-
- 2022年2月2日
-
シチズンマシナリーは、本社敷地内に精密加工工場を新設し、工作機械の基幹部品であるスピンドル(主軸)の生産能力を2023年に現在比6割増やす。投資額は45億円。海外での自動旋盤の生産体制増強に伴い、スピンドルの生産能力も高めることで自動旋盤の安定供給を図る。
新工場は延べ床面積約4100平方メートルで、23年3月に完成予定。本社工場での新棟建設は09年以来となる。ロボットや無人搬送車(AGV)を活用して生産体制の自動化・省力化につなげる。太陽光発電の採用や周辺地域への電力供給などを通じて、持続可能な社会への貢献を目指す。
現在は本社工場内で、自動旋盤350台分のスピンドルを毎月生産している。今後はスピンドル生産を新棟に集約し、同550―600台分を生産する計画。それに伴い、本社工場内のスピンドル生産スペースは、ショールームや人材教育に活用し、生産品質の向上につなげる。
同社は21年8月に中国で新工場が稼働した。22年にはタイ工場(アユタヤ県)の増床も予定するなど、自動旋盤の生産能力増強を進めている。23年には全生産拠点での自動旋盤の生産能力が現在比4割増となる見込みだ。
- 2022年2月2日
-
- 2022年2月1日
-
中村留精密工業は、自社製複合加工機の利便性を向上させるための二つの新機能「ジオナビ」と「1(ワン)タレットプログラミング」を発表した。多品種少量生産が増加する中、変化に強い工場を求める企業に複合加工機の使い勝手の良さを訴求する。
ジオナビはツールセッターを使用した形状補正取得作業において、アプローチ以外の測定動作をすべて自動化したサポート機能となる。モニターのガイダンスに沿って簡単に操作し、作業を完了できる。実際に初心者が手動で作業する場合と比較し、45%程度の時間削減に成功したとしている。また、測定のバラつきを抑えたり、座標の取り忘れのミスを防いだりする効果もある。
1タレットプログラミングは、例えば複数タレットの場合、一つのタレットで入力した工程を、工程編集画面で内容に応じて他のタレットに展開できる。そのプログラム内容は座標系の反転などを自動変換するため、複数タレットのプログラミングが不慣れな場合でも作成を容易にした。
- 2022年2月1日
-
- 2022年1月31日
-
日刊工業新聞社がまとめた11月の工作機械主要7社の受注実績は、前年同月比66・3%増の407億7000万円で、12カ月連続の増加となった。400億円を上回るのは2カ月ぶり。欧米や中国を中心に海外需要の好調が続いており、日本国内でも需要回復の動きが強まっている。
牧野フライス製作所は輸出が前年同月比2・3倍だった。「米国と中国が想定よりも好調」(経営企画室)で、米国向けは半導体製造装置に加えて、自動車や医療関連が堅調。航空機も底堅い需要が続いている。
オークマは中国が堅調なほか、欧米が幅広い業種で需要が喚起され「かなりの高水準となっている」(マーケティング室)。国内も半導体製造装置関連が好調で、自動車も一部で回復の動きが出ているという。ジェイテクトも国内が自動車関連などのスポット受注により大幅に増加した。
芝浦機械は国内、輸出ともに同2倍以上の増加。国内では、産業機械や半導体製造装置向け門型機などに加え、発光ダイオード(LED)や光学向けで超精密加工機を受注した。
ツガミは強みの中国に加え、日本や欧米、インドも含めて「各市場ともに堅調」(同社首脳)な状況。日本電産マシンツール(滋賀県栗東市)は、インドで自動車向けに歯車機械の大口受注を獲得した。
今後の受注環境について、業界では「政治的な事情など、よほどの外部要因の悪化がなければこの傾向がまだ続く」(大手メーカー担当者)と、高水準持続への見方が強い。ただ、部品の供給不安は依然として続いており、OKKでは国内市場について「納期がキーとなる商談が増えている状況」という。
- 2022年1月31日
-
- 2022年1月28日
-
日本工作機械工業会(日工会)が発表した11月の工作機械受注実績(速報値)は、前年同月比64.0%増の1454億200万円で、13カ月連続の増加となった。1400億円を上回るのは3カ月連続。前月比は2.6%減と3カ月ぶりの減少に転じたものの、内需、外需ともに高水準の状況が持続。主要メーカーの足元の受注動向から、12月以降も市場の好況が続いている。
内需は前年同月比84.1%増の497億9300万円で、9カ月連続の増加となった。半導体関連を中心に需要が堅調なことに加え、「自動化や省人化への設備投資の度合いも強まっている」(日工会調査企画部)。事業再構築補助金などによる一定の下支え効果もあったもようだ。
外需は同55.1%増の956億900万円で、13カ月連続の増加。前月比は3カ月ぶりの減少となったが、2カ月連続で950億円を上回った。中国市場に加えて、欧米での需要が引き続き伸びているようだ。
11月までの21年累計受注額は1兆4021億円となった。12月も好調を持続し、日工会の21年受注見通しである1兆4500億円の達成はもちろん、1兆5000億円台到達も高まった。
- 2022年1月28日
-
- 2022年1月26日
-
長く低迷していた受注がコロナ禍でさらなる打撃を被った2020年から一転、21年の工作機械市場は回復傾向が鮮明となり、受注も高水準に達した。ただ、半導体や電装品などの部品不足の影響で、機械の納期が徐々に長期化。材料・輸送費用なども高騰を続け、好況ぶりとともにリスクも顕在化した1年となった。
「世界中で不調な地域を探すのが難しいというくらい全般的にマーケットは好調だ」。日本工作機械工業会(日工会)の稲葉善治会長(ファナック会長)は、工作機械の需要が高水準を続ける現状についてこう説明する。
日工会がまとめた工作機械受注実績は、10月まで12カ月連続で前年同月比プラスを持続。9月と10月は2カ月連続で1400億円を上回る好調ぶりだ。これまで受注回復のけん引役だった中国向けが、パソコンやスマートフォン需要の減少で春以降は伸びが鈍化しているものの、欧米を中心に先進国市場での需要が本格化。日本市場も半導体製造装置をはじめ幅広い産業で需要が伸びており、政府の補助金の効果も受注を押し上げた。
一方、深刻さが増しているのが春ごろからの部品不足の影響だ。半導体や電装部品、鋼材など「ありとあらゆるものの確保に各社が苦労している」(稲葉会長)状況で、機械の納期も延び始めている。顧客が機械を複数社に発注し、納期優先で1社に選ぶ事態も起きているという。ある工作機械メーカー首脳は「当社より納期が短い他社の機械を選ばれることもある」と話す。
受注は今後も当面、高水準が続くとの見方が強い。稲葉会長は「この勢いが急に失速するとは思えない」と期待する。市場の好況を背景にメーカー各社の受注残は着実に積み上がっている。DMG森精機の森雅彦社長は「受注残をいかにスムーズに売り上げにつなげていくかが今年、来年の大きな課題だ」と話す。部品不足やコスト増への対応の巧拙が、各社の成長に向けた重要なカギとなる。
- 2022年1月26日
-
- 2022年1月20日
-
自動車部品メーカーが完成車の生産計画変動への備えを厚くしている。河西工業は内装部品の一部生産工程を先進国から賃金の安い新興国に移管。生産コストを削減し、車の減産などで売上高が下振れても利益を出せる体制を築く。ヨロズは工場稼働日に部品を集中生産して非稼働日を設け、急な車の減産に伴う生産要員の調整を減らす。半導体など部品の調達難は2022年以降も続く見通しで、部品各社は対応に腐心する。
河西工業は車のドアの内装の革張りような労働集約的な工程を新興国に移す。先進国では従来通り最終的な組み立て工程などを担う。従来、完成車メーカーの工場近くで部品を生産し納めることを基本方針としていたが、一部工程移管で品質を担保しながら物流費を含めた生産コストの削減が可能と試算する。
先進国では移管で生まれた余剰スペースを生かして拠点の統廃合を推進。移管先では関連部材を現地調達に切り替え材料費も減らす。米国や日本、英国、ドイツから、それぞれメキシコ、東南アジア、モロッコへの移管を想定。24年度まで3年間の中期経営計画に盛り込む方針で、車各社と調整しながら移管する工程やコスト削減効果などを詰める。
ヨロズは車の生産変動に併せた柔軟な生産体制を導入。車メーカーへの部品の納入が毎日あっても、例えば1週間のうち3日間に生産を集中し、残り2日間は休業して「光熱費や労務費などのコストを徹底的に抑えている」(平中勉社長)。
曙ブレーキ工業は車の生産挽回に対応するため、本社の間接部門の人員を工場に送る対策に乗り出している。車メーカーから翌月の挽回計画が変更されることもあり、採用単価も上がる中で「派遣労働者の新規採用などを慎重に見極めている」(同社幹部)という。
- 2022年1月20日
-
- 2022年1月19日
-
タンガロイは、ステンレス鋼の旋削加工用材種に、高速切削に最適な化学気相成長(CVD)コーティング材種と、断続加工および重切削用の物理気相成長(PVD)コーティング材種を追加し発売した。価格は代表型番の「CNMG120408―SDM T6215」が1034円(消費税込み)。初年度1億800万円の販売を見込む。
CVDコーティング材種「T6215」は、厚さが従来比3割増のコーティング膜を採用し、耐摩耗性を高めた。最外層には逃げ面摩耗に効果的な高硬度外層を採用。高速切削での連続加工でインサート(刃先交換チップ)の長寿命化を実現する。
PVDコーティング材種「AH6235」は、チタン高含有で耐熱性の高い厚膜PVDコーティング膜を採用。すくい面のクレーター摩耗を抑えられる。靭(じん)性の高い専用母材により、耐欠損性に優れ、断続加工や大きな切り込み加工でも高い信頼性を発揮する。
- 2022年1月19日
-
- 2022年1月18日
-
日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)がまとめた11月の新車販売台数は、前年同月比14・4%減の35万2455台と、5カ月連続でマイナスとなった。減少幅は10月の同31・3%減、9月の32・2%減と比べ改善した。半導体など部品不足に伴う減産で新車の供給が滞り、販売が低迷した。足元で生産挽回の動きもあるが、部品調達難は続いており、新車販売の見通しは不透明だ。
登録車の販売台数は同13・4%減の21万9276台と、3カ月連続で減少した。うち小型乗用車は同5・8%減の7万6822台と、6カ月連続のマイナス。11月単月として過去最低だった。
軽自動車の販売台数は同16・0%減の13万3179台と、6カ月連続で減少した。減少幅は10月の同33・2%減、9月の同35・9%減と比べ改善傾向にある。全社が前年を下回った。全軽自協の担当者は部品調達難が続いている。
- 2022年1月18日
-
- 2022年1月14日
-
乗用車メーカー8社が発表した10月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比24・2%減の184万8125台で、4カ月連続で前年を下回った。半導体不足や、東南アジアでの新型コロナウイルス感染再拡大などの影響による部品不足が響いた。ただ同35・5%減だった9月に比べると、マイナス幅は縮小した。11月以降の生産も回復傾向にある。
8社合計の国内生産は、同40・2%減の48万1630台となった。トヨタ自動車は同50・9%減で3カ月連続、日産自動車は同44・9%減で2カ月連続のマイナス。三菱自動車以外の7社が前年実績を下回った。三菱自はスポーツ多目的車(SUV)「アウトランダー」の生産台数が増えた。8社合計の輸出は同43・4%減の22万6662台と、大幅に減少した。
8社合計の国内販売は同32・0%減となっており、生産の落ち込みが販売にも影響を及ぼした。ホンダがSUV「ヴェゼル」を中心に受注は好調とするなど、需要は底堅い。
部品供給の状況などが改善傾向にあることから、生産の落ち込みは底を脱したと見られる。11月のトヨタの世界生産は85万―90万台と、単月として過去最高水準の見込み。
- 2022年1月14日
-
- 2022年1月12日
-
日本工作機械工業会(日工会)が発表した10月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比81・5%増の1492億2200万円で12カ月連続の増加となった。1400億円を上回るのは2カ月連続。外需では欧米の伸びが顕著だったほか、内需も回復傾向が継続した。
期末効果で受注が増える9月比でも8年ぶりの増加。25日会見した稲葉善治会長(ファナック会長)は「実需として不調な地域を探すのが難しいくらい、マーケットは全般的に好調だ」と強調した。
内需は前年同月比74・1%増の502億8900万円で、8カ月連続の増加。500億円を上回るのは2カ月連続で、10月としては3年ぶりとなる。半導体製造装置関連や各種産業機械、医療機器など「多様な分野で需要が喚起されている」(稲葉会長)ことから全11業種で増加。航空機・造船・輸送用機械は34カ月ぶりに30億円を上回った。
外需は同85・5%増の989億3300万円で12カ月連続の増加となった。950億円を上回るのは40カ月ぶり。「先進国で力強さが一段と増している」(同)状況で、業種も電気自動車(EV)向けをはじめとする自動車や一般機械など幅広い。地域別では、欧州が13年4カ月ぶりの250億円超え、北米が37カ月ぶりの300億円超え。アジアも3カ月ぶりの400億円超えで、中国は横ばい傾向が続く一方、大型受注があったタイとインドが大きく伸びた。
日工会では、今後も部品不足や部材・輸送費用高騰の懸念は残るものの、好調な受注環境については「当面続くとみている」(同)とした。
- 2022年1月12日
-
- 2022年1月6日
-
住友電気工業の産業素材事業は、祖業である銅線を細く伸ばす伸線の加工技術を今に受け継ぐ。伸線用の超硬合金工具から出発し人工ダイヤモンド、ダイヤに次ぎ硬い立方晶窒化ホウ素(CBN)など最先端の素材を早くから開発してきた。多様な産業素材の中でも、稼ぎ頭は超硬合金の切削工具。住友のシンボルである井桁(いげた)に由来する「イゲタロイ」のブランドで業界トップ級を走る。
切削工具部門(ハードメタル)はコロナ禍で売上高が2021年3月期に840億円と前期比9・6%減少したが、22年3月期に1023億円と同21・8%増加する見込み。東南アジアなどを除き、売上高の大半を占める海外や国内が持ち直す。素材事業を率いる常務は「伸び率は業界平均を上回ると思う」と手応えを示す。
住友電工の強みは素材からの一貫した開発戦略にある。切削工具もその典型で、硬いものを効率よく削る工具のもとになる冶金から力を入れてきた。「素材の善しあしが基礎になる」とぶれることはない。会長は「うちは全般に市場より技術を見過ぎる癖がある」と冷静ながら、世界一を目指す技術志向が成長の原動力になってきたのも間違いない。
産業素材とともに社歴を歩んできたが「これまでと同じでは確実に需要が減るだろう」と市場の激変を覚悟する。電動車が増えれば、切削工具を多く使うエンジンなどの機械加工が激減してしまうからだ。「切削工具事業は自動車にどっぷり依存していない」が、顧客の課題解決を指向する事業戦略を強める方向だ。
まだ機械加工は技能者の勘に頼りがち。そこで、抵抗値や音などのデータで善しあしや工具寿命を予測するなど新たな技術支援サービスの開発に注力する。工具のデータを基に加工を評価する手法で付加価値を高める。技術と市場の両面を見据え、変革期を勝ち進もうとしている。
- 2022年1月6日
-
- 2022年1月5日
-
オークマは、難削材加工に特化した大型立型コンピューター数値制御(CNC)旋盤「VT1000EX」を2022年春に発売すると発表した。ターボチャージャー(過給器)などに用いる難削材「インコネル718」の場合で、加工時間を従来の2分の1にできる。消費税抜きの価格は6750万円。
難削材の超重切削ができる新主軸を標準搭載した。最大出力は同クラス機比8割増の55キロワット、最大トルクは同2倍の5310ニュートンメートル、軸受内径は同3割増の260ミリメートル。設置面積は同等で、軸移動量はX軸で4割増の650ミリメートル、Z軸で2割増の1000ミリメートルで、最大加工容量を直径1000ミリ×高さ1000ミリメートルとした。
チタンやステンレス、インコネルなどの難削材は強度や耐熱性、耐食性が高く、風力発電などのエネルギー関連、航空宇宙、建設機械などで加工需要が増えている。加工に加え工具交換の時間も短縮し二酸化炭素(CO2)排出量を従来機より32%削減できる。切り粉が堆積しにくい構造で連続稼働時間も延ばした。
- 2022年1月5日
