93メートル。
オプションとして、「超高圧クーラント」と「高速1軸ガントリーローダ」を用意。クーラントの圧力は20メガパスカル。加工対象物(ワーク)を搬送するガントリーローダーは2、3秒程度での出し入れが可能という。
長谷川社長は「さまざまなニーズを探っていきたい」と話す。
- 2020年4月24日
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- 2020年4月22日
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ジヤトコは、後輪駆動(FR)車用新型9速自動変速機(AT)を開発したと正式発表した。
同社の富士地区A(静岡県富士市)で生産ラインを新設して量産し、日産自動車が北米で製造・販売するピックアップトラック「タイタン」に搭載。ATの新開発は2008年以来、12年ぶり。生産能力は年間10万台。
新開発したのはFR車用9速AT「JR913E」。理想的なギア比の設定やレスポンスの良い変速を実現する油圧システムを構築し、高効率・高応答にした。
走行に応じた最適なギア位置の選択を可能とし、発進から中間加速では、ダイレクト感のある力強い走りを実現、高速走行時には低いエンジン回転数をキープすることで優れた燃費性能と静粛性を実現した。
- 2020年4月22日
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- 2020年4月21日
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オーエスジーがスカイビングカッタを開発。歯車加工用工具の製造に参入した。
自動車業界に電動化の波が押し寄せる中、需要の変化への対応の一つとして位置づける。特に、コンパクトで大きなトルクを伝達できる遊星歯車機構の減速機は、電気自動車の需要増と共に増加すると見られる。従来、内歯車の歯切りにはブローチ加工やギアシェーパ加工が使用されていたが、近年、複合加工機やマシニングセンタで加工でき、少量多品種や寸法変更に柔軟に対応できるスカイビング加工が注目されている。内歯と外歯の両方を加工でき、はすば歯車にも対応する。イニシャルの工具費がブローチに比べて安くなるのも特徴だ。
今回開発したスカイビングカッタはハイス工具で、試験加工を開始。超硬や刃先交換式も開発中。バリエーションを拡大していく。
ねじ加工用工具に加え、歯車加工にも工具を提供していく考えだ。
ニュースソース:日本産機新聞(https://nihonsanki-shimbun.com/)
- 2020年4月21日
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- 2020年4月20日
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新型コロナウイルスの感染拡大が、製造業に大きな影響を及ぼしている。受注の延期やキャンセル、営業活動の自粛などによって、売上が減少し、厳しい経営状況に置かれる企業が増えている。政府は、無利子・無担保での融資制度や、雇用調整助成金の要件緩和などの支援を始めている。今後も新型コロナウイルスの影響を受ける企業を支えるための様々な支援策が打ち出される可能性もあり、常に最新の情報をチェックしておきたい。
「目標としていた売上に比べ、受注が50%以上減っている」。あるプレス金型メーカーは、新型コロナウイルスの影響で、受注が大幅に減少しているという。また、別のメーカーでは、「取引先担当者の外出禁止や取引先への訪問禁止で、検収があがらず、売上にならない」と厳しい状況を訴える。
トヨタ自動車やホンダなど大手自動車メーカーでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界的に新車需要が減少していることから、工場の操業を相次いで停止している。自動車産業に関連する国内企業は多く、今後さらに影響が拡大するという見方も少なくない。
こうした中、政府では、新型コロナウイルスの影響を受ける企業を支えるために、経営相談窓口を設置し経営相談を受け付けるほか、様々な支援策を用意して対応している。
その一つが、「資金繰り支援」。日本政策金融金庫などの政府系金融機関では、実質的に無利子・無担保で融資が受けられる制度を設けた。
売上高が5%以上減少した中小企業などを対象に、金利を一律0・9%に引き下げ、今後3年間は0%台の金利で融資を受けることが可能。さらに、売上高が10~20%減少するなど、より厳しい経営状況の企業に対しては、利子を国が補てんし、実質的に無利子で借りることができる。
また、中小企業が金融機関から借り入れしやすくなるように、売上高の減少幅に応じて借入金の80~100%を保証する制度「セーフティネット保証」も実施。「4号」、「5号」の2種類で、「4号」では、売上高が20%以上減少した企業などを対象に通常とは別枠で2・8億円を上限に借入金を100%保証し、「5号」では、売上高が5%以上減少した企業などを対象に借入金を80%保証する。
加えて、「危機関連保証」という制度では、「セーフティネット保証」とはさらに別枠で、売上高が15%減少した中小企業に対して、2・8億円を上限に借入金を100%保証する。
資金繰りのほか、雇用も支援する。中でも休業手当などを助成する「雇用調整助成金」は特例措置を拡大。現行の助成率は、中小企業が3分の2、大企業が2分の1だが、中小企業は5分の4、大企業は3分の2まで引き上げた。また、計画届の事後提出も4月1日から6月30日まで認めるなど要件を緩和した。
そのほか、設備投資や販路開拓を支援する2019年度補正予算事業では、影響を受けた企業への特例措置を認め、優先的に採択したり、申請要件を緩和したりすることで対応する。一次申請は3月末で締め切ったが、今後も申請受付を継続する予定だ。
国内の感染者は2122人(4月1日時点)にのぼり、予断を許さない状況は続く。3月30日には、自民党がGDP10%超となる60兆円の経済対策や、リーマンショックと同等の40兆円の資金繰り対策の提言を求めるなど、支援策拡充の可能性は高い。難局を乗り切るためにも常に最新の情報をチェックしておきたい。
ニュースソース:日本産機新聞(https://nihonsanki-shimbun.com/)
- 2020年4月20日
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- 2020年4月17日
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山善の名古屋支社は、6月13日(土)~15日(月)の3日間の日程で開催を予定していた「2020中部どてらい市」を、新型コロナウイルス感染拡大の現状と、出品メーカー並びに主催店各社からの意見を総合的に判断した結果、次のように延期すると決定した。
●開催日程=令和2年10月28日(水)~29日(木)の2日間
●会場=ポートメッセなごや1号館(1万3870㎡)
同展示会を運営するヤマゼンクリエイトは「初めての10月平日開催であり、2015年以前の会場(1号館)での開催となりますが、今まで以上に価値のある『中部どてらい市』を目指して邁進します」としている。
なお、搬入・搬出日程についても、搬入を10月26日(月)~27日(火)に、搬出を10月29日(金)開催終了後~30日(土)午前中に変更する。
ニュースソース:名古屋機工新聞(http://www.kikou.co.jp/)
- 2020年4月17日
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- 2020年4月16日
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日本工作機械工業会(日工会)が発表した2020年2月分の工作機械受注総額は、前年同月比29・6%減の772億24百万円となり、17か月連続で減少した。前月比も4・4%減となり、2か月連続で減少した。
中国経済の構造問題や米中貿易摩擦の影響、自動車関連需要の低迷などにより長らく調整局面が続く中、新型コロナウイルス感染拡大が新たな脅威となり、中国市場を中心に外需全般を一段と押し下げた。
受注総額が800億円を下回ったのは2013年1月以来7年1か月ぶり。景気の目安とされる1000億円を7か月連続で下回った。
内外需別にみると、内需は、前年同月比23・2%減の319億97百万円となり、15か月連続で減少した。前月比は8・1%増で、2か月ぶりに300億円を上回ったが、国内需要は全般的に弱含んでいる。
主要業種の一般機械向けは、データセンターや5G基地局の増設など半導体製造装置関連需要の高まり、産業機械向け大型機の受注などが牽引し、前月比24・7%増(前年同月比26・6%減)の132億46百万円となったほか、自動車も90億82百万円と僅かながら前月実績を上回った。
外需は、前年同月比33・6%減の452億27百万円で、17か月連続の減少。前月比も11・7%減と2か月連続で減少した。外需が500億円を下回ったのは2013年1月以来7年1か月ぶり。
中国は73億80百万円(前年同月比47・6%減、前月比31・3%減)で、2013年1月以来7年1か月ぶりに100億円を下回った。感染拡大により設備投資の先送り感が急激に高まったほか、中国国内の厳しい移動制限により商談が大きく制約されたケースも多く、「春節入り前に商談を大方詰めていた案件を除くと、実質成約がなかった」という会員もいたという。
欧州は109億15百万円(前年同月比39・7%減、前月比11・7%減)で、2013年8月以来6年6か月ぶりに110億円を下回った。中国への輸出依存度が高いドイツで低迷が続いているほか、イタリアも2013年4月以来6年10か月ぶりに10億円を下回るなど、域内全体で振るわなかった。
北米は173億41百万円(前年同月比18・6%減、前月比4・6%減)となった。7か月連続で200億円を下回るなど、北米も調整局面にあるが、他地域に比べて小幅な減少にとどまった。
日工会が3月上旬に実施した会員アンケート調査では、4~6月期の受注見通しについてDI値(「増加」-「減少」)がマイナス27・0と前回から2・0ポイント悪化した。
同会は今後の受注動向について「急激かつ広範な感染拡大を受けて、経済の先行きが極めて見通しにくくなっていることから、国内外とも設備投資の先送り感が強まっており、受注額は当面低調に推移する可能性が高い」との見方を示している。
ニュースソース:名古屋機工新聞(http://www.kikou.co.jp/)
- 2020年4月16日
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- 2020年4月15日
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スズキは、ミャンマーに4輪車の新工場を建設すると発表した。新設に伴う総投資額は120億円。生産能力は年間4万台で、週内にも着工し、2021年9月の稼働を目指す。ミャンマーの自動車市場は拡大が見込まれており、需要に応えていく方針。
現地で4輪車の生産・販売を手がける子会社「スズキティラワモーター」の新工場として設立する。溶接や塗装、車体組み立てを行う。溶接と塗装ラインは22年9月に本格稼働する計画。ティラワ工業団地内に設ける。既存工場を含めた工場敷地面積は約20万平方メートル。新工場の建屋面積は約4万2000平方メートル。
スズキはミャンマーに設立した合弁会社で、99年に2・4輪車の現地生産を始めた。現在、二つの工場で小型車「スイフト」など4車種を生産する。19年の生産台数は1万3300台、販売台数は1万3206台。新車販売のシェアは60・3%になったという。
- 2020年4月15日
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- 2020年4月13日
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金属技研は、スウェーデン・サンドビックグループの粉末冶金加工会社を買収する。両社は高圧で粉末金属を焼結する熱間等方圧加圧(HIP)技術を持つ。得意の製品寸法や地域、業界が異なるために補完関係が成り立つと判断、買収を決めた。サンドビック系は欧米のオイル・ガス業界向けのパイプや継ぎ手が主力。金属技研は同分野で未開拓の中国などに横展開する。4月に全株式を取得する。
金属技研が買収するのは、スウェーデンのサンドビック・パウダー・ソリューションズ(SPS)。金属加工中堅が欧州大手グループの同業を買収するのは珍しい。金属技研はSPSが受託した加工の一部を請け負うなど取引関係があり、SPSの高精度加工を評価していた。5年後にSPSの売上高を現在比約3倍の25億円に伸ばす。買収額は明らかにしていない。
金属技研はHIP、熱処理、機械加工による航空機のエンジン部品製造などを手がけている。SPSは欧米での海底油田のパイプや継ぎ手製造に強い。買収を機に、これまでSPSが手薄だった中国などアジアの開拓を進める。また、SPSの販路を活用し、金属技研の既存事業の欧州開拓を本格化する。
金属技研は1960年に熱処理会社として創業し、現在の売上高は111億円。群馬県や茨城県、千葉県、中国などに工場を持つ。従業員数は570人。サンドビックグループは、切削工具、金属材料、鉱山機械などの世界大手。
サンドビックグループ傘下のSPSは、粉末冶金製品の製造・販売を手がけ、18年12月期の売上高は約9億円、従業員数は32人。
- 2020年4月13日
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- 2020年4月9日
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西研は、ゴールと共同で、小径深穴の加工が可能なドリルを開発した。直径の15倍以上の深穴の加工が、突きと引きを繰り返すステップ加工なしで可能になり高効率。西研が個別受注品の形で2020年内に販売を始める。
開発したドリルは超硬合金の無垢材 ソリッド製の1枚刃で、刃のねじれの向きと逆向きにねじれた溝が切ってある。この溝により、ドリルの回転に伴って、切りくずの排出と加工油の給油を同時に行える。両社共同で特許を取得した。
直径2・5ミリ―9ミリメートルのラインアップ。機械構造用炭素鋼のS45Cで直径の20倍、ステンレスで直径の10倍の深さの穴がノンステップで加工できるという。標準品を在庫するのではなく、顧客の要望を聞いてコーティング材と併せてオーダーメードで提供する。
最近のドリルでは、内部に給油穴を備えたタイプが多い。小径になると切りくずが穴に詰まりやすくなる上、給油の際に高圧をかけるポンプが必要になり設備コストがかかる。このドリルは外部給油のためポンプが不要。
またステップ加工でドリルを引くのと同時に切りくずを排出する場合が多いが、開発品はノンステップ加工のため、加工効率は単純に2倍に高まる。
西研は特殊仕様の切削工具の開発製造と、工具の再研磨が主力。ゴールは主要顧客で、ともに新しい工具の開発と工程改善に取り組んできた。
- 2020年4月9日
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- 2020年4月8日
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乗用車メーカー8社が発表した2月の世界生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比15・7%減の187万4791台となり、7カ月連続で減少した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、各社が中国の完成車工場の操業を相次いで停止したことで大幅に落ち込んだ。また、一部メーカーでは中国製部品の供給遅れで中国以外の生産にも影響が及んだ。中国生産が壊滅的な状況に陥ったことが世界生産に大きな影を落としている。
海外生産は同18・6%減の114万1214台となった。中国生産はトヨタ自動車が同77・4%減、日産自動車は同87・9%減、ホンダは同92・4%減、マツダは同90・6%減と大幅に減少した。その他の地域では日産が米国でスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」が減少した。マツダもタイで小型車「マツダ2」、小型SUV「CX―3」を減らした。ダイハツ工業は一部改良したマレーシアでの小型セダン「ベザ」が増加した。
国内生産は同10・8%減の73万3577台。日産は新型コロナの影響でサプライチェーン(部品供給網)の混乱や需要低迷を理由に生産調整し約3割減。トヨタも2ケタ減となったが消費増税の影響が主因で、「新型コロナの生産面への影響は中国以外では出ていない」としている。ホンダも消費増税の影響で減少した。SUBARU(スバル)は、北米向けSUV「フォレスター」の販売好調で増やしたほか、外製部品の不具合で部分供給に制約があったことの反動増となった。
3月に入り各社は中国工場の操業を再開したものの急激な生産挽回は難しい状況。さらに感染が欧米やアジアなど主要生産地域に広がっており、今後世界生産の大幅な減少は避けられない見通しだ。
- 2020年4月8日